障害福祉サービス受給者証とは?手帳との違い・取得方法や受けられるメリットを解説

公開: 2024.8.13更新: 2026.10.3

公的な支援を受けたいものの「障害福祉サービス受給者証とは何か」「障害者手帳がなくても取得できるのか」と、手続きに戸惑って悩んでいませんか。福祉制度には専門用語も多く、調べてもわかりにくい場合もあるでしょう。

障害福祉サービス受給者証は、就労移行支援などの福祉サービスを利用するために必要な証明書です。障害者手帳を持っていなくても、取得ができる場合もあります。

今回は、障害福祉サービス受給者証の取得方法や取得のメリット、迷ったときの相談先を、Kaienがわかりやすく解説します。申請が不安な場合でもサポートを受けながら進める方法がありますので、ぜひ参考にしてみてください。

障害福祉サービス受給者証とは?

障害福祉サービス受給者証は、就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などの公的福祉サービスを利用するために、お住まいの市区町村から発行される証明書です。医師の診断書や意見書があれば障害者手帳を持っていなくても発行が可能で、1割の自己負担または無料で支援を受けられます。

障害福祉サービスを利用したい場合は、市区町村に利用申請を行います。その際に、障害支援区分(必要とされる支援の区分)が決定し、受給者証が交付されます。

また、障害者手帳を持っている方も、障害福祉サービスを受ける際には障害福祉サービス受給者証を取得する必要があります。

Kaienの福祉サービスについて詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

Kaienの 就労移行支援プログラム

自立訓練(生活訓練)プログラム

新しい復職支援をあなたに! こころのリワークセンター

障害福祉サービス受給者証で利用できる障害福祉サービス

障害福祉サービスとは、障害者総合支援法に基づき、障害のある人の個々の障害の程度やニーズに応じて、日常生活や社会生活の支援を行なうサービスのことです。

障害福祉サービスは、大きく分けて、介護支援を受ける「介護給付」と、生活や就労の訓練などの支援を受ける「訓練等給付」の2つがあります。

「介護給付」や「訓練給付等」には、さまざまな支援サービスがあります。例えば、「訓練給付等」の主な支援サービスは以下の通りです。

  • 就労移行支援:一般企業への就労を希望する人に一定期間、必要な訓練・支援を行なう
  • 就労継続支援:一般企業への就労が困難な人に就労の機会を与え、必要な訓練・支援を行なう
  • 就労定着支援:一般就労した障害者の就労の継続を図るための支援を行なう
  • 自立訓練:自立した生活ができるよう、身体機能・生活能力の維持向上に必要な訓練・支援を行なう

参考:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」

障害福祉サービスについて詳しく知りたい方は「障害福祉サービスとは?種類や対象者、利用の流れを解説」の記事も参照してください。

障害福祉サービス受給者証の対象者

障害福祉サービス受給者証を交付してもらえる対象者は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」で障害者と定められている人です。

具体的には以下の人を指します。

【障害福祉サービス受給者証の対象者】

  • 18歳以上で下記に該当する方

身体障害者/知的障害者/精神障害者(発達障害*を含む)

  • 障害児

満18歳に満たない身体・知的・精神に障害のある児童(発達障害児を含む)

  • 難病患者

「障害者総合支援法」で指定される難病に限る

参考:厚生労働省「障害福祉サービスの 利用について 2018年4月版」

障害福祉サービス受給者証の記載内容

障害福祉サービス受給証には、下記のような内容が記載されています。

【障害福祉サービス受給者証の主な記載内容】

  • 受給者証番号
  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 障害種別
  • 交付年月
  • 支給市町村名
  • 障害支援区分
  • 認定有効期間
  • 介護給付費の支給決定内容(サービスの内容や支給量)
  • 訓練等給付費の支給決定内容(サービスの内容や支給量)

参考:堺市「障害福祉サービス受給者証(水色)の見方」

障害福祉サービスの受給者は、障害福祉サービス受給者証に記載のこれらの内容に従ってサービスを受けることができます。

障害者手帳と障害福祉サービス受給者証の違い

障害者手帳と障害福祉サービス受給者証は、取得の目的や条件、メリットなどが異なります。主な違いを以下の表にまとめました。

障害者手帳障害福祉サービス受給者証
目的障害があることを公的に証明する障害福祉サービスを利用する
取得条件自治体に診断書などの書類を提出し、審査を経て等級が認められる障害者手帳または医師の意見書・診断書など、障害があることを証明する書類を自治体に提出する
メリット交通機関の割引、税金の控除、障害者雇用での就職など就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などの福祉サービスの利用

障害者手帳は、障害があることを証明し、税金の控除・減免や交通機関の割引などの支援や配慮を受けるための手帳です。さまざまな合理的配慮が受けられる障害者雇用枠で働くためには、原則として障害者手帳が必要です。

一方で、障害福祉サービス受給者証は、就労移行支援や自立訓練(生活訓練)といった福祉サービスを利用するための証明書です。障害者手帳を持っていても、これらのサービスを利用したい場合は障害福祉サービス受給者証を取得する必要があります。

障害福祉サービス受給者証を取得するメリット

障害福祉サービス受給者証を取得すると、以下のようなメリットが得られます。

  • 専門家による支援を受けながら働く準備ができる
  • 自己負担を抑えて支援が受けられる
  • 申請をきっかけに支援の入口に立てる

福祉サービスを活用することで、経済的な不安を抑えて就労に向けたサポートを受けられます。専門家によるアドバイスも受けられるため、悩みを相談しながら自分らしく働ける環境を目指せるでしょう。

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

専門家による支援を受けながら働く準備ができる

受給者証を取得して就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などのサービスを利用すれば、専門家のサポートを受けながら生活リズムを安定化や対人コミュニケーション力の向上、自己理解の推進を目指せ、就職準備も進められます。

まずは安定した生活リズムを構築する、就職に必要なスキルを身につける、実際の職場を想定したコミュニケーションを練習するなど、状況や困りごとに沿って必要な支援を受けられるでしょう。

「自分に向いている仕事がわからない」「長く働き続ける自信がない」といった一人で抱えていた悩みに対して、公的支援を受けながら整理できるのもメリットです。

自己負担を抑えて支援が受けられる

障害福祉サービスは、受給者証があれば原則1割の自己負担で受けられます。負担上限額は世帯収入によって異なり、無料で受けられる場合もあります。

民間の就活スクールやカウンセリングを受けて就労を目指す方法もありますが、全額自己負担の場合は費用が高額になりがちです。公的な制度を活用すれば経済的な不安が軽減でき、目標達成に向けて焦らずじっくりと継続しやすくなるでしょう。

申請をきっかけに支援の入口に立てる

障害福祉サービス受給者証の申請は受給者証をもらうためだけのものではなく、手続きそのものが支援機関とつながる入口になります。

たとえば、障害福祉サービス受給者証の申請をするには、自治体窓口や医療機関へ訪れる必要があります。自治体の職員に受けられるサービスを紹介してもらったり、医療機関では医師の目線から特性に対する見解を聞けたりするでしょう。

また、就労移行支援などのサービスも、自治体や医療機関などと連携しています。申請をきっかけに相談すれば、次に必要なステップは何かなど、サポートを受けながら手続きを進められるでしょう。

特に「支援を受けたいが何から始めればよいかわからない」と悩んでいる方ほど、受給者証の申請が適切な支援へとつながるきっかけになりやすいといえます。

障害福祉サービス受給者証の取得方法【4ステップ】

障害福祉サービス受給者証を取得するまでには、次の4つのステップがあります。

  1. 市区町村の窓口で相談
  2. 医師の意見書や診断書を準備
  3. サービス等利用計画を作成・提出
  4. 支給決定後、受給者証が交付される

手続きが複雑に見える場合もあるかもしれませんが、順番通りに一つずつ進めていけば問題ありません。それぞれのステップについて、詳しく解説していきます。

1. 市区町村の窓口で相談

まずは、お住まいの市区町村にある障害福祉窓口(福祉課や障害福祉課など)へ行きましょう。

この段階では利用したい福祉サービスの種類を伝え、自分がそのサービスの対象になるのかを確認します。また、申請にあたって必要となる書類も同時に教えてもらうと、スムーズに申請を進められるでしょう。

まだ具体的に受けるサービスがはっきり決まっていない場合でも、困りごとや希望に応じてどのような支援があるのか相談できます。まずは窓口へ足を運んで、現状を伝えてみるとよいでしょう。

2. 医師の意見書や診断書を準備

窓口での相談後、申請に必要な書類を準備します。

障害者手帳を持っていなくても、多くの場合は医師が作成した診断書や意見書があれば申請できます。通院している医療機関の医師に、福祉サービスを利用したい旨を伝えて書類の作成を依頼しましょう。

ただし、自治体によって必要書類が異なるため、事前に確認するのが重要です。診断書がなくても、ほかに障害があることを証明する書類を提出できれば障害福祉サービス受給者証の交付を受けられる場合もあるため、自治体窓口で相談してみるとよいでしょう。

3. サービス等利用計画の作成・提出

申請書類とともに、「サービス等利用計画」の提出も求められます。これは「どんな目的で、どの支援を、どのように使いたいか」を整理した計画書です。

たとえば、就労移行支援を利用したい場合、「なぜ就職したいのか」「どのような雇用形態で、いつまでに就職したいのか」といった計画を作成します。

サービス等利用計画の作成方法には、ご自身やご家族で作成する「セルフプラン」と、指定特定相談支援事業所に依頼して作成してもらう方法があります。

支援機関を活用すれば、どのようなサービスを利用するのがよいか提案を受けるなど、進め方が心配な場合のサポートを受けられます。知識を持ったスタッフと相談しながら進められるため、安心して作成できるでしょう。

4. 支給決定後に受給者証が交付

提出した書類や利用計画をもとに審査が行われ、支援の必要性が認められると受給者証が交付されます。

自治体によっては、受給者証が暫定支給される場合もあります。一定期間、試験的にサービスを利用して支援内容が合っているか確認し、その後に本支給へと切り替わります。

窓口での申請から受給者証の交付までには、2週間〜2か月程度かかるのが一般的です。「この時期から利用を開始したい」という希望がある場合は、早めに自治体窓口などへ相談しに行くとよいでしょう。

障害福祉サービス受給者証取得後の注意点

障害福祉サービス受給者証を交付された後には、注意すべき点もあります。以下では、就労移行支援を利用する場合を例に、障害福祉サービス受給証取得後の注意点について解説します。

受給者証には有効期限がある

障害福祉サービス受給者証には有効期限があります。受給者証には、就労移行支援など各障害福祉サービスについて、それぞれの有効期間が記載されています。

有効期間は利用サービスごとに異なる点に注意が必要です。例えば、就労移行支援の有効期限は1年である一方で、生活訓練の有効期限は2年といったこともあります。

有効期限以降もサービスの利用をする場合には、更新手続きを忘れず行いましょう。自治体にもよりますが、一般的には有効期限の2~3ヶ月前には更新の案内が届くため、案内に沿って更新手続きを行います。

住所の変更や氏名の変更があった際は届け出が必要

障害福祉サービス受給者証に記載の住所や氏名に変更があった場合には、届け出が必要です。

同じ市区町村内での引越しの場合でも、障害福祉サービス受給者証の支給を受けた自治体に変更届を出しましょう。

県外や異なる市区町村に引っ越す際には、障害福祉サービスは自治体単位での支給になるため、転居先の自治体で改めて障害福祉サービス受給者証を発行してもらう必要があります。

異なる市区町村に住所が変わる際の手続きとしては転居先の自治体の障害福祉窓口で、住所変更の手続きを行ないます。

申請が不安なときは支援機関に相談して進める方法も

受給者証の申請は一人でも進められますが、迷いやすいポイントもあります。たとえば、自治体によって必要書類が違う、サービス等利用計画に何を書けばよいかわからない、どのサービスが合うのか整理が難しいといった例が挙げられます。

申請にあたって不安がある場合は、自治体窓口だけでなく、就労移行支援などの支援機関に相談しながら進めると安心できます。特性や困りごとを踏まえて、手続きの段取りや書類の作成方法、計画の立て方などを一緒に確認し、わからないことを都度質問できるため、申請の負担が軽くなるでしょう。

「制度がよくわからない」という場合は、まず支援機関に相談してみるのも有効な選択肢です。

Kaienなら受給者証の申請からサービスの利用もサポート可能

「手続きが難しそうで不安」「自分にどの支援を選べばいいかわからない」と悩んでいるなら、ぜひKaienにご相談ください。

Kaienでは、無料の見学や個別相談会を実施しており、現在の状況を伺いながら制度についてわかりやすく説明いたします。受給者証の申請手続きに関しても、スムーズに進められるようサポートが可能です。

受給者証の取得はあくまでスタート地点であり、その後に適切な支援につながるのが重要です。たとえば、就労移行支援では就職準備や職場への定着支援、自立訓練(生活訓練)では生活リズムの構築や対人スキル向上といった生活基盤を整える訓練が受けられます。

Kaienの見学会や個別相談会では、制度について説明をしております。LINEでも実際の支援現場から最新情報をお届けしておりますので、ぜひご確認ください。

障害福祉サービス受給者証に関するよくあるFAQ

障害福祉サービス受給者証の取得や利用に関しての、よくある疑問についてまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

障害福祉サービス受給者証は発行までにどのくらい期間がかかりますか?

障害福祉サービス受給者証が発行されるまでの期間は、窓口での申請から2週間〜2か月程度が目安です。

ただし、期間は自治体や申請の内容によって異なります。医師の診断書・意見書の作成や、サービス等利用計画の作成に時間がかかる場合もあるため、スケジュールに余裕を持って申請を進めるようにしましょう。

障害者手帳がなくても受給者証は取得できますか?

障害者手帳を持っていなくても、障害福祉サービス受給者証を取得できる場合があります。

受給者証を発行するための条件は「病気や障害によって日常生活や働くうえで支援が必要であると、自治体が認めること」です。そのため、手帳を取得していなくても、医師が作成した診断書や意見書があれば、受給者証を取得できるケースがあります。

「手帳がないからサポートは受けられないかもしれない」と迷っている場合、まずは自治体の窓口や支援機関で、どのような支援が受けられそうか相談してみるのもよいでしょう。

世帯収入によって利用料は変わりますか?

世帯収入によって利用料が変わるケースはあります。

障害福祉サービスを利用する際の自己負担額は原則として利用額の1割ですが、前年の世帯収入によって自己負担上限額が設定されます。世帯収入によっては上限額が低く抑えられたり、自己負担が発生せず無料で利用できるケースもあります。

ただし、利用料は自治体や世帯収入区分によって異なる場合もあります。詳しい金額が気になる場合は、自治体窓口などで確認するのがよいでしょう。

Kaienでは障害福祉サービス受給者証の申請手続きもしっかりサポートします

障害福祉サービス受給者証は、就労移行支援や自立訓練(生活訓練)などの福祉サービスを利用するために自治体から発行される証明書です。障害者手帳を持っていなくても取得できる場合があり、就労を目指したり生活基盤を整えたりするためのサポートを、費用負担を抑えて受けられます。

申請やサービスの利用にあたって不安があるなら、自治体の窓口や支援機関に相談してみましょう。スタッフのサポートを受け、疑問を解消しながら手続きを進められます。

Kaienでは、一人ひとりの特性や困りごとに寄り添い、受給者証の申請手続きもしっかりとサポートいたします。その後の支援から就職、職場への定着まで一貫して伴走いたしますので、ぜひ見学・個別相談会へお越しください。受給者証の手続きに関する支援を含め、スタッフが丁寧にご案内いたします。

監修者コメント

東京都が発行している「道しるべ」(R7年版)によると、障害福祉サービスの内容は、本コラムにあった生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(作業所)、就労定着支援の他に、居宅介護(ホームヘルプ)、短期入所(ショートステイ)、共同生活援助(グループホーム)が含まれています(pp. 42-43)。つまり、障害福祉サービスには仕事の他に住まいに関する援助も含まれているということです。

ショートステイは知的障害の方を持つご家族が短期的に休みたい(レスパイト)ときに利用することがあります。一方、グループホームはある程度食事の支度ができる障害者自身がアパートなどで他の障害者と共同生活をする施設です。

また、これらのサービスをどこで受けられるかも当然気になりますね。東京都では事業所に関する情報はネットで公開されていて、サーチエンジンで「東京都障害者サービス情報」を検索すると事業所検索のページにアクセスできます(p. 44)。「道しるべ」やネットを効率的に使って有用な情報を入手しましょう。

監修:中川 潤(医師)

東京医科歯科大学医学部卒。同大学院修了。博士(医学)。
東京・杉並区に「こころテラス・公園前クリニック」を開設し、中学生から成人まで診療している。
発達障害(ASD、ADHD)の診断・治療・支援に力を入れ、外国出身者の発達障害の診療にも英語で対応している。
社会システムにより精神障害の概念が変わることに興味を持ち、社会学・経済学・宗教史を研究し、診療に実践している。


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