発達障害を女子大学生へのアドバイス
高校時代までは、生徒のスケジュールと目標は、はっきりと決まっています。つらいこともありますが、どこでどうすれば良いのかはわかりやすいでしょう。
大学時代は高校時代と違い、自主的であることが尊重され、枠はないと言ってよいかもしれません。本来は、誰も手伝ってくれません。
こういう場合はまず、「誰に相談すればよいのか」を考えることからはじめます。今までにいろいろ相談している人がいれば、その人を頼るのもよいでしょう。
学生相談室、カウンセリングルームに実際に行き、具体的に聞いてみるようにするのも良い解決策です。住むところ、食事をするところ、友達の作り方、授業の取り方など当たり前のようなことでも聞く、ということを実践してみてください。
自分の味方や友人を作ることも重要です。まず説明会で隣に座った人に話しかけてみましょう。どこに住んでいるか、通学経路、学科、趣味などを聞き、共通することがあれば、「お昼一緒に食べない?」と誘ってみる、というのが自然でしょう。自動販売機でも、コンビニでもかまわないですよ。もちろんカフェや食堂に一緒に行ければ最高です。
どんな人と友達になればよいか
聞き上手な人、共感をしてくれる人が、友達として最もよい人だと思います。よく分からないまとまりの話でも、まとめてくれて、「要するにこういうことだよね。」といいながら共感してくれれば最高です。
しかし、適切な距離を取ってつきあうことは重要なことです。我が国では、簡単に相手のプライバシーに踏み込んでしまうことがあります。例えば、友達の家庭の事情をずけずけと聞いたりしてはいけません。どんなに仲良くなっても、「ある一定の適切な距離を保つ」ということを覚えておいてください。
そのほか、高校のように、すべての時間を授業で埋めないようにしてください。学科は取り過ぎないこと、そして、適宜休む時間を作るようにしてください。趣味などの「自分の世界」を大事にすることも重要です。リラックスの仕方なども、相談できる人にきいてみるようにしましょう。疲れを感じにくい傾向にありますから、定期的にリラックスする時間を取ることが大切です。
大学生の「危機の時期」を乗り越える
大学では、どの人も5月頃に第一の危機が訪れます。何もかもうまくいかなくなってどうしたら良いか分からなくなります。おそらくまだ本当に相談する人はいませんし、どれぐらいといった適当の加減も分かりません。こうなってしまったら、思い切って休んでみるようにしましょう。
部屋に引きこもったり、思い切ってどこかに出かけたりしてリフレッシュする期間は、2週間が適切です。罪悪感なく、あたり前のようにこの時間を取ることで、その後の大変な状況を免れることができますよ。毎年春のこの頃には、プチ危機が現れますし、部活、異性などでも困ったことは起こってきます。そうした際には、この「2週間のリフレッシュ」を実行してみてください。
第二の最も重大な危機は、卒論と就活が同時に訪れる時期です。この頃にどちらもうまくいかず、中途半端なものを持っているために、うつ状態や時には統合失調様状態になったりする人もいます。このような事が考えられるときには、同時に二つのことはしないようにします。一つ一つ、片付けるようにしてください。やりたくないからと先延ばしにしてしまうと、後でもっと大変になります。焦らず、一つ一つ取り組むことが近道です。
異性とのつきあいでは、同性と違った意味での危険性があります。表面と裏面、言葉の裏の意味、非言語的なメッセージが理解できないために性的被害にあうこともあります。遅い時間、閉鎖的な場所で男性のなかに一人でいない、かならず同性の人と一緒にいることです。異性とのつきあいでは、不安なこと、嫌なことがあったらきっぱり拒否することも大切です。
色々不安もあるかもしれませんが、大学時代は楽しいものです。
自分が暮らしやすいように、適切に周囲に相談しながら、素晴らしい時間を過ごしてくださいね。

監修 : 宮尾 益知 (医学博士)
東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。
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