
「自分の気持ちや希望がうまく伝わらず、職場で怒鳴ってしまった」「大人になったのに怒りを我慢できないのは、自分の性格や忍耐力に問題があるのだろうか……」などとお悩みではないでしょうか。
ふとした瞬間に怒りが抑えきれず、声を荒げたり物に当たってしまうことを癇癪(かんしゃく)と呼びます。
子どもの癇癪と比較して、大人の癇癪は深刻な悩みにつながりがちです。特に発達障害*や心の病気が関係しているケースでは、本人も原因がわからず悩みを抱える場合もあります。
本記事では、大人の癇癪と子どもの癇癪の違いや発達障害との関連、具体的な症状や対処法、さらに利用できる支援サービスまで解説します。
目次
大人の癇癪(かんしゃく)とは?子どもの癇癪との違い
癇癪(かんしゃく)とは、強い怒りや不満、苛立ちが突然爆発し、感情が制御できない状態を指します。
一般的には、幼い子どもが自分の思い通りにならない時に泣き叫ぶ姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、大人でも同様に感情をうまくコントロールできず、怒りや苛立ちが爆発することがあります。これが「大人の癇癪」です。
「大人の癇癪」の背景には、過度なストレスや病気が関係している場合が少なくありません。以下に、大人と子どもの癇癪の違いをまとめました。
| 大人の癇癪 | 子どもの癇癪 | |
| 主な背景 | 過労・睡眠不足・人間関係などによるストレス、発達障害、精神障害など | 感情・言語・自己コントロール機能が発達途上 |
| 行動の出方 | 大声で怒鳴る、暴言、物に当たる、SNSでの攻撃的メッセージなど多様 | 泣き叫ぶ、叩くなど、身体の行動が中心 |
| 本人の自覚 | 「止めたいのに止められない」「後から自己嫌悪する」など、自覚と後悔を伴う場合が多い | 自分の状態を言葉で説明しにくい |
| 経過 | 人間関係の悪化や離職、別居など二次的問題に発展しやすい | 多くは学齢期までに落ち着く |
このように大人の癇癪と子どもの癇癪は分けて考える必要があります。
大人の癇癪(かんしゃく)と発達障害との関係性
先ほど、大人の癇癪の原因の一つに、発達障害があると述べました。発達障害とは、脳の働き方に生まれつき偏りがあり、その影響でコミュニケーションや注意力、感覚などに特徴が出る状態です。
先天的な病気ですので、ご本人の性格や忍耐力の問題ではなく、根本的な治療が難しい特徴があります。また、知能に問題がない場合が多いために、社会性がより求められる大人になってから発達障害だと気づく方も少なくありません。
大人の癇癪と特に関連が深い発達障害は、注意欠如多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)です。それぞれの特性と原因について解説します。
注意欠陥多動症(ADHD)の特性と癇癪(かんしゃく)の原因
注意欠陥多動症(ADHD)は、生まれつき脳の働き方に偏りがあり、「不注意」「多動性」「衝動性」が続く発達障害です。大人になっても、計画どおりに動きづらい・落ち着かない・感情のコントロールが難しいといった形で続き、その結果として癇癪が起きる場合があります。
一例を以下に示します。
- 衝動性
カッとなるとブレーキが利きづらく、大声を出す・物に当たるなどの行動をしてしまう
- 多動性
頭の中が常にフル回転で休まらず、音や人の会話にも疲れやすく、限界を超えると突然イライラが噴き出す
- 不注意
うっかりミスや忘れ物を何度も指摘され、「また失敗した」と自己否定感が溜まり、結果として衝動的に爆発してしまう
こうした行動は通常、子どものころからみられます。「順番を待てない」「ゲームで負けると泣き叫ぶ」などの行動が過度に多い方は、注意欠陥多動症(ADHD)の可能性があります。
自閉スペクトラム症(ASD)の特性と癇癪(かんしゃく)の原因
自閉スペクトラム症(ASD)は、対人関係やコミュニケーションの難しさと、こだわりや感覚の過敏さ・鈍さが主な特性です。
これらの特性により、次のような癇癪のパターンがみられます。
- 対人コミュニケーションの難しさ
自分の気持ちや希望がうまく伝わらず、「わかってもらえない」「急に怒られた」と感じたときに、強い怒りや泣きが一気に出てしまう
- こだわりの強さ、予定変更への弱さ
「こうなるはず」という見通しどおりに進まないと、頭の中が混乱し、不安や苛立ちが高まり、癇癪として噴き出しやすい
- 感覚過敏(音・光・匂い・触覚など)
周囲の人が気にしない刺激にも耐えにくく、限界を超えると突然怒りやパニックが起きる
これらの癇癪のパターンは、通常子どものころからみられますが、社会人ではより大きな問題となるケースが多いでしょう。
大人の癇癪(かんしゃく)の具体的な症状例と抱えやすい悩み
大人の癇癪は単なる怒りとは異なり、症状もさまざまです。多くの場合は怒りや行動を自分でコントロールできない状態であり、後から自分の行動を振り返って「どうしてあんなに怒ってしまったのか」と自己嫌悪を抱える方もいるでしょう。
大人の癇癪の症状には個人差がありますが、この章では一般的な具体例と日常生活や仕事の上で生じやすい困難や悩みを解説します。
大声を出したり怒鳴ったりする
大人の癇癪の典型的な症状のひとつが、怒りを感じた際に大声を出したり怒鳴ったりする行動です。怒鳴ることで相手を威圧し、状況を自分の望む方向へ変えようとする意図がある場合もあります。
大人が突然大声を出すと、周囲の人々は驚きや恐怖を感じます。「できるだけ関わらないようにしよう」「刺激を与えないようにしよう」と、関係性に溝が生まれる原因にもなるでしょう。仕事仲間との信頼関係が崩れたり家族が萎縮したりと、人間関係のトラブルにつながることも少なくありません。孤立によってストレスが増し、癇癪が悪化する恐れもあります。
瞬発的に怒鳴った後に「なぜあそこまで怒ってしまったのか」と後悔する場合もあります。自己嫌悪が繰り返されると、精神的な負担はさらに増していくでしょう。
物を壊す
怒りを物にぶつける場合もあります。たとえば、机を叩く、ドアを強く閉める、手近にある物を投げつける・壊すといった行動が挙げられるでしょう。
物を壊す行動はその場の緊張感を高め、周囲の人々に不安を与えてしまいます。物の修理や買い替えの必要が出たり、投げた物が人に当たってケガをさせてしまったりといったリスクや危険も伴います。
突然キレるように怒る
「急に怒り出す」などの突発的な行動も大人の癇癪の特徴です。何の前触れもなく一気に感情が爆発するため、本人も周囲の人々も戸惑ってしまいます。家族など、関係性の近い相手に対してだけ激しく怒る場合もあります。
反対に、今まで激しく怒っていたのに突然落ち着く人もいます。本人はケロッとしているのに周囲は恐怖や不信感を抱えたまま取り残されるなど、関係性に溝が生まれてしまうケースもあるでしょう。
些細なことで不機嫌になりイライラする
日常の些細な出来事で不機嫌になり、イライラが長引くケースも見られます。他人のちょっとした言動や急な予定変更に過敏に反応し、機嫌を損ねてしまうのが特徴です。
発達障害の特性や精神的な病気がある場合、環境の変化や予期しない事態に大きなストレスを感じやすくなります。過去の経験から自己肯定感が低い人も、他人の言葉や態度を過剰にネガティブに捉え、落ち込んだり怒りを感じたりする場合があります。
不機嫌な態度やイライラは周囲に伝わってしまい、コミュニティ内での関係性に悪影響を及ぼす場面もあるでしょう。
大人の癇癪(かんしゃく)の原因
大人の癇癪は、前述した発達障害以外でも、メンタルヘルス不調や精神障害などで起こります。この章では、代表的な原因であるストレスの蓄積や体調面の問題、幼少期の経験について解説します。
ストレスの蓄積による感情の爆発
日々の生活の中でストレスが蓄積すると、怒りや苛立ちを感じやすくなります。本来なら冷静に対応できる程度の小さな不快感でも、ストレスが溜まっていると感情を抑えられなくなるのです。
本人も怒りたくて怒っているわけではないため、なぜこんなことで怒ってしまうのか悩んで自己嫌悪に陥りやすくなります。周囲との関係が悪化し、さらにストレスが大きくなるケースも少なくありません。今まで積み上げた人間関係に亀裂が入ってしまう人もいるでしょう。
睡眠不足や体調不良
睡眠は心身のバランスを整えるために欠かせません。睡眠不足が続くと、感情コントロール、意欲、集中力、判断力などを司る脳の前頭葉がダメージを受け、イライラしやすくなります。
風邪や胃腸の不調、過労などによって体調が万全でない状態でも精神的にも余裕がなくなります。その結果、普段は気にならない程度の出来事にも過敏に反応しやすくなるのです。
他にも月経前や更年期など、ホルモンバランスの変化によって本人の意志とは関係なくイライラしてしまう場合もあります。更年期は男性にもあるため、「何となくイライラしやすい」「理由もなく不安になる」といった症状が続く場合、性別にかかわらず適切なケアが必要です。
子どもの時の経験やトラウマ
大人の癇癪の背景には、子どもの頃の経験やトラウマが関係しているケースも少なくありません。
幼少期に感情を適切に表現する方法を学べなかったり、家庭環境が厳しく感情を抑え込んでいたりした場合、大人になってからも不快な感情への適切な対処法がわからず、癇癪を起こしてしまうケースがあります。
いじめや虐待といったトラウマ体験が自己肯定感に影響を与え、他人の言動を過剰にネガティブに捉えてしまう人もいるでしょう。
大人の癇癪(かんしゃく)の対処法やコントロール法
癇癪の対処法は、一つではありません。自分に合った適切な対処法を学び、実践することで、徐々に感情を制御するコツをつかめるようになってきます。
本人の意思だけでは感情のコントロールが難しい場合でも、適切なサポートを受けると少しずつ改善が見込めるでしょう。
また、本人だけではなく周囲が環境を調整することで、感情をコントロールしやすくなる場合もあります。癇癪を起こした人の怒りを抑えつけたり責めたりせずに周囲の人が見守ったり、落ち着いてから話を聞いたりなど、周囲の人による歩み寄りも大切です。
ここでは主な対処法やコントロール法を紹介します。
精神科や心療内科を受診する
大人の癇癪に発達障害や精神的な病気が関係しているケースでは、医療機関での適切な診断と治療が必要です。
発達障害や心の病気の種類はさまざまで、症状も一様ではありません。精神科や心療内科では、症状の特徴や持続期間、生活への支障の程度などの情報から診断をつけていきます。問診では緊張で医師に症状がうまく伝わらない場合もあるため、事前にメモを作るなど、落ち着いて話せるよう準備するとよいでしょう。
検査が完了したら、症状や診断名に応じて適切な治療法が提案されます。主な治療法としては、気分を安定させる薬の処方やカウンセリング、認知行動療法などが一般的です。症状の回復具合に応じて、就労や日常生活への復帰に向けた支援機関を紹介してもらえる場合もあります。
精神科や心療内科への受診は、決して特別なことではありません。「自分で感情を制御するのが難しい」と感じているなら、一人で抱え込まず早めに相談しましょう。
心身の休息をとる
疲労やストレスによって癇癪を起こしやすくなっている場合、十分な休息を取りましょう。
日々の生活や仕事では、知らず知らずのうちにストレスや疲労が積み重なります。心身が疲弊した状態では感情を抑えるのが難しくなるため、意識的に休息を取るのが重要です。
必要な睡眠時間は年齢によって異なり、個人差もありますが、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」によると、成人には6〜8時間の睡眠が推奨されています。睡眠の量だけでなく質も重要なので、目覚めたときにしっかり休めた感覚があるかどうかに注目してみましょう。
十分に休息が取れていないと精神が不安定になるだけでなく、仕事の効率悪化にもつながります。ストレスや疲労が溜まっていると感じたら、焦らずにしっかり休んで疲れを取るのが重要です。
専門機関や支援サービスを利用する
大人の癇癪は、本人の努力だけでの解決が難しい場合も少なくありません。特に、発達障害や心の病気が背景にあるケースでは、誤った対処で症状が悪化してしまう場合もあります。
大人の癇癪で悩んでいる方向けの支援を提供する専門機関や支援サービスを利用し、適切なケアを受けましょう。臨床心理士やキャリアカウンセラーといった専門家のサポートを受けながら自分自身の特性を理解し、自分に合った感情のコントロール方法を学べます。離職中の方や休職中の方向けに、職場復帰・就労に向けたサポートを提供する施設もあります。
専門機関・支援サービスについては、後ほど「大人の癇癪(かんしゃく)で悩む方が利用できる支援サービス」で詳しく紹介します。

【緊急時】癇癪を起こす大人へのNG行動・即効性のある声かけとは?
大人の癇癪が起きた際に、周囲の方(支援者)が優先するべきなのは、ご本人と周囲の安全と刺激をしない対応です。説得や叱責よりも、「嵐が過ぎるのを待つ」イメージで関わる方が、結果的に落ち着きやすくなります。
取ってはいけない行動と取るべき行動の例は次のとおりです。
【取ってはいけない行動】
- 力ずくで押さえつける
- 無理にその場から引きずり出す
- 完全に無視して放置する
- 「お前が悪い」「どうして・・・なの?」などの否定的な言葉
- 「また始まった」「子どもみたい」などのからかいや見下す言葉
【取るべき行動】
- 一定の距離を保ちつつ見守る
- 割れ物や危険物を離し、周囲の人を少し距離のある場所に下げる
- 可能であれば、本人を静かな場所にそっと誘導する
- 「落ち着いてからでいいよ」など、相手を尊重する言葉
- 「水を一口飲んでみよう」「深呼吸してみよう」など気持ちの切り替えを促す言葉
適切な対応は状況によって異なるため、ご本人をよく理解する方が近くにいると安心です。
大人の癇癪(かんしゃく)に関するよくある質問FAQ
大人の癇癪は明確な原因がわからなかったり、目に見えない部分があったりするため、「わがままや性格とは違うのか?」「周囲の人はどう対処すればいいのか?」「治療法や予防策は?」「専門的な支援を受けられるのか?」など、いろいろな疑問が浮かぶのではないでしょうか。
大人の癇癪についてのよくある質問にお答えします。
大人の癇癪は「わがまま」や「性格」とは違うのでしょうか?
多くの場合、違います。
大人の癇癪は、性格や忍耐力の問題ではなく、怒りを調整する力がうまく働かない状態だと考えられます。背景にはストレスや精神疾患、生育歴、発達障害などが関わっている場合が少なくありません。
特に、注意欠陥多動症(ADHD)の方は、考えるより先に動く衝動性や、気持ちの切り替えの難しさが特徴的です。そのため、「カッとなるとブレーキをかける前に言葉や行動が出てしまう」という形で癇癪が現れやすくなります。
また、自閉スペクトラム症(ASD)の方は、音・光・匂いなどの感覚過敏や強いこだわり、予定変更への極端な苦手さが特徴です。これらに起因する強いストレスが溜まり、限界を超えたときに癇癪が起きる可能性があります。
いずれの原因においても、大人の癇癪は病気の症状であるという考え方が、適切な対処法を見つける第一歩です。
癇癪が起きたとき、怒鳴り返すのはNGですか?
はい、避けるべきです。
なぜなら、癇癪を起こしているときにこちらも声を荒げてしまうと、火に油を注ぐ形になり、怒りがさらに強くなってしまうからです。感情的に言い返す対応は状況を悪化させる傾向があります。
ですので、まず大事なのは、あなたご自身と周囲の方の安全確保です。物が飛ぶ、暴力的な言動が見られるなど危険がある場合は、その場から一度離れる・距離を取ることを優先してください。
安全が確保できている状況であれば、「少し落ち着こう」「つらいよね」などと低めで落ち着いた声のトーンで短く声をかけましょう。また、テレビや音楽を消す、人がいない場所に誘導するなど、周囲の刺激を減らす対応も効果が期待できます。
発達障害による癇癪は、薬で治すことはできますか?
癇癪そのものを治す薬はありませんが、イライラや衝動性など、癇癪の背景にある症状を和らげる薬はあります。
注意欠陥多動症(ADHD)には、アトモキセチンやメチルフェニデート、グアンファシン(インチュニブ)などが有効です。不注意や衝動性を軽減し、癇癪の起こりやすさを和らげる目的で使われます。
また、自閉スペクトラム症(ASD)には、強い興奮や攻撃性、過敏な反応が問題となる場合に、非定型抗精神病薬などが用いられます。ただし、効果と副作用のバランスを慎重に見ながら、必要最小限に使うのが基本です。
一方で、薬以外にも、カウンセリング、認知行動療法(考え方のクセや行動パターンを見直す)、職場や家庭などの環境調整といった方法があります。適切な方法を探していくとよいでしょう。
配偶者や家族の癇癪に疲弊しています。専門の相談窓口はありますか?
以下のような相談窓口を利用できます。
| 相談窓口 | 主な相談内容・対象 |
| 精神保健福祉センター | こころの不調・対応の仕方・医療機関紹介など |
| 発達障害者支援センター | 発達障害のある/疑われる本人とご家族から仕事や生活の困りごとを受け付ける |
| 障害者相談支援センター・自治体の障害福祉窓口 | 地域の関係機関と連携し、障害のある方やご家族の生活全般の相談に応じる |
また、次の章で紹介するリワーク、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援の事業所でも、ご家族向けの支援を提供している場合があります。
Kaienでは、発達障害やメンタルヘルスなどの知識と実践的な対応スキルをご本人と共に学ぶ「ペアトレ」や、ご家族面談、サポートを提供しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
癇癪を減らすために、日頃からできる予防策や生活習慣はありますか?
規則正しい生活とストレス管理が基本となります。
癇癪を我慢できるようにするのではなく、「癇癪を起こしにくい状態」をつくる習慣が大切であるからです。具体的には、毎日同じ時間に寝起きする、朝・昼・夜の食事を抜かないといった規則正しい生活が、心を整えてくれます。また、適度な運動や趣味の時間など、ストレスを抜く習慣も効果的です。
発達障害や精神障害の方は、医学的な見地に基づくアプローチも欠かせません。たとえば、発達障害の方は、騒音や混雑、急な予定変更などの特定の刺激を避ける環境調整が改善につながります。また、コミュニケーションや感情コントロールの困難さを和らげるための、SST(ソーシャルスキルトレーニング)も効果的です。
Kaienでは、リワーク、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援のプログラムにおいて、これらのサポートや訓練を提供しております。
大人の癇癪(かんしゃく)で悩む方が利用できる支援サービス
大人の癇癪で悩んでいる方に向けた支援サービスには、以下のような種類があります。
- 障害者就業・生活支援センター
- リワーク
- 自立訓練(生活訓練)
- 就労移行支援
自身の悩みや症状に合った施設での支援を受け、より安定した生活を送るスキルを身に付けましょう。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害のある方の安定した生活や就労を支援する機関です。身体障害、知的障害、発達障害、難病など、何らかの障害がある方が対象ですが、利用にあたって障害者手帳は必須ではありません。診断がついていない方も、まずは施設に相談してみるとよいでしょう。
感情の扱い方やストレス管理についてのアドバイスだけでなく、ハローワークと連携した就職支援や職場でのトラブル回避に関する助言など、安定した就労に向けた支援も受けられます。
障害者就業・生活支援センターについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)とは?対象者や支援内容、利用の流れを解説
リワーク
心身の不調が原因で休職している方には、リワーク施設の支援が効果的です。リワーク施設は、うつ病や適応障害などの精神の不調で休職した方の職場復帰と安定就労をサポートする施設です。
Kaienのリワークでは、「癇癪で人間関係がこじれてしまい休職に至った」といった方に向けて、アンガーマネジメントの集中的な学びを提供しています。カリキュラムの一例は次のとおりです。
- 怒りが生まれるメカニズムの理解
- 自分の「怒りのスイッチ」となる状況・相手・言葉の把握
- その場を離れる・6秒待つなどのクールダウン方法の練習
- ロールプレイを通じた「責めずに伝える」言い方の練習
これらの訓練によって、休職、離職の再発を防ぎやすくなります。
リワークとKaienのサービスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
リワークとは?種類や対象者、利用するメリットとデメリットも解説
リワークは適応障害の方も利用できる?リワークのメリットも解説
自立訓練(生活訓練)
自立訓練(生活訓練)は、発達障害のある方が自立した生活を営むうえで必要なスキルを身につけるためのプログラムです。主な対象者は発達障害のある方ですが、精神的な病気のある方や診断名のついていない方も利用できる場合もあります。
癇癪に悩む方の中には、感情のコントロールや対人関係の不安から日常生活そのものが負担になっているケースも少なくありません。自立訓練(生活訓練)では、感情をコントロールするトレーニングや気持ちを落ち着かせる方法、ストレスの発散方法などを学べます。グループワークを通して自分の気持ちを伝える方法や相手の話の受け止め方も訓練できるため、人間関係の構築に苦手意識のある方にも適しています。
Kaienの自立訓練(生活訓練)では、感情コントロールや良好な人間関係を築くためのプログラムが豊富です。
- 物理的、心理的な距離の取り方のロールプレイ
- 気持ちが揺れた場面を書き出し、「距離をとる」「深呼吸をする」などの対処を振り返る記録練習
- マインドフルネスを用いた「今この瞬間に注意を戻す」練習で、衝動的な反応を和らげる取り組み
- アサーション(自分も相手も尊重した伝え方)やアクティブリスニング(相手の話を丁寧に聴く姿勢)の訓練
キャリアカウンセラーとの定期的な面談により、不安を解消しながら自分のペースで訓練を進められる点が特徴です。
自立訓練(生活訓練)とKaienのサービスについてより詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
障害福祉サービスとは?種類や利用の流れ、受給者証について解説
就労移行支援
就労移行支援は、障害のある方が安定して就労するための支援を行うサービスです。自立訓練(生活訓練)と同様に、発達障害のある方だけでなく、精神的な病気のある方や診断名のついていない方も利用できる場合があります。
就労移行支援では、自立訓練(生活訓練)よりも就労に焦点を当てた実践的なトレーニングを重点的に行います。実際の職場を想定した環境でスキルや知識を身に付け、上司や同僚との良好なコミュニケーション方法も学べます。誤解や摩擦を生まない話し方や聞き方をトレーニングできるため、実際の職場で癇癪によるトラブルを抱えた経験のある方にも適しています。
上記に加え、Kaienが提供する就労移行支援では、発達障害や精神的な病気により感情コントロールに課題のある方に向けたサポートも充実している点が特徴です。
具体的なサポート例を以下に示します。
- 癇癪をはじめとした障害特性が出にくい適職の診断、求人紹介、就活支援
- カウンセリングで生活リズムを一緒に管理し、癇癪が起こりにくい状況をつくる
- 主治医との連携のもと、服薬状況の整理や通院同行を実施
- 就職後に最長3年半、企業訪問や面談で職場の困りごとを継続フォロー
- 癇癪の原因となる職場環境に対する「合理的配慮」を企業に伝える際のサポート
就労移行支援とKaienのサービスについてより詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
就労移行支援とは?対象者や受けられる支援、利用方法をわかりやすく解説
大人の癇癪(かんしゃく)で悩む方は支援サービスの利用を検討してみて
大人の癇癪は単なるわがままや気分の問題ではなく、ストレスや発達特性、心の病気など、さまざまな要因が重なって起こるものです。特に発達障害の注意欠陥多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)は大人の癇癪との関連が深いため、症状が疑われる場合には、専門家への相談が必要です。自分に合ったケアを受けるためにも、医療機関や支援サービスを適切に活用しましょう。
Kaienでは、発達障害や精神的な病気のある方、診断は受けていないものの感情のコントロールに悩む方に向けて、自立訓練(生活訓練)や就労移行支援を提供しています。
丁寧なカウンセリングを行った上で一人ひとりに適したプログラムを作成するため、無理なく自分のペースで自立した生活や就労を目指せます。キャリアカウンセラーによる定期的な面談で、日々の悩みを相談できるのも特徴です。また、規則正しい生活リズムを整える支援やアンガーマネジメント、職場の環境づくりの支援など、本記事で紹介した癇癪を防止するプログラムも豊富です。
随時、無料の個別相談や見学を受け付けておりますので、ぜひ気軽にお問い合わせください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。
監修者コメント
大人の癇癪(かんしゃく)は、単なる性格の問題ではなく、発達特性やこころの不調が背景にあることも考える必要があります。例えば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の特性がある場合に、感覚の過敏さや予定の変更への弱さ、衝動性などから、怒りが突然あふれ出てしまうことがあります。「怒りたくて怒っているわけではないのに…」とご本人が戸惑い、あとから落ち込んでしまうことも少なくありません。また、ときには、怒りの理由そのものは正当なのに、その表現方法としての「癇癪」が困りごとということもあるでしょう。
記事にも言及されている通り、ストレスの蓄積やトラウマ、睡眠の質の低下などが重なっている場合もあります。医療的な対策としては、認知行動療法などの心理的支援に加えて、必要に応じて気分の波や衝動性をやわらげる薬の服薬が有効な場合もあります。怒りの感情を単なる悪者にせず、上手につきあっていく方法を身につけるつもりで相談機関に相談しましょう。

監修 : 松澤 大輔 (医師)
2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。



