福祉が「壊れる」前に。現場から問い直す、障害者雇用の「質」と「対話」のゆくえ(YouTubeライブ配信「お悩み解決ルーム」2026年2月13日配信より)

本記事は、Kaien公式YouTubeにて、Kaien代表取締役:鈴木慶太が毎週配信しているライブ配信番組「お悩み解決ルーム」2026年2月13日配信分より再構成したニュース記事です。

元NHKアナウンサー。自身の長男が発達障害の診断を受けたことをきっかけに、米国留学(MBA取得)を経て株式会社Kaienを設立。 「数的な凸凹があっても、強みを活かして働ける社会」を目指し、大人向けの就労支援から子ども向けの学習支援(TEENS)まで幅広く事業を展開している。 経営者として、また一人の親としての視点を交えた発信は、多くの当事者・家族から支持を得ている。

▼ 代表・鈴木に直接質問できるライブ配信を開催中。毎週開催の「Kaienお悩み解決ルーム」ほか、就職や生活に役立つ情報を配信しています。

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記事の概要

先日放送されたNHK『ハートネットTV』の特集「壊れゆく福祉」が、支援現場や当事者の間で大きな波紋を呼んでいます。A型・B型事業所における不適切な運営の実態が浮き彫りになりましたが、これは決して一部の極端な事例として片付けられる問題ではありません。今、福祉と雇用の境界線で何が起きているのか。Kaienの現場で見える景色を交え、私なりの視点をお伝えします。


福祉の「形骸化」への危機感──制度の曲がり角で

今回の特集では、支援を二の次にして報酬を得るような、いわゆる「悪質」なスキームが取り上げられていました。2026年4月には障害者総合支援法が施行20周年を迎えますが、予算が膨張する一方で、支援の質が追いついていないという「制度の制度疲労」を感じざるを得ません。

私は、福祉が「単なる居場所」や「数字合わせ」に終始してはいけないと思っています。本来、福祉は人生の可能性を広げるためのプラットフォームであるべきです。しかし、現実は「自立」という言葉が独り歩きし、現場の熱量と制度の乖離が進んでいるようにも見えます。

明日へのヒント: 私たちが利用しているサービスは、本当に「未来の選択肢」を増やしてくれているでしょうか。一度、客観的な視点で今の環境を眺めてみる時期かもしれません。


「職場の雑談」は義務か?──合理的な配慮のその先へ

YouTubeのライブ配信「お悩み解決ルーム」でも、職場でのコミュニケーションに悩む声が多く寄せられました。「業務連絡は完璧なのに、上司から『もっと色々な人と話してほしい』と言われる。これって価値観の押し付けではないか?」という切実な問いです。

確かに、ASDやADHDの特性を持つ方にとって、目的のない雑談は「コスト」でしかありません。一方で、上司の側には「不満があるのではないか」「孤立して離職するのではないか」という不安があることも事実です。私は、これは単なる性格の問題ではなく、情報収集や成長機会という「ビジネス的な損失」を上司が懸念している側面もあると考えています。

明日へのヒント: 「仲良くする」ことを目標にするのではなく、「私は今の環境に満足しており、問題なく働けている」というサインを、自分なりの方法(チャットや定例報告など)で言語化して伝えてみてはいかがでしょうか。


「自分」を演じ続ける疲れ──マスキングとどう向き合うか

また、多くの当事者が「職場で明るいキャラを演じ(マスキング)、本来の自分とのギャップに疲弊する」という悩みを抱えています。定型発達の人がある程度オートマチックに行う「場の調整」を、発達障害の方はマニュアル操作で行っているようなものです。これでは燃え尽きてしまうのも無理はありません。

Kaienの現場でも、無理な適応の末に二次障害を患うケースを多く見てきました。大切なのは「仮面を完全に脱ぐ」ことではなく、自分をすり減らさない程度の「中間のギア」を見つけることです。

明日へのヒント: 全員に合わせるのではなく、「この人の前では少し低体温でも大丈夫」と思える避難所のような人間関係を、職場内外に一つずつ作っていくことから始めてみませんか。


おわりに

福祉や雇用のあり方が激変するなか、私たちは常に「現実」を直視し、前向きな解決策を探る必要があります。来月には、日本の障害福祉のキーマンである日本財団の竹村氏を迎え、制度の抜本的な改革案について徹底討論するライブ配信も予定しています。

株式会社Kaienは、ニューロダイバーシティ社会の実現を目指し、強みを活かした就労支援を続けています。お一人で抱え込まず、ぜひ私たちの現場の知恵に頼ってください。


参照:

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