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HOME 発達障害とは 大人のADHD(注意欠如多動性障害)

大人のADHD(注意欠如多動性障害)ADHD

「ADHD」という言葉を、テレビや雑誌の中で目にする機会が増えてきました。 発達障害について紹介される際、「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」、「LD (学習障害)/ SLD(限局性学習症)」と並んで取り上げられるのが、この「ADHD(注意欠如多動性障害)」です。 このページでは、ADHDのある大人の方について、診断基準なども踏まえながら、長所や苦手なこと、対応策についてご紹介します。

ADHD(注意欠如多動性障害)の特徴

ADHD(注意欠如多動性障害)は、大きく3つのタイプに分けられます。

不注意優勢型

いわゆる「うっかり」間違いが多いタイプです。 忘れ物をしたり、約束を忘れてしまうということは、誰しも経験があると思います。 しかし、ADHD(注意欠如多動性障害)の方の場合、「うっかり」の度合いが大きかったり、頻度が高かったりします。気が逸れやすく、物事に長時間集中し続けることの苦手さがある場合もあります。また、整理整頓が苦手な人もいます

多動・衝動優位型

ひとつの物事にじっくり取り組んだり、ひとつの場所にじっと留まることを好みません。つい貧乏ゆすりをしてしまったり、じっとしていても内心は落ち着かないことが多くあります。 気持ちのコントロールが効きにくい場合があり、カッとなって言い返してしまったり、後先考えずに思ったことを伝えてしまうことがあります。じっくり計画を立てて行動するよりも、思いついたら即行動という場合が多いでしょう。

混合型

不注意と、多動/衝動性の両方の特徴を持つ場合です。

自分に自信が持てない

ADHD(注意欠如多動性障害)の診断基準ではありませんが、ADHDのある人は幼少期から失敗経験が人よりも多く、自分に自信が持てなかったり、自尊感情が低かったりする場合があります。 「どうしてみんなと同じようにできないのだろう」 「どうせ頑張ってもうまくいかない」 「ミスがないように気をつけても、同じ失敗をしてしまう」 など、ご自身に対して否定的な考え方を持っている場合があります。 このような場合、二次障害として抑うつなどにつながる可能性もあります。 二次障害とは、発達障害の特性そのものではなく、特性がきっかけとなって二次的に発症する障害のことです。

診断基準

DSM-5にあるADHD(注意欠如多動性障害)の診断基準は、不注意傾向と多動性/衝動性傾向が主な軸になっています。具体的な項目を見てみましょう。

不注意傾向

以下の項目に5つ以上あてはまる状態が6か月以上。

  • 細かい注意を払うことができない。
  • 不注意から失敗することがよくある。
  • 注意を持続しつづけることが難しい。
  • 話しかけられても聞いていないように見える。
  • 指示されたことをやり遂げることができない。
  • 順序立てて課題を進めることが難しい。
  • 継続して課題に取り組むことが難しい。
  • よく必要な物をなくす。
  • よく関係ないことで気が散る。
  • 忘れる・抜け漏れることがある。

多動性/衝動性傾向

以下の項目に5つ以上あてはまる状態が6か月以上。

これらの項目のいくつかは12歳以下で存在していること、社会生活の中でこれらの状態が複数の場面でみられることも診断の基準になります。

  • そわそわと手足を動かしたり座っていても、もじもじ動いてしまう。
  • 着席しつづけるのが難しく離席してしまう。
  • じっとしていられないような気分になる。
  • 静かに遊びや余暇活動に取り組むことが難しい。
  • 勢いよく行動し続ける、じっとしていると落ち着かない。
  • しゃべり過ぎることが多い。
  • 相手の話が終わる前に話し始めてしまう、相手の言葉を先取りして話してしまう。
  • 他の人の活動を遮って邪魔をしてしまう。

※ DSM-5 = 「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」アメリカ精神医学会作成

ADHDに治療薬はある?

ADHD(注意欠如多動性障害)の方の中には、ある程度症状を和らげて日々の暮らしの中での困りごとを減らすため、ADHD向けの処方薬として日本では下記3種類が認可されています。主な効果は、「集中力や注意力を高め」、「衝動性や多動性を軽減する」ことです。

日本で認可されている処方薬
  • コンサータ
  • ストラテラ
  • インチュニブ

服薬するかどうかは主治医と相談して決定します。副作用が強い、症状が改善しない、もう薬がなくても大丈夫そうだと感じた等の時には、自己判断で服薬量を増減せずに、次の診察時に主治医に状況を伝えて今後の処方について相談することが大切です。

ADHDの人が得意な仕事・職業

最近は海外だけでなく日本でもADHD(注意欠如多動性障害)をカミングアウトする有名人が出てきました。不注意や多動/衝動性など弱みの部分に注目が集まりやすいため、ADHDがあることに対して世間ではどうしてもネガティブなイメージを持たれやすいです。しかし才能が豊かだったり、個性を活かして活躍しているADHDの当事者の方がポジティブなメッセージをメディアで伝えていくことで、ADHDの人の強みを多くの人に知っていただけるのは大変良いことです。ADHDの特性に合う仕事を挙げると、以下のように非常に魅力的な仕事が多く、かつ可能性が広いことがわかります。

ADHD(注意欠如多動性障害)に向いている職業・職種
自分の興味を発信できる仕事 編集、記者、ディレクター、カメラマン など
もの作りに関わる仕事 料理人、整備工、プログラマー、アニメーター、デザイナー など
専門分野に特化できる仕事 研究者、学者、塾講師、教員 など

気を付けたいのは、実際の業務では顧客や上司の要望に沿う必要があることです。こだわりをもつADHDの当事者は多く、自分の考えをただ形にするだけではなく、お客様の意向を汲んで動くことにストレスを感じてしまう人もいます。仕事をする上で自分と相手がともに納得できるポイントを常に探すようにするとよいでしょう。

職場での「困りごと」と「対処方法」

困りごと1: 予定や計画の管理が苦手

ADHD(注意欠如多動性障害)の方は、仕事の優先順位をつけることや複数のタスクを同時にこなすことができない傾向があるため、予定や計画の管理が苦手な方が少なくありません。

対処方法

予定や計画管理が困難な状態になる具体的なケースとして大まかに二つに分けることができます。

一つは、「予定や計画そのものに無理がある」場合です。計画そのものに無理がある場合は、タスクにかかる時間や優先順位づけを考え直すことが必要です。計画にかかる時間が適切に取れているか、優先順位はつけられているかを確認しましょう。優先順位をつける際は、締め切りが速いものや重要度の高いタスクの優先度を上げましょう。可能であれば、第三者の意見を取り入れるようにしても良いでしょう。

もう一つは、「予定や計画は適切だが想定通りに進まない」場合です。その場合は、都度計画の立て直しが必要になります。最初に計画を立てる段階で、「〇月×日までに~~まで終わっていなければ上司に相談する」などの対応策を考えておきましょう。

また、職場では想定外の予定が入るなどして当初の予定が崩れていくこともあります。ADHDの方は目で見て情報を得ることが得意な方が多いので、タスクリストや作業の進捗を視覚的に確認できるように工夫し、常に重要度や優先度が意識できるようにしましょう

困りごと2: 「うっかり」ミスが多い

「うっかり」間違いや「うっかり」忘れは、ADHD(注意欠如多動性障害)の方の特徴の一つです。日常生活の中であれば笑い話で終わったとしても、仕事上ではそうはいきません。

対象方法

まずはどのような状況でミスが出やすいか確認、分析を行いましょう。そして、特にミスの出やすい状況になった際にどのような対策をすれば良いか考えましょう。考えた対策を箇条書きなどにしてチェックリストなどを作成して確認するようにしましょう。他の人にチェックをお願いできるようであれば、早めにチェックをお願いすることも有効です。

完璧を求めすぎてもいけません。「うっかり」を完全になくすことは、どんな人にとっても難しいことです。うっかりミスを防止する工夫を考えつつ、「ミスした後にどう対応するか」を考えておくとよいでしょう。

困りごと3: 重要な予定や締め切りを忘れてしまう

ADHD(注意欠如多動性障害)の方の特徴として、「うっかり」間違いや「うっかり」忘れることが比較的多いため、仕事上の予定や締め切りを守れず困ることも少なくありません。

対処方法

対処方法としては、「タスクリストを作成し会社のデスクなど常に確認できる場所に置く」、「口頭での支持は都度メモを取る」などして忘れることのないようにしましょう。メモを取ることが苦手な場合は「音声録音」をしたり、口頭ではなくメールやメモで指示をもらうようにしましょう。また、スマートフォンやPCのリマインド機能を利用するのも効果的です。

困りごと4: 仕事中、集中を保つのが難しい

ADHD(注意欠如多動性障害)の方の中には、一つのことに長時間集中することが苦手な方がいます。特にデスクワークなど、同じ場所にとどまって似たような作業を続けていると、途中で集中が途切れてしまうことがあります。

対処方法

集中力が保てない時の対処方法としては、「1時間ごとに5分の休憩をとる」などして短時間集中を繰り返しできるようにして、結果的に長時間の作業を行えるようにしましょう。その際は、時間の経過が視覚的にわかるようにタイマーなどを使用すると効果的です。

他の人の話し声や動きが気になってしまう場合は、デスクにパーティションを置き受け取る刺激を減らすようにしましょう。大きなパーティションでなくても、卓上サイズのものでも効果があります。