「自分を責める日々」から卒業。生活訓練で見つけた、自分らしく働くための「心の取扱説明書」

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長年、職人として一つの世界で走り続けてきたMさん。しかし、どれほど努力しても周囲と同じように仕事がこなせない違和感と、精神的な限界を感じていました。

そんな時に30代で受けた「発達障害」の診断。それは絶望ではなく、自分を許し、再スタートを切るための大きなターニングポイントとなりました。今回は、自立訓練(生活訓練)を経て、現在は就労移行支援で新たな一歩を踏み出し始めたMさんの体験記を紹介します。

▼Mさんの簡単なプロフィール


  • 年齢:30代
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)
  • 苦手なこと:口頭指示とメモ取りの同時並行、文章による記憶、大人数でのグループワーク
  • これまでの仕事:歯科技工士(約15年)
  • 利用サービス:自立訓練(生活訓練)、就労移行支援
  • 現在の状況:自立訓練(生活訓練)を修了し、就労移行支援に在籍


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周囲から「変わった子」と言われた幼少期と、常に感じていた「ズレ」

―――Mさんの幼少期や、ご自身の性格について教えてください。

親から聞いた話では、小さい頃はどちらかというと大人しくて「変わった子」だと思われていたようです。今思えば、ASD特有の特性が当時から出ていたのかもしれません。自分自身の記憶では、小学校3、4年生までは比較的活発だった時期もありましたが、それ以降はまた大人しくなっていきました。

断片的な記憶ですが、必要以上に人の目を伺っていた気がします。「周囲に合わせなきゃ」という意識が強くて、でもどう振る舞えばいいか分からなくて。

自分の性格を一言で表すなら「控えめ」ですね。ただ、これまでの人生はずっとそんな感じでしたが、支援サービスを利用し始めてからは、少しずつ積極性が増してきたように感じています。

15年間の職人生活で直面した「どれだけ努力しても埋まらない差」

―――Kaien(自立訓練)につながる前は、どのようなお仕事をされていたのですか?

専門学校を卒業してから約15年間、歯科技工士として働いていました。入れ歯や差し歯などを作る、いわゆる職人の世界です。計3社を経験しましたが、どこへ行っても「周囲と同じスピードで仕事を覚えられない」という悩みがつきまといました。

当時はまだ診断を受けていなかったので、周囲からも、そして自分自身でも「気合が足りない」「もっと忍耐強くならなきゃ」と、できない自分を追い込んでいました。3社目の職場では、同僚たちがどんどん難しい工程を任される一方で、自分だけが基礎的な作業で躓いてしまって……。自ら「もっと技術を学びたい」という思いは強くありましたが、なかなか成果に結びつかず、精神的に追い詰められて退職することになりました。

30代でのASD診断。「自分を許していいんだ」という安心感

―――診断のきっかけは何でしょうか。

あまりに仕事がうまくいかないので、いくつか精神科を回る中で「発達障害の可能性がある」と告げられました。正直、衝撃はありましたが、正式にASDという診断名がついた時は、むしろ安心しました。

5、6歳の頃から持病の膠原病と付き合ってきたこともあり、自分も両親も「人とは少し違う」という自覚がどこかにあったんです。診断がついたことで、これまでの生きづらさの正体がようやく分かった。「努力不足だったわけではなく、特性のせいだったんだ」と、自分を許せたような感覚でした。そこからは、これから自分の特性に合うやり方を見つけていこうと、前向きに切り替えることができました。

生活訓練で見つけた「覚え方のコツ」。自己分析が変えた視点

―――その後、Kaienの自立訓練(生活訓練)を利用しようと思われたのはなぜですか?

まずは自分に合う職業や、自分に何ができるのかを知るための「自己分析」をしたいと思ったからです。いくつかの事業所を見学しましたが、Kaienのスタッフの方は温かく迎えてくださり、ステップを踏んで自分を整えられる点に惹かれました。

―――実際にプログラムを受けてみて、ご自身の「特性」について新たな発見はありましたか?

一番大きかったのは、自分が「覚えやすい方法」を知ることができたことです。私は、口頭で説明を受けながらメモを取るという、二つの作業を同時に行うのが極端に苦手だと気づきました。これまでは「メモを取らなきゃ」と必死でしたが、実はほとんど頭に残っていなかったんです。

このため、まずは耳を傾けることに集中し、その後に「今の内容はこういうことですか?」と一呼吸置いて確認し、それから書く。このプロセスを挟むだけで、作業の抜け漏れが劇的に減りました。「自分の説明書」という講座を通じて、苦手なことを具体的に分析し、別の角度から対策を考える重要性を学びました。

当たり前だと思っていた「生活」を構造的に捉え直すトレーニング

―――生活訓練のプログラムの中で、特に印象に残っているものはありますか?

掃除やおカネの管理といった、ごく身近な生活スキルに関する講座です。最初は「自分には関係ないかな」と思っていましたが、やってみたら非常に深い内容でした。

例えば「なぜ掃除が苦手なのか」を根本的な原因まで掘り下げていくんです。どこまでを綺麗にしたら終わりなのか、手順を組むのが苦手なのか。問題を構造的に捉える練習になったので、これは今後働く上でも必ず役立つと感じました。「自分は至らない人間だ」と落ち込むのではなく、具体的な課題として冷静に解決策を考えられるようになったのが大きな収穫です。

4ヶ月のターニングポイントを経て、就労移行での新たな挑戦

―――自立訓練(生活訓練)を4ヶ月受けて、現在は就労移行支援で何に取り組まれていますか。

4ヶ月間は、私の人生にとって大きな「ターニングポイント」でした。これまではずっと「直せない部分」ばかりに目が行っていましたが、今は「別の方法でカバーすればいいんだ」と捉え方が変わりました。現在は就労移行で、WEBで古書を販売する業務に取り組んでいます。

―――これからの目標について教えてください。

まずは今取り組んでいるWEB上の古書販売を、自分一人の力で完結できるレベルまで高めたいです。就労に向けては、これまでは一般枠で苦しんできましたが、今後は障害者枠での雇用も視野に入れ、適切な配慮をいただきながら長く働ける場所を見つけたい。焦らず、自分らしくいられる環境をしっかり見極めていきたいです。

付録~Mさんについて

(Mさんのお気に入りの漫画だそうです)

―――最近、嬉しかったことはありますか? 

通所先のスタッフの方に「毎日休まず通えていること自体、素晴らしいことですよ」と言われたことです。以前の職場では「できて当たり前」と言われてきたことだったので、今の自分の頑張りを肯定してもらえた気がして、本当に救われました。

――― 最近の趣味や休日の過ごし方は?

以前は映画鑑賞などが趣味でしたが、今はあえて趣味を一旦お休みして、生活リズムを整えることに全力を注いでいます。ある意味「Kaienに通うこと」が今の充実した時間になっています。

あとはたまに読む漫画です。アニメよりも自分のペースでじっくり読み進められる漫画の方が、今の私には合っているようです。

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