障害者雇用の納付金義務、100人以下の企業にも拡大へ——中小企業への影響と課題(YouTubeライブ配信「お悩み解決ルーム」2026年2月4日配信より)

本記事は、Kaien公式YouTubeにて、Kaien代表取締役:鈴木慶太が毎週配信しているライブ配信番組「お悩み解決ルーム」2026年2月4日配信分より再構成したニュース記事です。

元NHKアナウンサー。自身の長男が発達障害の診断を受けたことをきっかけに、米国留学(MBA取得)を経て株式会社Kaienを設立。 「数的な凸凹があっても、強みを活かして働ける社会」を目指し、大人向けの就労支援から子ども向けの学習支援(TEENS)まで幅広く事業を展開している。 経営者として、また一人の親としての視点を交えた発信は、多くの当事者・家族から支持を得ている。

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記事の概要

2026年1月30日、日本の障害者雇用に大きな波紋を広げるニュースが報じられました。「障害者雇用の納付金義務を100人以下の企業にも拡大することを検討する」という厚生労働省の動向です。

現在、従業員100人未満の中小企業は、雇用率(2.7%)の義務はありつつも、未達成時の「納付金(罰則的な支払い)」は免除されるという、いわばグレーゾーンに置かれています。この免除枠が撤廃されようとしている今、障害福祉の現場に立ち続ける代表の鈴木は、制度の根幹にある矛盾を指摘します。


「法律違反なのに免除」というグレーゾーンの解消

現行制度では、従業員数が30数名〜100人未満の企業にも2.7%の雇用義務は課されていますが、実際に達成できていなくても納付金を支払う必要はありませんでした。今回の変更案は、この「義務はあるがペナルティはない」という矛盾した状態を解消し、30数名以上の全企業に一律の責任を求めようとするものです。

現行制度の構造:

企業規模雇用義務納付金
従業員100人以上あり(2.7%)未達成の場合、納付金が必要
従業員30数名以上〜100人未満あり(2.7%)納付金は不要(グレーゾーン)
従業員30数名未満なし

新しい案:

全ての雇用義務企業(従業員30数名以上)に納付金義務を課す

影響を受ける企業:

  • 従業員30数名以上〜100人未満の企業
  • これまで「法律違反だけど納付金は免除」だった層

これに対し、中小企業団体からは慎重な意見が相次いでいますが、鈴木は「この流れが覆ることは、おそらくないだろう」と予測しています。

納付金制度のジレンマ:全企業が達成すると予算がなくなる?

障害者雇用の財源は、一種の「独立採算」のような仕組みになっています。未達成企業から徴収した「納付金」を、達成企業への「調整金」や支援施策の予算に充てるという構造です。

ここで鈴木が「制度の皮肉なジレンマ」として注目するのが以下のポイントです。

  • 本来の目的は「全企業が障害者雇用を達成すること」である。
  • しかし、全企業が達成してしまうと納付金が入らず、予算が枯渇してしまう。
  • つまり、制度を維持するためには「未達成企業」が存在し続けなければならない。

雇用率が全国的に上昇し、納付金収入が減ってきた今、制度を維持するために「今まで免除していた層」からも徴収せざるを得なくなっている――。鈴木は、こうした財政的な台所事情が今回の拡大検討の背景にあるのではないか、と分析しています。

大企業の基準をそのまま中小企業に当てはめることの是非

また、鈴木は「大企業の基準をそのまま中小企業に当てはめること」に強い疑問を投げかけています。

大企業はハイスペックな人材を厳選して雇用する傾向がありますが、中小企業はもともと、地域の多様な人材、いわば「デコボコがある人」をすでになんとかやりくりしながら雇用し、共に働いている実態があるからです。

項目大企業中小企業
採用方針高学歴・高能力者を厳選様々な人材を受け入れる
雇用の実態「できる人」を集めるすでに多様な人材を雇用
障害者雇用の意味新たな配慮が必要もともと配慮しながら運営
2.7%の重み追加的な負担実態を反映していない可能性

「中小企業からすれば、『うちは手帳の有無に関わらず、すでに多様な人を工夫して雇っている。そこに大企業の論理(2.7%という数字)を押し付けられるのは納得がいかない』という声が出るのは当然ではないか」と、鈴木は中小企業の現場感覚に寄り添った見解を示しています。

視聴者の懸念:「置物扱い」や「不当な低賃金労働」は増えるのか?

ライブ配信中、視聴者からは「障害者が『置物扱い』されないか」という不安の声も上がりました。これに対し、鈴木は中小企業の特性から次のように回答しました。

「中小企業だと、なかなか置き物扱いなんて全然できないと思います。やっぱり働いてもらいたいって感じになるんじゃないかな」

人手が限られている中小企業では、一人ひとりの労働力が貴重です。大企業のように『ただ配置するだけ』という余裕はなく、むしろ『戦力として働いてもらいたい』という切実なニーズが強くなることが考えられます。

一方で、「障害者雇用と一般雇用の境目がなくなり、低い給料で責任ある仕事を任せられるのではないか」という懸念については、今後の課題として注視していく必要があります。

「障害」という二分法そのものへの問いかけ

最後に鈴木は、制度の前提そのものに疑問を投げかけました。

「そんなに人間で2つに、障害がある人・ない人って分かれてないですからね。こういう制度のそもそもの根っこを少し変えなきゃいけないということなのかもしれません」

手帳の有無という「記号」で雇用率を管理するのではなく、企業規模に応じた柔軟な制度設計や、障害の有無で二分しない雇用の在り方を目指すべきだと、鈴木は総括しました。


関連情報:

この配信の直前には、ファイナンシャルプランナー岩桐氏による「年収の壁・NISAつみたて・障害年金・新制度徹底解説」特別セミナーが開催されました。2026年の制度変更について詳しく知りたい方は、そちらもご覧ください。

また、2月17日には順天堂大学の加藤先生を招き、双極性障害の原因部位特定に関する世界的発見についての特別セミナーがあります。

参考資料

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