社会不安障害があって就職が怖い!向いている仕事を探す方法や支援先を紹介

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社会不安障害で休職・退職している方や、これから初めての仕事を探す方は、就職したいと思いながらも不安や恐怖心から、なかなか一歩が踏み出せないとお悩みではないでしょうか。

本記事では、社会不安障害の症状や受診の目安、発達障害との関連性について解説します。社会不安障害の方に向いている仕事の探し方や支援先も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

社会不安障害(社交不安障害/SAD)とは

社会不安障害とは、現在は社交不安障害(SAD)と呼ばれている不安障害の1つです。社会不安症、社交恐怖と言う場合もあります。どんな人でも、大勢の人の前で話す時などに緊張したり不安になったりすることはあるでしょう。しかし、緊張や不安があまりにも強く生活にも支障をきたしている場合は、不安障害かもしれません。

不安障害の中でも社会不安障害は、注目されたり人前で恥ずかしい思いをしたりすることが怖くなり、人と会話することや、繁華街や電車、バスなど多くの人が集まる場所にいることに、強い苦痛を感じる症状が現れます。そのように感じることに自分でも「おかしいな」と気付いても、その感じ方を抑えることがなかなかできません。

社会不安障害の主な症状

社会不安障害では、恐怖や不安を感じる場所や場面で、次のような症状が出る場合があります。

  • 息苦しく感じる
  • 心臓がドキドキする
  • 冷や汗をかく
  • 頭の中が真っ白になる
  • 手足が震える
  • 声が震えたり、上ずったりする
  • 顔がほてったり、赤くなったりする
  • めまいや吐き気がする
  • のぼせる
  • 胃やおなかが痛くなるなどの消化器症状が出る

社会不安障害になると、だんだんと恐怖や不安を我慢しながら生活するようになり、生きづらさを感じることがあります。また、恐怖や不安を避けたい気持ちから、人と会うことや外出を避けるようになるケースも少なくありません。それから、対人恐怖症やあがり症も、社会不安障害の症状に含まれることもあります。

社会不安障害の受診の目安

社会不安障害かどうか迷ったら、心療内科や精神科、メンタルクリニックなどで診断を受けることが可能です。不安や恐怖を回避するような行動が一定期間続いており、次のようなサインが見られる場合には、一度受診してみることをおすすめします。

  • 対人関係に悪影響が出ている
  • 仕事の能率が下がっている

精神疾患の診断については、医師によって診断のばらつきが出ないようにするために、国際的な診断基準が設けられています。主な診断基準は次の通りです。

  • 「DSM-5」(「アメリカ精神医学会「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版)
  • 「ICD11」(世界保健機関(WHO)「国際疾病分類」第11版)

社会不安障害と発達障害との関連性

社会不安障害の症状が長く続く場合、その背景に発達障害*が隠れている可能性があります。発達障害は生まれつきの脳の特性ですが、発達障害が原因で生きづらさを感じることも多いでしょう。そのストレスが後天的な精神的トラブルの発生につながることを、特性が引き起こした「二次障害」と呼びます。

また、発達障害の二次障害の1つに不安障害があり、その中に社会不安障害も含まれます。発達障害と不安障害で感じる不安はよく似ていて、区別は困難です。ただし、発達障害は生まれつきの特性なので一生付き合っていくことに対し、不安障害は適切な治療をすれば治る可能性があります。

社会不安障害の方の仕事での悩みや困りごと

仕事をしていると多くの人と関わる場面がよくあるので、難しさを感じたり、悩んだりすることも出てくるでしょう。社会不安障害の方が仕事でよく困る場面には、次のようなものがあります。

  • 取引先やお客様、上司、同僚などと会話する
  • 会議など多くの人が集まる
  • 人前で発表やプレゼンをする
  • 電話をかけたり受けたりする

このような場面では、社会不安障害の症状が出やすくなります。そのために失敗したり、周りの視線が気になって不安が強くなり、その結果として仕事に支障をきたすケースが多いのです。

社会不安障害の方に向いている仕事とは

社会不安障害の方の中には、「不安や苦痛を感じる場面をできるだけ避けて仕事をしたい」と思う方もいれば、「自分の得意なことを活かせる仕事がしたい」と思う方もいるでしょう。つまり、社会不安障害の方に向いている仕事も、人それぞれと言えます。

次に挙げる仕事例は比較的、社会不安障害の方にとって負担が少ないものです。ご自身の状態や希望に合う仕事を探す時の参考にしてください。

  • 自分のペースで、一人で黙々と作業をこなせる仕事(事務作業や工場の軽作業、ライン作業など)
  • リモートワークや在宅勤務ができる仕事(内職や請負のパソコン作業など)
  • 人との交渉や人前でのプレゼンをする必要がない仕事(貨物輸送など)
  • 電話対応がない仕事(調理、IT関係の技術職など)

このような条件を完全に満たすことができない場合でも、できるだけ不安な場面や苦手な作業を避けられるように配慮してくれる職場もあります。

社会不安障害の方に向いている仕事を探す方法

前述のように、社会不安障害の方に向いている業界・職種はたくさんあります。その中から、自分に合った仕事を探すことが大切です。ここでは仕事を探す方法として、仕事探しのポイントや働き方、就活をサポートしてくれる支援サービスを紹介します。

自分の状態を知る

まず、「自分はどんな場面で不安や苦痛を感じるのか」「苦手な場面ではどんな困りごとがあるのか」など、自分の症状や状態について知り、理解を深めることが大切です。そのためには、1度クリニックなどを受診して、医師やカウンセラーからアドバイスをもらうのも良いでしょう。また、自己分析をするのもおすすめです。厚生労働省が提供している5分程度でできる自己分析ツールなどもありますので、ぜひチェックしてみてください。

障害者雇用も検討する

社会不安障害などで精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方は、障害者雇用という働き方もできます。障害者雇用に前向きな企業や団体はたくさんあります。ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関で、自分が働きやすい職場がないかを相談することが可能です。

国や地方公共団体、都道府県などの教育委員会、従業員数が一定数を超える民間企業には、それぞれ定められた割合の障害者を雇用することが義務づけられており、それを「法定雇用率」と言います。法定雇用率は、国や地方公共団体が3.0%、教育委員会が2.9%、民間企業が2.5%です。いずれの場合も、常時雇用の従業員100人あたり2人以上の障害者を雇用しなければなりません。厚生労働省の調査でも、民間企業の雇用障害者数が右肩上がりであることが公表されています。働き方の選択肢として、検討してみるのもよいでしょう。

就労移行支援を利用する

就労移行支援を利用しながら仕事に慣れていく方法もあります。就労移行支援とは、障害のある方が一般企業への就職を目指すための通所型福祉サービスです。就職の事前準備をするための職業訓練から、就職活動の支援や就職後の定着支援まで行っています。

就労移行支援では、障害の特性や過去の就労経験などを踏まえた「個別支援計画」を作成した上で、それぞれの方に合った支援が受けられます。なお、就労移行支援は原則として2年まで利用可能です。就労移行支援を利用するためには、就労移行支援事業所を選ぶ必要があります。事業所を探す方法は、次の3つです。

  • 自治体の窓口(市町村役所の福祉課や福祉事務所)で相談する
  • 専門機関(ハローワーク、障害者相談支援事業所、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターなど)で相談する
  • インターネット検索で探す(「就労移行支援事業所 〇〇市」などのキーワードで検索)

Kaienの就労移行支援

Kaienでも就労移行支援を行っており、過去10年で約2,000人の方が就職に成功しました。就職率が86%と高い実績があり、離職率が9%と低く、職場に定着する方が多いことも、Kaienの特徴です。Kaienでは、次のような支援サービスを行っています。

職業訓練

幅広い職種を体験できるため、あなたの特性を活かせる仕事が見つかります。具体的には、経理・人事・データ分析などの事務スキルや、伝統工芸などのもの作りのスキル、軽作業といった手や体を動かす仕事のスキルなど、常時100種類以上の職業体験が可能です。また、プログラミングやデザインのスキルを取得したい方を対象に、専門コース(クリエイティブコース)も設けています。

独自のカリキュラム

社会スキル・自己理解向上を目指すカリキュラムが50講座以上あり、毎日さまざまなセッションに参加できます。自分の強みや弱みを整理することで、苦手なことへの対処方法が身につきます。

豊富な求人を扱う就活サポート

Kaienは、不安障害や発達障害に理解のある企業200社以上と連携しており、他社では扱っていない独自求人も紹介できます。一人ひとりに担当カウンセラーも付き、あなたの就職をしっかりとサポートします。

定着支援

就職した後も、職場訪問や勤務先との調整を行いながら。業務の困りごとや生活上の問題などに対してサポートを受けられます。

就労移行支援の利用で自分に向いている仕事探しを

社会不安障害の方の仕事探しは、障害に理解のある経験豊富なスタッフのアドバイスやサポートを受けながら進めるのがおすすめです。

Kaienは東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪に22拠点あり、在宅(オンライン)でも利用が可能です(お住まいの自治体の許可がある場合)。加えて、フランチャイズパートナーも北海道と宮城、福島、茨城、新潟、長野、愛知、兵庫、岡山、福岡、鹿児島にあります。

自己負担額0円で利用している方も多いので、お住まいの自治体の障害福祉課などでご確認ください。私たちと一緒に、あなたの特性を活かせる職場を見つけましょう。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。