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HOME宮尾医師 寄稿記事【保育士・教育従事者向け】「発達障害の子どもを理解して、保育・教育に活かす」(2)

7、世の中の財産となるような才能を持つ子どももいる

私から見れば、発達障害の子どもたちはとても愛らしく、根が正直で真面目あることがほとんどです。また発達障害の子どもの中にはIQが非常に高く、幼稚園生なのに英語の論文が読めるとか、原子の話ができるような子もおり、彼らは「ギフテッド(与えられた才能、資質を持つという意味)」とも呼ばれています。人より秀でた才能があるため、本来はエリートコースを歩むこともできるはずが、発達障害による社会性の乏しさなどのせいで、いじめにあったり孤立感を得ることが多く、ひきこもりになってしまうケースも少なくありません。
発達障害の子どもは、上手に育ててよいところを引き出せば、世の中の大きな財産となるような可能性を秘めています。家庭と連携しながら、保育士さんや幼稚園の先生方も、ぜひ子どもの特性を理解して、温かい心で育ててあげるとよいと思います。

8、どうして発達障害になるの?

発達障害の子どもは最近増えてきたように思われることが多いのですが、そうではありません。昔は「育て方が悪い」とか「変わっている子」などと見過ごされることが多かったのです。また現代はクラスで騒いだり、乱暴な行動をする子に対して、世間の目が厳しくなったことも関係があるかもしれません。

【原因は、しつけや性格のせいではない】

現在、発達障害はしつけや性格のせいではなく脳の認知機能に問題があるために起こることがわかっています。

【通常、脳はさまざまな働きを持つ】

部位どうしが綿密なネットワークでつながりあっていますが、発達障害はこのネットワークがうまく機能していない状態です。これには遺伝が大きく影響しています。
しつけは発達障害の原因にはなりませんが、障害があることをふまえた育て方をする必要はあります。ただし虐待を受けた子が激しいストレスで脳の発達が遅れ、発達障害の症状が出るようなケースもあります。
また発達障害は性格が原因ともいえません。性格の範囲内なら特別な対応は必要ありませんが、特別な配慮が必要な状態なので障害と診断されているわけです。

9、発達障害にはどんなものがある?

ASD(自閉症スペクトラム障害)

自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群なども含まれます。子どもによって、コミュニケーション能力や社会性が乏しかったり、興味や活動が限定されるなどの特徴が現れます。集団のやりとりの中では「空気を読めない」とされる態度が多くある一方で、興味のあることはとことん追求し、大人顔負けの知識を蓄積している子どももいます。

ADHD(注意欠如/多動性障害)

人によって不注意が目立つタイプ、多動性が目立つタイプに分かれますが、いずれも落ち着きのなさが特徴です。ADHDの子どもは他の障害を併せ持つ場合が多く、学習障害を持っている子どもが6割、不安障害、気分障害を持っている子どもが2〜7割います。学校の授業や勉強には集中できないことも多いのですが、自分が興味を持ったことには驚くほど集中することができます。

SLD(限定性学習障害)

一般にLD(学習障害)とも呼ばれます。全般的な知的発達や身体的な遅れはないのですが、読む、書く、計算するという学習に必要な能力のいずれかが低く、学習に支障が現れるため「勉強が苦手」な子にみえます。大人になると目立ちにくくなります。ちなみに歌が下手な「音痴」などは学習障害には含まれません。

10、ASD(自閉症スペクトラム障害)の子どもの特性とは?

ASDのうち知的な能力が正常範囲以上で、言語発達の遅れもない場合をアスペルガーと呼び、言語発達に遅れがある場合を自閉症と呼びます。
特徴は3つあり、1つめは「コミュニケーション力の障害」。言葉の遅れがある早口の絶え間ないおしゃべり空気が読めない、など。
2つめの特徴は、「想像力の障害」。相手の立場になって考えられない変化を嫌う人の視線がわからない、など。
3つめの特徴は「社会性の障害」で、これは上記の障害が原因となり、他人と関係を作ることが困難となるものです。その他感覚過敏(五感が人一倍敏感か、鈍感)などがあります。

11、ADHD(注意欠如/多動性障害)の子どもの特性とは?

ADHDの場合、3歳までの乳幼児期は、近所の公園などでよその子どもを無視して一人で走り回るとか、危険を予測できずケガをする他の子どもにケガをさせてしまう、などの特性がみられます。
この場合、保健センターや保健所で行われる1歳6ヶ月検診や3歳児健診で、二次健診を勧められたり、医療機関を紹介されたりすることもあります。
すると保護者の中には「うちの子には障害があるんだ」と思い込み、医療機関や療育施設に行くことをためらい、とりあえず様子を見ようとする人もいます。
しかし早い時期に発達障害の有無をきちんと確認しておくことが大切です。

4~5歳になると、落ち着きがないいつも動き回っている順番を守れないよその子に暴力を振るうパニックを起こすなどの特性が現れます。
このことについて、他の親などから指摘をされることもあるでしょう。
また保育園や幼稚園によって「勉強中心型」「放任型」など方針はさまざまですが、園の方針に合わないために、発達障害のような問題行動が出ているケースもあります。
親が子どもに対して過度に大人びた行動を求める反応として、問題行動が出る場合もあります。

なお子どもが発達障害の症状が出ているのに、その子の親が子どもの頃に同様の傾向があった場合は、問題を先送りにする傾向があるので注意が必要です。

12、SLD(限定性学習障害)の子どもの特性とは?

SLDの子どもは、文字を読む、書くといった能力が低いのが特徴です。
4~5歳であれば、言葉で指示されたことが理解しにくい、話すときにつまる、本を読んでもらいたがらない、本を見ない、などの特性が現れます。
またたとえば一般的な発達の子どもの場合は「みかん」という文字を見せると、みかんという音が頭に浮かび、みかんの絵が浮かびます。
一方、SLDの子どもの場合は、「みかん」という文字をみても、みかんという発音が浮かびにくい傾向にあります。

LDと診断されても、建築家や写真家など視覚を利用する職業で活躍できる人はたくさんいます。料理人や俳優にもLDの人がいます。

できないことに目を向けるのではなく、得意な分野に目を向けて、脳の傾向に合わせて成長をサポートしてあげましょう。

監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。
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