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HOME宮尾医師 寄稿記事【保育士・教育従事者向け】「発達障害の子どもを理解して、保育・教育に活かす」(3)

13、子どもの特性のチェックポイント

発達障害の子は、うまくいかないことに対して叱られるなどの経験を積みやすく、自分に自信を持ちにくい傾向にあります。しかし上手に育ててよいところを引き出せば、世の中の大きな財産となるような可能性を秘めています。
自信を持って、自分なりのライフスタイルを確立できるようにしてあげたいものですね。

子どもは誰でも3歳までは自分勝手なふるまいをするものですが、それは人の気持ちを理解する力や自己コントロール能力が育っていないのが理由です。
この場合は大人がルールを作ってあげ、その通りに促せばよいのです。しかし4~5歳になると、発達障害の子どもも含めて、ある程度は相手の気持ちを理解したり、自己コントロールができるようになりますので、それを積極的に教えてあげましょう。

 

14、こんな場合はどうしたら良いの?11シーン

①さわられることを嫌う

触覚刺激が鋭いために、触られるとカッとなって乱暴なふるまいをする子がいます。
この場合はやさしくだきしめたり、豚毛の洋服ブラシなどやわらかいブラシで手や足をこすって、神経をなだめてあげましょう。軽い圧迫感を与えると落ち着きやすいため、手首にサポーターをつけてもいいですね。

②落ち着きがない

騒音など刺激が多い環境から遠ざけたり、高ぶった神経を鎮めるためにぎゅっとだきしめてあげます。手や足をやさしくもんであげたり、やわらかいブラシでこすってあげるなどをくりかえすと、過敏性がおさまることもあります。

③刺激に対して鈍感

この場合、自ら刺激を求めてあちこち動く多動になる子もいます。
朝から少し汗をかくような運動をさせるといいでしょう。散歩、ジャンプ、でんぐり返し、体操などもおすすめです。運動が苦手な子はできなくても注意せずほめて、続けることが大切です。

④指示を理解しにくい

ADHDの子どもは情報が少ないほうが理解しやすくなります
「何時に出発だよ」「~して」などとシンプルに伝えましょう。「これ」「あそこ」などの表現は避け、物の名前や場所、回数を具体的に示すといいですね。
またADHDの子どもには行動前に声をかけるのが効果的ASDの子どもには行動しているときに声をかけると効果的です。

⑤体の動きを真似しにくい

ASDの子どもは、向かい合った人の体の動きを真似するのが苦手です。
このため体操やダンスなどを教える際は、まず二人羽織の状態で教えます。その後は保育士さんが横に立って、前に鏡を置き、見ながら教えると理解しやすくなります。

相手の表情や状況を読み取りにくい

他の子どもと積極的に遊ばせて、友達づきあいのスキルを学んでもらいましょう。遊んでいるグループに連れて行って「『入れて』って言おうね」と促すと、その子は自分で言えるようになるでしょう。
怒りや喜びなどの感情を3段階で表し色づけした「気持ちシート」を使うと効果的です。また関わりの中で、保育士さんや友達が「私はうれしいよ」「いっぱいいやなの!」など自分の気持ちを口で説明してあげることも大切です。

⑦待つのが苦手

「こうすればもっとよいことがある」という動機があるとがんばれるので、待てたらごほうびをあたえるなどしてほめましょう。行動の後にうれしいことがあるとその行動は増え、うれしくないことがあると行動が減っていきます。

⑧言葉を理解しにくい

トイレやエプロンなど、よく使う物や、喜怒哀楽の表情などの絵を描いたカードを用意しておくと、やりとりがしやすくなるでしょう。

⑨突然叫ぶ、暴れる

ASDの子はささいな出来事でもトラウマになりやすい傾向があり、その出来事が頭の中にふと浮かんでパニックになることがあります。
慌てずに見守って、抱きしめてあげましょう

⑩ルールが理解できない

ASDの子は予習をさせてから物事を進めるとスムーズにいくことが多くなります。たとえばイス取りゲームなどは、最初はルールを理解することができませんが、目でみて理解させたり、1回体験することで、ほとんどのことができるようになります。

⑪自分の世界に入りがち

アニメの世界などに入り込んでいるなら、まずはその世界の中に保育士さんが入り、その中でちょっとずつ外の世界に出て行く道をつくります
最初はその子に合わせてセリフなどを言いますが、だんだんとその通りにはせず「ケーキじゃなくて給食を食べようか」など現実の世界のことを取り入れていきます。すると子どもはだんだんと現実を受け入れるようになるでしょう。
ひとりごとを繰り返すなら、保育士さんが隣で同じ言葉を隣で言うと、子どもは自分の世界に入り込まれたことがいやになり、その世界から距離を置くようになります。

 

15、「もしかして発達障害かも」子どもの保護者に気づいてもらうには?

子どもの発達障害の特性に気づいたら、遅くとも4~5歳までに専門の医療期間で受診させるのがベストです。
診療で問題がなければ安心できますし、問題があっても入学前に集団生活への適応や学習に必要な基礎的能力について、心理カウンセリングやさまざまな療法で、ある程度の対応が可能となります。

しかし、保育士さんや幼稚園の先生が「もしかして発達障害かもしれない」と思うお子さんについて、保護者がそれに気づいていない場合、どのように伝えようか悩んでしまいますね。
この場合、憶測で「発達障害では…?」などと伝えると、保護者が傷ついたり、トラブルになってしまう可能性もあります。また受診するかどうかを決めるのは、あくまで保護者だということも忘れないでください。
その上で、保育士さんや幼稚園の先生が気になっていることと、それに対して園ではどのように対処しているか、保護者に事実を伝えるのがいいと思います。

<たとえば…>
「□□くんは、言葉で話してもわかりにくいようなので、絵のついたカードを見せて説明しています。そうするとよくわかるみたいですね」

といった具合です。逆に、その子とのコミュニケーションについて、保育士さんや幼稚園の先生が保護者に相談してみるのもいいですね。

<たとえば…>
「□□さんは、物音に敏感でパニックになることがありますね。ご家庭ではどのように工夫していらっしゃいますか?」

というふうにです。

いずれにせよ、保育士さんや幼稚園の先生は、「もっとその子が生活しやすいように保護者と連携していきたい」という姿勢をとることが大切です。
そのうちに保護者も子どもの様子が気になりだし、インターネットで検索するなどして受診に行く、というケースも多いのです。

 

16、家庭で取り組んでいる治療法を、園でも取り入れるべき?

保護者から受診、診断の話を聞いたら、家庭や治療でどのようなことを意識しているのかをヒアリングし、保育園で実践可能なことはしてあげるといいでしょう。

家庭での治療とまったく同じことを園でやる必要はありません。
保育園や幼稚園は「構造化」といって、何かをする場所や時刻、時間の長さ、順番などが、家庭と比べてきちんと決まっています。発達障害のお子さんは、構造化された園で生活することで、自然と症状が軽くなるケースも少なくないのです。

お友達と一緒に遊ばせるなら、その子をみんなのところに連れて行って「『入れて』って言おうね」などとルールを教えてあげます。発達障害の子どもは予習すると理解しやすいケースが多いのです。

子どもはつねに発達を続ける存在で、発達障害の子もそれは同様です。幼い子には発達を促す働きかけが必要ですが、そうした対応で発達障害の特性が完全になくなるわけではありません。
小さな目標を達成することを積み重ねるうちに、社会に適応する力がついていきます。保育士さんや幼稚園の先生はぜひ、その一端を担ってあげてください。

また子どもがある程度の年齢になったら、特性をほかの能力でカバーする方法も考えてあげるといいでしょう。
保育士さんや幼稚園の先生は、発達障害の知識がほとんどないまま保育の最前線に立つことになり、対処に悩むことも多いかもしれません。発達障害についてよりくわしく調べたいなら、経験者を訪ねたり、支援団体に相談する方法もあります。

 

17、発達障害に関して相談できる施設

 療育センター:治療教育(療育)を行う。医師がいる場合が多い。

 保健センターや保健所:心身の健康全般に対応。医師や保健師がいて発達障害の相談も受け付ける。

 児童相談所:子どもの悩み全般を受け付ける。

 市町村の担当窓口 :発達障害専門の窓口はない場合も多いが、子育て、福祉、地域医療などの窓口をたずねるとよい。

※発達障害関連の情報の集まり方は地域で異なり、ケースごとに適している機関は一概にはいえません。まずは各市町村の担当窓口に問い合わせてみてください。

監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。
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