発達障害に向く仕事・働き方 ADHD(注意欠如多動症)編

ミス・抜け漏れが多いけれども、得意なことはとことん突き詰められる人へ
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ADHD(注意欠如多動症)の方の適職には様々な可能性があります。
一方でADHD の方の特徴である「ミス」や「抜け漏れ」など苦手な部分について対策が必要です。
苦手なことを伝えて特定の業務は避けさせてもらったり、もしくは、「障害者雇用」で配慮してもらうことも検討できるでしょう。
この記事ではそんな ADHD の方が就職活動・適職探しをするうえでのポイントをまとめました。

ADHD の人が就活で成功した業界・職種は何ですか?

ADHD(注意欠如多動症)の方に向く仕事はさまざまあり、どの仕事が合っているかその人の特性により異なります。
当社では 個人個人の特性を見てその人に向いていると思われる業界・職種の仕事を以下の3つの特徴に分けてご案内しています。

ADHD の方に向いている仕事
自分の興味を発信できる仕事 編集、記者、ディレクター、カメラマン など
モノ作りに関わる仕事 料理人、整備工、プログラマー、アニメーター、デザイナー など
専門分野に特化できる仕事 研究者、学者、塾講師、教員 など

 どうしたら自分に合う仕事に出会えますか?

まずは「自分を知る」こと、そうすれば適職や自分に合った業界・職種を見つけやすくなると当社では考えています。
しっかりと自分を客観的に評価し、広い業界・職種の視野を持つメンター・支援者を持つことが重要です。

職種・仕事は、ご本人の興味、関心や集中度が保ちやすい職種・仕事の現場を選びましょう
ADHD の方は「発想が豊か」というプラス面の特徴を持つ方が多い一方で「気移りがしやすい」というマイナス面も持ち合わせています。
実務ではいろいろなことを多彩にできるよりも、一つのことをしっかり深めることが必要な場面があります。
ADHD の方にとっては、しっかりと落ち着いて一つのことに取り組めるかどうかが重要な要素になってきます。

とはいえ、現在のビジネスの世界は変化が激しく、仕事の中身、内容もめまぐるしく変わっていきます。
例えばプログラマーといっても20年前のプログラマーと今のプログラマーは覚える知識や必要とされるスキルが違うでしょう。
「この分野のプログラミングだけがしたい」などと視野を狭めずに、広い視野を持ってプログラミング全般に興味、関心を持ち絶えず新しいことを学んでいくように心がけましょう

障害者枠のほうが良いのでしょうか?

ADHD の人が最も訴えるのはミスの多さ、抜け漏れの多さになります。
このため、ミスや不注意が許容される会社の文化や業務内容を考える必要があります
特定の分野だと注意力が向上する人もいますが、それだけを考えていればよいわけではありません。
作業の手順や、一緒に働く人のタイプ、職場の雰囲気などのフィット感も非常に重要になることが多いです。
こうしたことが上手に乗り越えられるなら一般枠でもよいでしょう。
また周囲に上手に合わせてもらうこと、つまり配慮を多めに希望されたい場合は障害者雇用も検討してください。
あくまで一般論ですので、個別具体的には周囲の人や支援機関などにご相談されることをお勧めします。

ADHD に起業やフリーランスは向きますか?

たしかに起業家やフリーランスで働く人の中に ADHD 的な気質を持った方は多いと言われています。
そもそも起業やフリーランスは、安定を好むことの多い「人間」という生き物からすると飛び込みにくい領域です。
無謀なことが出来てしまえる良い意味での衝動性や思い込みが必要だと思うからです。

しかし ADHD だからといって、すべての人が起業に向くというわけではありません。
つまり「起業・フリーランス → ADHD が多い」は成り立っても、「 ADHD → 起業・フリーランスに向く」という関係性ではないということです。

ミスの多さや苦手なものへの集中力の弱さ、計画やその修正、つまり段取りの苦手さなど、ADHD の特徴は一人で何でもすることの必要な起業・フリーランスには向かないのは残念ながら否定しがたいところです。
起業・フリーランスで成功している人はご自身の ADHD 的な特徴を補う誰かがいたり、苦手さが目立たない業種を選んでいることが多いのでしょう。

発達障害*の方にとって起業・フリーランスについて絶対反対というつもりはありません。
しかし、周囲の人を上手に巻き込み自分の苦手を補ってもらうことが大事になります。

ADHD の方の就職事例 就職した方の声

当社の就労移行支援をご利用いただいた訓練修了生の就職事例をご紹介します。

32歳・女性 人材サービス会社・一般事務

試用期間での離転職を繰り返していた B 子さん。
失敗経験が重なるうちに、上司や道具などに責任を押し付ける癖が付いてしまいました。
気分のアップダウンから生活リズムも乱れた時に Kaien の就労支援へ。
自尊心回復のため「 B 子さんがいないと作業が滞って大変だよ」など細かな声掛けをスタッフが行うことから支援スタート。
カウンセリングでは「辞めさせられる」という不安からミスの原因を他に押し付けていた事が判明。
事実を端的に伝えることで周囲からの評価を保つことを学びました。
就活では ADHD の特性が見えづらく、かつ興味の保てる求人にナビゲートし見事内定。
就職後の楽しみは Kaien の修了生とのやりとりとのこと。
現在モチベーションを保ちながら就業3年目を迎えています。

性別 女性
年齢 32歳
診断 ADHD 、双極性障害
業種 人材サービス会社
職種 一般事務

大人の発達障害 就職事例・体験談」より

33歳・男性  大手商社 特例子会社・経理など事務職

事務や営業などさまざまな仕事を経験してきた A さん。
肉体的、精神的な面で困難さを感じ離職、転職を繰り返していました。
ある時クリニックで診察を受け発達障害であることがわかります。
安定した就職へのきっかけが掴めるのではとの思いで Kaien の就労支援へ。
Kaien では実際の業務とほぼ同じ内容で行う仕事体験プログラムに参加し、自分の得意、不得意を知って自己理解を深めます
実習先の企業からは「丁寧な仕事で助かった」との評価を受け、その実習先でたまたま空いた経理職として就職されます。
ご自分では、注意力、集中力の面から経理の仕事は難しいだろうと思っていたそうですが、実際に働いてみると「こんなに経理にはまるとは」と自分でも驚くほど経理のおもしろさに夢中になられたそうです。
現在は社内の方から経理についてのさまざまな質問を受けて、頼られている実感を得られ自信をもって仕事に取り組まれています。

性別 男性
年齢 33歳
診断 発達障害( ADHD か ASD か不明。自分では ADHD だと思う。)
業種 大手商社の特例子会社
職種 経理を中心に契約書など文書管理の他、社内労災予防も担当

Kaien、TEENSをご利用いただいた方々へのインタビューシリーズ「私とKaien」第16話リンクより


監修者コメント

ADHDの方の場合、社内文化に注目しておくことが重要です。ミスが許されない職場か、チャレンジすることを評価する職場か?私語厳禁であるか?それともコミュニケーションを何度も取ることを推奨する職場か?などです。

もちろん、働いてみないと分からないことが多いですが、会社のウェブサイトを読んだり、評価をしているサイトを参考にしたり、面接の時の職場見学を参考にしたりと、会社の雰囲気を感じ取れるようにしましょう。


監修 : 益田 裕介 (医師)

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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