「曖昧な指示」の苦手を克服し、自分に合った環境へ。納得感のある就職を叶えるまでの軌跡

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前職の一般枠では、マルチタスクや曖昧な指示に悩み、本来の力を発揮できずに苦しんでいた今回の主人公。在職中に受けたASD(自閉スペクトラム症)の診断をきっかけに、自分の特性を正しく理解し、対策を練るための訓練をスタートさせました。苦手だった「質問すること」への壁をどう乗り越え、自分に合う職場を見つけたのか。その歩みを伺いました。



▼ご本人の簡単なプロフィール

  • 年齢: 20代
  • 診断名: 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 苦手なこと: 曖昧な指示への対応、マルチタスク
  • 就職先: 金融系(事務職・障害者枠)


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幼少期から感じていた「好きなものへの没頭」と「会話のズレ」

――― まずは、幼少期について教えてください。どのようなお子さんでしたか?

昔から、興味があるものとないものの差が激しい子どもでした。特に電車が大好きで、種類を覚えたり、見分けたりするのが得意だったんです。逆に興味がないことについては、全然覚えられなかった記憶がありますね(笑)。

――― そうだったのですね。当時、周囲との違いを感じることはありましたか?

中学校に上がる頃から、会話の中で「自分の意図がうまく伝わっていないな」と感じることが増えました。相手の話を自分なりに解釈して返しても、どうも噛み合わなかったり、的外れな反応をされたりすることがあって。当時はなぜそうなるのか分からず、少し生きづらさを感じていました。

――― 診断を受けたのはいつ頃だったのでしょうか。

社会人になってからですね。仕事でうまくいかないことが続き、2024年の12月に病院を受診してASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。

「いい感じにして」が分からない。一般枠での勤務で直面した壁

――― Kaienを利用する前は、どのようなお仕事をされていたのですか?

一般枠で、調味料(食塩が中心)を作っている会社の卸売部門で受発注業務(取引先からの注文を受けて商品の出荷の手配を行う業務)をメインに行っていました。少人数の職場だったので、一人ひとりの業務範囲が広く、常に複数の作業を並行して進めるマルチタスクが求められる環境でした。

――― どのような場面で困難を感じることが多かったのでしょうか。

一番の壁は、指示の曖昧さでした。上司から「メルマガをいい感じに作っておいて」と言われても、その「いい感じ」が具体的に何を指すのかが分からなくて……。自分なりに考えて形にしても、期待されていたものとズレてしまう。また、優先順位をつけて複数の業務を回すことも苦手で、徐々に業務が滞り、上司とのコミュニケーションも負担に感じるようになりました。――― それがきっかけで、診断や退職に至ったのですね。

はい。「このままの環境で仕事を続けてもつらくなるだけだ」と思い、診断を機に「自分の特性を理解してくれる環境で働きたい」と考え、障害者雇用の道を探るためにKaienの門を叩きました。

自己理解を深めた訓練期間。「迷ったらすぐ確認」を習慣化する

(Hさんが通所時によく飲んでいた麦茶)

――― プログラムの中で、特に力を入れたことは何ですか?

「自己理解」と「苦手への対策」です。自分が何を得意とし、何に躓くのかを客観的に把握したいと考えていました。

――― 実際に取り組んでみて、発見はありましたか?

データ入力や分析など、ルールが明確でコツコツ進める業務は得意だと再認識できました。一方で、チームで自由に話し合って方針を決めるワークなどは、自分の意見を出すタイミングが難しく、苦労しましたね。

――― 以前悩んでいた「曖昧な指示」への対策は見つかりましたか?

はい。「少しでも引っかかったら、すぐに確認する」というルールを自分の中に作りました。以前は周囲が忙しくしているからとと遠慮していましたが、プログラムを通じて「早めに聞くほうが、お互いにとってメリットがある」と実感できたんです。今では、上司の手が空いた隙を見計らって「今、少しお時間よろしいですか?」と声をかける練習も重ね、抵抗感が少なくなりました。

プレゼン資料作成で学んだ「情報の取捨選択」の重要性

――― 訓練中のエピソードで、特に印象に残っているものはありますか?

プログラムのなかで自分の成果物を発表する時間があり、その資料作成に取り組んだときのことです。私は情報を詰め込みすぎる癖があり、スライドが文字でびっしりになってしまったんです。結果、発表でも全てを伝えようとして早口になり、制限時間をオーバーしてしまいました。

――― 講師の方からはどのようなアドバイスがありましたか?

「資料は分かりやすいけれど、盛り込みすぎて一番伝えたいポイントがぼやけている」と指摘されました。そこで、次の機会には情報の優先順位をつけ、ポイントを1つに絞って構成するように意識したんです。すると、時間内に収まるだけでなく、聞き手にも内容がしっかり伝わるようになりました。この「情報を削ぎ落とす」という経験は、実務でも非常に役立つ学びになったと感じています。

紆余曲折の就職活動。粘り強く自分に合う場所を探し続けて

(Hさんの自宅の庭に咲いているパンジー)

――― 就職活動はいつ頃から始め、どのように進めましたか?

訓練開始から半年ほど経った頃、まずは一般枠の公務員試験に挑戦しました。実は一度合格をいただいたのですが、配属先を決定する面談を3ヶ所で行った結果、どこも窓口業務が中心で、スピーディーに並行作業を行う能力が求められており、自分の特性と合っていないように感じました。その気付きから、ミスマッチを避け、特性に合った仕事を探すため、障害者枠での就職活動に切り替えることにしました。

――― 大きな決断でしたね。その後はどのように切り替えたのでしょうか。

スタッフさんと相談して「やはり自分の特性に合った事務職を、民間企業や自治体の障害者枠で探そう」と軸を定め直しました。面接練習を繰り返し、自分の強みと配慮してほしい点を整理して伝える練習を積んだことが、最終的な内定につながったのだと思います。

――― 納得できる就職先が決まったのですね。

はい。金融系の事務職として、データ入力をメインとする仕事に決まりました。自分の得意分野を活かせる環境なので、今は安心感と期待でいっぱいです。

焦らず着実に。仕事を通じて「自信」を積み上げていきたい

――― これからの目標や、挑戦したいことを教えてください。

まずは新しい職場の環境に慣れることが第一です。マニュアルを読み込み、分からないことは放置せずに確認しながら、着実に業務を遂行していきたいです。一つひとつの作業を完遂することで、「自分でもできる」という自信を少しずつ積み上げていければと考えています。

――― Fさんなら誠実に仕事に向き合っていけると思います。応援しています!

付録~Hさんについて

(Hさんがクレーンゲームでとったサメのぬいぐるみ)

――― ここからは少しプライベートなことも伺わせてください。趣味はありますか?

小学校5年生の頃から、ずっとプラモデル作りをしています。

――― 長く取り組まれているのですね!こだわりなどはありますか?

パーツをランナーから切り離すときに、切り口(ゲート跡)が残らないように二度切りをするんです。一度ざっくり切ってから、精密なニッパーで丁寧に仕上げる。この集中して指先を動かす時間が、自分にとって一番のリラックスになりますね。

――― その繊細な作業への集中力は、間違いなくお仕事(データ入力など)にも活かされそうですね。最近の楽しい出来事についても教えてください。

先日、数年ぶりに友人と会いました。お互い忙しくてなかなか会えなかったのですが、久しぶりに会っても昔と変わらない空気感で話せて、すごく元気をもらいました。これからも、そういう縁を大切にしていきたいです。

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