「ほどほど」の自分を肯定して自然体で掴んだ、大学事務という居場所

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新卒で入社したSE職をわずか1ヶ月で退職。プログラミングの適性がありながらも「興味が持てない」という壁に突き当たったKさん。その後、Kaienでの訓練を経て、現在は大学の経理事務として着実にキャリアを再構築しています。

「目標はない」「仕事はしたくない」と淡々と語る彼が、なぜ30社もの選考を走り抜き、周囲から高く評価される戦力になれたのか。その等身大の軌跡を伺いました。


▼ご本人の簡単なプロフィール


  • 年齢:20代
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)
  • 苦手なこと:計画を立てること、興味のないことへの意欲維持
  • 就職先:学校法人事務職・経理


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「賢い子」と呼ばれた学生時代と、「怠惰」な自分とのギャップ

―――幼少期は、周りからどんなお子さんだと言われていましたか?

「賢い」と言われることが多かったですね。テストの成績は全般的に良かったですし、学習面で苦労した記憶はほとんどありません。ただ、性格を一言で表すなら「怠惰」だと思っています。休みの日は家から動きたくないですし、昔から内向的なインドア派でした。

―――「周りと自分は違うな」と感じることはありましたか?

中高は男子校だったのですが、当時は周りに「変な人」がたくさんいたので、自分が特別変わっているとは思いませんでした(笑)。ただ、大学に入ってからは少し違和感がありましたね。みんなが必死に就活をしているのに自分はしなかったり、研究室もろくに調べずに決めてしまったり。結局、単位を落として1年留年し、5年かけて卒業しました。

―――大学の勉強は難しかったのでしょうか?

難しかったというより、何もしていなかっただけなんです。「やりたい」という意欲が湧かなくて。言われればやるけれど、自分から動くことはない。そんなスタンスでした。

1ヶ月で辞めたSE職。「意味がわからない」と感じた違和感の正体

―――大学卒業後SEに就職されていますが、退職されたのはどのような経緯でしたか?

単純に「向いていなかった」んだと思います。研修のプログラミングテストではぶっちぎりの成績だったんですが、自分の中では全く理解できていない感覚で……。何より、プログラミングそのものに興味が持てず、意味がわからないと感じてしまったんです。そんな時に、親の勧めでKaienを知りました。当時はまだ障害者手帳も持っていませんでしたが、退職後に「自分には特性があるのではないか」と病院へ行ったところ、、ASDの診断を受けました。

―――通院や診断については、ご自身でも納得感があったのでしょうか。

中学生の頃、部活の合宿に行きたくなくて、何も言わずに駅の近くをフラフラして外泊のようなことをしたことがあったんです。その時から、どこか「普通」とは違う自覚がありました。障害者雇用という選択肢も含め、しっかり準備しようと手帳を取得し、Kaienに通い始めました。

「とりあえず行けば何とかなる」から始まった、Kaienでのプログラム

―――Kaienでの訓練で、印象に残っていることはありますか?

実は、あまり細かくは覚えていないんです(笑)。次のビジョンが全く見えていなかったので、「とりあえず通えば何とかなるだろう」という気持ちでした。ただ、グループワークやランチトークは記憶にあります。人と話す機会がそれまで本当になかったので、喋り方の練習の役に立ったかもしれません。

―――現在の「経理」のお仕事に繋がる学びはありましたか?

事務スキルとしてのExcelは、今の業務でも役立っています。あとは、電話対応に苦手意識がなくなったことです。今の職場は内線文化なので、メールよりも電話で済ませることが多いのですが、そこはスムーズに対応できています。

30社の不採用も「気にしない」。淡々と続けた就職活動

―――就職活動は、かなり精力的に動かれたと伺いました。

2021年の秋から始めて、決まったのが翌年の夏なので、期間は長かったですね。全部で30社くらい受けました。Kaienのスタッフと相談して、月に数社は必ず応募するようにして、最後の方は月5社くらい応募していました。

―――モチベーションを維持するのは大変ではなかったですか?

正直、あまり気にしていませんでした。それよりも「実家から通えること」と「大企業で安定していること」という軸だけは譲れませんでした。職種にはこだわりがなかったので、条件に合うところを片っ端から、という感じです。

―――面接で印象的だったエピソードはありますか?

今の職場の面接で、「他に内定が出たらどうしますか?」と聞かれた時、「そっちに行きます」と正直に答えてしまったんです。それでも内定をいただけたので、なぜ評価してもらえたのかは自分でも不思議でした。ただ、場数を踏んだことで、受け答え自体は自然にできるようになったのかもしれません。

ほどほどに、自分のペースを守った働き方を続けていきたい

―――入社して半年が経ちましたが、今のお仕事はいかがですか?

経理として金額のチェックや資料作成をしていますが、SEの頃のような「意味がわからない」という感覚はありません。自分のペースで進められるので、以前よりずっと落ち着いています。

―――周囲からの評価も高いそうですね。

そのようですね。上司からは「ゆくゆくはリーダーとして引っ張ってほしい」と期待されているようですが、ほどほどの戦力として安定して働いていたいというのが本音です。

(会社の近くの景色。新海誠作品にも登場したことのある聖地だとか)

付録~Kさんについて~

―――休日はどのように過ごしているのですか?

基本は家から出ないことが多くて、家でずっと『ポケットモンスター バイオレット』をしています。あとはポムポムプリンが好きで、サンリオピューロランドに買い出しに行きました。キャラクターグッズを集めるのが好きで、部屋に飾っています。

―――家電量販店で音響機器を見るのもお好きだそうですね。

JBLのスピーカーとか、音がいいものをチェックするのは楽しいですね。仕事はしたくないですけど、こういう好きなものを買ったり、安定した生活を維持したりするためには、お金も必要ですから。そのためには今の仕事をしっかり続けていくつもりです。

(Kさんの好きなキャラクターたちのぬいぐるみ。普段出かけないKさんもわざわざ購入しに行ったとのこと)
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