内定おめでとうシリーズ③「“評論家”だった私が変わった」~グループワークで合意形成のイロハを習得~

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Kaienスタッフの金澤です。内定おめでとうシリーズ第3弾ではKaien求人の特例子会社に就職が決まったワタナベさんにインタビューしました。

ワタナベさん(30代前半・男性)
大学在学中に障害発覚し、休学を挟んで復学後に卒業する。福岡県にある製造業の会社に一般枠で就業するが、環境に適応できずに体調を崩して半年で退職。空白期間中に障害者手帳を取得する。2014年8月にKaien秋葉原事業所に入所して障害者枠での就労を目指す。2016年4月よりKaien求人の特例子会社に就労予定。

まずは内定おめでとうございます。率直な今のお気持ちを教えてください。

ひと安心しています。ようやく終わったか、という燃え尽きてしまったような、肩の力が抜けてしまっている感じです。

訓練開始から今までの大きな流れを教えて下さい

私が初めてKaienの説明会を受けたのが2014年2月、訓練は8月1日からでした。その後にプライベートでトラブルがあり、冬期に体調があまりすぐれないのと重なってしまったせいで、この年の10月から12月の間は週3日の訓練参加もできない状態でした。1、2月はデイケアですとか他の福祉サービスに、スタッフに付き添ってもらって見学に行ったり、実際にKaienとデイケアの併用をしていた時期もありました。ですが、キャリアカウンセリングで話していて実感したのですが、自分はやっぱりKaienにいたいという意思がありました。週3日午後の半日は必ず出てくることを1月から3月までで達成できたので、4月から少しずつ増やしていきました。そして6月の段階で、週5日間午前、午後とも出てくることができるようになりました。

6月下旬の合同面接会を控えて、企業求人の本を見ていたらちょっと行ってみたくなり、開催1週間前くらいに駆け込みでやって、1社だけ受けたのが最初の就職活動でした。その後はKaien求人などを色々勧めて頂き、次から次へと応募していきました。あとは東京しごと財団さんの実習面談会にも次々に参加しました。就活で得た一番大きい収穫は、実習に参加したことで、就寝起床のリズムがしっかりしたことです。今年の1月にKaien合同面接会に参加して、そこで受けたKaien求人の特例子会社で最終面接に進み、内定をいただくことができました。ここまで紆余曲折あり、最終的には1年8カ月の在籍となります。

ワタナベさんは障害者枠を選択しましたが、その理由と、就職活動で基準とされていたこと、具体的な職種や、アピールされた所を教えてください。

以前に発達障害の診断は受けていたのですが、前職は一般枠で働いていました。障害者手帳を取得したのをきっかけに、自分が出来る範囲で働こうと障害者枠での就活を考えるようになりました。就職の目的は自立する事でした。今住んでいる部屋の家賃や生活費が賄える自立が可能かどうかを基準に、企業選定を行っておりました。
また、自分と職種などのマッチングがとれているところ、前職の経験などをアピールしやすい企業などを選びました。具体的な職種としては、製造業にいましたので、物流、購買、その手の、商品の取引や流れを管理する事務のお仕事や、それにまつわる軽作業などから選んでいました。

就職活動で一番苦労したことは何でしたか?

履歴書の作成でしょうか。性格的に、あまり自己PRをすることが得意ではなかったので、自分の良い所探しが一番難航したと思います。面接の想定問答を作るときも同様でした。私は、飾って言うのがあまり得意ではありません。できるだけ、前職でこういう経験したという成果ベースで、客観的に評価できることを伝える、という方法をとりました。就職活動は、キャリアカウンセリング担当のスタッフの方と、短期から中期の就活計画を立てて、そのスケジュール通りに管理をしながら進めました。就活終盤では、キャリアカウンセリング担当の方以外でも、スタッフそれぞれの得意分野があると思ったので、相談内容に合わせて、得意そうなスタッフに聞く、という工夫を行っておりました。

手前がワタナベさん。キャリアカウンセリング担当の金澤と一緒に
 

Kaienの訓練を振り返って、印象的だったことを教えてください。

グループワークをやっていた時に、週替りのメンバーの方と衝突してしまったことがありまして、それで色々学ぶ機会がありました。自分は、評論家調に一般論で物事を語り過ぎてしまう所があります。私はその時リーダーではなくメンバーだったのですが、こうしたらいいんじゃないかという提案を一通り話したところ、それがリーダーの方に凄く負担になってしまって、リーダーを降りてしまうということがありました。一般的にはこの方が良いだろうと提案するよりも、まずリーダーと上司の方の言う事に従い実行する方が、グループでの作業効率としては良い、ということを、その時スタッフの方から指摘して頂きました。それを意識的に実行してみたら、本当に作業効率が良くなり、仕事をする上での勉強になりました。

Kaienでの訓練はワタナベさんにどんな変化をもたらしましたか?

自分の障害特性である認知の歪みから、職場で人と衝突しやすかったのですが、その点が矯正され、成長する事ができました。油断したり行き過ぎてしまうと、衝突の種になりかねない部分や、報告・連絡・相談を洗練させたり、スケジュール把握能力が弱いという課題はまだあると思います。 いまだに弱い所なのですが、スケジュールの管理と、タスクの細分化が苦手です。どうメモを活用して、スケジュール管理能力を向上させていくことができるかと試行錯誤している所です。訓練でも、最初は何も考えずに、報告に行く準備として、話すことをまとめる時だけしかメモを取っていませんでした。相手の話を聞きながらメモを取るようになったのは訓練を開始してから大分経った後のことでした。試行錯誤して現在は、左側にタスクリストを書いた状態で上司に質問に行き、各タスクに関して上司が話してくれる内容を右側にメモするようにしています。

体調が悪く、訓練に参加できない時期が多かったので、講師の方々にすごく気を遣って頂いてとても心の励みになりました。週替りの時は先ほどの、非常に評論家気質なところがあるとフィードバックして頂いたことや、オンライン店舗に移ってからは、議論が長くなってしまう時は、合意形成を意識してみたらどうだろうかなど、講師の方、スタッフの方から指摘して頂いたことも、自分にとってすごくためになる言葉が多かったと思います。

今後、仕事についての期待と、あとは今訓練をしている方とかこれから訓練をされる後輩に対するメッセージをお願いします。

仕事に対する期待というか抱負になりますが、仕事に向けての最終的な調整として訓練では勤怠を安定させて、入社後にしっかり定着していけるよう頑張りたいと思っています。就職先の企業はKaienとの関係も深く、障害配慮はしっかりしているだろうなと就職活動中の企業研究を通して感じていました。内定先で働く不安は今の所なく、後は内定先で自分がどれだけ頑張れるかだと思っております。
今後Kaienの訓練生になる方や、現役の訓練生の方に言いたいのは、Kaienで訓練を受けていれば必ず、社会人になる上で学ぶことがあると思います。変わるチャンスがKaienにはあります。まだ就活は早いかなと思っていても、とりあえず入所して、赤ペンや面接練習にすぐに着手した方が良いと思います。自分はそうした就活の練習を、訓練開始から10カ月位経ってからようやく始めたので、内定を取れるまでの期間が長くなってしまった事に結びついてしまっていました。最初の一歩のハードルを高く感じるかもしれないですが、乗り越えてしまえば、その後はとんとん拍子で進めると思います。その一歩を踏み出してみることをお勧めします。

Kaienの職業訓練プログラムについて、詳しくはこちらをご覧ください。