
「知能検査って何?」「WAIS-IV(ウェイス・フォー)で何がわかるの?」「受けると仕事や生活にどう役に立つの?」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
知能検査とは、単にIQの高さを測るものではなく、得意・不得意の傾向を把握し、困りごとの背景や対処法を考えるための手がかりとなる検査です。
この記事では、世界的に広く用いられているWAIS-IV(ウェイス・フォー)の概要から、検査でわかること、受検の流れ、結果の見方や活かし方までKaienがわかりやすく解説します。知能検査に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
知能検査とは?
知能検査とは、考える力や記憶する力、情報処理の速さなどを客観的に測定し、個人の得意・不得意の傾向を把握するための検査です。なかでもWAIS-IV(ウェイス・フォー)は、16歳以上を対象に認知の特性(いわゆる凸凹)を数値化できる検査で、自己理解や職場・学校での配慮につなげやすいものとして、世界中で広く活用されています。
知能検査は、IQの高低だけを評価するものではありません。得意・不得意の傾向を客観的に知ることで、苦手さへの対処法や強みの活かし方を考えるヒントになります。結果を上手に活用することで、生活や仕事をよりスムーズに進める工夫ができます。
知能検査でわかるのは「頭のよさ」ではない
知能検査は、IQの高さだけを測るものではありません。結果が点数として示されることはありますが、点数が高ければ良い、低いから悪いという単純な評価はできません。
知能検査では、言葉で考える力・見て考える力・記憶力・情報処理の速さなど、どの分野が得意でどの分野が苦手かといった認知の傾向や特徴を把握できます。
重要なのは、点数の高低で良し悪しを決めることではなく、どの力が相対的に得意で、どの場面で負荷がかかりやすいかを理解することです。そして、得意な力を活かし、苦手な部分への対処法を考えることで、日々の生活をよりすごしやすくする工夫につなげられます。
知能検査を受けるメリット
知能検査を受ける主なメリットは、次の3つです。
- 自分の得意・不得意を客観的に把握できる
- 困りごとの背景を説明しやすくなる。。
知能検査で、考える力や覚える力などの分野ごとの力を測ることで、自分の得意・不得意を客観的に把握できるようになります。
また、認知の凸凹を知ることで、例えば「言葉で考えることが苦手なため、伝えたいことがうまく伝わらない」といったように、困りごとの背景を具体的に説明しやすくなります。
さらに、苦手な部分や不得意な傾向を客観的に把握することで、学校や職場でどのような配慮があるとより力を発揮できるかを考えやすくなる点も大きな利点です。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)とは?大人の知能検査としてよく使われる理由

WAIS-IV(ウェイス・フォー)とは、心理学者のウェクスラーが開発したウェクスラー式知能検査の第4版です。16歳から90歳11カ月までの成人を対象とした知能検査で、言語理解や知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度など、複数の側面から認知機能を総合的に測定します。
この検査は発達障害の診断を直接決定するものではありません。しかし、発達障害のある方の認知特性や困りごとの背景を把握するために医療機関や支援機関で広く用いられています。
検査結果は、本人の得意・不得意を理解し、仕事や学習環境での支援や配慮を検討する上で重要な手がかりとなります。
検査時間は個人差がありますが、おおむね90〜120分が目安で、比較的時間を要する検査であることも特徴です。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)で見る4つの指標
WAIS-IV(ウェイス・フォー)では、主に次の4つの指標と、それらを総合した指標(全検査IQ)によって個人の特性を評価します。
| 指標 | 主にわかること |
| 言語理解(VCI) | 言葉で考える力、語彙力、説明する力 |
| 知覚推理(PRI) | 見て考える力、パターン把握、推理力 |
| ワーキングメモリー(WMI) | 聞いた情報を一時的に保持し、整理する力 |
| 処理速度(PSI) | 単純作業を正確かつ素早く行う力 |
言語理解(VCI)は、言葉で考え理解する力などを測る指標です。知覚推理(PRI)は、目で見た情報をもとに考えたり推理したりする力を示します。ワーキングメモリー(WMI)では、耳から入った情報を記憶にとどめ、整理しながら考える力を測定します。処理速度(PSI)とは、見て書き写すなどの単純作業を、正確かつ迅速に行う力を評価する指標です。
それぞれの指標でわかる具体的な特徴については、次章で詳しく紹介します。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)の4つの指標からわかること
WAIS-IV(ウェイス・フォー)の4つの指標それぞれの意味と、各指標における強みや弱みが日常生活や仕事でどのように現れやすいかを解説します。
言語理解(VCI)
言語理解(VCI)とは言葉や語彙を使って理解し、説明する能力です。言語にもとづく理解力、説明力、知識の活用などに関わる指標です。
言語理解が高い人にみられやすい特徴
言語理解が高い人にみられる特徴は次のようなものです。
- 言葉でまとめたり説明したりすることが得意
- 語彙が豊富
- 学校で習う知識がよく身についていて成績が良い
- 文章読解に強い
言葉を使って考えたり説明したりする力が高く、言語を介した学習や理解を得意とする傾向があります。
ただし、言語理解が高くても、対人コミュニケーションが得意とは限りません。理解力や説明力が高いことと、会話のやり取りのスムーズさは必ずしも一致しない点に注意が必要です。
言語理解が低い人に起こりやすい困りごとと対策
言語理解が低い人に起こりやすい困りごとには、次のようなものがあります。
- 言葉を正確に解釈できず、相手の意図と自分の理解にずれが生じる
- 長い文章や難しい言葉の内容を理解しにくい
- あいまいな表現や抽象的な説明が負担になる
これらの困りごとは、言葉による情報処理に時間がかかる・理解の手がかりが少ないことが背景にある場合が多いといえます。
そのため、次のような対策が有効です。
- 短く具体的に話してもらう:要点を絞った説明にすることで理解しやすくなる
- 図や実例を添えて説明してもらう:視覚的な情報が加わることで内容が理解しやすくなる
- 認識が合っているか確認する:聞き返すことで、誤解を防ぎやすくなる
知覚推理(PRI)
知覚推理(PRI)とは、見た情報を整理して全体像や法則性をつかみ、筋道立てて考える力を測る指標です。視覚的情報から関係性を見出し、論理的に推論する能力を評価します。
知覚推理が高い人にみられやすい特徴
知覚推理が高い人にみられる特徴には、次のような傾向があります。
- 図表・地図・イラストなどから情報を素早く理解できる
- 図やイラストからパターンや規則性を見つけやすい
- 図形問題、パズル、プラモデルなどの構造把握が得意
- 複雑な構造も図解にすれば理解できる
- 目の前の情報から因果関係を整理し、筋道立てて考えるなど論理的思考が得意
このような人は、視覚的な情報から全体像をつかむ力が高く、構造や仕組みを理解するスピードが速い傾向があります。そのため、図やレイアウトを使った説明や、実際に見て触れる体験を通じて理解を深める場面で力を発揮しやすいタイプです。
知覚推理が低い人に起こりやすい困りごとと対策
知覚推理が低い人に起こりやすい困りごとには、次のようなものがあります。
- 図表だけの説明では理解しにくい
- 地図や位置関係の把握が難しい
- 目で見た情報を整理するのに時間がかかる
これらの困りごとは、視覚的な情報をもとに全体像をつかむことや、構造を整理することに時間がかかる傾向が背景にあります。
ただし、この指標の得点が低いからといって「論理的思考が苦手」とは限りません。じっくり時間をかけて考えるタイプの人も、この指標が低くなる傾向があるためです。
困りごとの対策としては、次のような工夫が有効です。
- 視覚情報だけでなく言葉で補う:図や表、地図、位置関係の説明に言葉を添えることで理解しやすくなる
- 情報や手順を細かく区切る:一度に多くの情報を処理せず、段階的に整理できる
- 考える時間を十分に確保する:焦らず自分のペースで理解を深めることで正確さが増す
ワーキングメモリー(WMI)
ワーキングメモリー(WMI)とは、聞いたことを一時的に覚え、頭の中で整理しながら考える力を測る指標です。短期間で情報を保持し、必要に応じて操作・活用する力を示します。
ワーキングメモリーが高い人にみられやすい特徴
ワーキングメモリーが高い人にみられやすい特徴は次の通りです。
- 口頭で受けた指示を覚えやすい
- 複数の頼まれごとでも実行できる
- 暗算や暗記が得意
- 短時間で集中力を発揮できる
- 日常生活における計画や段取り、計算が得意
情報を一時的に保持しながら整理・処理する力が高いため、複数の作業を同時に進める場面や、口頭での指示を正確に理解する場面で力を発揮しやすい傾向があります。
ワーキングメモリーが低い人に起こりやすい困りごとと対策
ワーキングメモリーが低い人が抱えやすい困りごとには次のようなものがあります。
- 口頭で受けた指示が覚えられない
- 電話対応が難しい
- 複数のことを同時進行させるのが難しい
- 聞き取りながら情報を整理するのが難しい
- 音や光など周囲の刺激で集中力が途切れやすい
これらの困りごとは、聞いた情報を一時的に保持しながら整理・処理する力が弱いために起こりやすい傾向があります。
対策としては次のような工夫が有効です。
- メモを取る:聞いた内容をすぐに書き留めることで記憶の負担を減らす
- 指示を文章にしてもらう:視覚的に確認できる形にすることで理解しやすくなる
- 電話ではなくメールで対応してもらう:聞き間違いや記憶の抜けを防ぎやすくなる
- 一度に複数の指示を出さないようにしてもらう:情報量を減らし、整理しやすくする
- 静かな環境を整える:集中を妨げる刺激を減らし、作業効率を高める
処理速度(PSI)
処理速度(PSI)とは、見た情報を素早く処理し、単純作業を正確にこなす力に関わる指標です。
処理速度が高い人にみられやすい特徴
処理速度が高い人にみられやすい特徴には次のような傾向があります。
- 書き写しが早い
- 単純作業を迅速に正確に実行できる
- 短時間で多くの作業をこなせる
- 高い集中力を維持しながら作業が進められる
このような人は、視覚的な情報を素早く認識し、判断・反応までのスピードが速い傾向があります。そのため、事務作業やデータ入力など、正確さとスピードが求められる場面で力を発揮しやすいタイプです。
処理速度が低い人に起こりやすい困りごとと対策
処理速度が低い人に起こりやすい困りごとには次のようなものがあります。
- 作業に時間がかかる
- 作業を急ぐとミスが増える
- 文字を書くことに強い負担を感じる
これらの困りごとは、情報を認識して処理するスピードがゆっくりであることが背景にあります。対策としては次のような工夫が有効です。
- 作業時間に余裕を持つ:焦らず取り組める環境を整えることで、正確さを保ちやすくなる
- ダブルチェックを取り入れる:確認の工程を設けることで、ミスを防ぎやすくなる
- 書く作業をPC入力に置き換える:手書きの負担を減らし、効率的に作業を進められる
こうした工夫を取り入れることで、作業スピードの遅さによるストレスを減らし、自分のペースで正確に進められる環境が整います。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)の結果はどう活かす?「ワーキングメモリーが低く知覚推理が高い」人の具体例
WAIS-IV(ウェイス・フォー)の結果は、得点の高低を「強みと課題の組み合わせ」として活かすことが重要です。
ここでは「ワーキングメモリーが低く、知覚推理が高い」Aさんの例を紹介します。
Aさんは、状況の全体像や本質を素早くつかむ力に優れています。しかし、具体的な手順や細部の記憶を保持する力が弱いため、指示を忘れたり、説明の途中で言葉に詰まったりすることが少なくありません。目で見て理解する力は高い一方、耳から入る情報の処理や暗算などの作業には負担を感じやすく、脳が常にフル回転して疲れやすい傾向もあります。
そこでAさんは、得意な「視覚的な力」を活かして苦手な「記憶の負荷」を補う工夫を取り入れました。
指示をメモや図、チェックリストで「見える化」し、スケジュール管理や録音機などのツールを使って外部に記録。複雑な作業は小さな工程に分けて一つずつ完了させ、作業環境を整え余分な刺激を減らしました。
このように、自分の得意な認知特性を活かし、得意な方法で苦手を補うことで、負担を減らしながら能力を最大限に発揮できています。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)はどこで受けられる?費用の目安は?
WAIS-IV(ウェイス・フォー)は、精神科や心療内科などの医療機関やクリニック、大学の相談機関、カウンセリングルームなどで受けられます。すべての施設で実施しているとは限らないため、事前に確認することが大切です。
なお、KaienでもWAIS-IV(ウェイス・フォー)の受検が可能です。詳しくは下記の記事も参照してください。
関連記事:心理検査
検査費用の目安は、自費診療で1万5千円~4万円ほどです。費用は、医療機関や実施機関によって大きく異なります。公的な病院では保険診療となる場合もありますが、個人運営のクリニックでは自費診療となるケースが一般的です。検査結果をもとにした所見(報告書)は多くの場合、別料金となっています。費用の詳細については、受検を希望する機関にあらかじめ確認しておくと安心です。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)を受ける流れ
WAIS-IV(ウェイス・フォー)を受ける流れについて解説します。
【WAIS-IV(ウェイス・フォー)を受ける流れ】
- 医療機関や実施機関を予約する
- 検査を受ける(約90〜120分)
- フィードバック面談で結果や所見を受け取る
詳しい内容を順に見ていきましょう。
医療機関や実施機関を予約する
WAIS-IV(ウェイス・フォー)が受検できる医療機関や実施機関を探して予約をします。実施機関は、お近くの精神科や心療内科などの医療機関・クリニックに問い合わせるほか、公的機関の発達障害者支援センターに相談すると、実施機関を紹介してもらえる場合もあります。
なお、予約の際には、受検の理由や目的を尋ねられるケースも少なくありません。そのため、「発達障害の診断補助のため」「自己理解のため」「就労支援のため」など、目的をあらかじめ整理しておくとスムーズです。
検査を受ける(約90〜120分)
予約日に検査を受けます。検査時間は約90〜120分が目安です。
検査は長時間にわたるため、体調や緊張の影響を受けやすいといえます。検査当日は、十分に休息を取り、身体に無理のない状態で臨むようにしましょう。また、正確に「普段の認知傾向」を測定するためにも、検査内容の予習や練習は避けることが望ましいです。
フィードバック面談で結果や所見を受け取る
検査を受けた後は、フィードバック面談で結果や所見を受け取ります。
結果の数値だけではなく、その数値がどのような意味を持つのかを説明した内容が「所見」です。得点の背景や認知の特徴がわかりやすくまとめられた資料のため、所見まで確認することが重要です。なお、結果はその人の一部を示す資料であり、本人の状態を網羅するものではない点に注意しましょう。
また、学習効果(慣れによる影響)を避けるためにも、同じ検査は短期間に繰り返し受けない方がよいとされています。
知能検査の結果は「強みを活かすため」に使うことが大切
知能検査の結果は、苦手な部分を探すためではなく、自分の強みを活かし、より合った学び方や働き方を見つけるための材料として活用することが大切です。得意な力を発揮できる環境を選ぶことで、無理なく力を伸ばし、生活や仕事のしやすさを高められます。
例えば、言語理解が得意な人は説明や文章作成を中心にした業務、処理速度が高い人はスピードを活かせる業務に向いています。検査結果を「自分らしく生きるためのヒント」として捉え、苦手を補うよりも強みを活かす方向に工夫することで、より快適で生き生きとした生活や働き方につなげられるでしょう。
検査結果をもとに進路や働き方を考える選択肢も
検査結果を見て終わりにせず、進路や働き方を考える手がかりとして活用するのがおすすめです。例えば、次のような視点が役立ちます。
- 強みを活かせる仕事を考える
- 苦手さに配慮のある環境を探す
- 生活の整え方も含めて相談する
Kaienでは、就労移行支援・自立訓練(生活訓練)・リワークを通じて、知能検査や発達特性を踏まえた職業選択や働き方・生活を一緒に考え、支援しています。
就労移行支援は「自分の強みを活かした就職」を目指す福祉サービス、自立訓練は「自分らしい自立した生活」を築くための支援、リワークは休職中の方が安心して社会復帰できる力を育む支援です。検査結果で明らかになった自分の「強み」を活かした自立した生活、職業選択のサポートが受けられます。
Kaienの支援サービスについて詳しくは以下の記事も参考にしてください。
関連記事:就労移行支援、自立訓練(生活訓練)、こころのリワークセンター
知能検査に関するよくあるFAQ
知能検査に関するよくある質問について、Q&A形式で解説します。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)を受ければ発達障害かどうかわかりますか?
WAIS-IV(ウェイス・フォー)だけでは、発達障害かどうかを診断することはできません。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)は、認知の特性、個人の得意・不得意の傾向を把握するための検査です。そのため、結果から発達障害かどうかを直接的に判断することはできません。
ただし、医師の診断において、問診や他の検査情報とあわせて判断する際の参考資料として活用されるケースはあります。
WAIS-IVの結果は、発達障害の診断そのものではなく、「どのような認知の特徴があり、どのような場面で困りやすいか」を理解する手がかりとなります。そのため、強みや苦手を理解し、生きやすさの工夫や支援方法を検討する際に役立てるのがおすすめです。
WAIS-IV(ウェイス・フォー)は保険適用になりますか?費用はどのくらいですか?
WAIS-IV(ウェイス・フォー)が保険適用になるかどうかは、受検する目的や実施場所によって異なります。
例えば、精神科や心療内科などの医療機関で、医師が診断や治療の一環で実施が必要だと判断した場合は、保険適用となります。
保険診療の場合、6歳以上70歳未満は原則3割負担です。先述の自費診療の目安1万5千円~4万円をもとにすると、保険診療の自己負担額は約4千500円~1万2千円程度になります。
なお、自費診療の場合、受検機関によって費用の差が大きく、また、検査結果の所見に別途料金がかかるケースがほとんどです。費用は事前に確認することがおすすめです。
大人になってから知能検査を受ける意味はありますか?

大人になってから知能検査を受けることには十分な意味があります。
子どもの頃から感じていた生きづらさや、社会人になってから仕事でつまずく背景を、客観的なデータをもとに整理・理解できるようになるからです。
検査結果を通して、自分の認知の得意・不得意を把握することで自己理解が深まり、日常や仕事の進め方を見直せるようになります。また、知能検査の結果は、進路選択や職場での合理的配慮を相談する際の材料にもなります。
「どのような環境や支援があると力を発揮しやすいか」を具体的に検討でき、より自分らしく働き、生活するための工夫につなげられるため、大人にとって有効な検査といえるでしょう。
Kaienでは知能検査の結果から『強み』を活かした職業選択をサポートします
知能検査とは、考える力や記憶する力、情報処理の速さなどを客観的に測定し、個人の得意・不得意の傾向を把握するための検査です。特にWAIS-IV(ウェイス・フォー)は、認知の特性を数値化できる検査で、自己理解や職場・学校での配慮につなげやすいものとして、広く活用されています。
検査結果は、苦手さへの対処法や強みの活かし方を考える手がかりとなります。結果を上手に活用することで、生活や仕事をよりスムーズに進める対策が見えてきます。
Kaienでは、知能検査の結果を踏まえ、「自立訓練(生活訓練)」で自己理解を深め、「就労移行支援」で強みを活かした職業選択をサポートしています。知能検査の受検も可能ですので、気になる方はお気軽にご相談ください。
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監修者コメント
知能検査で示されるIQは悩ましい指標です。確かに知的能力の参考にはなりますし、記事にある通り4つの指標の凸凹から得意・不得意を整理できるのはWAIS-IVの大きな利点です。ですが、IQの値が社会生活への適応や仕事の成果に直結するかと言えば、なかなかそうは言えません。特に苦手さに関しては実生活への反映を推測するのに役立つことが多い一方で、得意に関してはあまり参考にならないことが多く、人の認知能力の全てをWAISで計測できているわけではないことを実感します。私の経験したある認知症の方は、社会生活が全く送れなくなっているのに、IQは116と平均以上の値でした。
つまり知能検査は、あくまでも心理試験室という条件の整えられた一定条件下での成績を示すものであり、実生活のように刺激に溢れ、条件の揺らぐ中での知性の発揮とは別物なのです。特にADHD特性のある方は、環境によって能力の発揮に揺らぎが大きいと感じます。
限界を知った上で、ある人の知的能力を判断するときには、IQ値のみでなく、その人の歩んできた社会生活や生活技能、学業への知性の反映などを総合的に解釈する必要があります。記事にあるフィードバック面談で所見まで確認することは、その意味でも大事です。支援者の方は、くれぐれもWAISの数値だけでその人を判断することのないようお願いします。

監修 : 松澤 大輔 (医師)
2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。
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