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HOME宮尾医師 寄稿記事夫か妻のどちらかに、発達障害の疑いがあるときは(後編)

夫か妻のどちらかに、発達障害の疑いがあるときは(後編)

アスペルガー症候群カサンドラ症候群パートナー家族家族療法

夫か妻のどちらかに、発達障害の疑いがあるときは(前編)はこちらから

カサンドラ症候群とは

アスペルガー症候群(AS)の夫または妻(あるいはパートナー)と情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる身体的・精神的症状を表す言葉である。アスペルガー症候群の伴侶を持った配偶者は、コミュニケーションがうまくいかず、わかってもらえないことから自信を失ってしまう。また、世間的には問題なく見えるアスペルガーの伴侶への不満を口にしても、人々から信じてもらえない。症状としては偏頭痛、体重の増加または減少、自己評価の低下、パニック障害、抑うつ、無気力などがある。(参考文献『アスペルガーと愛』: ASのパートナーと幸せに生きていくために。夫がアスペルガー症候群 )

父へのカウンセリングへ

こうして、発達障害(多くはアスペルガー症候群)の子供達の治療を行いながら改善が思うように得られなかった場合、母からカサンドラであることを語られると瀧口先生による治療が行われていきました。父へのカウンセリングは、うつになりそうになった以前の経験から、行うことなく時が過ぎていきました。

昨年頃からでしょうか、知り合いからの紹介で、妻から治療をするようにいわれたという「アスペルガー?」の人たちが治療に訪れるようになりました。子どもも母も知らない、社会的な地位がある人たちでした。彼らから語られる家庭内の状況と、本人から見ている家庭内の状況だけが頼りでした。彼らから聞く家庭内の状況と、母からいわれたという言葉から推測する対応は、彼らの考えと何ら変わることはありませんでした。簡単なアドバイスでカウンセリングは終わってしまいました。

自分のことしか考えない父親たち

続いて私が見ている子どもの母親から夫についての相談がありました。カウンセリングを始めることになりましたが、カウンセリングの現場には、父母と子どもが同席して行うことが始まりました。私にとって初めての経験でしたが、家庭内の状況が多面的な見方で理解できるようになりました。はじめて聞いたときには、あまりにひどい言い方に少々驚きましたが、父が少しずつ変わって行きました。自分のことしか考えなかった父が、すぐ怒っていた父が、子どものことも考えるようになり、妻のこともすこし気にするようになってきました。そのうち、父から会社での幹部昇進試験に5回落ちていていることの相談がありました。各昇進試験の判定内容を見せてもらいました。実務的能力は優れているが、指導力、創造性、危機に対応する能力の問題が語られていました。アスペルガー症候群の人にとっての問題点そのものでした。ご本人はレポートを読まれても、書かれている意味が全く分からなかったそうです。それからしばらくは、レポートの内容の解説と対応が診察の時に続きました。

父への投薬治療と、診察

カウンセリングに加えて、服薬の必要性を感じ、進めることとしました。服薬が始まり家庭内の状況はより良くなっていき、幹部昇進試験には無事合格することができました。専門家としての幹部という位置づけでしたが、このご一家は母を除いた家族全員が少しずつ譲り合い、理解し合い変わって行っています。
他にも数組ですが同様に、母と子どもを診察しながら父へのアドバイスを同じ土俵で続けている家族があります。父が変わると言って、家族がいるところでスマホと向かい合い、子どもの声がうるさいと怒鳴っていた父、自分の思いが最優先だった父達が、自分で変わると言って変わって行きました。

 

父に「伝わる」言葉で伝える必要性

ただ、父達から語られる母の言葉
「私のことはちっとも分かってくれない」
「言わなくても分かって欲しい」
「ものでなくて気持が欲しいの」
といった言葉は、男性にはとても難しい内容が含まれていると思います。
「ちっともと言われると、少しは考えているつもりだけどすべてが分からないとだめなのかな。無理だな」、「推測と言われても人の心なんて分からないし、会社で気持がはっているときなら何とかできるかもしれないけど」
「ものでなくて気持が欲しいのと言われても、どうやって現せばよいのだろう、もので頑張っているつもりだけどな」
このような思いが語られていました。
本当は女性に対して、自分の気持が向いていると気づいてもらう事が、本当は必要なのかもしれません。相手を見ること気づくことが大切かもしれません。お互いすれ違ったまま、不幸な結末を迎えることがないように願っています。

発達障害を基盤に持つ夫婦関係の今後

発達障害を基盤に持つ夫婦の危機は、どうしていけばよいのかまだまだ始まったばかりです。相手に自分が君を見ていることを気づかせてあげること、思いをお互いにかかることどのようにすればよいのでしょう。なにかのヒントになれば良いと思いながら、まだまだ長い道のりですが。

 

※Kaienでは、職業訓練や求人紹介を通じて適職を一緒に探す「就労移行支援」や、自立に向けた基礎力を養う「自立訓練(生活訓練)」、学生向けの「ガクプロ」などを通じて、発達障害やグレーゾーンの方の就労支援を行っています。特に「就労移行支援」や「自立訓練(生活訓練)」には結婚されている方も通所されていて、専門のスタッフが生活面も含めて日々の困りごとなどに対応させていただいています。

監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。
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