ADOS-2:Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition

ASDの特性を行動観察から測る検査
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ADOS-2の特徴

検査用具や質問項目から、自閉スペクトラム症(ASD)の評価に関連する行動観察をする検査です。

1999年にアメリカで出版されたオリジナル版を改訂したもので、ASDのアセスメントツールとして活用されています。日本語版は、黒田美保先生、稲田尚子先生が監修・監訳し、2015年に刊行されました。ASDのある方のコミュニケーションの障害や限局的・反復的行動を観察し、支援計画作成に向けたご本人の強みや困難さの特性を整理するために開発されました。

検査中に検査用具をどのように使うか、検査者とどのようにやり取りをするか等の行動が観察されます。検査者からの質問に答えるだけでなく、検査中に用具を使う場面がある点が特徴的です。たとえばお子さんを対象にした場合、保護者からの聞き取りだけでは客観的な情報が不足することもあります。ADOS-2ではお検査中のお子さんの行動(検査者とのやりとりや用具を使った遊びの様子など)を実際に観察することで、より実態に応じた情報を収集することができます。

幼児(1歳)~成人まで、幅広い年齢層に対応可能です。発語のない乳幼児にも検査を実施することができ、ASDの早期診断のためのツールの一つとしても活用できます。年齢や発語の水準別に実施内容が異なり、各段階に応じた検査内容がモジュールとして用意されています。モジュールは全部で5種類用意されており、たとえば流暢にお話ができる青年・成人にはモジュール4を適用します。検査全体は40分~60分を目安に実施されますが、必要な時間には個人差があります。

ADOS-2は地域の保健センターや精神科、メンタルクリニック等で受けることができます。一方で、他の検査(質問紙を用いる検査等)よりも対応する機関がやや少ない印象があります。

ADOS-2で測定される項目と手法の特徴

検査中の行動観察の結果は、以下の5つの領域で数値的に評価されます。

  • 言動と意思伝達
  • 相互的対人関係
  • 遊び/想像力
  • 常同行動と限定的興味
  • 他の異常行動

ADOS-2を含む様々な検査に取り組む際、検査を実施する環境(場所等)や検査者との関係、検査者の行動が、検査中の検査対象者パフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。ADOS-2では、検査者や実施環境の違いをふまえて、検査対象者の状態を客観的に観察できる方法が提供されています。たとえば、検査中に使用する用具や検査者がすべき質問、観察すべき行動、検査対象者の行動の数値化の基準などがすべて標準化されています(どのように実施し採点すべきかルールが定められ、統一されています。)検査者ができる限り正確に、客観的に評価するために、場合によっては検査中の様子を録画することもあります。

いっぽうでADOS-2では半構造化面接の方法が用いられるため、質問内容が変わらなければ、検査対象者に応じた質問の仕方や順番を調整することができます。このように、検査自体は厳密で統一された基準をもちますが、実際の検査では検査を受けるご本人のペースや状況に合わせて、質問の仕方や順序などを調整することが可能です。

ADOS-2は決められた質問紙を配布して記入してもらうといった検査ではありません。ADOS-2の検査者は検査に十分に習熟していることが求められ、実施に際してはマニュアルを読むだけでは不十分であるとされています。検査者としてADOS-2を実施するには、専門のワークショップや研修会への参加が推奨されています。

ADOS-2の結果の活用方法

ADOS-2では各項目の評定結果から、検査対象者のASDの特徴がどの程度強く表れているか、重症度を検討することができます。ただし、ADOS-2による判断は医学的診断に代わるものではありません。フィードバックされる結果はASDの特性に関する他の検査や情報と併せて活用し、ご本人の状態を包括的に整理するために役立てます。

ADOS-2は幅広い年齢層に対応していますから、期間をあけてADOS-2を受けることで、ご本人の状態が成長(時間の経過)や支援の過程でどのように変化しているのかを把握するためにも役立ちます。

他の検査同様、検査結果の数値だけに着目せず、検査結果をフィードバックする医師やカウンセラーからの助言をうけながら日常生活で抱える困りごとの原因を分析し、困りごとへの対応に向けた一つのヒントとして検査結果をお役立てください。

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