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東京都心か郊外か? 発達障害がある方の就職事情山手線沿線が圧倒的に多い 障害者枠求人の偏在を考える仕事就活障害者枠

障害者枠はどうして東京に偏っているのですか?当社を訪れたご本人・ご家族から頻繁に尋ねられる質問の筆頭ともいえます。この記事では求人が障害者枠が地方・郊外より都心に集中しやすい事情を解説しています。

求人件数が多い都心を取るか、通勤面の負担の少ない郊外を取るか

 現在、雇用状況は景気回復の恩恵を受けてか、求人数は引き続き増加傾向です。当社の就労移行支援を経由して人材紹介で就職される方も、勤務地の内訳をみるとその多くは東京都内、しかも23区でも山手線の沿線や山手線の内側での勤務となっています。発達障害の方は感覚過敏の影響で「通勤ラッシュを避けたい」という希望を持っている方もいますので残念に思う方も多いと思いますが、背景には求人ボリュームの地域的な偏りがあります。

 求職者数一人当たりの求人件数を示している有効求人倍率を都道府県別を見てみましょう。2016年8月の実績は埼玉県が1.07倍、千葉県1.19倍、神奈川県1.06倍に対し、東京都は2.01倍でした。つまり東京都は首都圏の中でも人が圧倒的に人が足りない状態です。

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障害者枠の場合、求人は23区のごく一部に偏る

 

障害者枠の求人が東京23区に偏る理由

 先ほどご紹介した数字は一般枠の数字でした。その場合でも東京都内と周辺県の差は倍近くあります。が、実は障害者枠の求人はさらに東京に偏っています。ハローワークの方によると、求人の偏在は5倍にもなると言われています。なぜ障害者枠の求人は東京都内に、しかも23区に偏るのでしょうか?

 それは障害者枠の勤務地を本社や本社周辺に設定する企業が圧倒的に多いためです。例を挙げて考えてみましょう。

  • 企業A: 全国各地に飲食店を経営する企業
  • 従業員: 総従業員 2,000人 → 障害者枠は40人
  • 事業所: 内訳は以下の通り
     東京都千代田区に本社 (従業員500人)
     全国各地に30の支店・店舗 (従業員1500人 → 支店・店舗ごとに平均50人)

 この場合、どのように障害者雇用をしようとするでしょうか?本社の総従業員が500人だからその2%の10人を障害者枠として、残りの30人分は全国30の支店・店舗で一人ずつ雇うというのが一つ目の考えです。A案としましょう。

 もう一つの考えは、本社で40人の障害者枠をすべて行い、支店・店舗では障害者枠を一切行わないというのが二つ目の考えです。これをB案とします。(※もちろん法定雇用率以上に障害者枠の雇用を行う企業も多くありますが、ここでは障害者雇用率の達成を目的としている企業と仮定します。)

 また、30ある支店・店舗の中でもし障害者枠ができるところがあれば採用するという、A案とB案の折衷案をC案もあるでしょう。仮に目標として、本社が30人、支店・店舗を10人とします。

支援者を配置できない…が最大の壁

 これまで当社の企業との対話の中で、C案を選ぶ企業が最も多く、次いでA案、B案はほぼありません。一般枠と障害者枠の比率は以下のようになります。

  • A案
    本社(東京・千代田区) 一般:障害=500:40=12.5:1 (12.5人に一人が障害者枠)
    それ以外の支店・店舗  一般:障害=1500:0
  • B案
    本社(東京・千代田区) 一般:障害=500:10=50:1 (50人に一人が障害者枠)
    それ以外の支店・店舗  一般:障害=1500:30=50:1 (50人に一人が障害者枠)
  • C案
    本社(東京・千代田区) 一般:障害=500:30=16.6:1 (16.6人に一人が障害者枠)
    それ以外の支店・店舗  一般:障害=1500:10=150:1 (150人に一人が障害者枠)

 数字が多くなり少しわかりにくくなってしまったかもしれませんが、A案にせよC案にせよ、本社のある東京・千代田区では圧倒的に障害者枠での求人が多くなります。一般枠よりも東京都の中心部に障害者枠の求人が偏在するのはこのような状態が普通だからです。

 ではそもそもなぜ企業はA案やC案を選ぶのでしょうか?それは障害のある方を雇用するということは、「配慮義務」が発生することが原則となるため、その配慮ができるのが支店・店舗ではできないということになります。30の支店・店舗一つ一つに障害者枠の支援員を雇用する余裕がなく、本社に支援員を雇用することが効率も効果も高くなると考える企業が多い訳です。

 注① 30の支店・店舗すべてに支援スタッフを雇うと新たに支援員も30人雇う必要がありますが、本社で一括で40人の障害のある方を雇用すると、支援員は5~10人程度ですむため、効率もよいし、障害のある方にとっても様々な支援に出会えるので上手に雇用してもらいやすいという面があります。

 注② また支援員をおかず通常の社員が自然に支援をする、いわゆる「ナチュラルサポート」が理想かもしれませんが、実際はそのような余裕がない一般社員が圧倒的であることから、ある程度の支援員を配置、任用するのが障害者枠を進める企業では一般的です。

一括で本社で障害者枠を行う方が企業にとっても障害のある方にとってもハッピーと考える企業が多い。

一括で本社で障害者枠を行う方が企業にとっても障害のある方にとってもハッピーと考える企業が多い。

【参考】大人の発達障害者向けの職業訓練・就活支援
【参考】発達障害(疑い含む)のある大学生・専門学校生向け”ガクプロ”
【参考】見学/相談/利用希望の方は ”ご利用説明会”へ

障害者枠をするのは大企業・上場企業がほとんど

 そもそも本社が東京以外にある企業も多いし、中小企業は特に全国各地に散らばっていると思われる方も多いでしょう。しかし実際は、障害者雇用率が到達できない時に”罰金”とも言われる納付金を支払う必要があるのは100人以上の企業ですので、小さな企業は障害者枠が義務化されていても、実際に雇うケースは少なめです。

 もちろん本社以外に障害者枠を一括して行う「特例子会社」や「サテライト」を設置する企業もあります。ただし、そのように本社以外に雇用の場を設ける場合でも、本社の人事の担当者が「何かあった時にすぐに駆け付けられたり、コミュニケーションを円滑にしたりするため」に、本社から電車で1時間程度のところに特例子会社の事務所をつくる企業が多いということもあります。

 やはり東京都内まで求職活動の範囲を広げると、業務内容や待遇・働きたい業種など、希望に近い仕事を見つけやすくなる分、通勤面のある程度の負担は我慢という状態になっているのが実際です。今後この流れが変わるように当社など福祉業界は企業への働きかけを強めていかないといけないと思っています。

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