
障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事に制限があるときの暮らしを支える制度です。
しかし、「自分や家族は受給できるのか?」「月額・年額はいくらくらいか?」「手続き方法がわからない」といった疑問や不安を抱える方は少なくありません。
そこで本記事では、障害年金の仕組みや受給額の目安、申請方法、障害年金以外の支援制度について、障害のある方に向けた就労移行支援、リワーク(復職支援)、自立訓練(生活訓練)を提供しているKaienが解説します。
障害年金とは
障害年金は、病気やけがで生活や仕事に支障が出たとき、要件を満たせば国から受け取れる公的年金です。「年金」というと高齢者というイメージがあるかもしれませんが、障害年金は現役世代でも受け取れ、暮らしを支えるお金として活用できるのが特徴です。
障害年金には大きく分けて障害基礎年金と障害厚生年金があり、初診日や保険料の納付要件、障害等級などによって受給できるかどうかが決まります。主な受給者は20〜64歳の方ですが、20歳前や60歳以上65歳未満でも受け取れる場合があります。
2026年度の年額は、障害基礎年金が等級に応じて約85万〜106万円以上です。障害厚生年金は、給与や年金加入期間などによって変わります。
障害年金の種類と受給要件・対象者・受給額の違い
障害年金は種類がいくつかあり、違いがわかりにくいと感じる方も多いでしょう。障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、別途受け取れる一時金として障害手当金があります。
| 障害基礎年金 | ・国民年金に加入していた期間などに初診日がある方が対象・障害等級は1級・2級 |
| 障害厚生年金 | ・厚生年金に加入していた期間に初診日がある方が対象・1級から3級まであり、1級・2級は障害基礎年金に上乗せして支給される |
| 障害手当金 | 厚生年金に加入していた期間に初診日があり、初診日から5年以内に治り、障害厚生年金より軽い障害が残ったときに受け取れる一時金 |
各種類について、違いを比較しながら解説します。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金は、どの年金制度に入っていた時期に初診日(はじめて医師の診療を受けた日)があるかによって、大きく分かれます。
会社員や公務員として厚生年金に入っている方は障害厚生年金、それ以外の方は障害基礎年金となる場合が多いですが、初診日の時点でどの年金制度に入っていたかで決まる点に注意が必要です。
以下に違いをまとめました。
| 項目 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
| 対象者 | 自営業・学生・無職等で国民年金に入っていた方、または20歳前初診の方 | 会社員・公務員等で厚生年金に入っていた方 |
| 受給要件 | ・初診日が、国民年金に入っていた間にある、または20歳になる前に初診日がある、または60歳以上65歳未満で、日本国内に住んでいる人の初診日である・障害の状態が、1級または2級にあてはまる・保険料の納付要件を満たしている | ・初診日が、厚生年金に入っていた間にある・障害の状態が、1級・2級・3級にあてはまる・保険料の納付要件を満たしている |
| 平均年金月額 ※ | 7万4,691円 | 10万4,130円 |
※日本年金機構「日本年金機構の主要統計(令和6年度版)」
受給額については、後ほど詳しく説明します。
障害手当金との違い
障害手当金は、厚生年金に入っている間に初診日がある病気やけがにより、一定の障害が残ったときに受け取れる一時金です。
以下の点を押さえておくと、制度をイメージしやすくなるでしょう。
- 厚生年金に入っていた方が対象
- 障害年金より軽い障害が残った場合の制度
- 障害手当金は一時金
障害年金との違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 障害手当金 | 障害年金 |
| 制度の位置づけ | 一時金(1回だけ受け取る) | 継続的に支給 |
| 障害の程度 | 障害厚生年金より軽い障害 | 障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級~3級 |
| 対象 | 厚生年金の加入中に初診日がある方 | 初診日に国民年金・厚生年金に加入していた方など |
| 支給の条件 | 初診日から5年以内に治った病気やけがで、障害が残ったとき | 障害認定日などに定められた障害の状態にあるとき |
このように区別されているため、原則として、同じ傷病について障害手当金と障害年金を同時にはもらえません。
障害年金はいくらもらえる?平均受給額の目安
障害年金について「平均受給額はいくらか?」「最低どれくらいもらえるのか?」などを知りたい方も多いでしょう。種類ごとの受給額の目安を以下にまとめました。
| 種類 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
| 平均受給年額 | 年額89万6,292円 | 年額124万9,560円 |
| 平均受給月額 | 月額7万4,691円 | 月額10万4,130円 |
| 年額の最低金額 | 84万4,900円 ※2級で子がいない場合 | 63万3,700円 ※3級の最低保障額 |
| 月額の最低金額 | 約7万408円 | 約5万2,808円 |
実際には、子どもの数や配偶者の有無、給与や賞与、加入期間などによって受給額が増減し、上限はありません。そのため、ご自身で受給額を見積もる必要があります。
次項から受給額の見方や計算の仕方を解説します。
なお、平均受給額については日本年金機構のデータ(令和6年度末)を参照しました。
出典:日本年金機構「日本年金機構の主要統計(令和6年度版)」
障害基礎年金の平均受給額
令和6年度末の障害基礎年金の平均受給額は年額89万6,292円、月額7万4,691円でした。等級や子の加算額などで差が出るため、参考程度にしてください。
障害基礎年金は、等級が同じなら基本額は共通で、そこに子の加算額が上乗せされる仕組み(上限なし)となっています。
| 等級 | 年額 | 月額の目安 |
| 1級(昭和31年4月2日以後生まれ) | 105万9,125円+子の加算額 | 約8万8,260円+子の加算額 |
| 1級(昭和31年4月1日以前生まれ) | 105万6,125円+子の加算額 | 約8万8,010円+子の加算額 |
| 2級(昭和31年4月2日以後生まれ) | 84万7,300円+子の加算額 | 約7万608円+子の加算額 |
| 2級(昭和31年4月1日以前生まれ) | 84万4,900円+子の加算額 | 約7万408円+子の加算額 |
参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
子の加算額は、2人まで1人につき24万3,800円、3人目以降は1人につき8万1,300円です。「子」の対象となるのは、18歳になって最初の年度末までの子、または20歳未満で一定の障害の状態にある子どもです。
障害厚生年金の平均受給額
令和6年度末の障害厚生年金の平均受給額は年額124万9,560円、月額10万4,130円でした。ただし、加算の有無などによって差が出るため、あくまで目安と考えてください。
障害厚生年金は、給与や賞与、加入期間によって金額が変わります。基本額がほぼ共通している障害基礎年金とは異なり、「報酬比例の年金額(過去の報酬に応じて決まる金額)」をもとに計算されるためです。
報酬比例の年金額は、「平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 平成15年4月以後の被保険者期間の月数」という計算式で求め、上限はありません。
| 等級 | 年額の計算式 |
| 1級 | (報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金額(24万3,800円) |
| 2級 | (報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金額(24万3,800円) |
| 3級 | 報酬比例の年金額 |
参考:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
3級には最低保障額があります。昭和31年4月2日以後生まれの方は63万5,500円、それ以前の生まれの方は63万3,700円です。
障害年金の申請方法【5ステップ】
障害年金を申請する手順は、以下の5つのステップに分けられます。
| 手順 | やること |
| 1.年金事務所での要件確認 | 初診日や加入状況、必要書類などを窓口で確認する |
| 2.受診状況等証明書の取得 | 初診日を証明する書類を最初の受診先で作成してもらう |
| 3.診断書の依頼 | 現在の障害の状態を示す診断書を主治医に依頼する |
| 4.必要な書類の提出 | 請求書や診断書などをそろえて窓口へ提出する |
| 5.審査・結果通知を受け受給開始 | 提出後に審査を受け、認定されると年金の支給が始まる |
各ステップについて詳しく解説します。
1.年金事務所での要件確認
障害年金を検討し始めたら、まずは「ねんきんダイヤル」や年金事務所、街角の年金相談センターに事前相談してみましょう。
窓口では、受給の見込みや必要書類などについて教えてもらえます。窓口相談は予約もできます。
相談に行く際は、基礎年金番号がわかるものを持参しましょう。年金手帳、基礎年金番号通知書、年金証書などが使えます。
あわせて、本人確認書類も必要です。障害者手帳も本人確認書類として使えます。
お近くの窓口を探す際は、以下のサイトが役立ちます。
参考:ねんきんダイヤル「年金相談に関する一般的なお問い合わせ」
参考:日本年金機構「全国の相談・手続き窓口」
2.受診状況等証明書の取得
受診状況等証明書は、初診日(はじめて医師や歯科医師の診療を受けた日)を確認するための書類です。障害年金の申請時に必要になるため、準備しておきましょう。
受診状況等証明書は、最初に受診した医療機関で記入・証明を受ける必要があります。現在、別の医療機関にかかっている場合でも、最初の受診先に依頼してください。
証明書の作成費用は自己負担となります。
3.診断書の依頼
診断書は、障害の状態を確認するための書類です。障害年金では、病名に加えて、日常生活や仕事への影響なども審査されるため、請求時に所定の様式の診断書が必要になります。
診断書には、「障害認定日より3か月以内の現症のもの」という要件があります。そのため、基本的には現在の主治医に「障害年金の請求用診断書を書いてほしい」と依頼してください。
このとき、診断書は障害の内容によって様式が異なるため、ステップ1の窓口で案内された診断書の様式を伝えておきましょう。
4.必要な書類の提出
必要な書類がそろったら、年金請求書と一緒に提出します。必要書類と提出先をまとめました。
| 必要書類 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
| 請求書 | 年金請求書(様式第107号) | 年金請求書(様式第104号) |
| すべての方に必要な主な書類 | 診断書受診状況等証明書病歴・就労状況等申立書戸籍謄本など通帳など | 同左 |
| 家族がいる場合の追加書類 | 子に関する戸籍謄本住民票収入確認書類など | 同左 |
| 提出先 | 市区町村役場、年金事務所、街角の年金相談センター | 年金事務所、街角の年金相談センター |
これらの必要書類と提出先は、ステップ1の窓口に相談する際に聞いておくとスムーズです。
5.審査・結果通知を受け受給開始
必要書類を提出すると、日本年金機構で障害の状態や支給要件の審査が行われます。審査では、診断書や受診状況等証明書などをもとに、受給要件を満たすかどうかが確認されます。
結果が出るまでの目安は、請求書の提出から3か月程度です。ただし、障害の状態を詳しく確認する必要がある場合などは、通常より時間がかかる場合もあるでしょう。
支給が認定されると、年金決定通知書と年金証書が送られ、その後約1~2か月で振込が始まります。初回は、支払開始年月からの分がまとめて支払われます。
一方、認定されなかったときは、不支給決定通知書が届きます。納得できない場合は、地方厚生局内の社会保険審査官に審査請求が可能です。
障害年金以外に障害者が国からもらえるお金の種類
障害年金だけではなく、以下の制度も生活を支えるために活用できる可能性があります。
| 障害年金生活者支援給付金 | 所得が一定以下の障害年金受給者の生活を支える給付金 |
| 特別障害者手当 | 特別な介護が必要な方の負担を支えるための手当 |
| 特別障害給付金制度 | 過去の制度上の事情で障害年金を受けられない方を支える制度 |
それぞれについて、詳しく解説します。
障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金とは、障害基礎年金を受給している人のうち、年間所得が一定金額より低い人に対して、生活支援を目的として支給される給付金です。障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金に上乗せして受給することができます。
障害年金生活者支援給付金は、具体的には下記の要件を満たす人が受け取れます。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得が4,794,000円(※扶養親族の数に応じて増額あり)以下である
なお、上記の前年の所得には、障害年金などの非課税の収入は含みません。
給付額は、2026年現在、障害1級の場合は月額7,025円、障害2級の場合は月額5,620円となっています。給付額は、毎年度、物価の変動によって改定されます。
参考:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
特別障害者手当
特別障害者手当とは、精神または身体に著しく重度の障害がある人の精神的・物質的な負担を軽減するために支給される手当です。
特別障害者手当の支給対象となるのは、精神または身体に重度の障害があり、日常生活において常に特別な介護を必要とする在宅の20歳以上の者です。
支給額は、2025年4月以降の適用額は、月額30,450円です。支給されるタイミングは毎年2月、5月、8月、11月の4回で、それぞれの月に前月分までの手当が支給されます。
なお、特別障害者手当には所得制限があります。障害のある受給資格者本人、あるいはその配偶者または扶養義務者(同居する父母など)の前年の所得が一定の額(所得限度額)以上であるときは手当は支給されません。
所得制限の所得限度額は、例えば下記の通りです。詳細は厚生労働省の「特別障害者手当について」のページで確認できます。
【特別障害者手当の所得制限表】(単位:円、2021年8月以降適用)
| 受給資格者本人 | 受給資格者の配偶者および扶養義務者 | |||
| 扶養親族 | 所得額 | 収入額の目安 | 所得額 | 収入額の目安 |
| 0人 | 3,604,000 | 5,180,000 | 6,287,000 | 8,319,000 |
| 1人 | 3,984,000 | 5,656,000 | 6,536,000 | 8,586,000 |
| 2人 | 4,364,000 | 6,132,000 | 6,749,000 | 8,799,000 |
出典:厚生労働省「特別障害者手当について」
※所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額。収入額は、給与所得者を例に給与所得控除額を加えて表示した額。
特別障害給付金制度
特別障害給付金制度とは、障害となった病気や怪我の「初診日」の時点で国民年金に加入していなかったため障害基礎年金などを受給できない人に対して、救済する制度です。
特別障害給付金を受給できるのは、下記の要件に当てはまる人で、障害基礎年金や障害厚生年金、障害共済年金などが受給できない人です。
【特別障害給付金の受給対象者】
- 1991年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生
- 1986年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者などの配偶者であって、当時、任意加入していなかった期間内に初診日があり、現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害の状態にある者。(ただし、65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当し請求された者に限る)
出典:厚生労働省「特別障害給付金制度について」
なお、給付金を受けるためには、厚生労働大臣の認定が必要になります。
支給額(2026年度適用額)は、障害1級の場合は月額58,650円、障害2級の場合は月額46,920円です。特別障害給付金の月額は、前年の消費者物価指数の変動に合わせて毎年度見直されます。
参考:日本年金機構「特別障害給付金制度」
障害者の方を支える医療費や生活費を支える制度
先述した生活費を直接支える制度だけでなく、医療や福祉サービスなどの利用を支援し、間接的に生活を支える以下の制度もあります。
| 障害者手帳 | 福祉サービスや各種支援を受けやすくするための手帳 |
| 自立支援医療 | 医療費の自己負担を軽くするための制度 |
| 障害者医療費助成制度 | 医療費の負担を自治体が助成する制度 |
詳しく解説します。
障害者手帳

障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3つの手帳の総称です。それぞれの手帳について、交付される対象は下記のように異なります。
- 身体障害者手帳:身体機能に一定以上の障害があると認定された人に交付される手帳
- 療育手帳:知的障害があると判定された人に交付される手帳
- 精神障害者保健福祉手帳:一定程度の精神障害の状態にあると認定された人に交付される手帳
障害者手帳の交付を受けることで下記のような、経済的支援を受けることができます。
- 障害者雇用枠で就職できる
- 所得税や住民税などの納税において障害者控除を受けられる
- 公共交通機関や公共施設の利用料金の割引を受けられる
- 自立支援医療費制度などの医療費の助成を受けられる
上記以外でも、各自治体や民間事業者が障害者手帳を持つ人に向けて独自に提供するさまざまな支援サービスを受けることが可能です。
それぞれの障害者手帳の申請手続きについては、お住まいの市区町村の担当窓口に問い合わせましょう。
自立支援医療
自立支援医療とは、心身の障害を治療する際に必要な医療費の自己負担額を軽減するための公的な支援制度です。
自立支援医療には下記3種類があり、支援を受けられる対象者はそれぞれ下記の通りです。
- 精神通院医療:統合失調症などの精神疾患のある者で、通院による継続的な精神医療が必要な者が対象
- 更生医療:身体障害者手帳の交付を受けた者で、手術などの治療により確実に障害の除去・軽減が期待できる者が対象
- 育成医療:身体に障害を有する18歳未満の児童で、手術などの治療により確実に障害の除去・軽減が期待できる者が対象
この自立支援医療制度により、医療費の自己負担額は軽くなりますが、どの程度軽くなるかは、医療保険の世帯ごとの所得水準によって異なります。
精神通院医療・更生医療では、一般的には医療費の自己負担が3割であるところ、1割に軽減されます。育成医療では、所得に応じて自己負担額が変わるものの月額0円~10,000円の自己負担ですみます。
医療費の自己負担軽減の具体的な内容は下記の通りです。
【自立支援医療制度による自己負担額】
| 精神通院医療・更生医療 | 育成医療 | |
| 生活保護世帯 | 月額0円 | 月額0円 |
| 市町村民税非課税などの低所得世帯 | 月額2,500~5,000円 | 月額2,500~5,000円 |
| 市町村民税235,000円未満(年収833万円未満)の中所得世帯 | 総医療費の1割または高額療養費(医療保険)の自己負担限度額 | 月額5,000~10,000円 |
| 市町村民税235,000円以上(年収約833万円以上)の世帯 | 対象外 | 対象外 |
出典:厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」
障害者医療費助成制度
障害者医療費助成制度は、障害者の福祉向上を図るため、国や都道府県、市区町村などが医療費の自己負担額の一部または全額を助成する制度です。実施主体となる都道府県や市区町村によって障害者医療費助成制度の名称は異なります。
例えば、東京都の場合は、「心身障害者医療費助成制度(マル障)」が設けられています。マル障は、重度心身障害者の人が健康保険で受診した医療費の自己負担分(一部)を助成する制度です。
対象者は下記のような人です。
- 身体障害者手帳1級・2級の人
- 愛の手帳(療育手帳)1度・2度の人
- 精神障害者保健福祉手帳1級の人
ただし、所得が一定の限度額を超える人や生活保護の対象者、65歳以上ではじめて障害者手帳を取得された人などは対象外となります。
医療保険の対象となる医療費、薬剤費などの自己負担が、住民税非課税者の場合はゼロ、住民税課税者の場合は1割の負担ですみます。
参考:東京都福祉局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」
障害年金だけでなく「働き方」も選択肢になる!無理のない就労を支える支援サービス

障害年金は働いている方も対象です。現在離職中の方や就労経験のない方のなかには、働く準備を進めたいとお考えの方もいるでしょう。
こうした場合に利用できるのが、無理のない就職活動と就労を支援する福祉サービスです。こうした福祉サービスは、経済的な負担も抑えながら利用できます。
次項から、どのような福祉サービスを活用できるのかについて、発達障害*や精神障害の方向けの支援で実績のある「Kaien」の支援例を交えながら紹介します。
Kaienは支援の現場から最新情報をお届けしています。興味をお持ちの方は、お気軽にご登録ください。

就労移行支援
就労移行支援は、障害や特性のある方が一般就労を目指すときに使える福祉サービスです。
一般的な就職支援サービスより手厚い個別支援を受けられ、専門的な知識を持ったスタッフも在籍しています。
Kaienでは以下のようなプログラムで「自分の強みを活かした就職」を支援しています。
【プログラム例】
- カウンセリング:特性や体調に配慮した相談支援
- アセスメント:特性や得意不得意の整理
- 求人紹介:障害者雇用ではKaien独自の求人紹介もあります
- 100種類以上の職業訓練:就職に役立つビジネススキルを習得
- SST:日常生活や対人関係を円滑に送るためのソーシャルスキル・トレーニング
- 就職後の定着支援:困りごとの相談、合理的配慮を受ける支援など
- 家族向けのペアトレ:障害特性や接し方などを学ぶご家族向けの支援プログラム
詳しい情報を知りたい方は、以下のページをご覧ください。
リワーク
リワークは、こころの不調などで休職・離職を経験した方が、復職や再就職に向けて心身の調子を整え、無理のない形で働く力を取り戻していく支援です。今すぐ働くのは不安がある一方で、少しずつ生活を整えたり、働き方を見直したりしながら、働く準備を進めたい方に向いています。
Kaienのリワークは、医療・心理・就労の専門スタッフが連携しながら、復職だけでなく、転職や再就職も見すえた支援を行っています。
【プログラム例】
- 自己理解講座:特性や再発しやすいパターンを整理する支援
- セルフケア・メンタルケア:生活リズムやストレス対処を整える支援
- スキルアッププログラム:無理のない社会復帰に向けた準備訓練
- カウンセリング:状態や課題に合わせた個別相談
- 対話的プログラム:安心して対人関係の練習ができるプログラム
- 定着支援:復職後、転職後の安定就労を支える支援
興味をお持ちの方は、以下で詳しい情報をご覧いただけます。
自立訓練(生活訓練)
自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が日常生活や社会生活を送りやすくするために、生活面の力を整えていく福祉サービスです。就職を急ぐというより、まずは自分に合う進路を考える土台づくりをしたい方に向いています。
Kaienの自立訓練(生活訓練)は、発達障害や精神障害の方の支援に強みがあり、進学・就職・福祉就労などの準備として活用していただいています。
【プログラム例】
- 感情コントロール:気持ちの波との付き合い方を学ぶ支援
- 睡眠コントロール:生活リズムを整える支援
- 人間関係・コミュニケーション:対人面を練習する支援
- 進路の検討:職場見学や体験を通じて将来を考える支援
- 生活スキル習得:スケジュール、片付け、お金の管理などを身につける練習
- 家族向けのペアトレ:ご家族が接し方を学べるプログラム
Kaienの自立訓練(生活訓練)について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
障害年金についてよくあるFAQ
Kaienでは、就職活動や社会活動に入る前の準備から支援をしています。そのなかで、障害年金についてよくご質問いただく内容にお答えします。
働きながらでも障害年金はもらえますか?
働きながらでも、障害年金を受けられる場合があります。
障害年金は、単に「働いているかどうか」だけで決まる制度ではありません。病気や障害による生活面や仕事面への制限が認められれば、働きながら受給できる可能性があります。
どの程度が「制限」と認められるかは一概には言えませんが、以下のような観点から総合的に判断されます。
- 病気や障害の原因や症状
- 治療の経過
- 日常生活の状況、困りごと
- 業務内容や職場での配慮の有無をふまえた仕事の状況
まずは、ねんきんダイヤルや年金事務所、街角の年金相談センターに相談し、受給の見込みがあるか確認してみてください。
障害者手帳がなくても障害年金は申請できますか?
障害者手帳がなくても、障害年金を申請できる場合があります。
障害年金と障害者手帳は別々の制度ですので、主に以下の要件を満たしているかどうかで判断されます。
- はじめて医師の診療を受けた日が、対象となる期間にある
- 障害の状態が、障害年金の基準にあてはまる
- 保険料の納付状況が、定められた条件を満たしている
手帳の有無は要件に含まれないため、障害者手帳を持っていなくても、障害年金の対象になる可能性があります。ねんきんダイヤルや年金事務所、街角の年金相談センターに問い合わせてみるとよいでしょう。
発達障害でも障害年金の受給は可能ですか?
受給できる可能性があります。発達障害は、障害年金の認定基準で「精神の障害」に含まれています。
ただし、診断名だけで決まるわけではなく、日常生活、対人関係、仕事でどのくらい支障があるかを総合的にみて判断されます。例えば、以下のように生活上、仕事上の困りごとが大きい場合は、受給が認められる可能性があります。
- 幼少期からの生活や学校での困りごとが続いている
- 家事や金銭管理、通院、服薬などに継続した支援が必要
- 職場や学校での対人関係や意思疎通などで特別な配慮が必要
- 発達障害の特性により、就職や仕事の継続が難しい
認定基準には、障害者向けの事業所で働く方だけでなく、特別な配慮や支援のもとで一般就労している方も対象であると明記されています。
参考:厚生労働省「国民年金・厚生年金保険障害認定基準について」
障害年金の受給で生活基盤を整えながら無理のないペースで就労を目指そう
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限があるときの暮らしを支える制度です。生活面や仕事上の困りごとを総合的にみて判断されるため、要件を満たすかわからない方は、ねんきんダイヤルや年金事務所、街角の年金相談センターに相談してみるとよいでしょう。
障害年金で生活基盤がある程度整ったら、無理のないペースで就労を目指してみてはいかがでしょうか。
Kaienは、障害や特性のある方が一般就労を目指す際に活用できる「就労移行支援」、復職・転職に向けて心身を整える「リワーク」、自立的な生活のための訓練を行う「自立訓練(生活訓練)」の3つの福祉サービスを提供しています。
福祉サービスの受給者証申請・取得から支援していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。
監修者コメント
障害年金をはじめとした国からの給付制度は、それが必要な人への正しい権利ですので、必要な場合にはしっかりと検討して欲しいものです。ただ、記事にある通り初診日要件が大事です。精神科であれば精神科の初診日にどの年金制度に入っていたかで基礎年金か厚生年金かが決まりますし、3級での支給が厚生年金にしかないのは時に盲点にもなるでしょう。自分が対象になりうるかは年金事務所に尋ねるとわかりますので、まずは問い合わせてみてください。
その上で、障害年金の診断書は主治医にとっても記載項目が多く、負担の大きい書類です。依頼の際には次の内容が伝わるとスムーズです。最初に精神科に罹った初診日、これまでの通院先(どこにいつからいつまで)、幼少期の発達の様子、学歴と職歴、今仕事をしているなら雇用形態や月給、職務内容、配慮の有無、そして「いつの時点」の診断書が必要と年金事務所に言われたか、です。
発達障害での申請では幼少期のエピソードを語れる保護者の名前が必要になることもあります。障害年金診断書は当事者と主治医の共同作業と考えて、これらの情報を一緒に確認してみてください。
尚、10年ほど前までは発達障害ではもらえないと言われた時期がありましたが、記事にある通り今では診断としては大丈夫です。働きながら受給されている方も外来にはおられます。主治医ともよく相談してくださいね。

監修 : 松澤 大輔 (医師)
2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。



