就労継続支援B型は、障害によって一般企業で働くことが難しい人が、働く経験を積める就労支援サービスのひとつです。勤務日数や勤務時間を事業所と相談しながら柔軟に決められるので、自分のペースで働きたい人におすすめです。
この記事では就労継続支援B型について、働き方や利用までの流れ、ほかの就労支援サービスとの違いなどを詳しく紹介します。
就労継続支援B型とは?
就労継続支援B型は障害者総合支援法に基づいて国が定める福祉サービスのひとつで、障害によって一般企業で働くことが難しい人に働く機会を提供する制度です。簡単なデータ入力やパッキング、清掃作業などの作業を行い、工賃をもらいながら働く経験も積むことができます。
就労継続支援B型は事業所に通って作業をすることになりますが、雇用契約は結びません。そのため働く日数や時間を柔軟に決められて、障害や体調などの事情に合わせやすいのがメリットです。
国の就労支援制度には、ほかに就労移行支援や就労継続支援A型がありますが、そのなかでも就労継続支援B型は障害のある方にとって身近なサービスです。就労移行支援の利用者が約3.4万人、就労継続支援A型の利用者が約7.2万人であるのに対して、就労継続支援B型の利用者は約26.9万人と、多くの方が利用しています。(2020年3月時点)
就労継続支援B型は国の福祉サービスのため、利用するにはお住まいの市区町村の障害福祉窓口への申請が必要です。申請の前に直接事業所を訪れても作業ができるわけではないので、まずは役所の窓口に相談しましょう。
就労継続支援B型とA型の違い
就労継続支援A型は、一般企業で働くことは難しいものの、雇用契約を結んで働くことが可能な人に対して働く場所を提供する福祉サービスです。B型との大きな違いは雇用契約を結ぶかどうかです。A型は雇用契約を結んだうえで働きますが、B型は雇用契約を結びません。
雇用契約を結ぶことで労働基準法が適用されるので、A型の制度を利用する場合はその地域の最低賃金以上の給料がもらえます。一方、雇用契約を結ばないB型は工賃を時給換算すると最低賃金を下回るケースもあり、そもそも労働時間が短めの人も多いことから、A型よりB型のほうがもらえる金額は安い傾向にあります。
そのほか、年齢制限があるかどうかもA型とB型の違いです。A型には65歳未満という年齢制限がありますが、B型は年齢制限がないので65歳以上の人も利用できます。
就労継続支援とその他の障害福祉サービスとの違いとは?
就労継続支援のほかにも就労に関する障害福祉サービスは複数あり、何が違うのかわからないという人もいるでしょう。そこで、就労に関するそれぞれの障害福祉サービスの特徴を以下にまとめました。
サービス | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 | 就労定着支援 |
---|---|---|---|---|
概要 | 一般企業への就職が難しい人に働く場所を提供するサービス | 一般企業への就職が難しい人に働く場所を提供するサービス | 事業所で働きながら一般企業への就職を目指せるサービス | 就職した職場で長く働けるようサポートを受けられるサービス |
対象 | 雇用契約を結んで働ける人 | 雇用契約を結んで働くのが難しい人 | 一般企業への就職を目指している人 | 障害福祉サービスを利用して一般企業に就職した人 |
事業所との雇用契約 | あり | なし | なし | なし |
事業所からの報酬 | 給与が支払われる | 工賃が支払われる | なし | なし |
利用期間 | 定めなし | 定めなし | 原則2年 | 3年 |
以下で就労移行支援と就労定着支援について解説するので、こちらも併せてチェックしてみてください。
就労移行支援との違い
就労移行支援も就労継続支援と同じく国の福祉サービスのひとつで、事業所で働く訓練を受けながら一般企業への就職を目指せる制度です。
就労継続支援と就労移行支援は、目的が大きく異なります。就労継続支援はA型もB型も「事業所で働くこと」が目的ですが、就労移行支援は「一般企業への就職」が目的です。そのため、就労移行支援では就職先を探したり職場で長く働くためのサポートも行っています。
就労移行支援の場合、事業所での作業は訓練という位置づけのため、雇用契約は結ばず、基本的に賃金や工賃は発生しません。ただし、事業所によっては工賃が支払われることもあります。
就労移行支援には年齢制限があり、原則65歳未満の人が対象です。利用期間も決まっており、延長ができるケースもありますが、原則として2年までしか利用できません。一方、就労継続支援はA型もB型も期間の制限なく利用を続けられます。
就労定着支援との違い
就労定着支援は、就労継続支援や就労移行支援などの利用を経て就職した人のための障害福祉サービスです。就職後6ヶ月経過した人が対象で、その職場で長く働き続けられるように支援員が会社との仲介役となってさまざまなサポートを行います。
例えば「仕事でのミスが多い」「職場にうまく馴染めない」など、仕事や職場に関する悩みを相談すると、支援員が本人と職場の上司などから話を聞き、解決策の提案などを行います。
このように、就労継続支援や就労移行支援が就職を目指す人のためのサービスであるのに対して、就労定着支援は実際に就職をした人のためのサービスであるのが大きな違いです。
就労継続支援B型はどんな人が利用できる?年齢制限はある?
就労継続支援B型の対象者は、以下のいずれかに該当する人です。
- 就労経験があり、年齢や体力などの事情で一般企業で働くことが難しい人
- 年齢が50歳以上の人
- 障害基礎年金1級を受給している人
- 就労移行支援事業者などによって「就労面の課題がある」「就労継続支援B型の利用が適している」などと判断された人
参考:厚生労働省「就労系障害福祉サービスの概要」
上記のような条件はあるものの自治体によっては柔軟に対応しているところもあり、実際には幅広い方が利用しています。そのため、「制度を利用したいけれど、条件に当てはまらないかもしれない」と心配な方は、まず主治医に相談して事業所での作業が問題ないか確認したうえで、お住まいの地域の障害福祉窓口に相談してみましょう。
就労継続支援などの障害福祉サービスは障害者手帳を持っていなければ利用できないと思っている人もいるかもしれませんが、障害者手帳は必須ではありません。障害者手帳を持っていなくても、「障害福祉サービス受給者証」があれば就労継続支援B型を利用できます。
就労継続支援B型の働き方と工賃
就労継続支援B型の利用を検討している人は、「どんな作業をするのか」「働く日数や時間はどのくらいか」「どのくらいの工賃がもらえるのか」などが気になるポイントですよね。
ここでは、就労継続支援B型の「作業内容」「勤務日数・勤務時間」「工賃」について、それぞれ紹介します。
作業内容・仕事内容
作業内容は利用する事業所によってさまざまですが、以下のようなものが例として挙げられます。
- 簡単なデータ入力などパソコン作業
- 工場でのパッキングやピッキング作業
- 製品の発送作業
- 書類整理などの軽作業
- 農作業
- 清掃作業
- 衣類のクリーニング
- パンやお菓子の製造
- ミシン作業や手工芸品の制作
- 部品加工
- 飲食店での調理や配膳 など
基本的には事業所で作業に取り組みますが、外出が困難な場合は在宅での就労も認められています。在宅での就労を希望する人は、市区町村の障害福祉窓口に相談してみましょう。
勤務日数・勤務時間
就労継続支援B型の勤務日数・勤務時間は、事業所と相談しながら柔軟に決めることが可能です。障害やその日の体調に合わせて働く時間を決められるので、長時間働くことが難しい人でも安心して利用できます。
「週1日・1時間程度から始めて、慣れてきたら勤務日数を少しずつ増やしていく」なども可能なので、事業所と相談して自分のペースで進めていきましょう。
工賃
工賃の金額を決める方法は、作業した量に応じて金額が決まる歩合制と、「1日あたり◯円」と決まっている日額制のいずれかになります。
就労継続支援B型の工賃の平均額は、以下のとおりです。
- 2020年:月額15,776円 / 時間額222円
- 2021年:月額16,507円 / 時間額233円
厚生労働省の調査によると、就労継続支援B型の平均工賃は2020年度に少し落ち込んだものの、年々上昇が続いています。2021年度の平均工賃は、2019年度と比較しても金額がアップしていました。
上記の金額は全国の平均ですが、都道府県別の平均を見ると地域によって平均工賃に差があります。お住まいの地域の平均工賃が気になる人は、以下の厚生労働省の資料からチェックしてみましょう。
就労継続支援B型の利用期間と利用料金
国の就労支援のなかには、利用期間や利用料金が定められているものがあります。就労継続支援B型の利用を検討している人は、利用期間と利用料金についても知っておきましょう。
利用期間
就労継続支援B型は、利用期間が定められていません。「ゆっくり時間をかけて就労経験を積みたい」という人は自分のペースで何年でも利用できますし、就労移行支援や就労継続支援A型に切り替えたあとで「やっぱりB型に戻したい」という場合は利用を再開することも可能です。
就労継続支援B型には年齢制限がないため、65歳以上の人でも利用できます。就労継続支援A型には65歳未満という年齢制限がありますが、B型なら利用中に65歳を迎える人もそのまま利用を続けられます。
利用料金
就労継続支援B型の事業所を利用するには、国が定めた利用料金がかかります。ただし、全額を利用者が支払うわけではなく、9割は自治体負担、残りの1割が利用者負担となります。また、世帯収入に応じて負担額の上限が定められていて、上限以上の料金を請求されることはありません。
世帯収入ごとの負担額の上限は以下のとおりです。
世帯の収入状況 | 世帯収入目安 | 負担額の上限(月額) |
---|---|---|
生活保護受給世帯 | 年収がおおむね300万円未満 | 0円 |
市町村民税非課税世帯 | 年収がおおむね300万円未満 | 0円 |
市町村民税課税世帯 | 年収がおおむね600万円未満 | 9,300円 |
上記以外 | 年収がおおむね600万円以上 | 37,200円 |
利用日数が多くなっても上記以上の料金はかからないので、安心して利用できます。また、収入の関係で就労継続支援B型を無料で利用している人も少なくありません。
就労継続支援B型のメリットとデメリット
就労継続支援B型には、以下のようなメリットがあります。
- 自分のペースで無理なく働ける
- 障害に理解のあるスタッフがいる環境で働ける
事業所にもよりますが、就労継続支援B型は1日1時間といった短時間や、週1日など低頻度でも利用できます。そのため、それぞれの体力や体調に合った働き方を選べるのがメリットです。事業所には障害に理解のあるスタッフがいるため、適切な支援を受けながら働けるというメリットもあります。
一方、デメリットとしては以下が挙げられます。
- 工賃が安い
就労継続支援B型は事業所と雇用契約を結ばないため、基本的に工賃は最低賃金未満となります。厚生労働省のデータでは令和3年度の平均工賃は月額が16,507円、時間額が233円と、決して高くはありません。
就労継続支援B型とアルバイトは併用できる?
就労継続支援B型とアルバイトの併用を考えている人もいるかもしれませんが、原則としてアルバイトとの併用はできないと考えてください。そもそも就労継続支援B型は、一般企業での就労が難しい人を対象としている制度です。そのため、アルバイトが可能な人は就労継続支援B型の利用に適さないと判断される可能性が高いでしょう。
ただし、就労継続支援B型の利用可否は各自治体が判断するため、障害特性などによって例外的に許可されるケースもあります。何らかの事情があって就労継続支援B型とアルバイトを併用したい場合は、お住まいの自治体の障害福祉窓口に問い合わせてみてください。
就労継続支援B型と併用できる制度
就労継続支援B型は工賃が低く、経済的な支援制度と併用したいと考える人が多いでしょう。就労継続支援B型と併用できる制度には、以下のようなものがあります。
- 障害年金
- 失業保険
- 生活保護
それぞれの制度について、以下で詳しく見ていきましょう。
障害年金
障害年金は、怪我や病気、障害などによって生活や仕事に支障が出たときに受け取れる年金です。年金と聞くと高齢者のための制度をイメージする人が多いかもしれませんが、障害年金は受給条件に該当すれば年齢を問わず受け取れます。
精神疾患や発達障害*、がんや糖尿病などさまざまなケースが対象となっていて、障害者手帳を取得しているかどうかも関係ありません。自治体の窓口もしくは年金事務所に申請書を提出すると審査が行われ、障害の等級などによって支給額が決定します。
失業保険
失業保険は、就労の意思がありながら失業状態にある人に支給される手当です。失業前に雇用保険に加入していた場合は失業保険を受け取れる可能性があるため、自分が受給条件に該当するかどうかお近くのハローワークに問い合わせて確認してみましょう。
失業保険はその名の通り失業中の人に支給されるものなので、事業所と雇用契約を結ぶ就労継続支援A型を利用している人は対象外です。一方、就労継続支援B型は事業所と雇用契約を結ばないため、失業保険の受給条件に当てはまれば併用できます。
生活保護
生活保護は、さまざまな事情で生活に困窮する人に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障するための制度です。困窮の程度に応じて、必要な生活保護費が支給されます。
生活保護を利用できるかどうかは、資産の有無や年金などの受給状況、親族からの援助を受けられるかどうかなど、さまざまな条件があります。条件を満たした場合、国が定める基準で算出した最低生活費が支給される仕組みです。ただし、年金などの収入があると、最低生活費から収入を差し引いた額が支給額になります。
就労継続支援B型の利用の流れ
就労継続支援B型を利用するときの流れは、以下のとおりです。
- 主治医に相談してB型の利用について許可をもらう
- 利用したい事業所を探す
- お住まいの地域の障害福祉窓口で利用申請をする
- 「サービス等利用計画書」を作成して窓口に提出する
- 受給者証が発行される
- 希望の事業所と手続きをして利用開始
それぞれのステップでどのような対応が必要になるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
主治医に相談してB型の利用について許可をもらう
事業所を探し始める前に、まず主治医から就労継続支援B型の利用に問題がないか確認が必要です。主治医に就労継続支援B型の利用を検討していることを伝え、判断を仰ぎましょう。
利用したい事業所を探す
主治医の許可を得たら、利用したい事業所を探します。インターネットで探したり地域の障害福祉窓口で紹介してもらったりして、通いたい事業所を見つけましょう。通っている病院がおすすめの事業所を教えてくれることもあります。
利用前の相談・見学を受け付けている事業所もあるため、気になる事業所があれば問い合わせてみるのがおすすめです。
お住まいの地域の障害福祉窓口で利用申請をする
利用したい事業所が見つかったら、お住まいの地域の障害福祉窓口で利用申請をしましょう。就労継続支援B型を利用するには、自治体が交付する障害福祉サービス受給者証が必要なので、この受給者証を取得するための手続きも必要です。
「サービス等利用計画書」を作成して窓口に提出する
利用申請を行うと、自治体から「サービス等利用計画書」を作成するよう求められます。自治体の担当者が障害福祉サービスについて相談できる指定特定相談支援事業者を紹介してくれるので、サポートを受けながら計画書を作成しましょう。
「障害福祉サービス受給者証」が発行される
自治体にサービス等利用計画書を提出して自治体の確認が完了したら、障害福祉サービス受給者証が発行されます。利用申請から支給決定と受給者証の発行までは、約2ヶ月ほどかかると思っておいてください。
希望の事業所と手続きをして利用開始
障害福祉サービス受給者証が発行されたら、希望の事業所と契約を結んで利用開始となります。
特別支援学校の卒業生が就労継続支援B型を利用する際の注意点
特別支援学校の卒業後に就労継続支援B型を利用したいと考えている人もいるでしょう。しかし、就労継続支援B型は「一般企業での就労経験がある」もしくは「就労アセスメントを受けてB型の利用が適当だと判断される」のいずれかを満たさなければ利用できません。
特別支援学校を卒業したばかりの生徒は、当然ながら一般企業での就労経験はないため、就労アセスメントを受ける必要があります。これに関しては以下のような問題が指摘されていて、これを「直B(ちょくびー)問題」といいます。
- 特別支援学校の卒業後に直接就労継続支援B型を利用できない
- 就労アセスメントが「B型を利用するためのもの」になっている
- 適切な就労アセスメントが行われていないケースがある など
特別支援学校の卒業後に就労継続支援B型の利用を検討している人は、このような直B問題についても把握しておく必要があります。
就労継続支援B型の事業所の選び方
就労継続支援B型の事業所は、以下のポイントを考慮して選びましょう。
- 作業内容や働き方
- 事業所までの距離やアクセス
- 事業所との相性
それぞれどのような点を確認すべきなのか、以下で紹介します。
作業内容や働き方
作業内容や働き方は、事業所によってさまざまです。事業所の公式ホームページや求人サイトを確認して、どのような作業ができるのかを事前に確認しておきましょう。「作業内容が自分に合っているか」「無理なく働けそうか」といった視点で事業所を選べば、無理せず長く利用を続けられる可能性が高まるでしょう。
「自分に合っている作業がわからない」という人は、気になる作業を行っている事業所を体験利用してみるのがおすすめです。
事業所までの距離やアクセス
自宅から事業所までの距離やアクセスも重要なポイントです。体力的・金銭的に無理なく通える事業所を選びましょう。自宅から遠くアクセスしづらい場所にある事業所を選んでしまうと、移動によって身体に負担がかかり、交通費も多くかかってしまいます。
事業所によっては通勤交通費を支給してくれることもあるため、希望する事業所の交通費の取り扱いについても事前に確認しておくのがおすすめです。
事業所との相性
継続して通うことになるので、事業所の雰囲気が自分に合っているかどうかも確認しておくと安心です。体験利用や見学の際に、「ここで働けそうか」という視点でほかの利用者やサポートスタッフの様子を見てみましょう。
相性の良い事業所なら、楽しみながら長く利用を続けられますよ。反対に、相性が合わない事業所を選んでしまうと通うのがストレスになってしまうので、事業所の雰囲気も事前に確認しておきましょう。
就労継続支援B型は自分のペースで働きやすい
就労継続支援B型は、国が定める就労支援サービスのひとつです。就労継続支援B型を利用したいと思ったら、まずは主治医に相談しましょう。主治医の許可が得られたら、希望の事業所を選んで地域の障害福祉窓口で必要な手続きを行います。事業所選びに迷ったら、障害福祉窓口に相談してみてくださいね。
ストレスなく長く利用を続けるには、事業所選びが重要です。作業内容や事業所までのアクセス、事業所との相性を考慮して、通いやすい事業所を選びましょう。
就労継続支援B型は、「雇用契約を結ばない」「年齢制限がない」など、ほかのサービスと比較して働き方を柔軟に選べるのがメリット。自分のペースで働きたい人は、就労継続支援B型がおすすめです。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
監修者コメント
就労継続支援B型はとても利用している方の多い制度ですね。実際就労支援系の中でも圧倒的に多くの方が利用しているため、それだけ利用もしやすく、またメリットが大きいのだと感じています。実際、私も外来で、今はまだ一般就労は難しい、早いという方が、非常に良い形で利用できていることは多く体験しています。利用人数が多い、ということは事業所もそれだけ多いわけで、様々な作業内容の事業所が存在してもいます。本記事で、「事業所との相性」に言及がありますが、1つの事業所が自分に合わないと感じた時には、B型事業所が合わないと考えるのではなく、是非、別な事業所はどうだろう?と考えてみてください。幾つかの事業所を見学することもお勧めします。
「直B問題」に関して、私は実はつい最近知りました。精神科医としては恥ずかしながらですが、制度利用に関しては相談機関としっかり相談する必要もありますね。
尚、医療機関に通院されている場合、主治医が患者さんの利用している事業所名やその内容をしっかり把握できているとは限りません。障害年金や障がい者手帳の申請時に、最近ではそれらの点を具体的に記載する必要があります。そのため、新しく事業所を利用し始めたり、転院して新しい主治医に変わった際には、利用中の事業所名と、そこでの作業内容を主治医に伝えることをお勧めします。
監修 : 松澤 大輔 (医師)
2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。
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