「障害」という言葉で初めて自分を言語化できた。劣等感と向き合い、自信を育んだ19歳が掴んだ希望

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周りと同じようにできない自分に、幼い頃から劣等感を抱えてきたMさん。10代で出会った「発達障害」という言葉は、ショックと同時に、これまでの人生の謎を解き明かす鍵となりました。

自己肯定感の低さに悩み、一度はうつ病も経験した彼女が、いかにして「教える経験」を通じて自信を取り戻し、一人前の社会人としての切符を掴んだのか。19歳の彼女が歩んだ、等身大の回復と成長の記録をお届けします。



「兄が自宅で飼っている猫が癒し」とのこと。

▼Mさんの簡単なプロフィール

▪年齢 :19歳 
▪診断名:ADHD、ASD、双極性障害の疑い(過去にうつ病)
▪特性/苦手なこと:コミュニケーション、計画を立てること、自己肯定感の低さ
▪就職先 :メーカー系の某企業(事務職)
▪利用サービス:就労移行支援




「何を言われているか理解できない」静かな子供時代

――― 小さい頃は、どのようなお子さんだったと思いますか?あるいは、周りの方から「こんな子だった」と言われたことはありますか?

周りから見たら、本当に静かな子だったみたいです。話すのも遅かったらしくて。言葉がなかなか出てこない代わりに、テレビでディズニーコンテンツをずっと口を開けて見ているような子供でしたね。自分の好きなこと、興味のあることにしか関心がないというタイプでした。

――― 周りの人に対しての関心はいかがでしたか?

あまりなかったのかな、と思います。「うんうん」と聞いてはいるのですが、正直、大人が何を言っているのか理解できていなかったので、聞き流してしまっていました。頑張って聞こうとしても理解できなくて。それよりも、好きなものを見ている方がよっぽどいい、という感じだったのかもしれません。

――― 妹さんがいらっしゃるそうですが、妹さんとの関わりについてはいかがでしたか?

まず、妹が健常者ということもあって、私とは気質も考え方も全然違いました。子供の頃は、お互いの性質を知らない期間の方が長かったのですが、私は妹に対して劣等感のようなものをずっと感じていて、強く当たってしまうことがありました。

でも、思春期になって、自分の言葉で色々と気持ちを伝えられるようになってから、以前よりはお互いの理解が深まったと感じています。

「怒られる量が一人だけ多い」うまくいかない日々

――― ご自分で「何か周りの人と違うな」と感じ始めたのはいつ頃からでしょうか?

昔からずっと感じていましたね。それは人から怒られる量が、周囲に比べて私だけ多かったからです。何をしても上手くいかない上に、なぜ上手くいかないのかが理解できず、フリーズしてしまうことも多くありました。

―――どんな理由で怒られることが多かったですか?

親からは「何を考えているのかわからない」と言われていました。でも自分でもわかっていないので、「そう言われても……」みたいな感じで困ってしまっていました。

――― 他にも違うと感じていたことはありましたか?

勉強面で差を感じていました。勉強は全般的に苦手でした。書いたり、宿題をしたり、そういう作業がすべて苦手で、人一倍時間がかかっていましたね。親からは「何時間も机に向かっている」状態だったと聞いています。

―――人とのコミュニケーションで悩まれることはありましたか? 

はい。学生の頃は、コミュニケーションの不器用さから、つい注意されるようなこともやってしまっていたので、人間関係を作り直すのも大変でした。

――― ご自分で「発達障害かもしれない」と思ったのは何がきっかけでしたか?

スマホを見るようになってから、ショート動画などを流し見していて、益田先生の動画を見たのがきっかけでした。先生の動画で、『発達障害あるある』を見たおかげで、今までの出来事の点と点がつながり、「自分はこれだったんだ!」と一気にクリアになった感覚がありました。

――― 「これ、私じゃん!」という感じになったのですね。

まさにそうです。「こういう時に障害の特性が出る」という状況が自分と一緒で。でもクリアになったのと同時にネガティブな気持ちも一気に溢れ出てきてしまって、そこからうつ病になってしまった経緯があります。

 家族の理解から芽生えた就職への前向きな思い

――― うつ病の時期を経て、どのようにKaienの就労移行支援事業所に繋がったのでしょうか?

ちょうど、その頃は高校生で、就職活動を始めなければいけない時期でした。障害があることは、その時はもう自分で知っていたので、「障害があるなら、障害者雇用で働く手もある」と人づてに教えてもらいました。その手続きをするために、まず役所での計画相談からKaienを紹介してもらった、という流れです。

――― 「就職」へと気持ちを切り替えることできたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

鬱を治さなきゃいけないということもあり、親と話す回数が増えたことがひとつの要因です。就活を始める前の段階で協力してくれるようになって。その頃にはもう(鬱は)落ち着いていたので、就活に進むことができました。

そんな中でいくつかの事業所を紹介していただき、Kaienの秋葉原が家からも近かったので、通うならここがいいかなと思って見学しました。

自信がない自分を変えた「教える」経験

休みの日はカフェに行くことが好きとコメントいただきました。

――― 訓練に入る前は、どのような目標や思いがありましたか?

最終的な目標は「就職」でしたが、そもそも自分にどんな仕事が向いているのかが分かりませんでした。それに、元々パソコンには興味がありましたが、Kaienを利用するまでは一度も触ったことがなかったんです。

就職の方向性はざっくり事務職で考えていましたが、そもそも事務職で何をするのかも分かっていませんでした。

――― 実際に訓練を始めて、良かった点や学べたことはありますか?

パソコンスキルを高められたことが良かったです。自分ひとりではどう行動していいか分かりませんでしたが、スタッフの皆さんが進め方を教えてくれたおかげで達成できたことが本当に良かったと思っています。

私は自分に自信がなく、なかなか計画が立てられないという特性があるのですが、そういった苦手な部分をサポートしてもらえたのが、訓練の一番の収穫でした。

――― 訓練の中で印象に残っているものはありますか?

講座で行った電話応対のデモンストレーションは、非常に実践的で良かったです。企業に入ったら電話も取らなきゃいけないじゃないですか。今までだったら、多分できなかったなって。やり方を知ることができて良かったと思っています。

――― 『こしょこしょ*』という訓練プログラムを長く受けられていたそうですが、そこでの学びについて教えてください。

はい。「自分はなんでこれをやってるんだろう」と思うこともありましたが、結果的に、業務に慣れていくと人に教える経験もできたので、多くの学びがありました。

「こしょこしょ」では先輩社員役を経験できますし、上司役の講師とのやり取りを通して、お店の運営という広い視野で業務を考えることができました。

また、周りは同じ利用者だから、よりしっかりしなければという気持ちがありました。責任範囲が広い業務を通して、成長できたと感じています。

*こしょこしょ…Kaienでは、訓練の中で楽天オークションやAmazonでオンライン店舗の運営を行っており、仕入れから商品管理、販売にいたるまでの実作業を経験できるプログラムを指します。

――― 結果的に実習を通じて見事内定に至ったと思いますが、これから社会人として働く中で、目標にしたいことはありますか?これまで周りの方に甘やかしてもらっていたり、助けてもらっていたりした部分が大きかったので、まずは一人前の社会人として自立していくことを目標にしたいと思っています。新しい職場でも、訓練で学んだことを活かして、一つずつ着実に業務に取り組んでいきたいです。

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