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発達障害ならではのお悩み「上司の指示をうまく受け取れない」~キスド会レポート~

Kaienスタッフの藤です。奇数週土曜日開催の在職者向けの当事者会「キスド会」では、様々なお悩みが寄せられており、そのお悩みにスタッフや参加者が知恵を寄せ合って答えていきます。発達障害の傾向があるからこそ生まれるお悩み。今回は「上司の指示を上手に受け取れない」というお悩みをお送りします。

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今回のお悩み:上司の指示をうまく受け取れない

相談者(以下Aさん):上司の言っていることがちんぷんかんぷんで、自分が的外れなことをしてしまっているのではないかと心配です。例えば、「〇〇を持ってきて」と言われて、いくつ持っていけばいいかわからず、全部持っていってしまったりします。

スタッフ鈴木(以下鈴木):確かに、そういったことはありますね。例えば、「コップを持ってきて」と言われて、コップを全部持っていったら「俺が使うだけだから一つでいい」と言われたり。けれど、そういったことは、誰にだって起こりうることだし、それくらいの事例だとあまり困らないかなと思うのですが、そんなことはないのですか?

Aさん:そういった(自分の)勘違いが多くて…。上司が荒い性格の人だったので、手が出てしまうタイプの人だったんです。

鈴木:それは、その上司の方が気になりますね…。ところで、「だった」ということは、もうすでに対策を取ったということですか?

Aさん:はい、もうそこを辞めたので…。

鈴木:なるほど。それでは、ご質問の趣旨としては「気が荒い上司に当たってしまった場合、どう対処すればよいかということでしょうか。まずは、フロアの皆さんから、似たような経験談があれば聞かせてください。

参加者の体験談:「わかりやすくしてくれ」と言われてもよくわからない

フロア:私の場合は、仕事ではなくお稽古でのことなのですが、合宿で「コップを使っていいですか?」と聞いたら怒られました。「聞きなさい」とか、「勝手に使っていい」とは言われていなかったので。おそらく「勝手に使っていいに決まっているだろ、頭を使えよ」ということだったんだと思います。

鈴木:あぁ…そういうことですね。僕も文句を言ってしまうタイプだから…。でも、それは相手の言っていることがわからないというよりも、相手が言わなかったことがくみ取れなかったという例かもしれません。相手の意図とずれてしまうという点では重なる部分があります。他に、職場の例ではいかがでしょうか。

フロア:私は、上司から「月ごとのお金の収支を把握するために、集めたレシートをExcelに入力して、お金の出入りを確かめろ」という指示を受けました。その際に「わかりやすいようにしてくれ」と言われたんですが、どうすればわかりやすくなるのかがわからなかったんです。強く言われたので、どうすればいいのかわからず黙ってしまいました。

鈴木:そういったことは、Kaienの中でもあります。ちょうど同じようなことが今日まさにありました。日常的にどの会社でも起こりうることだと思います。ただ、その頻度が、発達障害の傾向がある方は多いかもしれませんが。では、どなたか対策に関して「自分の場合はこうしている」といった例はありますか?

フロア:ファミレスの店員のように、自分が理解したことを復唱するようにしています。
フロア:私は、メモを取るようにしています。職場実習のときに、指導する方からも言われました。
フロア:相手に、聞けそうであればもう一度聞いてしまいます。

鈴木:理解したことを復唱するのは、相手に確認を取るということですね。メモを取るのはKaienでも「メモ帳とペンは皮膚のように思え」ということで、常に持ち歩くようにお伝えしています。Aさんの例に戻ってみて考えると、対策を実施したけれど難しかったとか、できなかったとかはありますか?

Aさん:対策はしていました。そして上司にも発達障害のことは言っていたのですけれど、「それは障害のせいじゃない、お前の注意力や考え方の問題だ」と言われてしまいました。

対策について:早め早めにたたき台を持っていくこと!

鈴木:本当に上司がそういったことを言ったとしたら、それはなかなか「すごい」上司ですね…。今までの話で僕が思ったことは、メモをとって復唱して確認するということは、「自分が間違っているかもしれない」と思っているから、防衛ができるときの話だということ。いっぽう、先ほどの合宿のコップの例は、ある意味思い込みになってしまっているわけですよね。「コップは1個でいいですか?それとも全部ですか?」といちいち聞かれたら、確かに上司は怒るかもしれません。でも、思い込みで「コップを持っていくといったら1個だろう」と持っていったのに、上司としては「全部持ってこい」という意味だったということもある。

フロア:じゃあ、自分が思い込みが強いタイプだった場合はどうすれば良いのでしょうか?

鈴木:これは僕はいつも言っているのですが、コミュニケーションはキャッチボールみたいなものです。相手がうまく投げてくれれば、こちらも取りやすいです。受け取るのがうまければ、向こうがぐちゃぐちゃでもうまく取れます。発達障害の傾向がある方で、コミュニケーションが苦手な人は、良い上司の下につくのが鉄則です。なぜかというと、わかりやすい指示がくるからです。

フロア:もし、上司もコミュニケーションが苦手だったら…?

鈴木:残念ながら、相手がうまくないタイプだと、こちらもうまく取れなくて、お互い不幸になる可能性があります。ただ、先ほどのコップの例のように、そもそもそこでずれるとは思っていなかったようなことでズレが生じて、ドツボにはまることはあるかもしれないなと思いました。

フロア:指示が下手な上司にあたってしまった際の対策は?

鈴木:そういうときは、上司としては何をしてほしいかというと「何でも良いから早く作って持ってきてほしい」ということです。学校の試験であれば、1回しか提出できません。しかし、仕事であれば、100回だとさすがに困るけれど、基本的には複数回すり合わせていくと良いです。それこそ、上司だってうまく表現できないから曖昧な指示を出している。そこで、部下から「わかりません」ということを質問されても、上司は同じパスを出すしかないのです。

フロア:どのようにすり合わせをしていけば良いのでしょうか?

鈴木:わかる範囲でいいので、「こういうのができましたけれどどうですか」となるべく早めに持ってきてほしい。相手の解釈がわからなければ、自分の解釈でなるべく早めに持っていくのが良いです。たたき台があれば、それをもとにすり合わせができるので。言葉だけのやり取りだけより、はるかにスピード感をもって進めることができます。

フロア:すり合わせの際に気をつける点はありますか?

鈴木:できるだけ早めに持っていくのがポイントです。最後の最後に「こういうことでしょうか」と持ってこられると時間がなくなってしまうので。マラソンでいうと、5㎞地点くらいのところで確認してくれれば、ずれていたとしてもそれほど上司の怒りはふくらみません。

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上司のところに、なるべく早めにたたき台を持っていくことが大事

フロア:質問です。「急いでくれ」と指示を受けたときに、どう受け取ったらいいのかがわかりません。ニュアンスがわからないのですが。

鈴木:そうですね、「急いで」の曖昧な定義はつまりどういうことですか、と聞くよりは「明日の昼までですか」など、自分の解釈を相手に聞き直したほうがいいです。復唱するということが、ファミレスの復唱とは違うということです。

フロア:ファミレスの復唱と違うというのは?

鈴木:「甘いもの」と指示されて「甘いものですね!」と復唱してチーズケーキを持っていったら怒られるかもしれません。「つまり、チーズケーキということですか?」と聞き返したら「いやいや、違うんだよ。パフェのほうがいい」というように、話が進みます。上司が投げるボールがあいまいな場合は「あいまいですね」と復唱してもあまり意味がないので、自分の解釈を復唱してみてください。