“就職”への自信と意欲が沸いた! Kさんが無理なく前進し続けられるのは「生活支援があったから」

公開: 2025.11.10
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▪年齢:20代後半
▪診断名:ADHD・ADD、自律神経失調症、うつ
▪特性/苦手:集中にムラがある・計画を立てることはできるが、その通りに実行ができない


発達検査を受けたきっかけは、大学生活での悩み

―――幼い頃はどんなお子さんでしたか?

どちらかといえば、おとなしい子どもだったと思います。ただ、物静かというよりは、友達と一緒に遊ぶこともあれば、一人で好きなことに夢中になることもありました。小学生の頃はクイズ番組を見るのが好きで、学校の教科では社会科の授業でいろいろなことを覚えるのが楽しかったです。

小さい頃は、まわりの子と自分を比べて違いを感じることはほとんどありませんでした。勉強もできる方だったので、大きな困りごとは特になかったと思います。

―――診断を受けた経緯を教えてください。

発達検査を受けたのは、大学生の頃に卒論やレポートがうまく書けなくなってしまった時期があったのがきっかけです。当時は一人暮らしをしていたこともあり、生活面でも計画的に物事を進めることに難しさを感じていました。

そういった背景もあり、次第に「発達検査を受けてみたい」と思うようになりました。また、発達検査そのものにも興味があったことから、うつや自律神経失調症の治療で通っていた心療内科の医師に伝えて発達検査を受け、ADHDの診断を受けました。診断が下りたのは、大学4年生の頃です。

―――あなたの苦手なことや特性は何ですか?具体的なエピソードもあれば教えてください。

計画を立てることはできるのですが、それを実行するのが苦手です。また、金銭管理にも苦手意識があります。

例えば、「今日はこれをやって、明日はこれをやろう」と計画を立てても、その通りに進めるのが難しく、苦労していました。

また、突発的に「あそこへ行こう」「あれを食べよう」と思いついて行動してしまうことがよくあります。その結果、本来やるべきことが後回しになったり、予定外の出費が増えてしまったりすることがありました。後々のことを考えるより、「今やりたい」という気持ちが先行してしまうのです。

(お酒が好きだというKさん。京都に訪れた際に飲んだ日本酒「上喜元」がおいしかったそう)


生活習慣の確立から始まった、自己理解という大きな成長

―――Kaienを知ったきっかけや、利用しようと思った経緯を教えてください。

Kaienを知ったのは、大学の障害学生支援室のスタッフさんから教えてもらったのがきっかけでした。他にもいくつかの事業所を見学しましたが、Kaienのスタッフさんが一番話しやすく、訓練後の振り返りなどもスムーズにできそうだと感じました。感覚的な部分もありますが、「ここなら頑張れそうだ」と思えたことが利用の決め手です。

―――生活訓練の中で実現したかったことは何ですか?

まずは、「朝起きて決まった場所へ通う」という生活習慣を身につけることが一番の目標でした。Kaienに通い始めた当初は週3日の利用からスタートし、2ヶ月ほど経ってから週4日、そして週5日と、少しずつ日数を増やしていきました。無理のないペースで始めることで、生活リズムを整えることができたと思います。

―――生活訓練では、どのような訓練に取り組まれたのか教えてください。

午前中はオンライン講座、午後は個人ワークに取り組んでいました。

オンライン講座では、コミュニケーションや金銭管理、一人暮らしに必要なことなど、“生活する上で大切なこと”を幅広く学びました。講座の内容は、講義を聞くだけでなく、講師から「どう思いますか?」と意見を求められることもあり、自分の考えを発表する機会も多かったです。

午後の個人ワークでは、主にExcelの勉強をしていました。今後の就職を考えたときに、パソコンスキルは必要不可欠だと思ったからです。これまで本格的に学んだことがなかったので、基礎から学んでいきました。

―――苦手なことや特性について、何か対策を見つけることはできましたか?

金銭管理については、ECサイトを見ないなど、商品に関する情報自体を遮断するように心掛けてきました。小さな目標を立てて達成していく「スモールステップ」を試しており、今も自分に合うやり方を模索しているところです。

生活訓練での最も大きな変化は、自己理解や障害理解が深まったことだと感じています。Kaienに来るまでは、自分の特性について深く考える機会がありませんでした。訓練を通して自分と向き合う時間を持てたことで、「自分にはこういう得意・不得意があるんだ」と客観的に理解できるようになりました。

(歴史に関する学術誌を読むことも趣味の一つだというKさん。自宅の本棚を見せてくれました)


実践的な訓練で「働く自分」が見えてきた

―――就労移行支援に移行した経緯を教えてください。

生活訓練を8ヶ月ほど続けた頃、スタッフさんとの面談の中で自然と就労移行支援への移行の話が出てきました。自分から「移行したい」と強く希望したというよりは、Kaienのカリキュラムに沿って、スタッフさんと相談しながら最適なタイミングでステップアップを決められました。移行前には体験利用もできたので、安心して就労移行支援に進むことができました。

―――就労移行支援では、どのような訓練に取り組まれていますか?

大きく分けて3つの訓練に取り組んでいます。1つ目は、企業の業務を想定した事務訓練。2つ目は、Excelのマクロなど、より高度なPCスキルを習得すること。3つ目は、履歴書の作成や面接練習といった就職活動に向けた準備です。

事務訓練の内容は、経費精算や経理処理、アンケート結果のデータ分析など、実務に即したものです。生活訓練で学んだExcelスキルが、データをグラフ化するときなどに役立っています。

―――訓練を通して学んだことや、今後働く上でも役に立つだろうと思う知識やスキルがあれば教えてください。

事務訓練では、マニュアルをしっかりと読み込み、その通りに業務を進めることの大切さを実感しています。マニュアルがあれば順調に作業を進められるという経験は、自分にとって大きな自信になりました。

また、コミュニケーションの重要性も改めて感じています。もともと人と話すのは好きな方ですが、さまざまな特性を持つ人がいる中で、相手に合わせた距離感を考える良い訓練にもなっています。

―――訓練を続けるうえで、原動力になっていることがあれば教えてください。

やはり「就職したい」という明確な目標があることが一番の原動力です。訓練を通してできることが増えていることを実感しており、それが自信につながって、「早く働きたい」という意欲がどんどん湧いてきています。

また、スタッフさんや他の利用者と日々の出来事を共有したり、相談したりすることも良いリフレッシュになっています。信頼できる人たちとのコミュニケーションが、前向きな気持ちにしてくれています。

―――生活訓練からスタートして就労移行支援を利用されていますが、生活訓練から始めていて良かったと思うことはありますか?

もし、いきなり就労移行支援から始めていたら、自己理解が不十分なままだったかもしれません。生活訓練でじっくりと自分と向き合う時間があったからこそ今、自信を持って就職活動の準備に取り組めているのだと感じています。

今後の選択肢を広げられるように取り組んでいきたい

―――今後の就職活動に向けて、意識的に取り組んでいることがあれば教えてください。

本格的な就職活動はこれからなのですが、今はどのような求人があるのかをリサーチしているところです。自分の可能性を狭めないように、業界や職種を絞らず、IT、コンサル、不動産、製造業など、幅広く求人情報を検索するようにしています。これまであまり知らなかった業界にも目を向けることで、新たな発見があるかもしれないと思っています。

―――今後の目標や挑戦したいことはありますか?

資格試験の勉強に挑戦したいです。就職する上で自分の強みになるような資格を取得したいと考えており、今はExcelやWordなどのPCスキルに関する資格や、簿記、ITパスポートなどを検討しています。興味のある業界で役立つスキルを身につけて、自分の可能性をさらに広げていきたいです。

付録  ~Kさんのこと~

(京都のお店では、SelvaReyの「チョコレートラム」というお酒も飲んだそうです)

趣味は、歴史に関する学術書などを読むことです。お酒も好きで、大学生の頃は一人で新しいお店を開拓していろいろなお酒を楽しんでいました。最近はゲームをしたり、YouTubeを観たりとリラックスした時間を過ごすことが多いです。

また、もうすぐ高校時代の友人の結婚式に出席するのですが、結婚式に参加するのが初めてなので、どんな雰囲気なのか今からとても楽しみにしています。

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