MENU
HOME 発達障害とは 発達障害から神経発達症へ

発達障害から神経発達症へ

 ➡ 発達障害は脳機能の障害です
 ➡ 多様性があります
 ➡ 環境によって変化します

発達障害は脳機能の障害です

皆さんは、「発達障害」と聞いて何を思い浮かべますか?

「アスペルガー」「ADHD」「コミュニケーションが苦手」「私って実はそうかも?」「職場のあの人はそうなのかも?」

それぞれに、イメージや思いがあると思います。このページでは、そもそも発達障害とはどのようなものなのか、概要をご紹介します。

発達障害は、複数の障害を一つのカテゴリーにまとめた総称です。

発達障害に含まれる主な障害として、「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」があります。これら3つの障害の具体的な特徴については、別のページでご紹介していますのでご覧ください。

日本では「発達障害」という言葉が定着していますが、上記の3つの障害は、米国精神医学会が発行している「精神障害の診断と統計マニュアル」の最新版、DSM-5では、「神経発達症/神経発達障害(Neurodevelopmental Disorders)」に分類されています。このDSMは、日本においても精神疾患・精神障害を診断する際のマニュアルとして用いられています。

つまり、発達障害は「しつけの結果」、「本人の努力不足」ではなく、神経の発達状況に起因する脳機能の障害です。これ以降は、せっかく登場した新しい言葉である「神経発達症」を使うことにしましょう。

多様性があります

ASDの診断を持つAさん、Bさん、Cさんの3人が同じオフィスで働いていたとします。

Aさんは人とコミュニケーションをとるのがあまり得意ではなく、職場に親しい同僚もいない様子です。会話も、出社と退社の際に挨拶があるかないか。頑固で融通が利かないことがあり、人の陰口は絶対に許せません。

Bさんは人とコミュニケーションをとることが大好き。自分から周りの人に積極的に関わりますが、周囲の人は心理的・物理的な距離感が近いことが気になります。本人に悪気はないのに、失礼なことを言ってしまったり、周囲の冗談や皮肉が通じないことがあります。

Cさんは、障害者雇用の社員として働いています。軽度の知的障害があり、普段はデータの入力などのお仕事をしています。正確さが求められる作業ではほとんどミスを出しません。いっぽう予定の変更に弱く、パニックになってしまうことがあります。

このように、同じASDの診断だとしても、一人ひとりの実態は大きく異なります。そのため、Kaienでは支援の際に利用者の診断名を重視していません。診断名だけでその人の状態を判断することはできないからです。

また、神経発達症では「スペクトラム」の考え方が用いられます。スペクトラムとは連続体のことです。

例えばダウン症(の標準型21トリソミーの場合)は、21番目の染色体が3本あった場合、など診断の基準がはっきり決まっています。

一方で神経発達症は、「この基準を超えたら」「この条件に当てはまったら」という数値的な基準はありません。誰もが持っている特性が、生活に支障が出る程度に強かったり(あるいは弱かったり)するときに(多くの場合は発達の凸凹と表現されますが)、それを障害として捉えましょう、ということになります。

ですから、例えばASDの中核症状の一つに社会的コミュニケーションの障害がありますが、Aさんのようにコミュニケーションの量が少ない人もいれば、Bさんのように過剰になる人もいるのです。また、Cさんのように他の障害と重複する場合もあります。

また、神経発達症の特性は困りごとの原因になるだけではありません。Aさんは、正義感があり何事にも誠実に対応してくれるでしょうし、Bさんは社内のムードメーカーになるかもしれません。Cさんはその特性を生かしたミスのない丁寧な仕事をする社員として評価されるでしょう。場合によって、特性は困りごとの原因になったり、その人だけの長所になったりします

環境によって変化します

神経発達症は生まれつきの脳の機能障害ですので、ある朝起きたら突然発症していた!ということはありません。ですので、大人になってから受診した多くの場合は、幼少期のエピソードを尋ねられます。一方で、「高校生くらいまでは何も感じてなかったけれど、大学に入ったあたりからどうも生活の中で困ることが増えた…」と感じて診断に至る方もいます。

こういった場合、もちろんご本人自身の変化もありますが、周囲の環境の変化も大いに影響しています

高校までは提出物の期限はいつも伝えられていたから大丈夫だったけれど、大学生・社会人になったら自分でタスクに優先順位をつけてスケジュール管理をする必要が出てきて、とたんに困ってしまった…というような感じです。昔からあった特性が大人になってから苦手さ・困り感として目立つようになる、ということは少なくありません。(逆に特性が成長するにつれ目立たなくなるということも当然あります。)

周囲の環境で、ご本人の機能的な障害そのものは変化しなくても、障害特性の現れ方やご本人の気持ちは大きく変化します。仮に障害特性がご本人の困りごとにつながっている場合は、環境を整えることで困りごとの解消につながることもあります。あるいは、困りごとを解消するために何らかのトレーニングをすることが有効な場合もあります。

もしあなたが、今すぐ50kgの荷物を1階から5階に運ぶように言われたらどうでしょう。50kgなら担いで運べる!という人もいるでしょうが、難しい人もいるでしょう。ではもし、エレベーターを使ってもOKだったら?5kgずつ小分けにして運んでOKだったら?他の人に手伝ってもらってもOKだったら?重い荷物を運ぶコツを伝授してくれる人が現れたら?

神経発達症の特性が困りごととして表れても、別の方法を試したり、取り組む量を変えてみたり、他の人に手伝ってもらったり、時には誰かにうまい方法を教わりながら、上手にお付き合いしていくことが必要です。

【参考】大人の発達障害Q&A