発達障害の疑いがある部下を上手にマネジメントする方法発達障害診療医師・産業医 宮尾ドクター監修「障害者雇用 Q&A」 2022年5月号

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Q&A「発達障害の疑いがある部下を上手にマネジメントする方法」

職場でのちょっとした会話の中で「ズレ」を感じたり、業務上の指示に対して納品された成果物が期待していたものとは違ったものが提出されてくることがある。一度や二度であれば「たまたま」ですが、それが何度も続けば話は別です。マネージャー層の方のなかには、一般雇用で働く部下について「あれ?もしかして発達障害の傾向があるのかもしれないな?」と考えた経験がある方が、一定の割合でいらっしゃるものと思います。

安易にレッテルを張ることは禁物です。しかし一方で、文科省の統計によると発達障害の可能性のある人の割合は、全人口の6.5%だと言われています。一般雇用で働いている人のなかに、「グレーゾーン」を含む発達障害の傾向を持った方がいることは、統計的に考えても、まったく珍しいことではありません。

診断や自己理解を強いるより先に、上司にはやれることがある

部下に対して発達障害の疑いを感じた時、多くの上司が受診を促すことや、障害特性への自己理解をしてもらうことを期待するようです。たしかに障害特性の状況や、ご本人の状態によって、医療サポートが必要なケースは多々あります。たとえば、「不注意」や「ケアレスミス」が目立つようなケースでは、医師の診断に基づく服薬治療によって改善がみられる場合があります。また、ご本人にメンタル不調が見られるようなケースでは受診を勧めたほうがよい場合もあるでしょう。

しかし、全てのケースにおいて、検査や診断を推奨することが得策だとは限りません。発達障害に該当するかどうかは、明確なしきい値はなく、グレーゾーンにあたる方を含めるとその範囲はとても広いものです。前述のように医療サポートを受けたり、福祉などの公的サービスを受ける際には医師の診断が必要ですが、それ以外の場合で職場において、発達障害か否かをラベリングすること自体にほとんど意味はないでしょう。

発達障害の傾向があっても、環境に恵まれていれば、特に医療のお世話になることもなく、職業人生を充実しておくることができている例を多数見ています。能力の凸凹やコミュニケーション上のクセを「個性」や「多様性」の文脈で捉えて尊重し、活躍する環境を整えることが、マネージャーとしての腕の見せ所なのかもしれません。

部下が「発達障害かもしれない」と感じた時、ぜひ上司の皆様に知っておいていただきたい、マネジメントのコツをお伝えします。

1.「業務指示の方法」を調整してみる

発達障害の傾向がある社員が、業務上で躓く原因として多いものの一つに「指示理解のズレ」が挙げられます。会話はキャッチボールとよく言いますが、指示の伝え方を少し工夫することで、理解のズレを減らすことができるかもしれません。

障害特性は人によって異なりますが、たとえば「口頭での指示を受け取ることは苦手だが、チャットツールであれば問題ない」、あるいは「業務の全体像を説明してから、細部のオペレーションを伝えてもらえると理解しやすい」など、人によって、指示理解にズレが発生しづらいコミュニケーションのスタイルがあります。ご本人とも対話をしながら、お互いに心地よいコミュニケーション方法を柔軟に整えることを試みていただければと思います。

指示から作業に落とし込むまでのプロセスの「行間」に苦手な部分が見られる場合が多い
参考ページ

2.「業務内容」を調整してみる

端的に言えば、発達障害とは「能力に凸凹があること」です。換言すれば、「何でも卒なくこなせるタイプの方」とは対極にある人たちといえるかもしれません。

業務パフォーマンスが不調であったり、ミスを繰り返すようであれば、まずは業務の適性が合っているかどうか?を疑ってください。もし不向きな業務なのであれば、ご本人としても、上司としても、努力が実りづらいものと思います。そんな時は大胆に担当業務の調整をご検討ください。

ご本人の適性がわからない場合はどうすればよいか? まずは幅広くやらせてみるとよいでしょう。意外な才能が発見できるかもしれません。

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参考ページ

3.「接し方のスタイル」を調整してみる

上司とのコミュニケーションや人間関係がうまくいっているかどうかは、ご本人にとって職場環境が良し悪しや、業務パフォーマンスに大きくかかわる、重要なファクターです。もし上司の方が、発達障害の可能性を感じている部下との人間関係があまりうまくいっていない、と感じる場合は、ご本人との「接し方」を意図的に変えてみるとよいかもしれません。

以下にある図の5つのマネジメントの類型を見て、ご自身のスタイルに近いと感じるものはありますか?マネジメントのスタイルは上司本人の「個性」が色濃く反映されるものです。一概に良し悪しで測れるものではありませんが、少し立ち止まって省みてほしいのは、「自分が心地よいマネジメントのスタイルを部下に押し付けていないか?」ということです。

職場でありがちなマネジメントの類型。相性の不一致の場合は業務不調に陥りやすい

優秀なマネージャーは、部下のタイプによって接し方の柔軟性があります。コミュニケーションの不調和を感じた時には、自分のやり方や慣習を押し付けるのではなく、相手に寄り添って「接し方のスタイル」を意図的に変えてみてください。

(参考)発達障害の傾向がある部下にフィードバックをする際の「6つの心得」
  • こまめに、出来る限り「その場・その時」にフィードバックする(後出しすると納得感を持ちづらい)
  • 褒めるときは感情的に、指摘するときは事実のみを感情を入れずに端的に伝える
  • 本人の話を最後までしっかり聞いてから、フィードバック内容を伝える
  • できていることは「できている」としっかり伝える(そうしないと「全否定されている」と誤解してしまいがち)
  • 多少は失敗してもOKと伝える(全くミスが許されないと感じてしまう人が多い)
  • 弱点を指摘するだけではなく、改善策を伝える(本人に考えさせるアプローチは多くの場合は逆効果)
参考ページ

本人の努力不足と決めつけないで

発達障害の方が職場で最も心を痛めるのは、「努力不足と決めつけられること」です。しかしそれは誤解であることが多く、大抵の場合は、「努力が不足している」のではなく、「人一倍努力しているけど、努力が成果につながらない」のです。

発達障害は先天的な脳機能の個体差であり、なかなか本人の努力だけでは改善に至らない場合が多くあります。マネージャーの皆様には、もし不向きな仕事や、本人が能力を発揮しづらい環境があるようであれば、ぜひ上司の皆様に環境を整えていただきたい次第です。

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監修 : 宮尾 益知 (医学博士)

東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。