仕事がうまくいかない 発達障害かも?と思った時の3つのアクション

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同期入社の社員と比べて仕事の覚えが遅い。どれだけ気をつけていてもミスが減らず悪目立ちしてしまう。上司やお客さんとのコミュニケーションに行き違いが生まれる…。こんなに努力しているのに改善しないのは、何かがおかしい。もしかして、私って発達障害*なのかもしれない。

学生時代や日常生活では感じることはなかったのに、職場という環境で「自分は発達障害かもしれない」と疑って不安になっているあなた。慌てる必要はありません。まずは冷静になって、仕事がうまくいかない原因がどこにあるかをはっきりさせましょう。そして、その結果に応じた適切な対処を取ればよいのです。以下の3つのアクションを確認していきましょう。

アクション1 周りの人から自分がどう見えているかを知る

仕事がうまくいっていない原因を考えるうえで、まずは自分自身の特徴を正しく理解することがとても重要です。しかし自分のことを客観的にとらえるのは難しいもの。自分を正しく理解するには、周りの意見を聞いてみるのが一番です。

周囲の意見を聞く時のポイントの図

相談する相手を選ぶ際には、自分のことを良く知っているか、相談相手は自分が信頼できる相手かどうか、の2点をポイントに考えるとよいです。特に、親など家族に相談できるのであればぜひ相談してください。自分が覚えていないような子供のころのエピソードが自分を理解する上で大きなヒントになることもあります。なるべくなら、複数の人から意見が聞けるとよいでしょう。

アクション2 医療機関を受診する

周囲の意見を聞いたうえで、やはり仕事がうまくいかない原因は発達障害かもしれないと思う場合は医療機関を受診しましょう。精神科や心療内科を受診したことがない人は、少し尻込みするかもしれませんが余り気構えせずに行っていただけたらと思います。

医療機関で発達障害かどうかを調べるために行うことは、おもに問診(医師などによる状況の聞き取り)と心理検査の2点です。発達障害の診断が下されるかどうかを深刻に考える必要はありません。

発達障害の診断があるかどうかに限らず、人は誰もが能力に凸凹があるものです。心理検査の結果や、医師や心理士からの客観的なアドバイスにより、自分の得意不得意を知ることが出来ます。仕事を円滑に進める解決法が見つかるかもしれません。自分自身を理解する手段の一つだとおもって、まずは気軽に相談してみてください。

アクション3 自分に合ったサポートを検討する

これまでのステップを通して自分自身を理解することが出来たら、いよいよ次は「どう対処するか」ということを考えましょう。対策を思い付き、「自分で何とかできそうだな」と感じた方もいらっしゃると思います。それで全く問題ありません。大切なことは自分が発達障害かどうかをはっきりさせることではなく、職場での困りごとを解決できるかどうか、です。

一方で、自分の努力だけでは困りごとの解決が難しいと思った方は、専門家や職場など外部のサポートを受けることを検討してみてください。

職場での困りごとの原因が、発達障害であった場合に受けることが出来る外的なサポートは大きく分けて3点あります。一つは医療的なサポート、ふたつめは福祉的なサポート、最後は職場でのサポートです。

受けることが出来るサポートの図

  • 医療的サポート:ADHDなどの診断を受けられた方は、不注意や衝動性を緩和する効果がある薬を服薬することで症状が緩和することがあります。発達障害の診断が下りているのであればほとんどの方の医療費自己負担が、3割負担から1割負担に減免となります。
  • 福祉サポート:相談員に職場の悩みを話すことが出来たり、職業訓練を通じて働く力を伸ばすトレーニングを受けることが出来るなど、幅広い各種サポートがあります。自分の適性を試すことができたり、職場コミュニケーション力を向上する発達障害に特化した職業訓練など、発達障害のある方向け施設も増えています。ご利用するサービスにより、公的な手続き方法や種類に違いがあるのでご注意ください。
  • 職場サポート:勤務先に発達障害であることを開示して働くという選択肢もあります。自分の苦手なところを理解してもらったり、周囲からカバーしてもらうことで、逆に得意な部分を活かすことが出来ます。障害者手帳を取得して障害者雇用の枠で働くケースが多く見られますが、近年は一般雇用でありながら発達障害を開示して働いている方も徐々に増えてきています。

発達障害かどうかは重要じゃない 大事なことは自己理解ができているかどうか

3つのアクションに共通しているキーワードは「自己理解」、つまり自分の特徴を正しく把握できているかどうかです。苦手な部分を周囲にカバーしてもらうことを恥じる必要はありません。その分、得意な部分で力を発揮すればよいのです。

自分のことを正しく理解できていること、それ自体が働くうえでの強い武器となります。仕事がうまくいかないと感じたときこそ、ピンチをチャンスに変えてご自分のことを理解するきっかけとしてください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます


監修者コメント

仕事と病院が結びつきづらいかも知れませんが、周囲との違いに悩んだら、医療機関に受診し、相談するのも一つの選択肢だと知っていただきたいです。

医療機関ではADHDの診断がつくと、コンサータ、アモキサン、インチュニブなどによる薬物療法が受けられます。また睡眠障害があれば睡眠薬による治療、社交不安や強迫性に対する薬物治療を受けられます。精神障害の手帳を検討することもできます。

一方で薬が必ず出されることもないですし、強要されることも有りません。もちろん「これぐらいでくるな」と門前払いされることもありません。気軽にご相談ください。


監修 : 益田 裕介 (医師)

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