
| ▪年齢:40代 ▪診断名:ASD ▪特性/苦手なこと:環境の変化、感覚過敏、コミュニケーション |
「空気が読めない」と言われた辛い記憶
――― ご自身の性格を一言で表すとしたら何になりますか?
そうですね、「マイペース」です。
――― 周囲とご自身が「なんか違うな」と感じたことはありますか?
ありますね。何かを選ぶ時などに少数派になったり、周りが「うん、うん」と共感している場面で、自分はそう思わなかったり。人と比べると、感じ方や捉え方にずれがあり、そこからくる違和感を覚えることが多いです。
――― 診断名と、ご自身で把握されている苦手なことを教えてください。
診断名は広汎性発達障害(ASD:自閉症スペクトラム)です。苦手なことは、新しいことを始めることや、環境が変わることです。事前に考えただけで不安感が強くなります。
特性として、疲労が強い時に音、光、匂いといった外部の刺激に対する感覚過敏が強くなることもあります。
――― 苦手なことに関して、具体的なエピソードはありますか?
職場では、「空気が読めない」と言われることがありました。他の社員の不満や話を聞いていても、自分の中では何のことか心当たりがなく、円滑なコミュニケーションが取れないことがありました。悪意があって何かをしたわけではないのに「不快になりました」と言われると、「そんなつもりは全くないのに…」と困惑することが多かったです。
「ここにいていい」という感覚が居心地の良さにつながった
――― リワークセンターに通所してみて感じた第一印象はありますか?
明確な言葉にはできないのですが、「ここにいていい」という感覚がありました。安心感というのとも少し違うかもしれませんが、居心地の良さを感じました。
――― ここに来ようと思ったきっかけを教えてください。
以前から就労移行支援を検討してはいたのですが、なかなか就職という目標に向かって準備を始めようという気持ちになれませんでした。
「まずはその気持ちに向き合い、就職に対して前向きな気持ちにさせてくれる場所がないかと探していたところ、、YouTubeなどでKaienを知り、とりあえず見に行ってみようと思いました。――― 体験利用を経て、ここを選んだ決め手は何でしたか?
生活訓練系のサービスが必要だと感じていたことと、もう一つ別の生活訓練の事業所と比較した結果、利用者の層が自分に近いと感じたことです。スタッフさんはどちらも親切でしたが、ここでは同年代の利用者さんと適度な情報交換ができそうで、良い刺激になるという期待がありました。
自分を縛る思考からの解放
――― 印象に残っているプログラムはありますか?
当事者研究や自助会のような、何かテーマに対して皆で考える対話型のプログラムが好きです。
同じ悩みを持つ人の話を聞いて「自分だけじゃない」という安心感を得られたり、自分では想像もしなかった意見を聞くことで「こういう考え方もあるんだ」と考えの幅が広がったりしたのが良かったと感じています。対話を重ねることで、他人の解像度が上がり、思い込みで人を判断しなくなるといった良い影響がありました。
――― プログラムを通して、働く上で役に立つと感じる知識やスキルは何でしょうか?
具体的なテクニカルスキルというよりも、「自分で自分を攻撃していた」という気づきが一番の学びでした。
「一人では何もちゃんとできてない」と自分自身を縛り、傷つけている状態に気づけたんです。苦しいのは周りの環境や過去の経験ではなく、今の自分の考え方にあるという気づきを得られました。
――― リワークに通って、ご自身が変わったと感じる点はありますか?
行動自体はまだ変われていませんが、考え方や捉え方が変わりました。
以前は、うまくいかなかった過去の経験から自己防衛的なサイクルに入り、「どうせ上手くいかない」と言って諦める考えに陥っていましたが、もう少し楽に試してもよいという考えを受け入れられるようになりました。気持ちを理解できるようになりました。
今は、リワークで得た前向きな考え方を土台にして、実際に新しいことにも挑戦していきたいと思っています。
焦らず、自分のペースで「やりたいこと」を見つける
――― 現時点で、描いている未来や目標について教えてください。
正直に言うと、今は特に目標はありません。最低限、生活していけるだけのお金は必要ですが、「頑張りたいこと」や「こういう仕事をやりたい」といったエネルギーがまだ枯渇している感覚があります。無理に先のことを考えるよりも、まずは現状を安定させ、これからやりたいことを見つけるための手段を考えていきたいです。
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