障害者雇用未達の罰則「企業名公表」 ペナルティ対象となる基準はありますか?発達障害診療医師・産業医 宮尾ドクター監修「障害者雇用 Q&A」 2022年1月号

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Q&A「障害者雇用未達の罰則『企業名公表』 ペナルティ対象となる基準はありますか?」

「障害者の雇用の促進等に関する法律」第47条では、障害者雇入れ計画の適正実施勧告を行ったにもかかわらず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合は、企業名を公表することができるとされています。

障害者雇用に消極的な印象を与える、不名誉な企業名公表です。特にインターネットが普及した現代社会においては、会社経営にも大きな影響を及ぼしかねない厳しい制裁といえるでしょう。

本記事では、令和3年(2021年)12月に公表された「障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について」の報道発表の内容をもとに、企業名公表の制度や傾向についてお伝えします。企業名公表の制裁を受けないようにするための準備・対策に活かしていただけたら幸いです。

令和3年(2021年)は6社が社名公表、2社以上の企業名の公表は5年ぶり

2021年12月の「企業名公表」では、6社の企業名が公表されました。2017年から2019年の3年間は企業名公表なし、2020年に1社公表と推移しており、2021年は5年ぶりの2社以上の企業名公表となりました。

のちほど詳しく解説しますが、企業名の公表は3年弱にわたる行政指導の経過に基づき判断されます。6社のうちの2社は本来2020年に公表されるべきはずの企業でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて指導期間が1年延長されていました。

つまり新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年度も合わせて2年分の企業名公表が2021年に行われたということです。行政が経済や雇用の情勢を鑑みて、企業側の状況に寄り添った判断をしていたといえるでしょう。

企業名公表の基準や流れを解説

企業名の公表に至るプロセスは以下の図のとおりです。毎年6月1日に報告が義務付けられている障害者雇用状況報告(いわゆるロクイチ報告)の結果に基づき、雇用状況が一定の基準を満たさない企業に対して、ハローワークから障害者を雇い入れるための2年間にわたる「雇入れ計画作成命令」の提出が命じられます。

更に計画を提出した2年経過した計画満了時において、雇用状況の改善が特に遅れている企業に対して、企業名公表を前提とした「特別指導(9ヶ月間)」が実施されます。それでもなお改善が見られない場合には、いよいよ企業名の公表となるのです。

一連の行政指導の起点となる「雇入れ計画作成命令」の対象となる基準は、厚生労働省により以下のとおり明確に示されています。法定雇用率(2022年時点で民間企業は2.3%)を下回れば即、指導の対象となるわけではありません。指導対象となる基準をしっかりと押さえておくとよいでしょう。

「雇入れ計画作成命令」の対象となる基準(以下のいずれかに該当する場合)
  • 障害者の実雇用率が全国平均実雇用率未満であり、かつ、不足数が5人以上である
  • 企業法定雇用障害者数が3~4人の企業であって、障害者を1人も雇用していない(0人雇用=実雇用率0%)のもの
  • 不足数が10人以上の企業

特に注意したい点は、指導の対象となるかどうかは、その年度の「全国平均実雇用率」によりしきい値が変動するという点です。2021年の全国平均実雇用率は2.20%でした。2022年の全国平均実雇用率が2.20%を下回ることは考えづらいので、現時点で自社の雇用率が2.20%を下回っている企業様は特に注意をしていただく必要があるでしょう。

企業名公表となった6社の傾向は?

今回、企業名が公表となった6社は、1社を除き従業員数が250名~600名程度の規模の企業でした。従業員数が1,000名以上いる比較的大規模な企業は、その分だけ雇用しなければいけない人数が多いということになりますが、行政指導を受けた企業は少なく、企業名の公表に至る事もありませんでした。加えて全国対象の調査ですが、企業名公表6社のうち4社が東京都の企業であり、地域的な偏りも見られました。

業種所在地従業員数不足数
不動産業東京都106620
設備工事業東京都2725
ビルメンテナンス東京都5627.5
小売業東京都2464
製造業長野県6159
小売業広島市3395

企業名公表に至った6社いずれも指導期間中は、採用活動にまったく消極的であったというわけではありません。求人票を公開し採用活動を行ったり、実際に数名の採用に至るケースもあったりと、改善に向けた一定の努力があったことが指導経過報告書から見て取ることができます。

当然のことながら、できれば企業名公表を回避したかったはずです。しかし、採りたくても採れない。採用が出来たとしても残念ながら離職してしまう。そのような苦しい状況があったものと推察されます。

安定した法定雇用率達成に必要なことはなにか?

一定の努力をしても採用・定着には至らなかった。その背景には障害者雇用の「売り手市場」があるでしょう。実雇用率の改善が示す通り、以前とは比べ物にならないくらいに多くの企業が法定雇用率を遵守するために積極的な採用活動を行っています。

特に本社機能が密集する東京都内は「障害者採用の激戦区」といっても過言ではないでしょう。ネームバリューがあり雇用が安定しているイメージがある大企業との採用競争をすることになる東京都内の中小企業は、勤務先として選んでもらうためにことさら積極的な努力が必要となります。

一たび行政指導の対象となれば、期限のある中での採用活動となります。ともすれば準備不足で強引な障害者雇用になりかねません。安定した障害者雇用には綿密な準備と計画性が不可欠です。法定雇用率は未達成ながら、まだ行政指導には至っていない企業様は特に、早いうちからの法定雇用率改善を自主的に進められることをお勧めいたします。

出典(いずれも厚生労働省):
障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について
令和3年 障害者雇用状況の集計結果
障害者雇用対策の基本事項

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監修 : 宮尾 益知 (医学博士)

東京生まれ。徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックリンクを開院。