LDI-R(Learning Disabilities Inventory – Revised)

LD判断のための基礎学力、行動、社会性を測る検査
HOME大人の発達障害Q&A各種検査LDI-R(Learning Disabilities Inventory – Revised)

LDI-Rとは?

LDI-Rは、小学校1年~中学3年の子どもを対象とした、限局性学習症(SLD/LD)の有無の可能性を確認する検査です。上野一彦先生、篁倫子先生、海津亜希子先生が開発されました。

子ども本人の学習状況を熟知した指導者や専門家が、普段の子どもの様子をもとに10領域の項目(基礎的学力と行動・社会面の特性)を評定します。保護者や教師からみて、学習、あるいは行動面で気がかりな子どもがいた際などに使用します。

日本文化科学社のホームページでは、この検査の使用者は「保健医療・福祉・教育等の専門機関で心理検査の実施に携わる業務に従事する方で、大学院修士課程で心理検査に関する実践実習を履修した方、あるいは検査の実施方法や倫理的利用について同等の教育・研修を受けている方」であると示されています。例えば教育現場であればスクールカウンセラーなどが使用者として想定されます。

子ども自身が検査を受けるのではなく、子どもを観察した結果を検査者が記入するので、簡便に評価をすることができます。一方で、検査者が観察した内容の正確さや妥当性も求められます。そのため、医療機関以外で実施される場合もありますが、検査者は上記のような条件を満たす専門家である必要があります。

LDI-Rに含まれる項目

まず基礎学力として8領域(聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する、英語、数学)があります。

このうち、「聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する」、の6つの領域は、文部科学省が示すLDの定義に該当します。8領域のうち「英語、数学」は中学生のみを対象とした領域です。基礎的学力について、対象となる子どものつまずきが、LDのある子どもの特定領域のつまずきとどの程度一致しているのかを明らかにすることで、LDの特性に関する判断資料の一つとして活用できます。

なお、「大人のLD(学習障害)」についての詳しい説明はこちらの記事もご覧ください。

基礎学力以外に、「行動、社会性」の2領域があります。「行動」には落ち着きのなさや注意力の問題、衝動性に関する内容、「社会性」には集団行動や対人葛藤場面での行動、社交性に関する内容が含まれます。この2つの領域を評価することで、子どもの学習以外の指導のニーズも把握することができます。各項目について、「ない」~「よくある」の4段階で評価し、所要時間は20分~40分程度です。

注意点として、LDI-Rの結果だけでLDの診断をすることはありません。LDI-Rはあくまでも子どもの状態を把握するための資料の一つとして活用されます。

例えば子どもの学習につまずきが見られる場合、そのつまずきが「聞くこと」の苦手さによって生じているのか?「読むこと」の苦手さによって生じているのか?など、子どもの実態を整理して、支援に活かすことができます。

読み書きを測定する検査 RaWF(Reading and Writing Fluency Task)

LDI-Rは中学3年生までを対象とした検査ですが、最近、大学生(検査対象は18歳~29歳程度を想定)の読み書きの困難を測定する検査も登場しました。それが、高橋知音先生と三谷絵音先生が開発したRaWF(ローフ)です。

RaWFは黙読課題、複写課題、音読課題で構成されます。黙読課題は示された短文の意味の正誤を判断し、複写課題では見本を見て文を書き写します。音読課題では、ひらがなで示される無意味な単語を音読して、その速さと正確性を測定します。すべての課題はあわせて20分程度で実施できます。

日本の高等教育機関に在籍する発達障害学生*の中で、LDのある学生の割合は非常に小さく、大学生年代を対象とした読み書きの検査が存在しないということもその理由として考えられています。RaWFの登場によって、全般的な知的能力やその人の持つ背景知識に影響されない方法で読み書きの能力を評価することが可能になりました。

また同時に開発されたRaWSN(ロースン)は、読み書き困難の状態を詳しく把握するために役立ちます。例えば学生が大学で読み書きに関する合理的配慮を希望する場合、今後は根拠資料の一つとしてこのような検査の結果を用いることも考えられます。

【参考】

日本文化社 「LDI-R LD判断のための調査票」https://www.nichibun.co.jp/seek/kensa/ldi_r.html

SACCESS BELL(株) 「LDI-R LD判断のための調査票」http://www.saccess55.co.jp/kobetu/detail/ldi-r.html

金子書房心理検査室 大学生の読み書き困難を評価するRaWF(読字・書字課題)とRaWSN(読み書き支援ニーズ尺度)https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/n4fbb5a2b797f

まずはお気軽に!見学・個別相談会へ!

見学したい・相談したい

予約専用ダイヤル 平日10~17時

東京: 03-5823-4960 神奈川: 045-594-7079 埼玉: 050-2018-2725 千葉: 050-2018-2078 大阪: 06-6147-6189

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます