「訓練で得たのは成長と自信」マイナス思考だったSさんに起こった変化とは

▪年齢:20代半ば
▪診断名:ADHD
▪特性/苦手:こだわりが強い・自分の変化に気付いたり、計画を立てたりするのが苦手


発達障害*に気付いたのは、カウンセリングがきっかけ

―――幼い頃はどんなお子さんでしたか?

自分の好きなものに没頭するタイプの子どもでした。特に乗り物などの交通関係のものに興味があり、よく調べていたのを覚えています。小学生の頃には、子ども向けの情報誌だけでなく、大人向けの専門誌や文庫本なども読んでいました。

―――周囲と自分が違うと感じたことはありますか?

同年代の子どもと比べて、流行っているものに興味がないなと感じていました。例えば、カードゲームをしている子たちがいても、自分から積極的に輪に入っていくことはありませんでした。友達に誘われたら大人数の輪の中に入って遊ぶこともありましたが、基本的には1人、もしくは趣味の合う友達と少人数で遊ぶことが多かったです。

―――診断名を教えてください。

診断名はADHDで、ASDの傾向があると言われています。

診断を受けたのは、大学生のときです。大学のカリキュラムは半年ごとに変わりますし、学年を重ねるごとに授業が少なくなります。生活リズムが不規則になったことで、思ったように単位を取れなくなってしまいました。

親から「カウンセリングを受けてみたら」とアドバイスをもらい、まず大学のカウンセラーさんに相談をしました。そこで紹介されたメンタルクリニックを受診したときに、医師から検査を提案され、発達障害の診断を受けました。

―――特性や苦手なことを教えてください。

自分が困っていることに気付くのが不得手です。プラスに考えると、周囲の状況に左右されることなく自分の道を進めるので、合わない人がいてもそこまで困ることはありません。一方で、体調不良などにも気付きにくいので、熱が出ていても初期の段階では気付けず、病院の受診が遅れてしまうことがよくありました。

「なぜかうまくいかないけど、何が原因なのか、どんなことに困っているのかが分からない」という場面が多々ありましたが、それを周りの人に相談して解決することにも難しさを感じていました。

特性を理解したことで、以前よりも生活が楽になった

(「街歩きが好き」だというSさんが、十三大橋で撮った写真)

―――Kaienで訓練をはじめようと思ったきっかけを教えてください。

発達障害の診断を受けた後、親や学校からの後押しもあり、Kaienの学生向け支援カリキュラム「ガクプロ」を利用していました。ただ、就活まで手が回らないままガクプロを終えたので、自立訓練(生活訓練)か就労移行支援(職業訓練)を受けようと考えたのです。

Kaienの生活訓練を体験したときに、「まずは生活の土台づくりが必要だ」と感じたため、生活訓練を始めることにしました。

―――生活訓練の「プロジェクト」では、どんなことに取り組みましたか?

部屋の整理整頓をすること、自分の困りごとを認識して自ら相談できるようになること、生活リズムを安定させることの3つを実現したかったので、部屋の管理、時間管理、体調管理のプロジェクトに取り組みました。

体調管理のプロジェクトでは、散歩や運動をしたり、その日の体調を選択式で表にしたりしました。また、体調の変化で気付いたことを毎日、体調日記に記録しました。これは今も続けています。こうした取り組みのおかげで、自分の体調の小さな変化にも徐々に気付けるようになってきました。

―――生活訓練で印象に残っている出来事はありますか?

他の訓練生との関わりが印象に残っています。以前、体調やメンタルの不調を理由に欠席が多くなってしまった時期があり、モチベーションがやや下がってしまったのです。しかし、ちょうどタイミングよく、就活イベントなどが増えました。

出席した就活イベントが、みんなのエピソードを聞いたり、何のために生活訓練に通っているのかを考えたりする良い機会になり、再び訓練に対するモチベーションが上がったのです。もちろん、出席率も向上しました。

―――生活訓練を通して、ご自身が変わったと思うことはありますか?

今まで心の中でどこか邪魔をしていたプライドが、訓練のおかげで少しずつ薄れたように思います。例えば、以前は人からミスを指摘されたり、アドバイスをされたりしても、素直に受け入れることができませんでした。相手の話を遮って、「自分はこう思います」と言い返してしまうことが多かったのです。

しかし、最近はアドバイスを素直に聞き入れて、いいなと思ったことを実践にも移せるようになりました。また、自分の苦手なことや困りごとを受け入れられるようになったことで、周囲の人に相談したり、頼ったりできるようにもなりました。生活がかなり楽になったと感じています。

Kaienの生活訓練は、自分を成長させてくれる貴重な時間でした。これまでの人生はマイナス思考で、失敗を恐れてチャレンジできていませんでした。しかし、Kaienで繰り返し成功体験を積んだことで、自信を取り戻すことができました。

生活訓練での成長を実感し、就労移行支援から就活へ

―――現在は就労移行支援に取り組まれていますが、移行したきっかけを教えてください。

もともと、生活訓練の次のステップとして就労移行支援を考えていました。Kaienの就労移行支援にするか、別のところに行くか悩んだのですが、就活に集中できる環境と、イベントなどが豊富で他の拠点の人と交流が持てることに魅力を感じて、Kaienに決めました。

また、就労移行支援へのモチベーションが高かった時期に1週間ほど体験入学をして、自分に合っているなと感じられたことも決め手の一つになりました。

―――直近ではどのようなことに取り組まれていますか?

午前中は、就活関連の講座に参加することが多いです。また、今月からハローワークの面接会の情報更新の仕事も始めました。講座や仕事を通して、就活への意識を高めています。

その他にも、週替コースでグループワークに取り組んだり、AI活用講座に参加して知見を広げたりしています。グループワークではよく他の訓練生とやり取りをするのですが、自分が作った資料の言葉遣いを指摘されても、「ありがとうございます」とすぐに伝えられています。指摘されたことに対して素直に対応できたことで、改めて自分の成長を感じました。

―――今後の目標や挑戦したいことはありますか?

勤怠や体調をより安定させるためにも、体調日記は継続して取り組みたいと思っています。また、就活経験がないので、書類の作り方や面接対策などを基本から学んでいきたいです。

就職という目標を叶えるために、さまざまなことにチャレンジしたいと思っています。

付録  ~Sさんのこと~

(「京都の丸太町橋に行ったときに撮った写真です」とSさん)

街歩きが好きで、休日にはいろいろな場所へ足を運びます。行ったことのないエリアに行くこともあれば、何度も行ったことがある街を改めて散策することもあります。最近面白いなと思ったのは、京都です。主要な観光地をある程度回ったからこそ、行くたびに違った視点で街を見ることができて、ディープな魅力を発見できるのです。

ただ、2日連続で出かけてしまうと疲れて平日に影響が出てしまうことがあるので、休日のうち1日は家でゆっくり過ごすようにしています。前日に散策した土地について、記録をつける時間にあてています。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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