修了生インタビュー③ ~「言わなくても察してもらえる」と思っているあなたへ~

HOMEスタッフブログ修了生インタビュー③ ~「言わなくても察してもらえる」と思っているあなたへ~

スタッフの東海林です。今回は修了生インタビューの第三弾です。第一弾はこちら、第二弾はこちら
また、「利用者の声」については当社のウェブサイトにも特集ページがありますので、こちらも是非ご覧ください。利用者インタビューやアンケート結果を掲載しております。

今回インタビューを受けてくださったNさんは、個人的にぜひインタビューさせていただきたい!と思っていた方のお一人です。Nさんは訓練期間中、精神的にしんどさを感じて訓練に来られなくなってしまうこともあったのですが、しっかり持ち直して現在は生命保険会社の事務職として働いていらっしゃいます。今回のインタビューを通して、NさんがどれだけKaienスタッフのことを信頼してくださっていたかを改めて知ることができました。「スタッフを信頼しています」という言葉は普段直接的にいただく機会は多くないので、喜びを感じると共に、信頼にしっかり応えなくてはと身の引き締まる思いです。インタビューでは、NさんがKaienに来る前のこと、訓練中、そしてこれからについて伺いました。職場や訓練が長く続かない方、周囲からよく思われようと頑張って疲れてしまっている方にぜひお読みいただきたいと思います。

忘れ物の多さや、マルチタスクの苦手さに困っていた。

子供のころから忘れ物の多さで困ることがあって、電子辞書のような大切なものを無くしたり、数秒前に言われたことを忘れたりしていました。前に勤めていた会社でも、電話応対で相手の方の名前は憶えられるけど社名を忘れることがあったり、聞き取ることに夢中になってメモができないというマルチタスクの苦手さもありました。Kaienに来る前の年に発達障害という診断を受けましたが、発達障害について自分で調べても今一つわからない状況でした。医師からは「得意なことと不得意なことを紙に書きだして説明できるようにしてください」と言われていたのですが、誰かがそれを手伝ってくれるわけでもなかったので、結局書き出せずに次の通院日を迎える、ということを繰り返していました。

訓練に行けなくなったとき、「言わなければ伝わらない」ということに気づいた。
Kaienの訓練に通ったからと言って、症状自体が収まったわけではありません。ただ、「自分は忘れっぽいからメモをしよう」とか、そういう意識ができるようになったことが大きいです。それから、報・連・相(報告・連絡・相談)の大切さ、コミュニケーションの大切さは訓練を通してよく理解でき、就職した今も改めて大事さを感じています。当初私は支援機関の人を魔法使いのように思っていて、「自分から言わなくても察してくれる」と思っていたんです。スタッフが忙しそうにしていると、何となく自分から言いづらかったというのもあります。訓練を開始した当初は、良く思われようとして表情を隠して、常に緊張した状態だったのですが、何か月かしてそれが限界を迎えました。緊張の糸がプツっと切れたように体が動かなくなり、訓練を数日休みました。その時は「なんでスタッフは察してくれないんだ」と人間不信的になっていたのですが、休んでいる間にスタッフとメールでいろいろやりとりをして、気遣ってくれている、心配してくれているんだなと思うと同時に、「自分から言わないと伝わらない、逆に、言えば伝わる。だから見栄を張るのはやめて、これからは心に思ったことをちゃんと言うようにしよう」と思い、気が楽になったんです。

注意されるのは嫌われているからではない、アドバイスなんだ。
この出来事があってからは、「スタッフって心配してくれてるんだな、信頼して、甘えちゃってもいいからちゃんと訓練しよう。」という考え方になりました。以前は注意されることと怒られることを同じイメージで捉えていて、どちらも嫌でした。注意されないように頑張っていました。でも、スタッフや仲間が何か言ってくれるのは私のことが嫌いなわけでも、怒っているわけでもなくて、「こうしたほうが良いんじゃないか」というアドバイスなんだと受け取れるようになりました。
その時から頑張ることをやめて、自然体で訓練に臨み、その上でアドバイスを聞くようになりました。

しっくりこない指摘は言葉を置き換えて考えてみる。ポジティブシンキングを大事にする。

キャリアカウンセリングなどでスタッフに「こだわりが強い」と言われたのですが、自分としてはこの言葉に悪いイメージがあり、別にこだわっているわけではないのにと感じていました。ある時、ふと思い立って自分の中で「こだわり」を「思い込み」という言い方に変えてみたら、しっくり来たんです。それ以来、何か言われて納得できないことがあったら「それってこういうことですか?」と別の言葉に置き換えて確認するようにしています。このような考え方をするためには、前提として心に余裕を持つ必要があると思います。私がそのために取り組んだのは、「ポジティブシンキングを大事にする」ことです。余裕がない時はどうしてもマイナスの感情が出やすくなりますが、「〇〇は出来なかったけど△△はできた」と意識的にプラスの事を考えられると、心に余裕も出てくると思います。

「スモールステップ」で進めた就活。

私の場合、訓練開始から就職するまで結果的に7ヶ月間でしたが、当初私は「訓練を2年間やりたい」と言っていました。(※就労移行支援の訓練を受けるために必要な障害福祉サービス受給者証の期限は2年間。詳しくはこちらへ。)スタッフからは、2年は長いので(※Kaienにおける就職までの平均訓練期間は7~8ヶ月。詳しくはこちらへ。)、とりあえず1年を目標にしようと言われて、最初はあまり就活のことは考えずに訓練に専念していました。そんな中、スタッフから「1年後に就活するためにとりあえず履歴書を書きましょう」と言われて履歴書を書き始めました。そして、書けたら添削を受けましょう、添削を受けたら直しましょう、せっかく添削を受けたのだから1社応募してみましょう、1社受けたのだからついでに何社か応募してみましょう、ということで一歩ずつ進んで行き、今の職場への就職を決めました。スモールステップで少しずつ進めていくのが良かったのだと思います。Kaienのスタッフを信頼していたので、「スタッフが次のステップへ行きましょうと言うということは、私にその準備ができているということなんだ」と考えていました。

Kaienキャリアカウンセリングの様子(イメージ)

この先、なりたい自分。
私は「自分自身のことだとできないことが多いけれど、他人に対しては頑張ってやろうとするね」とよく言われます。訓練でも言われて、それはたしかにと思いました。他の人に気持ちよく働いてもらうためにどうしたらいいんだろうと考えるのが自分には合っていそうです。それを考えて仕事すれば結果はついてくるかなと思うので、まずは自身のことをよく知ってもらうため、体調を整えて毎日コツコツと働くところからですね。訓練でもスモールステップということをすごく言われていたので、小さなことでもいいから自分にできることをコツコツとやっていきたいと思います。

***

Nさんはインタビューの後、わざわざメッセージをくださり、「少しでも他の方の役に立てれば」と、伝えたいポイントをまとめてくださいました。以下に掲載させていただきます。現在訓練を利用されている方はもちろん、お仕事されている方、学校や支援機関に通っている方、どなたにも参考になるポイントだと思いました。
①体力を付ける(毎日安定して訓練に通うことができるようにする。それが安定して仕事をできるようにするための最初の一歩)
②ポジティブシンキング、自然体を意識し、心に余裕を持てるようにする
③スタッフは訓練生の事を考えてくれていると考えられるようにする
④スタッフを信頼して悩みはなんでも言う。
⑤スタッフのアドバイスを曲解しないようにし、不安ならばスタッフの言いたいことを確認をする。(確認した上で「訓練の様子を一番近くで見てくれているスタッフ・講師が言うなら間違いないだろう」と思えたのも大きいと思います。)

Nさん、今回はインタビューにお答えいただき誠にありがとうございました。

《関連リンク》
利用説明会へのお申込みは こちら
利用者インタビューやアンケート結果は こちら