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自閉症スペクトラム(ASD)の方に仕事を教えるコツを教えてください

発達障害専門医 宮尾ドクター監修「障害者雇用 Q&A」 2021年7月号ASD・アスペルガー企業人事 発達障害の豆知識宮尾医師 監修記事障害者雇用

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Q&A「自閉症スペクトラム(ASD)の方に仕事を教えるコツを教えてください」

近年「雇用が安定している」、「得意な業務を任せれば戦力となることが期待できる」というイメージが広がっており、障害者雇用の対象として発達障害の方を積極的に雇い入れる企業が増えています。ただし発達障害とひとことに言っても、得意な仕事や、仕事の覚え方、力を発揮しやすい環境は、障害特性のタイプによって「正反対」と言えるほどに、大きく異なります。

職場においては、画一的な業務指導方法ではなく、指導する相手のタイプ・障害特性に応じて伝え方や指導法を柔軟に変えることで、より早く力を発揮することを手助けすることができるでしょう。この記事では、上司や指導員がぜひ知っておきたい、「ASDタイプ(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」の方に業務指導をする上でのコツ」を、3つのポイントに分けてお伝えしていきます。

参考記事:大人のASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害など)とは

ポイント1 ぶつけ本番を出来る限り避け、予習の機会をしっかり設ける

職場によっては、「実践経験を重視」で、事前研修の機会を持たず、OJT(オンザジョブトレーニング)で業務説明を都度行っていくことが多いかもしれません。しかしそういった指導スタイルは、ASDタイプの方には不向きであることが多いです。

ASD傾向の強い方は、仕事の流れや一つひとつの作業を「型」としてお伝えするほうが、理解がすすむ傾向があります。たくさんの経験を通じて、なんとなく意味や構造を理解することは苦手なので、まずは全体像をある程度理解してから実際の業務に取り組むほうが、より早く業務を習熟することができます。

別な表現でいうと、「自分なりのやり方を見つけて!」や、「仕事は目で見て盗みなさい!」というタイプの職場は苦手な型が多いようです。新しい業務を任せる際には、ぶつけ本番ではなく、出来る限り事前の業務説明や「予習」の機会を設けるとよいでしょう。座学、あるいはマニュアルの事前予習などを通じて仕事の「型」を学ぶ機会を事前に設けることが、ASDタイプの方に仕事を覚えてもらう上での重要なポイントとなります。

直接、上司や指導員が業務説明を行う際には、以下の「ASDの方に業務をレクチャーをする際には知っておきたい4つのコツ」をぜひ参考にしてください。

指導員必見! ASDの方に業務をレクチャーをする際には知っておきたい4つのコツ
  • 作業工程の意味を伝える:仕事の一連の流れを説明する際には、一つひとつの工程に対して、なぜやるのか?の理由・意味を合わせて伝えるとよいでしょう。例えば、「Aの部材はこのタイミングで必ず引き出しにしまってください。なぜならそのあとの工程で、Aが落下してケガをした人が以前にいたからです」などです。具体的な理由を伝えることで、一連の流れとして、作業工程の記憶をより定着することが期待できます。
  • 正しいやり方をシンプルに伝える:「〇〇はしないでください」といった否定形をつかった逆説的な業務指導ではなく、明瞭に「〇〇をしてください、これが正しいやり方です」と明確に”正解”を伝えてください。人によって「考える力を身に着けるため」などの理由で正しいやり方をすぐに伝えないタイプの方がいると思いますが、ASDタイプの方にはそのような指導方法は不向きな場合が多いです。
  • 手作業は横並びになって教える:封入作業や各種手作業など「身体を使った作業」を教える場合には、「対に向かい合う」のではなく、「横並びで同じ方向を向いて」作業説明を行ってください。頭の中で立場を置き換えて理解することが苦手な方が多いため、視覚的に左右が反転すると理解がより困難になるためです。まずは二人羽織のように「まず右手を上げて」、「次に左手を上げて」など、指導員とご本人が同じ方向を向いて、同じ行動をするように伝えていくと、より作業がスムーズに習得できるでしょう。
  • イレギュラーを事前に伝える:想定しうる「イレギュラー」は可能な範囲で事前に伝えておきましょう。例えば「雨の日はこうしてください」や「質問したいときに私がいなかったら〇〇さんに聞いてください」などです。想定外の状況を臨機応変に対応することが苦手な方が多いので、「想定できる範囲でのイレギュラー」を事前に伝えておくだけでも、実際に業務を進めている際の混乱を未然に防ぐごとができます。

ポイント2 過去の似たような業務との「関連性」を言葉で伝える

ASDのもう一つの特徴として「複数の事柄を関連付けて考えるのが苦手」というものがあります。他のメンバーと比べて「仕事を覚えるのがすこし遅い」や「応用が利かない」という印象に当てはまる社員は、この特徴が当てはまるかもしれません。

一般的に、会社での仕事では「今やっているこのAという仕事は、以前にやったBという仕事に似ているから、〇〇の部分は参考にすることができる」ということを自ら思いついて、仕事を効率化することが求められます。しかし、ASDの傾向がある方のなかには、この「AとBの関連付け」が出来ず、過去の経験を活かすことができていないことが多いようです。そのため、毎回・毎回はじめてその仕事に取り組むような状況になり、周囲から見て業務の覚えが悪い、という印象を持たれてしまうことが多くあります。

上司や業務指導員の方には、ぜひこのような特徴を理解したうえで、よりこまめにご本人とコミュニケーション機会を持っていただきたいと思います。業務の案件ごとに「このAという案件は、過去のBという案件の〇〇の部分を参考にすることができます」という風に、「過去の経験との関連付け」を口頭やチャットツールなどでこまめにサポートしていただくことで、業務が効率化するとともに、ご本人の業務習熟の大きなサポートとなるでしょう。

ポイント3 ミスなどの指摘をする際には「ポジティブフィードバック」から先に伝える

業務説明の際には、上手に分かりやすく伝えることも重要ですが、同時に「相手の聞く状態を整える」ことが同じくらいに重要です。ASDの方のなかには、過去の経験や物事の受け止め方のクセ(認知のクセ)によって、伝える側にそのようなつもりがなくても、業務の説明や、ミスの指摘などを、責められているように感じてしまう人がいます。そのような心理状態になると、本来伝えたいことが相手にうまく伝わりません。

ぜひ業務の指導を行う際には、「出来ていること」、「良いところ」をまず初めて相手に伝えてから、具体的な説明に入るとよいでしょう。心理的な安全性が確保されることで、情報を受け止めやすくなり、より理解が進むでしょう。
また、ポジティブなフィードバックをする際には、抽象的な「ありがとう」や「出来ているね」だけではなく、「どの業務が誰の役に立っているのか」、「どの点が良かったのか」を具体的にお伝えしてください。抽象的な想像を膨らませることが苦手なので「具体的な褒めポイント」が明確にならないと、相手からのポジティブなフィードバックに実感を持つことが難しいためです。

まとめ:「仕事内容」を相手の特性に合わせて変えるように、「教え方」「接し方」も相手の特性に合わせて柔軟に調整する

発達障害の特徴の多様性への理解が進み、個別の特性に合わせて任せる仕事を柔軟に調整する企業様は以前に比べてとても増えているようです。しかし、それと同じように「教え方」や「接し方」を柔軟に相手の特徴に合わせて変えることが出来ている企業様はまだまだ多くはないように感じます。

今回トピックとして挙げたASDの「特徴的な物事の捉え方や理解の仕方」は、「先天的な脳機能の個性」です。会社や上司の「これまでのやり方(≒ベストプラクティス)」に当てはめようとすることが、かならずしも正しいとは限りません。個性を理解して、相手に合わせた柔軟なマネジメントを意識していただき、会社・チームへの貢献するメンバーを早く育てることに繋けていただければ幸いです。

参考リンク

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監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。
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