障害のある社員のうつ病休職を防ぐために上司が気を付けるべきこと発達障害診療医師・産業医 宮尾ドクター監修「障害者雇用 Q&A」 2022年2月号

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Q&A「障害のある社員のうつ病休職を防ぐために、上司が気を付けるべきことはありますか?」

厚生労働省の「令和2年労働安全衛生調査」にて、2019年11月1日から2020年10月31日までの1年間でメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は9.2%と公表されました。これは2013年の同様調査の結果の10%とほぼ横ばいの結果。ストレスチェックの義務化などの法整備も進んでいますが、まだまだうつ病などのメンタル不調による休職の問題は多くの企業の継続課題となっているようです。

本記事では、精神・発達障害の方の雇用サポートや定着支援を行っているKaienの立場から、直属の上司の方におすすめしたい「うつ病休職を防ぐために上司が気を付けるべきこと」をお伝えします。

前提として「気分の波は一定程度誰にでもあるもの」と割り切って考えること

まず前提として、上司のみなさまに理解いただきたいことは、誰にでも気分の波はある、ということです。年単位での就労を考えた時「好調」のときもあれば「不調」のときもある。これは障害者雇用に限ったことではなく、だれにでも当てはまることなのではないでしょうか。

障害のある方について上司が留意しなければならないことは、不調そのものを防ぐことではありません。結論から先にお伝えすると、周囲が不調を早期に発見して、その後のリカバリをサポートするということです。

精神・発達障害の方がメンタル不調によって休職や退職に至ってしまう理由は人によって様々ですが、比較的多くの人に当てはまる要因に、①セルフモニタリングの苦手さと、➁自主的に環境調整の申し出ることの苦手さ、の2点が挙げられます。

精神・発達障害の方によく見られる「セルフモニタリングの苦手さ」と「自主的に環境調整の申し出ることの苦手さ」とは

厚生労働省の「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」では、職場のメンタルヘルスケアを進めるうえで重要な事項の一つに「セルフケア」が挙げられています。つまり、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減することが求められています。

しかし、精神・発達障害の方の多くが、障害特性により自分にかかっているストレスの程度を客観視することが苦手であったり、身体的な不調に対しての鈍麻がある場合があり、小さな不調のサインを自分では気付きづらい(= メンタル状態や健康状態に対するセルフモニタリングの苦手さ)という特徴があります。

また、仮に不調を自覚したとしても、「自主的に不調を周囲に伝えて環境を調整すること」はコミュニケーションへの苦手意識を感じている方が多い精神・発達障害の方々にとって容易ではありません。不安の強さや認知のズレにより、周囲に相談することができず、ストレス負荷がどんどん大きくなり、最終的には起き上がることさえ困難になり休職に至るケースが多くあります。

精神・発達障害の方が、メンタル不調による休職や退職に至らず、長期に安定してご活躍いただくためには、このような障害特性を考慮したうえで「メンタル不調の早期発見・早期リカバリ」を周囲がサポートしていく体制を整えていくことが有効な施策となるでしょう。

メンタル不調の早期発見・早期リカバリを実践するためのポイント

メンタル不調の早期発見に向けて、多くの企業でメンタル不調を防ぐためにストレスチェックなどの仕組みを導入されていることかと存じます。そのようなシステム導入も有効ですが、シンプルながら最も効果的な手立ては「周囲が気にかけて注意深く見る」ことだと考えています。

「なんだそんなことか」と感じるかもしれませんが、忙しい職場で実践し続けることは簡単ではありません。管理職の皆様は忙しいとは思います。しかし忙しいからこそ、まずは1日に10分間だけでも「不調となっているメンバーはいないかな?」と意識して、職場全体を見渡して見たり、少し気になったメンバーに軽く声をかけてみる、というような習慣を作っていただくだけでも、大きく効果が現れるものと考えています。

上司にぜひ気付いてほしい「いつもと違う」部下の様子 チェックリスト

最後に、不調のサインとなる「いつもと違う」部下の様子について記載します。以下の項目に該当するケースがあれば、面談を実施して様子を聞くきっかけとしてください。

勤怠の乱れ遅刻・早退・欠勤が増える。休みの連絡がない。
業務効率が悪くなっているように見える残業・休日出勤が増えている。仕事を持ち帰っている。仕事の能率が悪い、思考力・判断力が低下している
報告相談がいつもと違う業務の結果が出てこない。報告や会話が増える(あるいはその逆)
様子がおかしい表情に活気がない(あるいはその逆)、不自然な言動が目立つ、ぼーっとすることが増える、会議に集中できていないように見える。
見た目の変化服装が乱れる、清潔感がなくなる、普段は化粧している方がしなくなる

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監修 : 宮尾 益知 (医学博士)

東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。