「自分の選択に責任を持つ」得意・不得意のギャップを乗り越え、事務職へ踏み出した新たな一歩

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好きと無関心の間で生まれる、「物覚えの早い一面」と「人よりも覚えるのが遅い」という両極端な記憶力、そこで生まれた職場での良し悪しのギャップ。4度の離職を経て発達障害と向き合うことになったOさんは、就労移行支援Kaien阿倍野に通い始めました。徹底的な原因分析による自己改善・自己理解を進めたことで生まれた「すべて自分が選んだ道」という覚悟。1年のブランクを乗り越え、保険会社での事務職を掴み取るまでの軌跡を伺いました。


  • 年齢:30代
  • 診断名:発達障害
  • 苦手なこと:興味がない分野のスキル習得・単調な作業、結論から簡潔に伝える報告や面接
  • 得意なこと:関心のある分野の知識や技術の習得、素直にアドバイスを受け入れて実行すること
  • 就職先:保険会社(障害者雇用枠/事務職)
  • 利用サービス:就労移行支援

周囲とのギャップを感じた幼少期。「好きなこと」と「興味がないこと」の極端な差

――― まずは、幼少期から学生時代のご自身について教えていただけますか?

昔はすごく目立ちたがり屋だったと思います。幼少期から大学生くらいまでは、とにかく人前に出たり目立ったりするのが好きな性格でした。一方で、こだわりが強くて好き嫌いがはっきり分かれているタイプでもありました。

周りからは「何かちょっと変わっているよね」と言われることもあったのですが、当時はそれが何なのか言語化されないままでした。

――― 周囲とのギャップや違和感のようなものを自覚されたきっかけは何だったのでしょうか?

自分の好きな事柄に関しては、知識の習得やツールの操作スピードは人より段違いに速かったんです。その反面、全く興味の持てない分野になると、覚えるのが人よりもかなり遅くなってしまうことがありました。「なんで自分はみんなと同じように覚えられないんだろう?」という違いに、疑問と生きづらさを感じていました。それは、就職して社会に出てからも続きました。

4度の離職を経て発覚した発達障害。ハローワークの勧めからKaienへ

――― 大学を卒業されてからの就職活動や、お仕事のご経験について教えてください。

大学卒業後は一般企業に就職したのですが、結果として4社、入社して退職を繰り返していました。

4社目は物流倉庫で家具の検品作業を担当していたのですが、商品の開梱や梱包といった決まった作業は問題なくこなせても、「検品作業」のようないくつもの工程がある作業手順を覚えるのがどうしても周りより苦手で、うまく業務についていけなかったんです。友人に相談したところ「一度発達障害の検査を受けてみたらどうか」と勧められました。そこで専門機関を受診した結果、発達障害であるという診断を受けました。

――― 診断を受けてから、どのようにKaienへ繋がったのでしょうか?

診断後は障害者就業・生活支援センターに通いながら自力で就職活動を続けていたのですが、なかなか思うような成果が出ずに悩んでいました。そんな時にハローワークの担当者の方から「一度しっかり就労移行支援で準備を整えてから就活をした方がいい」とアドバイスをいただいたんです。いくつか見学に行った中でKaien阿倍野を訪れた際、オフィス業務に近い実践的な訓練環境や、講師の方々が企業の現場経験者であるという点に強く惹かれました。

――― 実際の通所を決めた決定打は何でしたか?

スタッフの方の温かい対応です。当時は離職してから約1年のブランクがあり、「ブランクが長くてかなり不安なのですが大丈夫でしょうか」と相談したところ、「Oさんのような境遇から再スタートを切った方はたくさんいますよ。全然大丈夫です」と笑顔で言っていただいて。他のサポート機関との併用についても柔軟に認めてくださり、「ここなら安心して就職準備に取り組める」と確信して通所を決めました。

徹底的な自己改善と試行錯誤。「簡潔な報告」と「正確性」を高める訓練

――― Kaienに通い始めてから、具体的にどのような訓練に取り組まれましたか?

まずExcel関数などを用いた個人作業からスタートし、その後は職業訓練のグループワークに取り組みました。グループワークでは、総務部や人事部の体験や、プレゼンテーションなど、かなり実践的な課題を網羅しました。

――― ご自身の課題や苦手なことの改善にはどう向き合われましたか?

私はデータ入力などの個人ワークにおいて「正確性」に課題がありました。当初は正答率が60%ほどしか届かない状態だったんです。そこで、講師の方と振り返りの時間を設けて「なぜ間違えたのか」を毎回分析しました。例えば「文字が小さくて見誤り、メールアドレスの大文字と小文字を間違えた」と判明した時は、画面の表示倍率を上げる工夫を取り入れたりしました。

――― 具体的な対策を1つずつ積み重ねていかれたのですね。

はい。エラーの原因を細かくメモに残し、試行錯誤を繰り返した結果、最終的には正答率100%を安定して出せるまでに改善することができました。また、自分は結論から短く伝える「報告」も苦手だったのですが、講師の方から「まずは1分以内でまとめて報告してみよう」とフィードバックをもらい、毎回タイマーを使って練習しました。「今のは長かったから、ここを削ろう」と具体的にご指導いただき、実践と改善を繰り返しました。講師の助言を素直に受け止めてすぐに実行したことが、大きな変化に繋がったのだと感じています。

「すべて自分が選んだ道」障害を受け入れ芽生えた覚悟

――― Kaienでの訓練を通して、ご自身の中で大きな変化や学びはありましたか?

特にグループワークで学んだ「最終ゴールから逆算して計画を立てる思考法」や、「簡潔かつ具体的に要点をまとめる議事録作成スキル」は、現在の職場でも役立っています。

また、自分の障害特性をしっかりと受け止められるようになったことが一番大きな変化です。以前はどこかで「障害のせいでうまくいかない」という思いがあったのかもしれません。ですが、Kaienでの日々を通じて、過去の離職も、今の障害特性も、そしてこれから歩む道も「すべては自分が選んだものなんだ」と責任と覚悟を持てるようになりました。

――― そのような覚悟を持てるようになったきっかけとなる出来事があったのでしょうか。

実は、Kaienの雰囲気が非常に居心地よくて、現状維持・停滞していた時期があったんです。そんな時に講師の方から「ここはあくまで働くための訓練の場だよ。」と温かく厳しい言葉をかけていただきました。その言葉が胸に刺さり、ハッと目が覚めました。

「自分から一歩を踏み出さなきゃダメだ」と、本格的に就職活動へ向き合う決意が固まりました。

自分の適性に合った軸を設定し、面接の場数を踏んで掴み取った内定

――― 就職活動はどのように進められましたか?

通所から8ヶ月ほど経過した頃から企業実習などを経て本格化させました。最初は何となく「適性がありそうだからデータ入力が良いな」という漠然とした希望しかなかったのですが、スタッフの方と一緒に「給与」「休日形態」「通勤時間」「希望職種」などの軸を設定し、優先順位を整理しました。基準を明確にしたことで、選択肢が広がり前向きに応募できるようになりました。

――― 就活の中で特に苦労した点や、乗り越えた工夫はありますか?

やはり特性上、余計なことまで話してしまい端的に伝えることが苦手だったので、面接対策には苦労しました。これを乗り越えるために、とにかく面接の場数を踏み、Kaienの様々な講師の方に面接練習をお願いしました。忙しい時期は週2回のペースで企業の面接を受け、落ちた際や面接の最後には「不採用理由や改善点など、フィードバックをいただける部分があれば教えてください」と積極的に伺い、次の面接へ活かす努力を重ねました。

――― 積極的なトライ&エラーの末、見事内定を獲得されたのですね!

はい。現在は保険会社の障害者雇用枠にて、希望していた事務職としてパソコンを用いた業務を担当しています。

働くようになって1年。成長を実感しながら次のステップへ

――― 実際に就職されて1年が経過したとのことですが、働いてみていかがですか?

本当にあっという間の1年でした。仕事を進める中で常に自分にとって新しい課題が出てくるので、上司と相談しながら「少し手を伸ばせば届く目標」を設定し、一つ、一つクリアしていく毎日です。自分に合った環境でやりがいを持って働けています。

――― 今後の目標や、これから目指したい姿について教えてください。

会社で定められている年間目標をしっかり達成することはもちろん、常に自分自身の課題を見つけ、業務改善やスキルアップを続けていきたいです。現状に満足せず、常に自分をアップデートしていきたいです。

――― 最後に、Kaienの利用を検討している方へメッセージをお願いします!

Kaienの訓練環境は実際の企業と非常に近く、働くリアルなイメージを身につけたい方にはおすすめできます。ただ、Kaienに入ったからといって勝手に就職できるわけではなく、そこで学んだことをどう活かすかは「自分次第」です。教わったことを素直に受け入れ、常に自分の課題を言語化して改善していく姿勢を持っていれば、必ず道は開けると思います。応援しています!

【付録】

――― ここからは少しプライベートなお話もお伺いします。休日はどのように過ごされていますか?

映画鑑賞やゲームなどが趣味ですが、二郎系ラーメンを食べに行くのも好きです。休日は美味しいものを研究したり食べたりして、しっかりリフレッシュしています。

こちらが最近お気に入りの二郎系ラーメンです。

また、最近一番ハマっているのは「アイスクリーム作り」です。

以前、北海道旅行に行った際にアイスクリーム手作り体験をしたのですが、それが感動的に美味しくて。「家でも作れますよ」と教えていただいたので、そこから日曜日の休みになるたびに、北海道で食べたあの味を自宅で再現しようと試行錯誤を始めました。

――― まるでラーメン職人のようなこだわりですね……!

黄金比率を計算しながら毎週作り続けて、実は1週間前にようやく満足のいく味の再現に成功しました。次は自宅で本格的なソフトクリーム作りに挑戦しようかと企んでいます。

――― 仕事もプライベートも、目標に向かって徹底的に追及・改善していくOさんらしさが溢れていますね。本日は貴重なお話を本当にありがとうございました!

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