発達障害と結婚・恋愛「パートナーに診断のことを言う?」

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Kaienの藤です。Kaienの就労移行支援は働くことの支援が主です。しかし、ライフステージを考えるときに、大きな要素となるのが結婚・恋愛です。基本的に、就労移行支援の中で恋愛相談に乗ることはありませんが、これまで何回か恋愛相談に乗ったことがあります。また、パートナーがいる方に関しては、そのパートナーとの関係がどのような関係かについて踏み込んで聞くこともあります。なぜかというと、仕事以外の人間関係が安定しているかどうかが仕事のパフォーマンスにも影響してくることが多いからです(これは、恋愛に限らず、ご家族との関係でも同じことが言えます)。
今回は、パートナー、あるいはいい感じの人がいる場合に、その相手に診断のことを言うかどうか、言うとしてもどのように言うかについて書きます。実は、このブログを書く前に、Kaien内SNSである「かいえんぴあ」で様々な方にもご意見いただきました。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございます。以下は、あくまでも私の考えです。

そもそも、言う/言わないの見極めはどうやって?

言わない場合は墓場まで持っていくという方もいます。相手の理解度とか、柔軟さとか、様々なことが関係しています。言ったほうがプラスになるかどうかの見極め次第です。その見極めが難しいところではあり…。こればかりは、実際に言ってみないとわからないので、たぶん、自分の感覚を信じることがベストです。相手を良く知っているのは自分であるということを根拠にして考えてみるしかないのだと。
ただ、それでも何かしらの判断軸を持つとしたら。私は以下の通りだと考えています。

■パートナーが柔軟なタイプか、頑固タイプか。当然ながら、柔軟なタイプなら受け入れやすいです。ただし、一番やっかいなのは「一見柔軟だけれども実は頑固」タイプですので、ご注意ください。わかったふりをしてわかっていないタイプ…。
■パートナーがラベリングをしたがるタイプか、そうでないか。人は人を見る際に、何かしらの色眼鏡を通してみることが多いですが、その度合いはどれくらいなのか。交際に至るまでに、相手の人間関係に対する考え方に触れることはあると思うので、その観点で相手を見てみると良いです。他の誰でもない、「私」と付き合っているのだから、診断がある/なしで判断をするのではなくて、私がどういう人間かを見てくれる人が良いでしょう。

交際中、あるいはいい感じの距離感のときに言う

この選択のメリットとしては、早めに伝えることで、特性を理解してもらいながら付き合える可能性があるということです。いっぽうで、最大のデメリットは「理解してもらえなかったらどうしよう」ということ。これはいつでも一緒ですが…。ご家族に診断のことを言っても理解してもらえなかった経験がある方ほど、パートナーにも言うことへの心理的ハードルは高いように思います。
また、言い方を「診断がある」という言い方にするか、それともふわっとした、遠まわしな言い方にするかを悩む人もいます。確かに、自分の特性があまり強くないほうであれば言わないほうがいいでしょう。ポイントは、特性が原因で苦手なことがあるのに、それを相手からは怠惰だとか努力不足だと認識されてしまっている場合は言ったほうがいい(※但し、相手が受け入れてくれそうだという目論見がある場合)。
大事なのは、「診断がある」ということだけ言うのではなく、それが交際においてどう影響するのかを伝えることと、もしパートナーが配慮できることがあれば何をしてほしいかをいうことだと思います。これは、まるっきり就活と同じです。聴覚過敏があるからデートは静かな場所がいいとか、抜け漏れが発生しやすいから、次の約束を決めるときには電話だけでなくてメールでも残しておきたいとか…。そういったことだと思います。

結婚、ないしは生涯一緒にいようと思ったときに言う

別の言い方をすれば「一緒に住むタイミングで言う」ということかもしれません。たまに外で会うのと、一つ屋根の下で一緒にいるのとではやはり違うので、そのタイミングでいう人はわりといらっしゃいます。そして、「結婚相手に診断のことを言わない」という方にはほとんどお会いしたことがありません。なぜなのか。一緒にいる時間が長くなり、かつ利害関係をともにすることになるので、言って理解してもらう方が圧倒的にお互い楽だからだと思います。
関連事項として。診断のことを相手の親に言うかどうか。言わない人は結構います。「言っても理解してもらえないだろう」「同居ならともかく、たまにしか会わないのであれば言う必要はない」という方が多いです。確かに、と思います。年に数回しか会わない場合は言わずに過ごしたほうが、無駄な偏見を持たれずにすみやすい。逆に、同居だったり近距離で交流が多い場合は、言ったほうが楽かもしれませんが…。そして、子どもを持つことを考えた場合に、発達障害*の遺伝的要素を考えると…ということも考えることになります。非常に難しい問題です。

結婚・同居をきっかけとして診断のことを言うことも

以上です。この話題に関しては、6月5日開催のKaienMeetup「女子会第2弾 結婚・恋愛・異性との距離感」でも取り上げられることでしょう。興味のある方はぜひお越しください。

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます