「自分を許してあげて」―未経験からMOS取得、大手銀行に内定した彼女が辿りついた答え

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大学で福祉を学んでいたものの、在学中からの体調不良や「自分を許せない」という強い葛藤に苦しんできたKさん。一時は不登校や引きこもりも経験した彼女が、就労移行支援での訓練を経て、大手銀行系企業の事務職として内定を勝ち取りました。短期間でMOS資格を取得し、苦手だった社会人マナーを克服した背景には、亡き父が夢でくれた「ある言葉」がありました。この記事では、彼女の再生の物語をお届けします。

この間行ったという和カフェの写真。まったりとした雰囲気がお好きなのだそう。

▼Kさんの簡単なプロフィール

・年齢:20代
・診断名:うつ病、広汎性発達障害
・特性:対人緊張、自分を責めてしまうこと
・就職先:銀行系企業(事務職)


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誰よりも自分が自分を許せない、そんな暗闇の中にいた思春期

―――子どもの頃の様子について伺いたいですが、どんなお子さんでしたか。

中学生の頃、精神的にかなり追い詰められていて、不登校を経験しました。当時は周りの目が気になって仕方なくて、「自分は変な匂いがするんじゃないか」と思い込んでしまうような強迫的な悩みも抱えていたんです。今になって思うのは、親や兄弟が私を責めていたわけではなく、一番私のことを許せていなかったのは、自分自身だったということです。そんな自分をどうにか変えたくて福祉系の大学に進学しましたが、やはりうつ病を患い、スムーズにはいきませんでした。

「ぼんやり」した不安を抱えて扉を叩いた、就労移行支援への第一歩

―――大学を卒業後、Kaien(就労移行支援)を利用しようと思ったきっかけは何だったのですか?

卒業後は「今後どうしていけばよいのか」と、将来がぼんやりとした不安に包まれていました。エンジニアのようなIT専門職がいいのか、それとも一般事務がいいのか、自分でも自分に向いている仕事が分からず、気持ちが定まっていなかったんです。

―――最初から事務職を志望していたわけではなかったのですね。

そうなんです。訓練で周りの人たちを見ているうちに、自分よりも圧倒的にIT知識が豊富な方がたくさんいて。「私は、もっと堅実な事務職で土台を作っていく方が合っているかもしれない」と、少しずつ方向性が見えてきました。

大学時代に授業の文字起こしやノートテイクをしていた経験もあったので、データを整理したり、入力したりする作業は元々嫌いではなかったんです。そういった自分の「好き」や「得意」を仕事に結びつけていこう、と思えるようになりました。

初心者から3ヶ月でMOS合格。事務の武器を手に入れるための徹底訓練

―――事務職を目指すと決めてから、具体的に取り組んだことはありますか。

PCスキルの向上です。Excelは授業で触ったことがある程度で、関数やデータ分析は全くの初心者でした。最初は「どうすればいいの?」とパニックになることもありましたが、支援員さんと相談して「Excelレベルアップ講座」を繰り返し受講しました。

その後、MOS(Microsoft Office Specialist)の資格の取得を目指して、およそ3ヶ月で合格できました。講座を一通り終えた後に「今の自分にどれだけスキルがあるか証明したい」と思ってチャレンジしたんです。目標があったからこそ、集中して取り組めました。「事務スキル」という武器ができたことは、大きな安心材料になりました。

社会の洗礼と「立ち上がること」の意味。実習で見つめた自分の課題

―――順調にスキルを磨く一方で、企業実習では少し苦い経験もされたと伺いました。

はい。実習先でのフィードバックで「社会経験が浅い印象を受ける」と言われたことがあって……。事実ではあるのですが、当時はかなりショックで落ち込みました。「私の態度はそんなに酷かったのかな」って。

―――具体的にはどのようなアドバイスがあったのでしょうか。

例えば、上司が入室したり近づいてきたりした際に「すぐに席を立って挨拶をする」といった基本的な振る舞いです。カチッとした企業文化の中では当たり前のことかもしれませんが、当時の私にはそこまでの意識が回っていませんでした。

―――そのショックから、どうやって気持ちを切り替えたのですか?

スタッフの方に相談したら、「マナーは慣れや経験の積み重ねだから、これから身につけていけば大丈夫」とフォローしてくださって。それでようやく「失敗したけれど、次はこうしよう」と割り切ることができました。あのフィードバックがなければ、今の内定もなかったと思います。

生き物が好きで、特にシャチが好きとのこと。


「失敗して後悔したくない」。自主練習の末に掴んだ銀行への内定

―――就職活動の「軸」は何でしたか?

一番は「相談しやすい環境」です。私は心配性なので、フォローの手厚さや職場の穏やかさを重視していました。実際にお会いした社員の方々が、皆さん優しくて安心感があったのが決め手です。

―――面接対策も、かなり準備されていましたよね。

とにかく失敗して後悔したくなかったんです。支援員の方には「そこまでやらなくても大丈夫ですよ」と言われましたが、空き部屋を借りて一人で声出し練習をしたり、家でも想定質問への回答を暗記するまで繰り返したりしました。

また、福祉系から銀行系という、一見すると一貫性のないキャリアについても、「なぜこの道を選んだのか」を自分の言葉で整理して伝えられるように準備しました。ベストを尽くしたと言えるくらい、やりきりました。

「生きてて良かった」と思える瞬間を大切に。亡き父が夢で教えてくれたこと

―――いよいよ入社が近づいてきました。これからの目標を教えてください。

まずは仕事の安定よりも、「体調を安定させること」を第一目標にしたいです。うつ病を再発させないように、自分のペースを大切にしていきたいと思っています。

―――今のKさんなら、きっと自分を上手にコントロールしていけるはずです。最後に、同じように悩んでいる方や、過去の自分へ伝えたいメッセージはありますか?

思春期の頃の私のように、周りの目が気になって自分を責めている人に伝えたいのは、「もっと自分に甘くなっていいよ」ということです。実はこの言葉は、亡くなった父が夢に出てきて言ってくれた言葉なんです。「誰がそんなにお前を責めるんだ? 親か? 兄弟か? 違うだろ。お前自身が一番、自分を許してないんじゃないか?」って。その言葉にハッとしました。フリースクールの恩師にも「生きてて良かったと思える瞬間が、長生きすれば必ず来る」と言われました。今の私は、大好きな推し活を楽しめていて、あの頃には想像できなかった「生きてて良かった」の中にいます。だから、一人で抱え込まずに、まずは誰かに相談してみてほしいなと思います。

時々宇宙に思いを馳せることも…。


付録推しが広げてくれた世界と、ファンタジーの魔法

―――ここからは少しリラックスして、Kさんのプライベートについても教えてください。休日はどのように過ごされているんですか?

基本はインドア派で、動画を見たり漫画を読んだりしています。でも最近は、推しの影響でカフェ巡りや某百貨店で開催された「英国展」に行きました。

推しの二次元のゲームキャラクターが、イギリスがモチーフの推しなので、その影響で紅茶にハマってしまって。ぬいぐるみを連れて行って、一緒に写真を撮ったりするのが本当に楽しかったです。

―――推しが世界を広げてくれたんですね。好きな作品のジャンルはあるのでしょうか。

ファンタジー系が大好きです。最近だと『葬送のフリーレン』にはまりました。

1話目からもうグッときて、人外のフリーレンが人間を知ろうとする過程とか、仲間との独特の関係性がすごく好きなんです。もともとは姉に布教されてハマったのですが、今では私の方が夢中かもしれません。

―――別の世界に没入できる楽しみがあるのは素敵ですね。

はい。コロナ禍で家にいた時期に推しに出会えたおかげで、今の私の日常はすごく彩り豊かになりました。他には、仕事が始まったら、自分へのご褒美にまた新しい紅茶を買うのが楽しみです!

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