「なんとなく違う」を「自分らしさ」に変える。自己理解の先に見据える自立への一歩

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「周りの輪に入りたいけれど、どう振る舞えばいいかわからない」。そんな漠然とした生きづらさを抱えてきたHさんは、大人になってからASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠陥多動性障害)の診断を受けました。

その後、自立訓練(生活訓練)を利用しながら、得意の「手順を守る力」を磨き、ヘルパーさんとの連携やPCスキルの習得など、一歩ずつ自立した生活と就職を目指しています。


▼ご本人の簡単なプロフィール


  • 年齢: 30代
  • 診断名: ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)
  • 苦手なこと: 雑談を広げること、急な予定変更への対応、突発的な物音
  • 活用しているサービス: 自立訓練(生活訓練)
  • 現在:2026年3月から就労移行支援に移籍


阪神大震災の列を離れて。幼少期から感じていた「頑固さ」と「衝動性」

―――まずは幼少期のことについて教えてください。どんなお子さんでしたか?

自分ではあまり覚えていないのですが、母からよく聞かされるエピソードがあります。4歳の時に阪神淡路大震災を経験したのですが、給水の列に並んでいる時に、ふらっとどこかへ行ってしまったらしいんです。当時は0歳の弟もいて、母は相当大変だっただろうなと思います。

―――大変な状況の中でも、ふと興味が向くと動いてしまうところがあったのですね。

そうですね。あとは昔から「頑固」だと言われてきました。自分では自覚がないのですが、母から見ると、自分の決めた手順ややり方にこだわりがあるように映っていたようです。でも、裏を返せば「やり方が決まっていること」はすごく得意で、手順がはっきりしていると、迷わずに最後までやり遂げることができるんです。

―――「目に見える指示」があると安心する、という特性はこの頃からあったのですね。

はい。今もそうなのですが、耳で聞くだけだと忘れてしまうことが多くて。目で見える形でシートに書いてあったり、サイトの申し込み手順が決まっていたりすると、すごくスムーズに動けます。

「会話が100発100中で止まる」……周囲との壁に悩んだ日々

―――学生時代や職場で、周囲との違いを感じることはありましたか?

一番困ったのは雑談ですね。なかなか輪に入れないことが多かったです。勇気を出して「今日は暑いですね」と声をかけても、相手が「そうですね」と答えた後に、会話をどう広げていいか分からなくて。100発100中で会話が止まってしまう。そんなことが学校でも職場でも続いて、ポツンとしてしまう寂しさを感じていました。

―――「輪に入りたい」という気持ちはあったのですね。

ありました。でも、どうすればいいか分からなくて……。それで、大学で幼児教育を学んでいた時に、発達障害の知識に触れて「これって私のことじゃないか?」と思ったんです。

―――それが診断のきっかけだったのでしょうか。

そうです。自分を正しく知りたいと思って、当事者向けだけでなく、専門家の講演会にも足を運びました。ただ、当時は一般向けの話が多くて、なかなか自分事として落とし込めなかったんです。「家族の理解がない」といった悩みを聞く当事者会にも行きましたが、自分の特性をどう仕事や生活に活かすかという、本当の意味での「自己理解」にはたどり着けずにいました。

柔軟さが求められる職場での挫折と、工場で見つけた「自分に合う」働き方

―――就職されてからは、どのようなお仕事を経験されましたか?

最初は保育系の仕事に就きました。でも、子ども相手の現場は「型通り」にはいきません。その場その場の臨機応変な対応が求められ、頭が固いと思われてしまったり、即座の判断ができなかったりと、特性との相性の悪さを痛感して辞めることになりました。

―――その後、工場での勤務を選ばれたのはなぜですか?

次は「型」がある仕事にしようと思ったんです。部品のピッキングやラベル貼りなどの工場勤務を経験しました。特にピッキングは、指示書があって、指定の棚から指定の数を持ってくるという明確なルールがあったので、私にはすごく合っていました。指差し確認を徹底すればミスも防げますし、直接注意を受けることもほとんどありませんでしたね。

―――「手順が明確な仕事」であれば、強みを活かせるという手応えがあったのですね。

はい。ただ、どうしても一人で就職活動を進めるのは限界があると感じていました。友人から「Kaienがいいよ」と勧められたこともあり、まずは生活の土台を整えるために自立訓練(生活訓練)を利用することに決めました。

「生活の土台」を整える。自立訓練で見つけたITスキルと自己管理のコツ

Hさんがお好きな「りくろーおじさんのチーズケーキ」

                 

―――現在は自立訓練でどのようなことをされていますか?

今は、将来的な就労移行支援へのステップアップを見据えて、パソコンスキルの習得や自己理解に取り組んでいます。Googleドキュメントなどは使ったことがなかったのですが、Kaienで触れていくうちに「こんな便利なものがあるんだ」と驚きました。今は家でもChatGPTやGeminiなどのAIを使って、指示の出し方を練習したりしています。

―――AIも活用されているのですね! 素晴らしい向上心です。

暇な時に、あらかじめ答えが分かっていることをあえてAIに相談してみて、どんな返事が返ってくるか試しているんです(笑)。あとは「オリジナルプロジェクト」として、自分の体力維持やストレス発散の方法をまとめる活動もしています。

―――生活面での工夫についても教えてください。

今は一人暮らしをしているのですが、ヘルパーさんとの連携をスムーズにしたいと考えています。「何を頼めばいいか分からない」「どう伝えればいいか迷う」という課題があるので、自分の意思を伝えやすくするためのツールや伝え方を、スタッフさんと相談しながら模索しているところです。

失敗を振り返り、プラスの言葉に変えていく。これからの目標

―――プログラムの中で、特に印象に残っていることはありますか?

プロジェクトの発表会ですね。人前で話すのはすごく緊張して……。後で振り返ると、句読点のない変な場所で息継ぎをしてしまったりしたので、練習の大切さを実感しました。でも、こうした「スモールステップ」があるからこそ、本番の面接でも落ち着いて話せるようになるんだなと感じています。

―――最近、ご自身の中で変化を感じる部分はありますか?

他の方の発表を聞いた後のフィードバックで、以前は「声が小さかったです」と、思ったことをそのまま伝えてしまっていました。でも後で「マイナスのことばかり言うのは良くなかったかな」と振り返るようになったんです。

今度は「こうすればもっと良くなるよ」と、プラスの提案として伝えられるようになりたい。そうやって自分の言動を客観的に見直せるようになったのは、大きな一歩かもしれません。

―――最後に、これからの目標を教えてください。

まずは生活リズムを安定させて、就労移行支援へ進み、最終的には就職して自分の力でお金を稼げるようになりたいです。

今は一人暮らしの自由な時間を満喫しているので、ヘルパーさんの力も借りながら、今の生活を維持していきたい。そのために、日々の気づきをメモに書き留めて、自分だけの「特性トリセツ」をコツコツ完成させていこうと思っています。

付録~Hさんについて~

Hさんが可愛くてつい買ってしまったという「ちびぬい」

―――休日はどんなふうに過ごされていますか?

以前はアクティブで、コンサートのために地方まで遠征して、ついでに一人で観光やウィンドウショッピングを楽しんだりしていました。最近は家でゆっくりすることが多いですが、YouTubeで好きなアイドルの配信を見たりするのが楽しみです。

―――年末には楽しみなイベントがあるとか。

カウントダウンライブの配信があるんです! 有料ですが、家でじっくり見られるのがいいですね。好きなグループの活躍を見ていると、明日からも頑張ろうという気持ちになれます。

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