PARS-TR(親面接式自閉スペクトラム症評定尺度 改定版)

聞き取りからASDの傾向を測る検査
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PARS-TRとは?

PARS-TRは、対象となる子ども(成人)の困りごとの背景に、自閉スペクトラム症(ASD)の特性が存在しているのか、存在している場合はどのような特性かを評価する検査です。一般社団法人発達障害支援のための評価研究会が開発しました。

検査者が母親(あるいは主な養育者)と半構造化面接を実施するという点が特徴的です。半構造化面接とは、面接(インタビュー)前に目的に合わせて設問を用意しておき、回答者(この場合は母親)の回答に応じて質問を重ね、回答内容を深掘りしていく面接方法です。PARS-TRでは、子どもの年齢により質問項目は異なりますが、57項目の質問に答えます。

特に思春期以降の子どもを対象とした場合、本人の主観的評価だけでなく、保護者からの幼児期の様子を含めた客観的評価をもとに本人の実態を把握するために役立ちます。

ASDを含む発達障害*は、基本的には生まれつきその傾向を有していると考えられています。もちろん、生活環境の変化や成長によって障害特性の表れ方や本人の困り感は変化しますが、本人の特性を整理、理解するためには、幼児期も含めた評価が必要です。

例えば大学生(成人)で初めてASDの特性を自覚してPARS-TRを利用する場合、母親が幼児期(就学前)の本人の様子について検査者との半構造化面接の中で振り返り、整理していきます。面接の中では、幼児期に名前を読んでも振り向かなかったとか、視線を合わせることが難しかったとか、当時の様子を振り返っていきます。設問には中学生以上の対象者のみに実施される質問項目もあり、例えば成人の場合、今の生活に関する内容は本人が回答します。最終的に幼児期と大学生現在の本人に関する質問項目への回答を点数化し、ASDの特性の有無や程度を評価します。

PARS-TRは医療機関や福祉施設、療育施設などで受けることができます。質問項目の数等により検査に必要な時間は異なりますが、90分程度が目安です。(短縮版の検査では45分程度で実施可能です。)

なお、個人のASD特性を評価する検査としてAQについても紹介しています。AQはASD傾向について検査を受ける本人が回答する質問紙式の検査で、「AQ(日本語版自閉症スペクトラム指数」で詳細をご紹介しています。ぜひご覧ください。

PARS-TRの結果の活用方法

注意点として、PARS-TRの結果は医学的な診断に代わるものではありません。検査を通じて、子ども(本人)の抱える困り感にASD傾向が関係しているか?支援ニーズや支援の手がかりはどのようなものがあるか?といった点を把握するために実施します。

本人の実態や支援ニーズの把握のために、もちろん検査外で子ども(本人)への聞き取り等も行われるでしょう。本人からのお話と、PARS-TRの結果を併せて実態把握を進めることで、本人にとっては幼児期からの自分の状態を整理し自己理解を深めるきっかけになり、保護者にとっても子どもの特性や今後必要な支援について理解を深める機会になります。

ASDの特性が日常生活の問題に関連している場合、本人だけでなく周囲の人(家族や友人、同僚など)の理解やサポートが必要になることがあります。PARS-TRを実施することで、保護者の子どもに対する理解が深まるという点はこの検査の特徴の一つであると考えられます。

検査結果はASDの傾向が強いかどうか、ということに終始せず、本人の特性のどのような側面が現在の困り感に関連するのかを理解し、困りごとの軽減・解決に向けた必要な対策を講ずるために活用しましょう。

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます