【保育士・教育従事者向け】「発達障害の子どもを理解して、保育・教育に活かす」(1)

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1、まずは子どもの特性を理解してあげること

保育士さんや幼稚園の先生が発達障害の子どもとの接し方のコツを知る前に、まずは子どもの特性を理解してあげることが必要です。一般に、以下のようなことを見極めていくと、その子とどのように接するとうまくいくのかがわかるようになります。

◉ 絵や写真などビジュアルのほうが理解できるか、言葉のほうが理解しやすいか

◉ 順序立てて考えるタイプか、全体をまず把握するタイプか

◉ 記憶力がいいか、悪いか

◉ 行動や動作が速いか、遅いか

2、してほしくないことをやめさせるには?

友達を叩く、壁にいたずら描きをするなど、してほしくないことをやめさせたい時は、むやみに禁じるのではなく、以下のような方法を試してみましょう。

  • それをしないことがどれだけ得かを教えること。
    たとえば、友達の顔を叩くなら「友達の顔には、ほほ骨っていうとがった骨があるから、叩くと君の手が痛くなるよ。叩くなら肩を叩いてあいさつしようか」と促してあげます。
    するとその子は、自分が痛い思いをしたくないので、友達の顔を叩くことをやめるでしょう。
  • やってもいい場所や時間を決めること。
    たとえば、いたずら描きをするなら、描いてもいい壁を決めて紙を貼っておき、思う存分に描かせる、などしましょう。または、時間を決めてその時だけ描かせるルールにすると、描いてはいけない場所や時間にはいたずら描きをやめるでしょう。

3、否定するのではなく、失敗経験を減らす工夫を

  • 何か失敗した時に、叱られたり、否定されたりするだけで終わると、想像力の乏しい子どもは、どうしたらよいかわからなくなってしまいます。
    本人の行動や言動を頭ごなしに否定するのではなく、話をよく聞くことも大切です。そうして「そうだね」と受け入れた上で、「だけどこうしたほうが、あなたにとっては得だったよね」などと、どうすれば自分にとってよい結果になったのかを教えてあげるといいのです。
  • あらかじめ子どもの失敗経験を減らす工夫も大切です。
    たとえば入ってはいけない部屋がある場合は「この部屋に入ってはいけないよ」と言うだけだと、その子はどうしたらいいかわからずパニックになってしまいます。
    「この部屋には入れないから、お昼寝の後は隣の部屋に行こうね」と促してあげると、その子はその通りにするでしょう。
    良い行動ができた時には十分にほめたり、だきしめるなどしてごほうびをあたえることも大切です。

4、環境調整

子どもが落ち着いて過ごせるよう、園での環境や生活スタイルをととのえることも大切です。

  • まず1日の行動に合わせた動線を作ってあげること。
    たとえば外遊びから帰って手を洗った後、手を拭くタオルをそばにかけておく。その先に給食を食べるテーブルを置き、食べた後は子どもがお皿を下げるためのトレイを用意しておく。その先に着替える服の置き場所を作り、着替えた後は昼寝に入れるよう、ふとんを敷いておく、など。
    子どもが戸惑わないよう、家具の配置や道具の置き場所は固定することも大切です。
  • また、物が置いてある場所に理由をつくることも有効です。
    たとえば服のしまい方は、大人の都合だと引き出しの形などに合わせますが、子どもにわかりやすくするためには、上から帽子、シャツ、ズボン、靴下と、体のパーツの順番に合わせて入れておくといいでしょう。かごなどに入れる場合は奥から手前にかけて、帽子、シャツ、ズボン、靴下と入れてもよいと思います。

なお家庭と比べて、そもそも園は行動する場所や時間、順番などルールとして決められていることが多いのですが、こうしたルーチンな生活を送ることで、発達障害の症状が軽くなることもあります

5、子どもへの対応:こんなとき

  • わかりやすくものごとを説明するには?
    • 説明する場合は、まず子どもがこちらにちゃんと注目しているかどうかを確認しましょう。
      教えるときは、できるだけ具体的に、必要に応じて図などを使うとわかりやすくなります。
    • また発達障害の子どもは、人の気持ちを声のトーンで判断しますから、できるだけ平坦な話し方をしたほうがいいでしょう。語尾のトーンが上がる話し方や、かん高い声だと叱られていると感じてしまうこともあります。
  • 時間の感覚を教えるために
    • 時間の感覚がつかみにくい子どもには、作業の行程を15分単位にすることをおすすめします。
      工作、体操などはすべて15分で区切り、子どもが時間の感覚をつかんだら、もっと時間をかけることは30分、45分と15分単位で長くしていくと、集中して取り組みやすくなります。
  • いやがることも、ある程度トライを
    • 子どもがやりたがらないこと、苦手なことをすべて排除してしまうと、可能性を狭めてしまうことになります。時にはトライさせてみましょう。すると、気分の変化に応じてできたりするものです。
      できた時には思い切りほめてあげましょう

6、発達障害とは、脳が果たす機能になんらかの偏りがあること

  • 発達障害とは、見たり聞いたりしたことを理解する、記憶する、ものごとを最後までやりとげる、などの脳が果たす機能に偏りがあることをいいます。
    このため発達障害の子どもは人間関係でトラブルを起こしやすかったり、学習面の遅れが目立つなど、社会生活がスムーズにいきにくいのが特徴です。
  • 文部科学省による2012年の調査では、全国の公立小中学校の通常学級に在籍する生徒のうち、発達障害の可能性のある子どもは5%いることがわかっています。30人のクラスなら2人が該当することになりますね。
    幼児でも、4~5歳になると人の気持ちを理解したり、自己コントロールができるようになる中で、発達障害のお子さんはそれらのことができず、行動や態度の差が目立ってきます。保育士さんとしても、受け持っているクラスで気になっているお子さんがいるかもしれません。
    発達障害は法律でも認められており、2005年に発達障害とは何かを明らかにし、その特性に応じた教育をおこなうための「発達障害者支援法」ができました。発達障害の人への就労支援や生活支援も行われています。

監修:宮尾益知(医学博士)
監修 : 宮尾 益知 (医学博士)

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