本記事は、Kaien公式YouTubeにて、Kaien代表取締役:鈴木慶太が毎週配信しているライブ配信番組「お悩み解決ルーム」2026年1月22日配信分より再構成したニュース記事です。

元NHKアナウンサー。自身の長男が発達障害の診断を受けたことをきっかけに、米国留学(MBA取得)を経て株式会社Kaienを設立。 「数的な凸凹があっても、強みを活かして働ける社会」を目指し、大人向けの就労支援から子ども向けの学習支援(TEENS)まで幅広く事業を展開している。 経営者として、また一人の親としての視点を交えた発信は、多くの当事者・家族から支持を得ている。
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目次
記事の概要
2026年1月21日、株式会社Kaien代表の鈴木が「障害者の就労支援に関する基礎的研修」を受講し、無事合格しました。この研修は、就労移行支援や就労定着支援の支援員が今後必ず受けなければならない国家資格化を見据えた研修です。本記事では、研修の内容、課題、そして支援現場への示唆をまとめます。
研修の概要
研修の構成
オンデマンド研修
- 動画視聴だけで2日間(10時間以上)
- 自分のペースで受講可能
- ただし、スマホ対応が不十分で操作にストレス
対面研修
- 上野の障害者職業センターで実施
- 講義形式
受講のきっかけ
この研修は、約2年後から義務化される予定です。つまり、この研修を受けていないと就労支援員として働けなくなります。鈴木も「ようやく制度義務化が始まっても支援員でいられる」と語っています。
研修内容の評価
良かった点
包括的なカリキュラム
- 労働法の基礎
- 障害福祉制度の全体像
- 就労支援とは何か
- 支援者としての技法
- 企業の視点
- 障害特性の理解
多岐にわたる内容が体系的に学べる設計になっています。
課題:「基礎的」なのに難しすぎる
鈴木は率直にこう語ります。
「基礎的な研修なのに、私には物足りないというのはおこがましいですが、一方で基礎の人には難しすぎる。もう少しシンプルにして、基礎の人に寄り添った内容にすべきでは」
具体的な問題点:
- 情報量が多すぎる
- 10時間超の動画
- 幅広すぎる対象範囲
- 初学者がついていくには負担が大きい
- 実務と乖離したラベリング
- 知的障害はこう、身体障害はこう、発達障害はこう、精神障害はこう……
- 障害種別ごとに整理された教え方
- しかし現実の支援対象者は、そんなに単純に分類できない
- 技術的な不備
- オンデマンド研修がスマホ対応していない
- パソコン操作を前提とした設計
- 移動中などの隙間時間に学習しづらい
現場からの視点:「人はラベルで分けられない」
研修が前提とする「障害種別ごとの支援」
基礎的研修では、教えやすさのために次のような整理がされています。
| 障害種別 | 支援のポイント(研修での説明) |
| 知的障害 | こういう配慮が必要 |
| 身体障害 | こういう対応をする |
| 発達障害 | こういう特性がある |
| 精神障害(うつ) | こう接する |
| 精神障害(統合失調症) | こう支援する |
これは確かにわかりやすい。しかし、正確ではない。
Kaienが実践する「複合的アセスメント」
鈴木はこう説明します。
「精神と発達を綺麗に分けられるほど、人間は単純ではない。診断名に頼りすぎず、その人の原因や症状を分析していく——それがKaienの支援です」
Kaienのアセスメントの視点:
- 変わらないもの
- 生まれる前の環境(家庭環境、経済状況、地域)
- 先天的な特性(IQ、顔立ち、脳の特性)
- 変わるもの
- 生育歴(幼少期の体験、学校生活)
- 現在の環境とストレス
- 複合的に見る
- 「純粋な発達障害」の人も、その後の傷つき体験で二次的な精神症状を持つことが多い
- 「精神障害」と診断された人も、先天的な脆弱性(発達特性)を持っていることが多い
- 福祉につながる人は、3ヶ月〜6ヶ月で復職できなかった人——つまり環境要因だけでは説明できない
結論:
「いわゆる精神と言われている人も発達の傾向が見られるし、発達障害の人も傷つきやすい。大抵の場合、どっちもある。だから発達か精神かという区分けは、少なくともKaienではあまり考えていない」
今後の展望:国家資格化に向けて
資格化のメリット
- 支援員の質の底上げ
- 専門性の明確化
- キャリアパスの確立
期待される改善点
- 難易度の分化
- 基礎レベル:本当に初学者向けのシンプルな内容
- 応用レベル:より専門的で実践的な内容
- 国家資格化に伴い、段階的な設計が求められる
- 実務に即した内容
- ラベリングを超えた個別支援の考え方
- 複合的な課題を持つ利用者への対応
- チーム支援の方法論
- 受講環境の整備
- スマホ対応の充実
- 働きながら学べる設計
- アクセシビリティの向上
印象的なエピソード:16年越しの再会
研修会場で講師を務めていたのは、なんと2009年——Kaien創業時に鈴木が名刺を渡した相手でした。
「当時の名刺まで持っていらっしゃって。今とロゴも住所も全然違うんですけど、『あの時は面白かったですよ』と言われて、非常に恥ずかしい思いをしました」
16年の時を経て、受講者として再会する——障害福祉の世界の狭さと、長く続ける意義を感じさせるエピソードです。
まとめ:制度と現場の間で
「障害者の就労支援に関する基礎的研修」は、今後の支援員養成の土台となる重要な制度です。しかし同時に、いくつかの課題も見えてきました。
良い点:
- 包括的なカリキュラム
- 義務化による質の担保
- 専門性の確立
改善が必要な点:
- 基礎なのに難しすぎる内容
- ラベリングに頼りすぎた構成
- 受講環境の整備不足
最も重要なのは、鈴木が指摘する次の点です。
「人間はそんなにラベリングされていない。基礎研修ではある程度ラベリングして教えなければならないのは理解できるが、本来の支援者はその曖昧さや複雑さに対応できるべき——それがKaienです」
制度が整備されることは重要です。しかし、「人はラベルでは測れない」という現場の知恵を、どう研修に落とし込んでいくか——今後の課題といえるでしょう。
関連情報:
受講の様子は、後日YouTube動画としてアップロード予定です(5〜10分程度)。研修の雰囲気や具体的な内容について、より詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。
株式会社Kaienでは、毎週木曜日に「お悩み解決ルーム」をYouTubeライブ配信しています。チャンネル登録・高評価をお願いします。

