前職での経験からPTSDを発症し、一時は引きこもり状態に陥ってしまったOさん。しかし「このままではいけない」と勇気を出して就労移行支援サービスの利用を始め、少しずつ過去と向き合いながらトラウマを克服していきました。未経験からのプログラミング学習では、持ち前の「真面目さ」を発揮して着実にスキルを習得。今回は、ITインフラエンジニアとして内定を獲得するまでの道のりや、独自の就活ノウハウについて詳しくお話を伺いました。

▼Oさんの簡単なプロフィール
- 年齢: 20代
- 診断名: 軽度のADHD、PTSD
- 苦手なこと: 手を動かしていないと落ち着かないこと、他人が何に腹を立てるかが分かりにくいこと、ゼロからデザインを作り上げること
- 利用サービス: 就労移行支援
- 就職先: IT業界(インフラエンジニア)
目次
気分の波が激しかった幼少期。手を動かしていないと落ち着かない特性も
―――まずは、Oさんの幼少期について教えてください。子供の頃はどのようなお子さんでしたか?
気分の上げ下げが激しいというか、感情のアップダウンがすごく激しい子どもでした。小さい頃に軽度のADHDという診断を受けています。
―――ご自身の性格を一言で表すなら、どのような性格でしょうか。
周りからはよく「真面目だね」と言われますね。
―――ご自身の特性で、周囲と少し違うなと感じる部分はありましたか?
何か作業の説明を聞く時などに、手を動かしていないと落ち着かないところがあります。何か作業をしていないと少しソワソワしてしまうんです。
―――なるほど。現在、日常生活やお仕事の中で苦手だと感じることはありますか?
先ほどお話しした「手を動かしていないと落ち着かない」というのもそうですが、他の人が何に対して腹を立てるのかが分かりにくい部分があります。よく「自分がされて嫌なことは他人にしない」と言われますよね。でも、私は自分がされて嫌だと感じる許容基準がかなり広いみたいで、自分自身は全く気にしないようなことでも、他の人はすごく気にするということが結構あるんです。
PTSDによる引きこもり生活。「一歩を踏み出すため」にKaienへ
―――前職ではどのようなお仕事をされていたのでしょうか。
新卒で入社した家電量販店で、販売の仕事をしていました。最初の約2年間はパソコンコーナーを担当し、退職する直前の約1年間は白物家電コーナーにいました。
―――パソコンコーナーでのご経験が、IT業界に興味を持つきっかけになったのですか?
そうですね。実は接客中に、お客様から「プログラミングってどうやって勉強するの?」と聞かれたことがあったんです。その時に全く答えられなくて、「パソコンコーナーの販売員としてこれではまずいな」と痛感しました。それがきっかけで、開発やプログラミングの勉強環境について自分で調べ始めたのが最初でした。
―――そこからKaien(就労移行支援)を利用しようと思ったのは、どのような経緯だったのでしょうか。
Kaienを知ったのは母からの勧めだったのですが、直接のきっかけは前職での経験です。職務中にPTSDを発症してしまい、休職を経て退職することになりました。その後、ほぼ引きこもりのような状態になってしまって、本当に3ヶ月間、家から一歩も出ないような生活が続いていました。「さすがにこのままではやばい」と思い、外に出るきっかけを作るためにKaienの見学に行ったんです。
「話す」ことで過去と向き合う。安心できる場で少しずつ自己開示
―――訓練に参加される上で、当初の目標は何でしたか?
一番の目標はPTSDの克服でした。それに加えて、前職で働きながらIT系への憧れを持っていたので、そちらへのキャリアチェンジも実現できればと思っていました。
―――実際に訓練を通して、ご自身の中で変化を感じた部分はありますか?
はい。Kaienでの訓練を通して「話す」ことができるようになりました。金曜日に開催されている「アーリーバード」というプログラムや、「しゃべり場」というフリートークに近い場で話す経験を重ねることで、少しずつ自分の思いを吐き出すことができるようになり、受け入れてもらえたことが大きな助けになりました。そのおかげで、PTSDに関しては今ではほぼ完治に近い状態まで回復しています。
未経験からのプログラミング。ノート2冊分の努力とAIの積極活用
―――IT系の学習についてもお伺いします。クリエイティブコースではどのようなプログラムに参加されましたか?
主にUdemyを使った学習と、Webアプリケーションの作成を行いました。
―――プログラミング言語としてJavaを選んだ理由は何だったのでしょうか。
Kaienに入る前に求人情報を調べていたのですが、半分以上の企業で「Javaの知識が有利」「Javaの研修がある」と記載されていたからです。また、事前にいくつか面接を受けた際にも、8割方の企業から「Javaはできますか?」と聞かれたので、就職に有利だと判断して選びました。
―――未経験からJavaの学習は大変だったと思いますが、どのように進めましたか?
Udemyの初心者向けJava講座を視聴しながら、その内容を自分の言葉でノートに書き出していました。同時に実際に手を動かしてコードを書くということを並行して行いました。気がつけば、B5サイズのキャンパスノートを2冊使い切っていましたね。


―――すごい努力ですね!実際にアプリを開発する中で、苦労した点や工夫した点はありますか?
課題で出された架空の商店向けの商品管理アプリケーションの作成に一番力を入れました。HTMLやCSSも含めるとファイル数が50を超え、Javaだけでも35〜36ファイルあったので、エラーが出た時にどのファイルを直せばいいのか迷子になることが多かったです。
―――エラーの解消にはどのように対応したのでしょうか。
最初は一行ずつコードを読んでいたのですが、途中からはAIを活用しました。エラー画面の文章をコピーしてAIに貼り付け、「どこがエラーですか?」と聞いてファイルに当たりをつけ、修正するようにしていました。他にも、苦手だったUI(デザイン)の部分でCSSのコードを貼って相談したりもしましたね。
独自のメモ帳活用法で企業を分析。周囲への相談で開けたインフラへの道
―――就職活動において、学習した経験はどのように活きましたか?
今回、ITインフラ系の企業から内定をいただいたのですが、面接で「なぜインフラなのか?」と聞かれた時に、JavaやSQLの学習知識があったおかげで、通信部分やデータベースの話をする際に説得力を持たせることができました。また、前職時代に大規模な通信障害が起こって仕事が止まってしまった経験があり、その経験と学習内容を掛け合わせてアピールできたのが良かったと思います。
―――企業選びの軸と、今の会社に決めた理由を教えてください。
就活の軸はワークライフバランスです。年間休日が120日以上あり、プライベートとしっかり分けられる環境を探していました。内定を受諾した会社はそこがしっかりしていたことと、未経験へのフォロー体制が手厚いと感じたことが大きな決め手です。
―――就活を振り返って思うことはありますか?
もっと早く就活エージェントや周囲の人に相談すれば良かったです。最初の2ヶ月ほどは一人で求人サイトから応募して連戦連敗だったのですが、エージェントやKaienのスタッフさんに相談したら、履歴書の添削などもしてもらえて、内定に繋がりました。
仕組みを知る楽しさを実感。5年後は上流工程に携わるエンジニアへ
―――今後の目標や、どんなエンジニアになりたいか教えてください。
まだ少し漠然としていますが、5年後を目処に上流工程、つまりお客様との折衝などの業務に携われるようになっていきたいです。プライベートでは、年間休日130日くらいを取得して、ちょくちょく旅行に行きたいなと思っています。
―――入社に向けて、現在学習されていることはありますか?
今はCCNAという資格の勉強と、Linuxサーバーの簡単な動かし方を並行して学習しています。
―――インフラの学習をしていて、楽しいと感じる部分や難しいと感じる部分はどこですか?
普段何気なく使っているシステムが、実際にはどう動いているのか、詳細な仕組みが分かっていくのはすごく楽しいです。ただ、専門用語がとても多くて、どうしてもアルファベットの略語が多くなるので、それを覚えるのには苦労しています。整理するためにノートに書き出しているのですが、もうすぐ大学ノートが1冊終わりそうです(笑)。
【付録】~Oさんについて
―――お休みの日はどのように過ごされることが多いですか?
基本的にはインドア派で、家でゆっくり過ごすことが多いです。
―――ペットを飼われているとお聞きしました。どんなペットですか?
猫とウサギを飼っています。猫の方が今7歳で、ウサギが2歳になりますね。
―――普段はどんな風にペットと遊ばれているんですか?
猫じゃらしで遊んであげたり、向こうからちょっかいを出しに来た時に相手をしたりしています。


―――とても癒されそうですね。ここ最近で一番楽しかったことや嬉しかったことは何ですか?
やっぱり、先月内定が出たのが一番嬉しかったですね。その時、ちょっとした打ち上げとしてCoCo壱番屋に行って、何も気にせずにトッピングし放題みたいなことをやりました。
―――いいですね!豪華なカレーになりそうです。
ちょっと卵をトッピングし過ぎましたけど(笑)。
―――頑張ったご褒美ですね!これからの新生活も応援しております。
またはお気に入りの場合は
いいねをクリック!
人気の記事はこちら
-
2026.3.3自己分析から見つけた私だけの仕事の処方箋
「昔から、周りの人が当たり前にできていることが、自分にはどうしてもできない……」。そんな違和感を抱えながら過ごしてきた今回の主人公。新卒での就職、そして早期離職を経て、再び「働くこと」に向き合うためにKaienの門を叩き […]
-
2025.11.10生活訓練で引きこもりから脱却。自分への信頼を取り戻したHさん
▪年齢:30代後半▪診断名:ASD・双極性障害(疑い)▪苦手なこと:生活リズムと睡眠の管理▪出口:Kaienの就労移行支援 目次1 気分障害による不眠が離職の原因に2 ほかの利用者との目標の近さと手厚いカウンセリングが決 […]
-
2024.12.26自己分析が、自分を知るきっかけに!Oさんが“第一希望の会社”に就職できた理由
▪年齢:40代後半▪診断名:ASD▪仕事における苦手なこと:臨機応変な対応、口頭指示、同時並行で作業を行う▪就職:専門職(IT・障害枠) 目次1 仕事で出会ったお子さんが、幼少期の自分と重なった2 テレビのニュース番組を […]
-
2025.11.10Kaienでの学びが導いた「自分らしく働ける場所」ーMさんが理想の職場を見つけるまで
▪年齢:20代後半▪診断名:ADHD、境界知能(IQ70)▪仕事における苦手なこと:マルチタスク、未経験のことを覚えること(時間がかかる)、複雑な説明が理解しにくい、見通しや優先順位付けが苦手▪就職:総務庶務(障害者雇用 […]
-
2026.3.10自立訓練での再出発。「生きるのに必死」だった私が安心できる職場と新たな夢を見つけるまで。
「自分はどこか変かもしれない」。幼少期から抱えていた違和感は、大人になり、社会の壁にぶつかる中で確信へと変わりました。一度はデザインの世界でプロとして歩み始めたものの、特性との折り合いがつかず、メンタルを崩してしまったH […]
-
2026.3.30IT未経験から内定4社獲得。自分の「脳の負荷」を客観視して掴んだ、Kさんの自分らしい働き方
「興味があることへの没頭力」という強みを持つ一方で、環境の変化や対人不安から体調を崩す経験をされたKさん。就労移行支援事業所でのプログラムを通じ、ITスキルだけでなく、働く上で不可欠な「課題解決力」や「自己管理術」を磨き […]
まずはお気軽に
見学・個別相談会に
来てみませんか?
当社サービスの説明、事業所見学、個別相談を行っています。全体で約1時間。参加は無料です。
日によっては当日体験も可能。ご家族、支援者の方の同席もできます。ぜひお気軽にご来所ください。
