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「業務切り出し」がうまくいく企業にはどんな特徴がありますか?

発達障害専門医 宮尾ドクター監修「障害者雇用 Q&A」 2021年9月号企業人事 発達障害の豆知識宮尾医師 監修記事障害者雇用

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■ Q&A「「業務切り出し」がうまくいく企業にはどんな特徴がありますか?」

障害者雇用を推進するうえで、多くの企業が一番はじめに頭を悩ませるポイントが「業務の切り出し」です。

特に障害者雇用の経験が少ない企業では「障害のある人にやってもらえる仕事が見つからない」「任せることができる仕事がない」「社内の理解が得られない」という声をよく耳にします。その一方で、比較的障害者雇用がうまくいっている企業では「社内から新しい業務の依頼が次々と舞い込んでくる」という話を聴くことも少なくはありません。これらの企業のあいだには、いったいどのような違いがあるのでしょうか?

本記事では「業務切り出しが比較的うまくいっている企業にはどんな特徴があるのか?」を確認することで、障害者雇用における業務切り出しを円滑に行うためのヒントをお伝えしていきます。

特徴1.「簡単な仕事」ではなく「貢献度の高い仕事」という観点で業務を切り出している

「業務切り出しがうまくいっている企業」に共通している特徴の一点目は、「貢献度の高い仕事内容はどれか?」という視点で業務の切り出しを行っている点にあります。

障害者雇用の経験が少ない企業では、つい「障害者にもやりやすい、簡単な業務を切り出そう」と考えがちです。しかしこれはあまりうまくいきません。はじめの採用がうまくいったとしても、運用しはじめると「障害者雇用のためにわざわざ必要性の低い業務をこしらえている」「仕事をお願いすること自体が組織の負担になっている」という社内の認識になりがちで、その後の業務切り出しの広がりが乏しくなるためです。

障害者であっても、障害への適切な配慮を行い、適性に合った業務にアサインすることが出来れば、責任ある業務を十分に提供することができます。はじめのうちは「任せて大丈夫かな」と不安を感じるかもしれませんが、多くの企業で成功事例があります。うまくいっている企業もはじめのうちは不安でしたが、最初の心理的ハードルを乗り越えた結果、周囲が自然と「やってくれてありがとう」とお礼を言う雇用モデルを創出するに至っているのです。

特徴2.求人する際に「業務に必要なスキルセット」が明確になっている

次に挙げられる特徴は、採用活動に関する内容です。「貢献度の高い業務」を切り出している企業は、その業務で成果を出すためにはどのようなスキルセットが必要なのかを明確に定義し、それに見合った人材を採用しています。その結果、当然のように事業に貢献することで周囲からの信頼が生まれ、自然と「じゃあ是非これもお願いします」というかたちで、新たな業務の依頼があります。これが障害者雇用がうまく回っている企業に見られる、「貢献度の高い業務の切り出しによる好循環」です。

図1.貢献度の高い業務の切り出しから始まる障害者雇用の好循環

業務に必要なスキルセットを持っているかどうかを判断するためには「実習」を行うことをお勧めします。実際に業務を数日間行うことで、業務遂行能力と、職場との相性を見極めることができます。反対に、うまくいかないケースでは、採用基準があいまいで、「面接で健常者と同じようなコミュニケーションが取れたから」など、面接官の主観で採否を判断し、結果採用後に業務内容とのミスマッチが生まれてしまうことがあります。障害者雇用のスキームが確立していない企業によく見られますので、最近障害者雇用をはじめた企業様は特に十分に注意をしてください。

参考記事:はじめて職場実習を受け入れる企業様からよくあるご質問

自社に合った先行事例が見つかる!「業務切り出し事例集」

それでは、「貢献度の高い仕事」を切り出すためにはどうすればよいのでしょうか? 特に、これからはじめて業務の切り出しに取り組む担当者様には、参考にできるような「先行事例」のリストがあると便利かと思います。

以下リンク先の資料は、精神・発達障害のある方を積極的に採用するために創出された雇用ポストの先行事例をまとめたものです。約100件の雇用ポストを、15の業種・職種に分類し、リスト化しています。ぜひ自社にあった業務を切り出す際の”リファレンス”としてご活用ください

【無料ダウンロード】自社に合った先行事例が見つかる!「業務切り出し事例集」(精神・発達障害編)

貢献度の高い仕事を切り出すための「考え方」

最後に、これまで先行事例で見られた、業務切り出しの手法について紹介します。

考え方の切り口 解説 具体事例
忙しい社員の残業圧縮に貢献する 残業の多い部署、社員をピックアップし、どの業務に時間がかかっているかを聞き取ったり、タイムトラッキングを行い。そこからピックアップされた業務リストのうち、「特別なスキルが求められない業務」を中心に業務を切り出す。 営業社員の交通費、経費の精算業務の集約化/従業員から保育所等に提出する、勤務証明書の手続き受付、発行業務など
アウトソーシングの内製化 アウトソーシングしている業務や、派遣社員が行っている業務内容を確認し、障害者雇用に置き換えることで、経費を削減する 社内施設の営繕業務/営業資料の印刷・製本/SNSなどの各種マーケティング調査
専門性の高い業務を集約する 業務の発生頻度は低いが、専門性の高い業務を集約し、高度なスキルを有する障害のある社員に任せる 知財や特許関連の調査や申請業務/データ分析/各種文書の翻訳業務など
やりたいけど忙しくて手が回らない仕事 各部門の管理職に、「あったら良いけど、忙しくて手が回らずやれていない仕事はないか?」をヒアリング調査し、ニーズがある業務を提供する 営業向け、業界に関する最新情報のレポート作成/顧客情報データベースのメンテナンス

「この業務はこの人じゃないと難しい」と思い込みがちですが、掘り下げてヒアリングすると、意外に多くの業務の切り出しが可能なものです。障害者雇用の業務切り出しは、組織の業務内容を棚卸しして、属人的になりがちなチームの状況を改善するよい機会でもあります。ぜひ、「思い込み」をリセットして、「貢献度の高い障害者雇用」に向けた業務の切り出しにチャレンジしていただけますと幸いです。

参考リンク

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監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。
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