発達障害 職場の困りごと対策① 職場に居づらい、浮いてしまう

▽陰口を言われている!? ▽他人のルール違反が気になる ▽人の話に被せてしまう 他
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ここでは発達障害*の方に「どんな仕事が向いているか」ではなく、発達障害の特徴のある方が職場で「どうしたら上手く働けるか」に焦点を当て、発達障害の代表的困りごとへの対処方法をまとめています。

その①では、ASD(自閉スペクトラム症障害、アスペルガー症候群)傾向のある方に多い、「職場に居づらい」「職場で浮いてしまう」といった孤立感の原因と対策についてお話しします。

陰口を言われているような気がする

ASDの方からよく聞くのが「自分の悪口を言われているような気がする」「皆から噂話をされているような気がする」といった悩みです。けれど、話を聞いてみると悪口を言われていると思った現場で実際に自分が名指しされていた訳でも、上司からそのことで注意された訳でもない場合が大半です。

発達障害のために普段から他人とのコミュニケーションが上手く行かなかったり傷ついたり失敗した経験が多いために、周囲の反応に過敏になったり、空気を読もうとし過ぎたりして、受け取り方が否定的に傾きがちなようです。

また、そもそも職場には多様な人がおり、誰しも時として誰かに否定的な感情を抱くのは普通のことで、陰口を叩かれることも当然起こり得る、と理解しておきましょう。仮に実際に噂をされていたにしても、上司からその件で注意を受けていない場合は、少なくとも業務遂行上は問題になっていない、ということですから、それ以上気に病む必要はありません

他人の仕事のやり方やルール違反が気になる

「自分は決められたルールに則って仕事をしているのに、他人がそのルールを守っていないと、それが同じチームや部署の人でなくても、自分の仕事に直接不利益がなくてもどうしても気になる、許せない」といった意見も、ASD傾向の方からよく聞かれます。

気になるので「そのやり方は間違っています」と直接責めてしまったり、「あんなやり方はおかしいよね」と話題にしてしまいがちですが、そうした言動は相手を怒らせるか煙たがられる、あるいは自分自身が噂話の張本人となる事態を招くだけです。職場ではあくまで、自分の部署や会社、今している仕事に悪影響がなければ、自分は自分、他人は他人という切り分けができるよう心がけましょう

また、悪口や陰口の問題とも関連しますが、職場は正直者や親切な人ばかりではないことを受け入れ、不正や策略のない理想の職場をいい意味で諦め、妥協点を見つけて働けるようになることも必要です。妥協によるストレスはため込まないようにし、体を動かす、利害関係のない部外者に話を聞いてもらう、趣味に打ち込む、など社外でうまく発散する方法を身に着けましょう。

相手の目を見て話すことができない

「面接官の目が見られない」「上司から注意を受けているのに目を合わせない」というのもASDの方にありがちな問題です。目を合わせられないことが原因で、周囲に根暗、素っ気ない、冷たい、不真面目、反抗的、非常識などのネガティヴな印象を与えてしまいがちです。

ただし、じっと目を見つめ続けるのもやり過ぎで、相手の方が辛くなります。妥当な振る舞いとして、Kaienの面接練習では「6~8割は目を見て、目線を外したら鼻から顎、首の辺りを見る」ようアドバイスしています。

第三者のことをペラペラしゃべってしまう

打ち合わせで席を外した同僚について、取引先に「彼女はバツイチみたいですよ」と言ってしまったり、新入社員のA君について「あいつは実は地元のB高校の後輩で」などと、聞かれてもいないのに不在の第三者についてぺらぺらとしゃべってしまうことにも気を付けた方がいいでしょう。

本人に悪気はまったくなくても、場合によっては言われた相手に不利益だったり、不快な思いをさせることがありますし、何かを詮索しているような印象を与えてしまう可能性もあります。

職場では「ここにいない第三者の話はしない」が鉄則です。少なくとも、それが仕事上ここでしなければならない話かどうか、一旦立ち止まって考える癖をつけましょう。

人が話している最中に被せて話してしまう

こちらは衝動性の強いADHD(注意欠如多動症)の方に多い例です。他人が話している最中に突然何かを思いついて、思わず被せて口に出してしまう、という傾向がある方は、一挙に衝動を抑え込むのではなく、スモール・ステップで対処することをお勧めします。

そもそも他人に被せて話をしてしまう方には、自分が他人の話を遮っている、失礼なことをしている、という自覚がないことが多いため、まず気のおけない同僚や家族・友人などに、そういう行為があった場合、その場で注意してもらうようにしましょう。次に、注意をしてもらわなくても「被せている」ことを話をしている最中に自分で気づけるようになりましょう。気づけるようになったら、今度は話の途中でトーンダウンすることを覚え、最終的には「話を遮ってしまって申し訳ありませんでした。続けて下さい」と、相手に発言を促せるようになれば理想的です。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます


監修者コメント

人間関係の悩みは尽きないですよね、それは自分だけではなく、他の人もそうだと思います。利害関係が一致しない、赤の他人同士でもソリが合わないとなんとなく不満が溜まっていくのに、利害関係が絡む職場の同僚とでは、不平不満が生まれてしまうのも当然だと思います。

何かトラブルがあっても、関係性を改善させる力や普段から親切にする力、信頼性を高める(貯金していく)力などがポイントです。裏表の少ない、発達障害の人は長期的には信頼されやすい人だと思いますので、長期的に考えていくこと、考えてもらえることが大事だと思います。


監修 : 益田 裕介 (医師)

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