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息子のためのより良い道を、Kaienと一緒に探していきたい ~私とKaien 第4話~

2016年2月25日

『私とKaien』は当社の就労移行支援を利用していた訓練修了生や、ガクプロやTEENSをご利用中のお子様を持つご家族など、Kaienと一緒に発達障害の魅力を世の中に広げていただいている方々へのインタビューシリーズです。第4回は、TEENSを利用する中学3年生のご子息を持つお母さまにお話を伺いました。約2年の利用で訪れた変化とは。

息子のためのより良い道を、Kaienと一緒に探していきたい

過保護と言われる辛さを越えて

 だっこをしないと泣く息子をずっと抱いて、公園デビューのときから過保護と言われてきました。幼稚園では触覚が過敏だったためにどろんこ遊びが苦手で。息子の特性に合わせて何かをさせないでおこうとするたび、そういう母親に見られました。でも息子が幼稚園のときに出会った発達障害専門のお医者様が、「過保護ではない。お母さまのやり方でいいんですよ」と言ってくださり、救われました。それまで自分の子育てに自信がありませんでしたが、その言葉をきっかけに、「もっと勉強しよう」と決心しました。「自分の息子はこう」と、自信を持って言える道を見つけようと思ったんです。

 息子は1歳半になっても言葉が出ず、3歳で高機能自閉症と診断されました。小学校に上がるとき普通級の就学判定が出ましたが、小学3年生のとき、休み時間に遊ぶ友達がおらず、勉強についていけなくて不登校気味になり、個別級に移りました。小学校の6年間は担当の先生次第で安定と不安定を行ったり来たり、ジェットコースターでしたね。IQも落ちて、診断名から「高機能」が取れて「自閉症」に変わりました。

 息子はいま15歳、中高一貫の、発達障害に配慮のある学校に通っています。IQは85くらい、標準より少し低いと言えます。TEENSを利用し始めたのは2014年6月。障害を持つ子供たちのお母さんが集まるサークルがあって、代表の方に「Oさんのお子さんにぴったりのところありますよ」と教えてもらいました。それから月2回のお仕事体験(TEENSプログラムにある職業訓練塾。実践を通じていくつかの職種を理解し、あわせて段取り力、コミュニケーション力を養う)へ参加しています。

 TEENSの体験セッションは衝撃でした。スタッフの大宜見さんの、話の進行が本当に上手で。電話をかけるという課題を全員がこなして振り返りの場面にくると、ホワイトボードにそれぞれの子の点数を書いていくのにも驚きました。そんなことをしたら、自分が人より劣っているか、点数から明らかに分かってしまいますよね。それまで発達障害の子供向けのプログラムに参加したことがありますが、こうした評価をするところは初めてでした。マイナス面も、当たり障りのないコメントではなくきちんと指摘して、その伝え方がまた上手なんです。

この子にぴったりの場所を見つけた

 うちの子はこの評価に耐えられるかしらと心配になりつつも、直すべきところはしっかり言ってもらえると思い、安心もしました。息子は以前から、間違いを頭ごなしに指摘されると癇癪を起こすことがありました。悪気なしにしてしまった失敗を背景を理解しようとせず怒ってしまうと、受け止めきれないんです。でも、人と場所に安心できれば、指摘を受け入れられます。その場所を見つけたんです。今の中学は、「嫌だったらやらなくていいよ」という方針。でもいずれ将来は、経済的に自立をしなければならない。苦手なことにも少しずつ挑戦しなければいけないんです。

 TEENSの良さは語り尽くせません。メインで話を進めるスタッフの方と、流れに乗りきれない子をサポートしてくれるスタッフの方がいることも、息子にとってとても大切でした。質問があっても周囲に遠慮してなかなか聞けず、勉強が苦手になったのもその理由から。目立つ子に先生がペースを乱されてかかりきりになると、いつまでもいつまでも待ってしまう。さらに待っている不安から、見ているこちらが痛くなるほど爪をかんでしまいます。

 これからすることの予告を、微に入り細に入りしてくれるのもぴったり。息子は見通しが立たずにできなかったことを、すべて自分のせいと考える子で、そのたびに自己評価を下げてきました。でも、この場合にはこう動く、という事前の見通しを細かく見せてあげられるほど、いい成果を上げられます。普通の子と同じように過ごせるんです。

 去年の夏に参加した「ペンションTEENS in 真鶴」のことは忘れられません。ペンションの仕事を子どもたちが手伝って、もてなしの極意を学ぶというお仕事体験。そのレジュメがすごくいいんです。「テーブルを拭く」というお仕事一つをとっても、テーブルの図が付いたマニュアルがあるんです。そんな具合に、どの仕事についても、こと細かに手順が示されてあるレジュメに驚きました。行く前は不安で、ぎりぎりまで行き渋って、実践では接客のセリフがうまく言えなくて、泣いてしまうことになりました。それでも、得ることの多かったプログラムだったと思っています。

レジュメ

「ペンションTEENS in 真鶴」のレジュメ イラスト付きでお仕事の説明が示されている

凸凹の、凸を探していきたい

 TEENSの効果は学校でも少しずつ出ているようです。TEENSで年下の子たちと話す経験から、学校でも学年が下の学生の方に話しかけられるようなりました。授業で発言もできるようになったんです。社会的な場所がもともと苦手ですが、少し良くなったと感じています。

 TEENSに通うまでは、なかなか活かせる強みがありませんでした。いえ、まだ見つかっていないと思います。例えば「PCが大好き」など興味を活かせることがあればいいですが、そういうものもまだありません。今は凸凹の凹の、弱い部分を補っているところです。凸の部分はこれから見つけていきたい。スタッフの方との面談に期待しています。自分の知らない息子の姿を、常に聞ける場所ですから。お仕事体験で、息子がリーダーをしていると聞いたのも面談でした。そのときは、息子が!と驚きました。グループに入って話すこともできなかった子が、と。  

 あと少しで高校に通うことになりますが、目標ははっきりしています。仲間をつくることです。その手段として、部活に期待しています。息子は一人っ子で、努力もしましたが友達ができません。発達障害の子は、あまり人と関わらないで一人で過ごしているのが大丈夫な子も多いですが、息子はもともと人が好きで、大勢でわいわい過ごすのが楽しいんです。ただ、自分に自信がない。友達ができないことを、すごく気にしてもいます。そんな息子が友達を作れるツールがカードゲームなのですが、珍しく誰かと一緒にカード屋さんへ行っても、お店で30分過ごしたら、さよならして帰ってきてしまう。雑談が苦手で、何を話していいか分からないんです。

目を覚ましてくれた、鈴木さんのブログ

 実は友達を作るためにTEENSに期待しているのが、話し方の練習です。うちは父親は無口ですが、息子は母親の私とはよく話をします、でも親が相手では、友達との会話は練習できません。TEENSでは休み時間など、若いスタッフの方がお兄さんやお姉さんの立ち位置で子供たちの会話を回してくれます。それがとてもいい。言葉を適切にチョイスして語彙を増やすために、安心して場数を踏める場所です。そういうわけで、Kaien社長の鈴木さんがブログで書いていた、「TEENSにはあえて学生のインターンもあてている」というコメントにもとても共感しました。うちの子にとてもフィットしていると思います。

 幼稚園であの専門医の方に出会ってからは、専門医の方の講演や良い先生の意見を求めて、勉強会、講演会に出たり本を読んだり。吸収できるものはすべて吸収しようとしてきました。でも息子は現にいま、困っています。友達ができなくて寂しい。そんな行き詰まりのなかでつい先日読んで衝撃を受けたのが、Kaien社長の鈴木さんのブログです。「専門家だけで解決しているならば、もう発達障害の課題って解決しているはずなんです」と。答えはないんだということに気付きました。必死に答えを探し求めるよりも、実践が大事なんだと腑に落ちたんです。息子が少しずつ変わっていく、その過程をKaienと一緒に見守りたいと思いました。

 この前、息子が初めてお茶を入れてくれたんです。TEENSのお仕事体験、カフェの店員さんのお仕事を体験する「カフェTEENS」で学んだことを自宅で再現してくれたんです。温かいお茶を、お菓子も添えて。うれしくて、思わず写真を撮っちゃいました。

暖かいお茶とお菓子

「カフェTEENS」を踏まえて息子さんが淹れてくれたお茶

(取材:2016年2月)

■Oさん:TEENSに通う15歳男の子の母。ご子息が中学1年生だった2014年6月から月2回、お仕事体験のプログラムに参加している。

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