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発達障害の二次障害

 本当に発達障害なのか、それとも違う症状なのか、あるいは両方とも重なっているのか。Kaienでは就労移行支援における職業訓練の様子を踏まえ、ご本人に発達障害や二次障害の特徴を説明しています。その際、当社で基本としている二次障害の考え方・接し方をまとめました。なお発達障害の特徴よりも二次障害の辛さが明らかに強い場合は、まずは二次障害への対応を優先することが重要です。

不安障害

 不安障害の主症状は不安です。不安とは漠然とした恐れの感情で、誰でも経験するものですが、はっきりした理由がないのに、あるいは理由があってもそれと不釣り合いに強く、または繰り返し起きたり、いつまでも続いたりするのが病的な不安です。不安のあらわれ方にはいろいろな形があり、それによって不安障害の下位分類がなされています。【厚労省ウェブサイトより】blank

発達障害との関係性

 発達障害と不安障害は、非常に区別がつきにくいと言われます。両方とも日常の生活のちょっとした選択への不安、将来について見えないことについての不安、周囲の反応が読みにくく想定外の言動をされたときの不安など、多様な不安を抱えながら暮らしているというところが似ています。仕事場で周りの人からどのようにみられているのだろう、通勤中の電車の中で何か自分について言われているのではないかなど、仕事・雇用関係での訴えもとても似ているようです。

 発達障害があると様々に抜け漏れやミスがあり、それへの不安が徐々に心の中で大きくなり、発達障害だけでは説明しきれないほどになるケースは非常に多いと思っています。上述のように、発達障害と不安障害は福祉の現場では見分けがつきにくいのが現状です。このため、Kaienでも不安障害だけの確定診断で(つまり発達障害の診断は無いけれども)就労移行支援に入った方もいらっしゃいます。重要なのは、診断名ではなく、自分の状況や癖を把握できるか、(お薬の服用も含めて)場面場面によって取るべき対応策を理解できているか、などだと考えています。

その他の考察

 発達障害は”固体”のように変わりづらい特徴ですが、不安障害は”ジェル”や”液体”のように変わりやすいと思われます。つまり発達障害というのは生まれてからずっと根本では変わりにくいものであり、シングルエイジ(9歳以下)から発達障害に特有な傾向が強かったかという部分に着目されます。比喩を使うと、先が見えていないので不安なのが発達障害で、見えているけれどもそれでも(理性で考えても感性では)怖くなってしまうのが不安障害、という理解です。詳しくはご利用説明会の場で解説しています。

双極性障害(躁うつ)

 昔は「躁うつ病」と呼ばれていましたが、現在では両極端な病状が起こるという意味の「双極性障害」と呼んでいます。双極性障害は、躁状態の程度によって二つに分類されます。 家庭や仕事に重大な支障をきたし、人生に大きな傷跡を残してしまいかねないため、入院が必要になるほどの激しい状態を「躁状態」といいます。一方、はたから見ても明らかに気分が高揚していて、眠らなくても平気で、ふだんより調子がよく、仕事もはかどるけれど、本人も周囲の人もそれほどは困らない程度の状態を「軽躁状態」といいます。

 うつ状態に加え、激しい躁状態が起こる双極性障害を「双極I型障害」といい、うつ状態に加え、軽躁状態が起こる双極性障害を「双極II型障害」といいます。 双極性障害は、精神疾患の中でも治療法や対処法が比較的整っている病気で、薬でコントロールすれば、それまでと変わらない生活をおくることが十分に可能です。しかし放置していると、何度も躁状態とうつ状態を繰り返し、その間に人間関係、社会的信用、仕事や家庭といった人生の基盤が大きく損なわれてしまうのが、この病気の特徴のひとつでもあります。 【厚労省ウェブサイトより】blank

発達障害との関係性

 ADHDの方は衝動・突発性があったり、興味関心に従いすぎたりすることが特徴といえます。これを日常的に繰り返すと、当然、すごく良い感覚でいられるときと、非常に落ち込むとき、という山と谷を味わいやすくなります。これは双極性障害の波と似ており、そもそもADHDの方の場合は双極性障害と何が違うか、自分でも周囲にもわかりにくいと思われます。とくに『軽躁状態を伴う双極 II 型障害』との類似性は多いと思われます。中でも女性の場合はADHDの特徴があるケースが多数であることから、双極性障害と重なりやすいと思われます。

発達障害の人の「心や気分の容器が小さい」という特徴を持つとともに、関心興味を上手にコントロールできない特徴があります。例えば、不安があったらそのことを考え続けてしまう、(テレビゲームなど)自分が気になることがあったら歯止めが効かない、ショックを受けてしまったらその感情から抜け出しにくい、などなど、いわゆる切り替えが上手にできない、状態です。そうすると朝起きないといけないのに起きられない、仕事のことを考えないといけないのに些細だと自分でもわかっているが日常生活の不安を考えてしまう、などなりやすいのだと思われます。つまりADHDの特徴が日常生活で大きくなりすぎると、時として双極性障害ととらえたほうが適切であるほど二次的に増長されていくのだと思います。

 なお、「心や気分の容器が小さい」ということは、マイナスの感情だけではなく、プラスの感情にもあてはまります。つまりよいことが起きるとその感情に一気に心(注意・関心)が占められます。そうすると一気に容器の温度があがる感じになります。周囲から見るとそれはとてもよい日常にみえるかもしれませんが本人としては気分のジェットコースターを多くの人よりも頻繁に、よりアップダウンの差が大きい日常を送りやすいということだと理解することができます。 例えとして、大きなバスタブと小さなバスタブを考えます。小さなバスタブのほうが熱いお湯、冷たい水が入ってきたときに温度が変わりやすいだけではなく、水があふれやすい特徴を持っています。つまり変化に弱く、変化に反応しやすいわけです。それが発達障害の、特にADHD系の人たち、そしてそれは(ASDの傾向が見えにくい、あるいはある程度調整できている)女性に多いと思われるわけです。「躁うつ(双極性障害)のII型は、発達障害的に説明」でき、その相関性は強いと思われます。

その他の考察

 上の解説にもある通り、双極性障害はお薬が開発されており、これによって生きやすさが改善されるケースが多いと思われます。このため、小さいときから発達障害のようなADHDのような特徴が疑われ、かつお薬もほとんど効かないという場合は、発達障害という可能性が高くなると思います。あるいは少なくとも発達障害と併発してしまった双極性障害であるということだと思われます。お薬への当社の考え方などはご利用説明会の場でお話ししています。

うつ病

 「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状を抑うつ気分といいます。抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態です。うつ状態という用語のほうが日常生活でよく用いられますが、精神医学では抑うつ状態という用語を用いることが多いようです。このようなうつ状態がある程度以上、重症である時、うつ病と呼んでいます。【厚労省ウェブサイトより】blank

発達障害との関係性

 発達障害の人は自分の興味のあること以外は愉しめなかったり、”やる気スイッチ”が入りにくく先送り癖があったり、表情の表出が乏しくいつも生気がないように見えたり、他人との交わり方がわからない、あるいは孤立的に過ごしているので楽しみがないように周囲にも自分にも思えたりと、うつと似たような症状や状態が多く出ます。

 実際、うつ病を疑って病院・クリニックに行ってみたら発達障害だったとか、うつ病の薬を飲んでもなかなか良くならないのでいろいろと調べるうちに発達障害ということが自分によく当てはまることがわかったという方が多いです。悲しいことに発達障害を自分で気づいた方の最大のきっかけが、うつに陥ったことということともいえるかもしれません。つまり発達障害は”原因”であり、うつは”現象”であるという場合があると思われます。

その他の考察

 発達障害は先天的な脳機能の違いです。換言すると、生まれてから死ぬまで脳は根本的には変わりません(他の例:女性の脳が急に男性になったりはしない)ので、特徴も人生の始めから終わりまで見られます。一方でうつは後天的なもので、環境や出来事によって引き起こされるものです。発達障害の人はコミュニケーションが苦手だったり、ミス・抜け漏れがあったり、からかわれたり、上司から仕事ができないと言われたりと、社会的に適応しにくい場面に陥る頻度が高いのは事実だと思われます。ただこういった状況が一時的に強く出ることは長い人生の中であり得ることです。小さいころから絶えずその特性が見えている、ということでなければ、発達障害との関係性は薄く、通常の抑うつ傾向なのだと考えられます。

パーソナリティ障害(人格障害)

 パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っているケースに診断される精神疾患です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから障害(問題)が生じるものです。注意したいのは、「性格が悪いこと」を意味するものではないということです。パーソナリティ障害には、他の精神疾患を引き起こす性質があります。パーソナリティ障害と合併したほかの精神疾患が前面に出ることが多いので、パーソナリティ障害は背後から悪影響を及ぼす黒幕のような病気だということができます。【厚労省ウェブサイトより】blank

発達障害との関係性

 パーソナリティ障害は、発達障害と同じく文化・社会との関係性であり、そのため時代や国、周囲の環境などに応じて適切と思われる言動が変わり、望ましいとされるパーソナリティ(人格)の範囲も変わると思われます。

 他者と視点や感じ方が違う、自分目線になりやすい、衝動的であるところなど、発達障害と同じような特徴がいくつも並び、実際現場では見極めが難しいケースも見られます。発達障害の方は小さいころにいじめを受けたり、大人になってからも就職や人間関係でうまくいかず、社会や他者を憎んだり、悲観的になったりと、自分を守るためなのだと思いますが、社会に適応しづらい認知・思想に傾く危険性があるともいえます。このような場合は、発達障害をベースとしながらもパーソナリティ障害が二次障害で強く出てしまう恐れがあるでしょう。

その他の考察

 当社のご利用説明会後の個別相談の中で、発達障害とパーソナリティ障害の最も大きな違いと思っているところは”作為があるか無いか”です。つまり相手をコントロールしてやろう、自分が有利になろうというような作為をほとんど感じないことが発達障害の本質だと思っています。(このために追い込まれたとき以外は嘘をつかないという特徴も発達障害には見られます。)

 パーソナリティ障害の場合は、そういった他者を巻き込むという作為が強く感じられます。もちろんパーソナリティ障害が圧倒的に強くなるとそのベースに発達障害があるか見極めるのさえ困難になることが多いと思いますが、作為が強い場合は発達障害よりもまずはパーソナリティ障害を疑いそちらの治療を優先していくことが良いと思っています。その後、パーソナリティ障害が寛解していく中で、ベースとなる発達障害が見えやすくなった場合に初めて発達障害への対応をすべきだと思っています。

愛着障害・アダルトチルドレン

 幼少期に親から虐待などを受けることで、自分の感情や行動をうまくコントロールできなくなるのが愛着障害です。自分のことを大事に思うことができない、他者への想像力が働かないなど基本的な社会性を持つことができず、人とのコミュニケーションがいびつになるなどの症状があります。【NHKクローズアップ現代 ウェブサイト】blank

発達障害との関係性

 発達障害と似ているのは「出方」です。他人目線がとりづらく、共感がしづらく、我慢が出来づらく衝動的な行為が多く、不安が強く、というような発達障害に似たような言動が愛着障害(アダルトチルドレン)の場合でも見られるようです。また親が(発達障害を含む)何らかの苦しさを抱える人生を送っていたため、子どもに当たってしまっているというケースも考えられ、発達障害の親子の中で愛着障害が起こる可能性も否定できません。

 非常に苦しい家庭環境で育った人たちは現代社会に確実におられます。虐待・ネグレクトということが判明している以外でも、親との関係が非常に希薄で連絡が取れていないケースや小さいころの思い出をまったく語ってくれない場合などは愛着障害の可能性も考えます。あるいは語ってくれたとしてもご飯は物心つくころから家族バラバラでとっていたり、文字通り箸の上げ下げでも親に激怒されただただ服従していた、というようなケースです。このようなエピソードを持つ場合は、発達障害というよりも愛着障害の側面を注目したほうが良いのかもしれません。

 実際、専門医によると、愛着障害と発達障害との見分けが最も難しいとのことです。世の中には診断のレベルまではいかないものの、親との関係がない、あるいは見えないケースは多く、アダルトチルドレン的な人は多いのかもしれません。つまり、どのあたりまでが先天的(つまり発達障害由来)で、どのあたりが後天的(つまりアダルトチルドレン的な要素)か、を念頭に置きながら接する必要があると思われます。

その他の考察

 見分けが難しい以上、似ていない部分を上げることはなかなか難しいですが、ほかの精神障害と同じく、発達障害との違いは、幼いころから特徴が認められるかどうかということ。ただし愛着障害は多くの場合、幼い時期の体験に基づくため幼少期から特徴が出ると思われますので、その点でも発達障害との見分けや似ていないところを福祉の現場で探すのは大変難しいです。このため当社では見立てすぎず、適切な医療機関に繋ぎ、愛着障害(アダルトチルドレン)に詳しい医師や臨床心理士などの見解を伺うことを徹底しています。

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