使える福祉・医療サービス 障害年金ほか発達障害の人が障害者手帳・受給者証等で使える福祉・医療サービス

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 日々の負担を軽減するため、障害のある人は様々な公共・民間サービスを利用できます。このページでは発達障害がある成人が対象になるサービスを紹介します。お住まいの自治体によって制度の有無や、支給対象になる手帳・等級が異なることがあります。詳しくは市区町村の障害福祉課などにお問合せください。

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インデックス

障害福祉サービス(就労系サービス)

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 障害福祉サービスは個々の状況で必要なサービスを選択できます。どのサービスをどのくらい使うか事前に利用計画を立て、計画が市区町村に認定されると利用できるようになります。サービスは介護給付と訓練等給付の2種類に大きく分かれています。Kaienの職業訓練は訓練等給付の中の就労移行支援に当たります。利用料は原則利用者は1割負担ですが、前年度の収入によって全額もしくは一部免除となります。Kaienの就労移行支援では9割の方が無料でご利用いただいています。(厚生労働省「障害福祉サービスの利用について(PDF)」blank

障害福祉サービス受給者証(青梅市の例)

障害福祉サービス受給者証(青梅市の例)

障害福祉サービスの利用者負担額(障害者)

就労移行支援

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 就労移行支援では、一般企業への就労(一般枠・障害者枠含む)を希望する65歳未満の障害のある人が、就労に必要な知識・能力の向上のために訓練を最大2年間受けることができます。基本的に工賃の支払いはありませんが、一部事業所では実施しているところもあります。企業と連携し実習を行うこともあります。就職活動のフォローや、内定して就労した後も安定して就労するためのサポートも受けられます。

職場での苦手を克服(コミュニケーション・ミス・抜け漏れ) Kaienの就労移行支援

就労移行支援利用イメージ

就労定着支援

 就労定着支援とは、障害者が長期間定着して働けるようになることを目的として提供される福祉サービスです。2018年4月から開始されています。

 障害のために職場定着を妨げていると考えられる生活上の問題に対し、ご本人やご家族と雇用主側、さらに必要であれば医療機関や自治体と連絡を取って、解決に向けて調整や支援・助言などを行います。利用者が事業所を訪ねて受ける支援と、利用者の働く企業や家庭を訪問してくれる支援があります。

 定着支援を受けられるのは就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練といった福祉サービスを利用して企業に就職し、現在も就労中の障害者です。障害者手帳を持っていなくても障害者福祉受給者証があれば利用が可能で、働き始めてから6か月後から3年間は支援が受けられます(1年ごとの更新が必要です)。前年の収入が204万円を超えると、月に2500~3000円の自己負担が発生します。

就労定着支援の概念図
就労移行支援と就労定着支援の比較図

就労継続支援

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 就労継続支援は一般企業での就労が困難な障害のある人が作業をする場です(福祉的就労)。作業をしながら就労に必要な知識・能力を身に付けます。(厚生労働省「障害者の就労支援について(PDF)」blank

  • 就労継続支援A型:一般企業への就労が困難な一方で、継続して雇用契約を結び就労することができる65歳未満の障害のある人が対象です。最低賃金が保証されます。利用期間に制限はありません。
  • 就労継続支援B型:年齢や体力面などで雇用契約に基づく就労が困難な障害のある人が対象です。工賃が支給されます。利用期間に制限はありません。

就労系障害福祉サービスの違い

計画相談支援

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 計画相談支援では障害のある人がどんな形で障害福祉サービスを利用すればよいかを相談することができます。担当者が本人や家族から面談で聞き取りをしてサービス等利用計画を作成します。利用開始後は定期的に本人と面談してモニタリングを行い、必要があれば利用計画の見直し・修正をします。計画相談支援は無料で利用できます。

計画相談支援利用イメージ

障害福祉サービスの申し込み方法

 障害福祉サービスは利用者が利用する事業所を選択することができます。利用事業所が決まったら障害福祉課などの市区町村の窓口に利用を希望する旨伝えます。利用決定にはサービス等利用計画が必要になりますので計画相談事業所で作成します。希望者は本人や家族がセルフプランを作成することもできます。市区町村で認定調査や審査会を経て支給決定が決まると、障害福祉サービス受給者証が発行されます。受給者証が手に入ったら、事業所と利用契約を行い、サービスの利用を開始します。

障害福祉サービス受給者証取得の流れ

医療のサービス

自立支援医療(精神通院医療)

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 登録した医療機関(精神障害に関わる)や薬局の窓口で受給者証を提示すると、医療費の健康保険自己負担が3割から原則1割負担になります。自己負担分も収入によって全額もしくは一部免除になります。市区町村の窓口に申請書と診断書を提出します。1年ごとに更新があり再申請が必要です。(厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について(PDF)」blank

自立支援医療受給者証(横浜市健康福祉局より)

自立支援医療受給者証(横浜市健康福祉局blankより)

自立支援医療(精神通院医療)の利用者負担額

 ※間違えやすいですが、「障害福祉サービス受給者証」と「自立支援医療受給者証」は別のものです。自立支援医療受給者証では障害福祉サービスは利用できません。就労移行支援を利用したいときは新規で障害福祉サービス受給者証の申請が必要です。

その他(お金)

(心身)障害者福祉手当

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 月数千円~1万数千円が支給されます。対象になる手帳の種類や等級が自治体により異なります。市区町村の窓口で申請します。毎年所得状況の確認があり対象かどうか判定されます。(例:東京都千代田区blank

障害年金

 障害があり生活や仕事に制限がある人は65歳以下の人も含めて年金を受け取ることができます。障害者手帳とは別の制度です。働いていても障害年金を受給している人もいます。申請が複雑で認定を受けるのが難しいと言われています。スムーズに障害認定を受けるには申請に詳しい社労士や行政書士に相談するのも1つの方法です。(参考:日本年金機構「障害年金ガイド令和2年年度版(PDF)」blank

年金手帳表紙

  • 障害基礎年金: 国民年金に加入している障害のある人で、初診から1年6ヶ月が経過し、未納期間が一定以下の人に障害基礎年金が支給されます。障害の重さにより1級と2級に分かれていて、支給額が異なります(平成1年度で1級が975,125円/年、2級が780,100円/年)。市区町村の窓口もしくは年金事務所で申請します(厚生労働省障害基礎年金お手続きガイド(PDF)」blank)。
  • 障害厚生年金: 国民年金ではなく厚生年金に加入している場合の年金です。障害の重さによって1級から3級に分かれています。勤続年数や収入により支給額が計算されます。1・2級の人は障害基礎年金も合わせて受給できます。市区町村の窓口もしくは年金事務所で申請します。
  • 障害手当金(一時金): 厚生年金に加入している障害のある人の中で、障害厚生年金の受給基準より障害の軽い人も、認定されれば一時金が支給されます。勤続年数や収入により支給額が計算されます。年金事務所で申請します。
生活支援

『あなたも使える生活保護』表紙

日本弁護士連合会パンフレット(PDF)blank より

  • 生活保護: 障害者手帳を持っていると生活保護費に加算が付き支給額が月に1~2万円前後増えます。(平成28年度 厚生労働省blank
  • 生活福祉資金貸付制度: 低所得もしくは障害のある方がお金を借りられる制度です。市区町村の社会福祉協議会で申請します。(全国社会福祉協議会blank
税金・公共料金等

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  • 障害者控除: 本人や控除の対象になる配偶者や扶養親族に障害者手帳を持っている人がいる場合は所得税・住民税から控除が受けられます。給与所得者の場合は扶養控除等(異動)申告書に記載して勤務先に提出します。事業所得者など確定申告をする人は確定申告時に申請します。(国税庁blank
  • 相続税の軽減: 障害者手帳を持っている人が法定相続人の場合、相続税の一定額が控除されます。(国税庁blank
  • 贈与税の軽減: 親族が信託銀行に財産を委託して障害者手帳を持っている人に定期的に金銭を交付する場合、贈与税が一定額非課税になります(特定贈与信託)。(信託協会blank
  • 預金等利子非課税: 障害者手帳を持っている人は預金や国債・地方債の利子がそれぞれ元本350万円まで非課税になります(通称マル優)。都度手帳を提示して申し込みをします。(国税庁blank
  • NTT電話番号案内無料: 療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持っている人がNTTに登録すると番号案内104の利用が無料になります。(ふれあい案内、NTT東日本blankNTT西日本blank
  • 携帯電話料金割引: 障害者手帳を持っている人は携帯電話各社の基本使用料や通話料が割引になります(NTTドコモはハーティ割引blank、auはスマイルハート割引blank、Softbankはハートフレンド割引blank)。
  • NHK受信料減免: 障害者手帳を持っている人がいる市区町村税非課税の世帯ではNHKの受信料が全額免除されます。(NHKblank

その他(暮らす)

交通機関

transportation

  • JR・民営(東京メトロ含む): 身体障害者手帳・療育手帳を持っている本人が、付き添いなく1人で乗車するときは、100キロを超える区間の普通乗車券のみ5割引になります。窓口で障害者手帳を提示して購入します。精神障害者保健福祉手帳を持っている人には割引はありません。(例:JR東日本blank
  • 地下鉄: 自治体により障害者手帳を持っている人に運賃の全額・半額助成を行っています。例えば都営地下鉄では都内在住の障害者手帳を持っている人は全区間無料で利用できます。身体障害者手帳・愛の手帳を持っている人は市区町村の窓口で都営交通無料乗車券blankを、精神障害者保健福祉手帳を持っている人は都営線の窓口で精神障害者都営交通乗車券blankを申請します。
  • 飛行機: 身体障害者手帳・療育手帳に航空割引印が押されていると国内航空券の普通運賃から3割程度割引になります。(例 JALblankANAblank
  • バス: 身体障害者手帳・療育手帳を持っている人が障害者手帳や割引証を路線バス乗車時に提示すると乗車券は5割引に、定期券は3割引になります。精神障害者保健福祉手帳を持っている人は都内では乗車券5割引(都バスは上記乗車券提示で無料)になりますが定期券の割引はありません(例 東急バスblank東京バス協会blank)。長距離バスは身体障害者手帳と療育手帳を持っている人のみ割引があることが多いようです。(例 JRバス関東blank
  • フェリー: フェリー会社によって障害者手帳を持っている人の運賃を割引しているところがあります。(例 東京湾フェリーblank
  • タクシー: 身体障害者手帳・療育手帳をタクシーの乗務員に提示すると運賃が1割引きになります。精神障害者保健福祉手帳を持っている場合も同様の割引が受けられるタクシー会社が増えているとのことです。自治体によって福祉タクシー券を交付しているところもあります。(例 東京ハイヤー・タクシー協会blank
住居

house

  • 公営住宅申し込み優遇: 障害者手帳を持っていると公営住宅抽選の際の当選確率が優遇されることがあります。(例 都営住宅blank
  • 公営住宅家賃減免: 障害者手帳を持っている人がいる収入が一定額以下の世帯の公営住宅使用料が減免されることがあります。(例 都営住宅blank
レクリエーション

recreation

  • 障害者スポーツセンターの利用: 障害者手帳を持っている人は地域の障害者スポーツセンターを利用できます。(例 東京都障害者総合スポーツセンターblank
  • 保養施設の利用料減免: 東京都在住の障害者手帳を持っている人と付き添い1人までが指定宿泊施設で代金の一部助成が受けられます(東京都障害者休養ホーム事業、日本チャリティ協会blank)。自治体によって専用の保養施設を利用できるところもあります。
  • 公共施設利用料減免: 障害者手帳を提示すると公園・博物館・美術館など公営施設の入園料・利用料・駐車料金の減免が受けられることがあります。(例 都立公園は入園料・駐車料金が無料、福ナビblank
  • 映画料金割引: 映画館によりますが、窓口で障害者手帳を提示すると本人と付き添い人が大人1名1,000円で鑑賞できます。

監修者コメント

一覧になっていてわかりやすい記事だと思います。診察場面でもこのページを開くことができるので重宝していますし、皆さんも印刷したりブックマークしたりして時折確認されても良いかもしれません。

実は医師や心理士なども、制度に詳しくなかったり、診察室で伝え損ねてしまうことも多いものです。ですのでこうした情報をつかって専門家との相談内容を深めてください。知られていないけれども、国が作ってくれているサービスも色々とあるので、うまく利用することが大切です。


監修 : 益田 裕介 (医師)

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