一人暮らし 発達障害の特性に合う合わない?

発達障害の人の視点で議論してもらいました ~キスド会 2017年5月 開催報告~
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 在職者向けのキスド会(土曜夕方に秋葉原と新宿で開催している、発達障害*のある在職者向けのしゃべり場)での会話を皆さんの承諾をもとに記事にしています。今回のテーマは「発達障害の人は一人暮らしに向いているか」について議論しました。

自分に自信がない 一人暮らし・結婚はできる?

Aさん) 仕事自体は順調にいっています。そろそろ一人暮らししようかなっていうのを検討しているのですが、今は実家で何とかなっているのに、「一人暮らしで自分の生活がうまくいくのだろうか」、さらにその先を見据えて「果たして結婚が出来るんだろうか」とか、すごく先の先まで見てしまって、不安に思ってしまうことがあります。実際、一人暮らしをされている方もいらっしゃるでしょうし、ご結婚されている方もいらっしゃるでしょうし、どうやって不安を断ち切ったのか。

Bさん) 僕は将来の見通しを立てるのが苦手だったんですけど、発達障害ってそういうことが苦手、なおかつ、自分が発達障害だと分かったことで、気にならなくなりました。だから悩みが一個減った。できないことに変わりはないんですけど、悩みではなくなった。だから2つ目の、結婚に関して言うと、まあ人口のADHDで5%とか言われてるんであまり気にせず、この人と一緒に生きていきたいなって人と出会えたら前に進めばいい。ただ、診断のことをカミングアウトするのは難しいのかなと思います。僕は知らない時に結婚して、診断はその後だったから、カミングアウトしやすかったんですけど、事前に自分がそうだと知ってるなら、どっかで言わなきゃいけない。そのタイミングを掴むのが難しいでしょうね。

Aさん) どちらかというと自分の特性は子どもの頃から分かっているので、自分のような欠陥品を売りつけてしまわないだろうかみたいなそんな風に思ってしまって、全く行動が出来ないんですよね。自分にあまりにも自信がなさ過ぎて、こういう人だな、いい人だなと思っても結局動けないんですよね。かといって諦めきれないですし。何というか、人肌のぬくもりが恋しくなってきたところが結構あるので。

一同) (笑)

Bさん) 発達障害が欠陥と思うのはやめた方が良いと思いますよ。

Aさん) いや、そういう訳では無いのですけど、皆さんに欠陥があるとかそういうことじゃなくて、自分に対する自分の勝手な思い込みです。

Cさん) 僕は発達障害の苦手が三つあると思っています。一つはこの世の社会の流れが見えない、もう一つが自分の将来が見えない。三つ目の最後が人の気持ち、心が見えない、です。なので自分の将来が不安だと思うのは普通な事だと思いますよ。大事なのは、一年後とか二年後とか三年後じゃなくて、今日なんですよ、今日。僕は大事なのは今日だと思って今日どうするかって事に集中して生きてます

Aさん) ありがとうございます。先の先を見すぎないでもっと近い所、目先ですかね。もうちょっとフォーカスしても良いのかなっていう、そういう事ですね。ありがとうございます。

通勤時間のゆとりが家事の大変さを上回った

Dさん) 結論からいうと、一人暮らしは僕としてはした方が良いのかなって思います。確かに、食事についても自分で選ばなければいけない、自分でしなくてはいけない。部屋の掃除もしなくちゃいけないっていう、自分でしなくちゃいけないっていう所は確かに大変です。土日ゆっくりしたいけど、でも自分でやらなくちゃいけないっていう。でもそれ以上に通勤時間が縮まったのが僕の中で結構大きかったです。今まで、自宅帰ったらもう何もしたくなくて、風呂入る気力すら無くて、結果的にちゃんとぐっすり寝れたのが1、2時間っていう毎日が続いていたんです。今のアパート借りたら、通勤時間が短くなったので、自宅帰ってゆっくりする時間も十分出来たし、ゆっくり風呂入って、ゆっくりご飯食べて、ゆっくりだらだら携帯見ながらやって、寝て、朝早く起きて、朝早く会社に行ってっていう毎日がおくれるようになりました。一人暮らしで自分で何度もやるマイナス面よりも、通勤時間縮まった事によるプラスの方が上回ったなっていう感じです。考える力がちょっと伸びたのかな。

Aさん) 考える力が?

Dさん) はい。ほかの先輩方も言っていたのですけど、「一人暮らしすると色んなものが開けて来るよ」っていう話を聞いていたので、僕も今振り返って見ると、一人暮らしして正解だったなって思います。

Aさん) ありがとうございます。

一人暮らしは自分磨きの機会が多い

Eさん) 今、一人暮らししていますけど、一人暮らしは、したくてしました。あまり共存の生活するのが得意ではないので、そういう面で一人暮らしは自分のペースで生活が出来るメリットがあります。おっしゃった通り、職場が近くなればなるほど自由な時間が出来るので、趣味を作る機会が増えることもあります。あとは、家事が好きになれば料理が出来る男性はモテたりするので、そこから共通の趣味や料理教室とかで出会いがつながる可能性はあるかと思います。男性で家事にはまる人は案外多いので、実は一人暮らししてみると僕って綺麗好きだったんだとか、料理こんなこだわるんだとか、あれ食べられるんだ、これできるんだっていうのを気付く機会があると思います。一人暮らしは自分磨きの機会が多いと生活しながら気づきました。ただ、一人の時間が多くなる分だけ自分で悩んだ時に籠ってしまうデメリットもあるので、その辺は適度に他の方たちと交流を持たないと本当に落ち込んだ時に家から出られなくなる可能性があると思います。でも、人生で一回は一人暮らしをした方がいいなとは、みんなに勧めています。

Aさん) ありがとうございます。自分の場合、あんまり部屋を片付けるのが得意じゃないので、ほんとごみ屋敷になりそうな気がして。

Eさん) でも、友達を呼ぼうと思ったときに、あっ片付けようって、トイレも綺麗にしてみようとか、思うように変わっていく気がします。

他人と一緒にいられないタイプの発達障害の特性にはあう

Fさん) 一人暮らしはね、発達障害には寧ろ、向いているんじゃないかなとすごく感じてます。

Aさん) 向いているのですか。逆に向いていないってよく聞くんですけど。

Fさん) 私は36歳でまだ独身。向いているというよりも、正直に言うと、人と一緒に暮らせないなっていう、ちょっとこれはね、非常に致命的なんですけどね。この性格。

Aさん) なんかすごくわかります。結構よく言われますよね、発達障害の人は他人と一緒に暮らすのは難しいとか。

Fさん) たまに実家に帰って両親がいると、「あー一緒に暮らせないな」って思うんですよね、一人になりたいなって。だからといって全然寂しいわけじゃないです。一人暮らしになったらどんどん外に出ていくことですよね。一人で飲みに行ったりとか、昔の友人に会ったりなど、そういう機会があれば全然寂しくないですね。ぽろっと良い出会いもあると思うんですけど、私も他人と暮らすところが少し苦手なところがあるのかと思います。

スタッフ) 解消しましたか、色々と。

Aさん) かなり色々と参考になりました。思った以上に一人暮らししている人が多いとわかりました。

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監修者コメント

興味関心に「盲点」がある発達障害の人は、一人暮らしはとても不安になる方が多いかもしれません。朝起きられないんじゃないだろうか、日曜日だと思い込んでいたら実は月曜日だったとか、携帯や財布を忘れてしまう(忘れていることを注意してくれる人がいない)とか…。

「盲点」があるがゆえに、自分を信じられず、自分では気づかないが、自分は間違った方向を歩いているんじゃないか?という不安があります。なので、支援を受けることをルーティンのなかに組み込むことが大事だと思います。一人で完結せず、誰かの助けを得ることを忘れないことが大事だと思います。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます


監修 : 益田 裕介 (医師)

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