MENU
HOME 大人の発達障害Q&A 一般枠と障害者枠 どちらが働きやすい?

一般枠と障害者枠 どちらが働きやすい?就活・働き甲斐・居心地の違い 両方経験した発達障害の方々の声から一般枠障害者枠

障害のある就労希望者にとって、一般枠と障害者枠のどちらで就職するかは応募する会社を決定する以上に大きな選択になりえます。このサイトでも多くの記事で双方のメリット・デメリットを述べてきましたが、ここでは就活のポイントと実際の働きやすさの2つの面に絞って、両者の違いを比較してみます。

【参考】一般枠か障害者枠かそれとも…4択で考える発達障害の人の就活事情
【参考】障害枠と一般枠の違いは?――キスド会報告

どうしてその会社か vs どういう配慮でどんな仕事ができるか

まず、障害者枠で応募するには、前提として障害者手帳を取得していなければなりません。手帳の申請には医師の診断書が必要で、初診から6か月以上経たないと申請ができないため、未診断で障害者枠での就職を考えている方は、受診から手帳申請、障害者枠での求職、というスケジュールを組む必要があります。

就職活動においては、一般枠の場合書類と面接での選考が主流です。一方、障害者枠では実習が重視されることが多くなります。実習は一日ではなく、一週間以上のケースが多いようです。つまり、在職しながらの就活は事実上不可能な場合が多いことになります。こうした実習では、実際の業務をどれだけこなせるかだけでなく、上司や同僚とのコミュニケーションに問題がないか、障害はどんな配慮を必要とするか、障害に対する対策は十分か、社風と求職者の個性との相性といった部分が確認されます。

また、面接では質問の焦点が少し違ってきます、一般枠では会社の方針と志望動機・能力のすり合わせに重点が置かれる傾向があります。具体的には同業種の中で「なぜこの会社を選んだか」「この会社で何がしたいか」という質問が多くなります。対して障害者枠では障害特性や、配慮の上で遂行可能な業務の話が多くなります。どんな仕事ができるか、業務上の強みと弱みは何か、どんな障害があってそれに対してどのような対策をしているか、どんな配慮やフォローがあれば仕事ができるか、などを具体的に伝えることが求められます。

【参考】「配慮のある一般枠? 給与の高い障害枠?」 発達障害のある”在職者”も意識したサービスを!

上司のフォローの手厚さが働きやすさにつながる

障害者枠採用が一般枠採用と大きく異なる点は、障害特性上業務パフォーマンスを上げるために必要と認められれば、就業時間の短縮やスライド、通院中抜け、就業時間中の休憩や仮眠、ノイズキャンセリングイヤホンの着用、電話は取らなくていい…といった様々な配慮が与えられることです。また職場での指示は通常口頭で、その場その場で行われることが多いものですが、発達障害のある人に対しては、書面でのわかりやすい指示や業務マニュアルが用意される例が多いようです。

一般枠と障害者枠採用の両方を経験した卒業生が、障害者枠の利点として口を揃えるのは、業務上困ったことがあれば上司に相談ができる、という点です。当たり前のことのようですが、成果主義・スピード第一の今日の経営状況下では、個々の部下の抱える悩みや困りごとまでフォローする余裕のない上司が多いのが現状なのですね。

一方障害者枠採用者に対しては、大半の企業が一般枠採用者より頻繁に個別面談の機会があり、体調管理や業務上の困りごとの相談に乗り、アドバイスを与えたり、必要であれば同僚や取引先との仲介に入ったり、会社側のシステムを改善したり、キャリア計画を確認・修正したりしています。

発達障害者には、提案、困りごと、不安、疑問などを適切な時を見計らってに上司や同僚に伝えるのが下手な人が多く、そのため必要以上に人間関係をこじらせ、追い詰められる傾向があります。ですからこうして上司側から積極的に話を聞く時間を設定してくれることは、予想以上に発達障害者の働きやすさにつながっているようです。

給与格差はあるものの、業務の多様化にしたがい個別化が進む傾向

障害者枠で働く上で最も気になるのは給与水準の低さでしょう。一般枠との”給与格差”はいまだ存在します。当社でも障害枠で就労される方の平均月収は一般枠の平均よりは低めです。ただしこの給与格差は徐々に変わってきています。最近は業務の種類が多岐化し、障害者枠の中でも給与の差が広がる傾向が見られます。専門職では月収20万円を超す求人もありますし、少数ですが障害者枠で30万円以上の月収を得ている方も存在します。

障害者枠には正規雇用が少なかったり、昇格や昇給がないのではないか、という懸念もあるでしょう。障害者枠の多くが採用時には契約社員なのは事実ですが、普通に勤務が続けられれば雇用を打ち切られる例は滅多になく、数年後に正社員になれる場合が増えてきています。

業務内容が単調だったり、昇格や昇給の機会が少ない、という声も聞かれますが、実際には、特に大手企業の場合、障害者枠採用者の業務は実に多岐に渡っています。また、与えられた業務に対する評価が高く、本人が望むなら、よりレベルの高い別業務やリーダー的役割が与えられることもあります。前述した上司との個別面談の機会にこうした昇給や昇格についても打診されることが多いようです。また、会社にもよりますが、昇進に関しては完全に業務パフォーマンスの評価のみに基づき、一般枠採用との区別を設けない例も存在します。

【参考】発達障害ならではのお悩み「障害者枠の給与で暮らせる?」~キスド会レポート~

長く働くなら障害者枠?

最後に定着率のデータを付け加えておきましょう。下の”障害者全体“の定着率に関するグラフをご覧下さい。左から、障害者求人(障害者枠)、一般枠(障害オープン)、一般枠(障害クローズド)です。

残念ながら発達障害の方だけの一般求人(開示・非開示)のデータは、サンプルが少なすぎるため除かれていますが、大体の数字は予測がつきます。障害者の定着率は『障害者求人>一般求人(障害オープン)>一般求人(障害クローズド)』と大きな開きがあり、発達障害者の多くが抱く「なんとか安定して働きたい」というニーズには、圧倒的に障害者枠の方が応えられていそうです。Kaienの2017年の就職実績からも、95%という非常に高い一年後定着率は、障害者枠での就職の多さ――年間就職者191人のうち一般枠での就職は1割にも満たない――とも密接に関連していると推測されます。

【参考】企業の関心高まる「新卒・障害者枠」という採用ルート
【参考】発達障害グレーゾーンの方が障害者枠での就労を選ぶ理由
【参考】就労定着支援ってどんなサービス?

まとめ

一般枠採用と障害者枠採用を比較するとき、「給与・キャリア」か「手厚い配慮」かの二者択一だったものが、選択肢が多様化する兆しが見えています。それぞれの採用システムや発達障害の特性が職場という局面でどう表れるかをよく理解した上で、自分の能力や夢、生活設計と擦り合わせ、自分らしい生き方のできる選択をして下さい。

発達障害とは?
大人の発達障害Q&A 一覧

関連ページ

発達障害の特性を活かした就職を! 就労移行支援などをご紹介中! 
ご利用説明会は オンラインフォーム でお申し込み下さい。
予約専用ダイヤルは平日10~17時のみ対応。03-5823-4960(東京)045-594-7079(神奈川)06-6147-6189(大阪)