相手に配慮した質問の仕方

発達障害の人の視点で議論してもらいました ~キスド会 2017年6月 開催報告~
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 在職者向けのキスド会(土曜夕方に秋葉原と新宿で開催している、発達障害のある在職者向けのしゃべり場)での会話を皆さんの承諾をもとに記事にしています。今回のテーマは「相手に配慮した質問の仕方」について議論しました。

○×がわかりづらい指示を受けた

Aさん) 先輩がコピー機を使っていて用紙がなくなりそうな時がありました。私が「コピー用紙を倉庫から持ってきましょうか?」って聞いたんですね。私が予想した答えが「じゃあお願いします。」だったんですけど、先輩が「いいよ、邪魔だから。持ってくるんだったら積んどいて」って言われて、はい、いいえのボタンを両方推された感じがしたんです。

一同) (笑)

Aさん) 微妙に空気が読めませんでした。邪魔だからいいよっと言っときながら、持ってくるんだったら積んどいて、「どっちなんだよ」って頭がフリーズしてしまったんです。どっちなんだって解釈をずっと5分ぐらい机で考え込みました。微妙に「持ってきた方がいいのかな~」と。結局、コピー用紙を持ってきたんですけど、何箱持ってきたらいいのかも分からなくて、台車を使って持ってきました。

Bさん) そういうこと結構あるんですね。

Cさん) たしかに普通にあるでしょうね。

Aさん) 僕は話しかけられた時に、とっさに正確な反応・反論ができないんですよ。今考えるとその先輩は、用紙が足りないことに自分で気づけなかったのを指摘されたことに、怒っちゃって、口挟むな、邪魔だとか感じが出ちゃったと思うんですよ。それに対して、すぐあとに言った「持ってきてください」っていうのは、ちゃんとした判断なんで、それは要は判断の方に従えば良いという答えになるだろうなと分析しました

スタッフ) すばらしい分析だと思います。その通りだと思いますね。

感情論か? 冷静な判断か?

Bさん) でも邪魔だっていうのは判断っていう言葉になりますね。

スタッフ) いや、でも脊髄反射のような反応が「邪魔」っていう感じだったんじゃないでしょうか。

Bさん) 一瞬の反応で。

スタッフ) そうです。だけどその後、脳みそが動き始めて、一貫性を持たせるために帳尻を合わせたというか、結局は持ってきてほしいのを伝えたというか。

Cさん) どっちが判断かっていうのはどこで決めるんですか?

スタッフ) それが感情論なのか、その人の状況で文脈から考えて得な方を考えた結果なのか。

Aさん) ただ邪魔というのは思いとか感情ですよね。一方で紙を持ってきて下さいっていうのは具体的な動作の指示だからそれが判断なんですよ。

スタッフ) なるほど。そうでしょうね。

Aさん) だから、感情といっても感情的なものか、物理的なものかっていうこと、それで感じが変わったのかっていうのが分けられると思うんですよね。

Cさん) 状況によっては、コピー用紙を持ってきたら、冷静に考えても邪魔であるっていう判断もできませんか?

Aさん) 確かに邪魔であるっていう判断はできますね。うん。

一同) (笑)

Cさん) そうするとそれは感情か判断かで、やっぱり読み取れない限りは…

Aさん) 読み取れない限りは分からないかもしれないですね。

相手を追い詰めない聞き方は?

Dさん) もう一度その人に聞くってことは良いのでしょうか。

スタッフ) 怒らせる可能性があるかもしれないですね。「はっきりして欲しい」という問い詰めた感じに聞こえると先輩に失礼でしょうね。

Cさん) 追い詰めない聞き方ってあるんですかね?

スタッフ) 追い詰めない聞き方?自分がバカで分かんなかったんですけど、どっちですか?って自分を下げて言う聞き方でしょうか

Cさん) そのコピー用紙の場合だったら、なんて聞きますか?

スタッフ) ごめんなさい。聞き取れなかったんですけど、持ってくればいいですかね?とかそういう感じでしょうかね。

Dさん) 自分ができなかったって言うのに物事を置き換えちゃうと多くの人は納得してくれますものね。

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監修者コメント

相手によって、態度を変えるとか、相手の反応によって返事を変えるとか、そういうとっさの判断って難しいですよね。ASD傾向の強い人は、共感が苦手だったり、そもそもコミュニケーションが苦手なので、相手を配慮した質問というのは、とても難しいと思います。

ただし、仕事の場合、プライベートよりもコミュニケーションの目的がはっきりしていたり、やりとりの種類も限られているので(観光で必要な分の英語を覚えるようなもの)、一つ一つ覚えていけば、数年経つ頃にはトラブルはかなり減るでしょう。例えば、相手が不快になる可能性を排除するために、いつも枕詞に「不器用ですいません。いつも助かります」とかですね。


監修 : 益田 裕介 (医師)

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