あと12日 障害者雇用の給与水準 東西格差を埋めるために

<Kaien大阪天六 2018年6月オープン> 関西初拠点 カウントダウンブログ
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発達障害に特化したサービスを2009年から行っている当社Kaien。これまでは首都圏に子ども向け・学生向け・大人向けの合わせて14の拠点で事業を行ってきました。大人向けのサービスに限っても年内には就職者が1,000人を超えるものと思われます。色々と体制が整った今のタイミングならば大阪でも同じ質の(もしかしたらより良い関西ならではの)サービスが展開できるのではということで6月1日に新拠点を天神橋筋六丁目にオープンします。

本ブログは開設までの毎日を書き留めているカウントダウンブログ。今日は「あと12日」。東西格差についてお伝えしていきます。

関西初拠点!発達障害の特徴を活かした就職を! ▽就労移行の”Kaien大阪天六” ▽学生向けの”ガクプロ大阪天六”

以前の聞き取り結果 大阪は障害者枠の給与が低い!?

実はKaienは2014年頃に一度、大阪や名古屋での展開を考えて聞き取り調査をしたことがあります。その時には残念ながら社内の体制が整わないと思ったために事業所を立ち上げるまでには至らなかったのですが、気づいたことの一つに、障害者雇用の賃金格差が目立ったことでした。

具体的に言うと、首都圏の障害者雇用は15万円程度の求人が目立ちます。当社のKaien独自求人に限ってみると平均給与は17~18万円です。中には20万円をしっかりと超えていくような求人も多く見られます。一方で大阪では10万円に届くかどうかという給与レベルで働いていることが多いのが印象的でした。

※なお当社の就労移行支援に通っても、障害者手帳を取らずにいわゆる一般枠で就職される方も多数いらっしゃいます。決して障害者枠を受けないといけないというわけではありません。しかし実際上は障害者手帳を取って配慮のある中で働く方が過半ですので、この記事では障害者雇用についてお話していきます。

給与が低いことが事実だとしたら 考えられる3つの要因

関西のほうが給与が低いことが本当だとします。当時考えた要因は3つです。一つに物価の違い、二つに就業時間の違い、最後に障害者雇用の戦力化の遅れ、です。

①物価は確かに東京が高い

一つ目に挙げた物価は確実に違いがあると思います。今回東京から大阪に異動するスタッフがいますが、例えば女性が安心して暮らせるマンションを探そうとすると都内だと安くて6万円台。通常は7万円台になってしまうかもしれません。しかもオフィスまで1時間かかるということもザラです。

一方で大阪ですと5万円台でそこそこの物件は見つかります。しかも通勤時間は大幅に都内よりも短く20~30分。たしかに梅田駅や御堂筋線の混雑具合は東京の各線・各駅に肩を並べるほどですが、それでも住環境は恵まれていることは間違えないでしょう。賃料は物価の違いの最たる例かもしれませんが、食費(例えば呑み会費用)など見ても手頃な印象があります。物価が抑えられている分、給与がある程度低くても、生活水準はむしろ上、というのは納得できます。

②労働時間が短い契約が多い(例:週30時間など)

物価はネガティブなものではないとしても、2つめにある契約上の労働時間の短さは大きな課題と考えられるでしょう。

実は障害者枠では週20時間(ですので週5で働くとすると一日あたりの勤務時間は4時間)で企業にとっては0.5人分のカウントになり、週30時間(週5の場合、一日勤務時間6時間)で1人分のカウントになります。うがった見方をすると、企業としては給与総額を抑えたいならば、週40時間働いて貰う必要はなく、週30時間で良いわけです。いくら最低賃金が上がっても、週30時間の勤務では今の日本ではなかなか一人前の生活が送れるレベルに達しづらいのが現状です。

もちろん、障害年金を貰える人は、週30時間働き、かつ最低賃金であっても、10万円程度貰えば、そこに非課税である障害年金の6万円/月~が乗ってくると、実はそこそこの生活水準にはなってきます。ただ当社に通ってくる発達障害の方の場合は、障害年金を受けられる人は極端に少なく(おそらく1%以下かもしれません)、給与で自分の収入のすべてを賄わないといけない人がほとんどでしょう。

このため二次障害などで働く時間が大きく成約されない限りは長く働いて給与総額を増やしたい所、まだまだ企業の力が強くて週30時間でとどまってしまっている例が散見されるのではと思われます。このあたりの状況に変化をもたらすことを当社としても働きかけていかなければいけないなと思っています。

③障害者雇用でも戦力になれる

②の議論とも重なりますが、三つ目は障害者枠の人材を企業がまだ戦力として考えていないのではということです。出来る限り問題がないように、障害者雇用率が達成されれば、あとはコストとして考えるというような思想で障害者雇用にのぞんでいる企業がいるのは否定出来ないところです。

もちろん東京でもその他首都圏でも障害者雇用はコストセンターという見方をする企業はたくさんあります。しかし大阪がまだ賃金が低いとすると、最近増えている発達障害の方が今までの障害者雇用の概念では考えられなかった業務内容までこなしたり、よりスピードや質を高められる可能性があるというのを知らない企業が多いのではないかと推測できます。

もちろんそれには発達障害の人がパフォーマンスを発揮しやすい職場環境やコミュニケーション手段を整える必要があります。そういったサポート体制はなにか治具を買うとできるというものではなく、簡単ではないかもしれませんが、Kaienが大阪/関西に進出するのはそういった企業の考えを変えて、ショーケースとして発達障害の人が活躍する企業・事業所・職場を一つでも増やしていくことにあるのではないかと思っています。

明日月曜日もブログ更新します

そろそろ6月1日のオープンが迫ってきて、色々な細かなヌケモレを埋めながら、医療・福祉・企業の関係者にご挨拶回りが続きます。引き続き今週もブログを毎日更新していきたいと思います。ぜひ明日もお読み下さい。

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